著者
丹羽 隆 外海 友規 鈴木 景子 渡邉 珠代 土屋 麻由美 太田 浩敏 村上 啓雄
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.333-339, 2014 (Released:2014-12-05)
参考文献数
17
被引用文献数
3 8

Defined daily dose (DDD)を用いた抗菌薬使用量の集計はWHOが推奨する方法である.しかしながら,DDDによる集計は総使用量の集計であるため,使用動向の解釈には限界がある.我々は,欧米にて評価が高まりつつあるdays of therapy (DOT)によって当院の2005年1月から2013年6月の注射用抗菌薬の使用量を集計した.セフタジジムはDDD法,DOT法による集計値ともに年々有意に減少したが,DDD/DOT比は変化なかったことから,使用日数もしくは使用人数の減少によって総使用量が減少したと判定できた.メロペネムはDDD法による集計値,およびDDD/DOT比は有意に増加したがDOT法による集計値は有意に変化しなかったことから,1日用量の増加によって総使用量が増加したと判定できた.一方,テイコプラニンはDDD法による集計値は変化なく,DOT法による集計値の有意な減少,DDD/DOT比の有意な増加が見られたことから,1日用量が増加したが使用日数または使用人数の減少により総使用量は変化していないと判定された.以上の結果から,DDD法とDOT法を使用することにより,抗菌薬使用動向をより詳細に分析でき,今後の抗菌薬適正使用の一助となると考えられた.
著者
山下 満智子 松原 秀樹 正田 一貴 宮藤 章 石木 達也 市川 恵 廣田 一弘 高倉 美香 山本 一恵 大槻 馨 北村 芳久 鵜飼 智代 村上 恵 真部 真里子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.152, 2010 (Released:2010-08-27)

【目的】 加熱調理機器(IHクッキングヒーター[IH]・ガスコンロ[ガス])による調理特性の相異を究明する目的で、煮物調理に着目し、鍋の昇温特性について検討した。 【方法】 IH・ガス兼用ステンレス鍋に、鍋肌測定用として鍋胴部の鍋肌(鍋底より25、40、55mm)にシート熱電対、水温測定用として鍋中央部(鍋底より6mm)にシース熱電対を設置した。煮物を想定した火力として、IHは電圧203-204Vにて1.45kw(強火弱)および1.0kw(中火強)とし、ガスは沸騰までの時間がIHと同じになるように、ガス圧を1.5kpa(強火弱)と0.55kpa(中火強)に調圧した。水道水800ccを入れ、IHならびにガスを用いて加熱し、鍋肌温度と水温とを連続的に計測した。また、鍋底より25、40、55mmの高さにて、鍋肌より外側に1-20mmの周辺温度を熱電対により測定した。水温が100℃到達10分後の鍋の状態を赤外線サーモグラフィ装置で撮影した。なお、この時、放射率の低い金属光沢面の計測精度を高めるため、鍋内面に放射率0.94の黒塗装を施した。 【結果】 IHとガスの沸騰開始10分後の鍋肌温度は、強火弱で94℃(IH)、128℃(ガス)、中火強で94℃(IH)、107℃(ガス)となった。鍋周辺の温度は、IH では鍋肌温度より低く鍋肌から放熱し、ガスでは鍋肌温度より高く鍋肌からも加熱していることが確認できた。サーモグラフィ画像からも、IHでは鍋肌温度が上昇せず、加熱中鍋肌が水温を超えないことが確認できた。これらの相異が煮物調理のおいしさに及ぼす影響は今後の検討課題である。
著者
丸岡 秀一郎 釋 文雄 村上 正人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.317-321, 2016

気管支喘息 (以下, 喘息) の病態形成には, 遺伝因子と環境因子が深く関与している. 環境因子の一つとして心理社会的ストレス (以下, ストレス) がある. ストレスがどのように呼吸器疾患の発症機序に影響を及ぼしているのか依然不明な点が多い. 近年, エピジェネティクスという学問領域が注目されている. DNAメチル化, ヒストン修飾, ノンコーディングRNA (non-coding RNA : ncRNA) などにより遺伝子の暗号を変化させることなく, 疾患関連遺伝子の発現調整をするシステムであり, 環境因子 (ストレスなど) によりエピゲノムに修飾が起こり, 疾患の表現型決定に影響し, さらに世代を超えて保存される. 本稿では, ストレス誘導性エピゲノム修飾について総括し, 呼吸器心身症の代表である喘息の病態形成について考察する.
著者
村上重良 [著]
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2007
著者
神戸 隆行 Lovic Gauthier Victor Goulart Antoine Trouve 平木 哲夫 山﨑陽介 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.4, pp.97-102, 2007-01-23

Redefis は SoC の計算エンジンとなる動的再構成可能な ASIP(アプリケーション特化命令セット・プロセッサ)を動的再構成可能プロセッサを用いて実現するプラットフォームである。Redefis は Redefis プロセッサとソフトウェア開発ツールである Redefis ツールから成る。Redefis プロセッサは実行時再構成可能な LUT ベースの演算装置を備え、それをカスタム命令を介して利用できる。Redefis ツールは Redefis プロセッサでアプリケーションに特化したカスタム命令を実現するための演算装置の構成情報とそのカスタム命令を用いるオブジェクトコードの両方を汎用の高級言語(ここではC言語)で記述されたアプリケーションのソースコードから生成する。以前開発した試作 Redefis プロセッサ Vulcan とそのた開発ツールとして Redefis ツール・チェインの経験を踏まえて新たな試作プロセッサとして Vulcan2 を開発しつつあり、また、Redefis ツールを C コンパイラの枠組みに統合して新たに ISAcc コンパイラ開発した。Redefis is a design platform for designing dynamically reconfigurable ASIPs (Application Specific Instruction Set Processors), which are going to be used as engines in future SoCs. The platform consists of the Redefis processor and its SW development toolset. The Redefis processor contains a LUT-based reconfigurable module capable to be reconfigured on-the-fly via custom instructions. The Redefis toolset analyzes the target application (written in high level C language) and generates specialized Custom Instructions which are referenced in the final compiled object code of the application. An early prototype of the Redefis processor, called "Vulcan" with its relative tool-chain have been developed. Based on the know-how obtained, a new prototype, "Vulcan2", and a restructured development toolset, called ISAcc, which integrates the previous Redefis design tool-chain into C compiler framework.
著者
吉田 正貴 稲留 彰人 村上 滋孝
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.307-316, 2003 (Released:2003-04-26)
参考文献数
22
被引用文献数
8

下部尿路機能は自律神経によって制御を受け,中枢,末梢において様々な神経伝達物質によりその機能を営んでいる.近年,我々は主に脳で使用されているマイクロダイアリシス法を等尺性実験に応用することにより,神経伝達物質の回収を行い,尿路平滑筋の収縮や弛緩とそれに関与する神経伝達物質(acetylcholine: ACh, noradrenaline: NA, adenosine triphosphate: ATPおよびnitric oxide: NO)の定量と薬理学的解析を行ってきており,以下の検討結果を得た.1)尿道機能を司るアドレナリン作動神経とNO作動神経は単一で作用しているのではなく,NO作動神経から放出されるNOはアドレナリン作動神経からのNAの放出量を抑制的に調節していた.また,アドレナリン作動神経より放出されたNAはNO作動神経の神経終末に存在するα1受容体を介してNOの放出を抑制的に,α2受容体を介して促進的に調節しているものと考えられた.2)ヒト膀胱において,NO作動神経から放出されるNOは直接膀胱の弛緩作用は有さないが,コリン作動性神経に作用して,AChの放出量を減少させることにより,特に蓄尿期に膀胱の弛緩や活動性の抑制に関係しているものと考えられた.3)ヒト前立腺においては,神経型NOS活性の低下によるNO放出量の低下が,加齢や前立腺肥大症に伴う下部尿路症状を有する患者でみられ,これが前立腺尿道部のダイナミックな閉塞の一因となっている可能性が推察された.4)加齢に伴いヒト膀胱収縮におけるコリンおよびプリン作動性成分の関与は変化し,ACh放出量の低下によるコリン作動性成分の減少と,ATP放出量の増加によるプリン作動性成分の増加が示唆された.これらの変化と加齢に伴う過活動膀胱や低活動膀胱との関係が示唆された.これらの検討結果は,今後病態の解明や新しい薬剤の開発に寄与するものと考えられ,我々の研究が臨床応用に繋がることを期待している.
著者
村上 真樹
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.13-24, 2012-06-30

In Goethes Wahlverwandtschaften (1920/21) betrachtet Walter Benjamin das Problem der Schonheit und des Scheins. Und dann beabsichitigt er sie zu uberwinden. Benjamin unterscheidet zwei Formen des Scheins; "Venus" und "Lucifer". Der Schein als Venus ist der "Schein hinter dem sich etwas verbirgt". Das stimmt mit dem Begriff des Scheins in der idealistischen Asthetik uberein. Der Schein als Lucifer ist der "Schein hinter dem sich Nichts verbirgt". Das stimmt mit dem Schein in Nietzsches Asthetik uberein. Aber betrachtet Benjamin beide Formen des Scheins kritisch. Die Erstere lasst er an ihrem Wert verlieren, indem er sie nicht als die Hulle vor der Wahrheit, sondern als Hulle vor dem "Unscheinbaren" begreift. Die Letztere verneinte er, indem er sie nicht als Schein, sondern als Allegorie begreift. Ferrier weist Benjamin auf ein Moment von Unterbrechung dieser Formen des Scheins hin, nennt dies "das Ausdruckslose". Meine Arbeit weist darauf hin, dass Benjamin fur die Uberwindung des Scheins drei Methoden vorschlagt; (1) Verminderung des Scheins durch die Beziehung zwischen Schonheit und Wahrheit zu schneiden, (2) Entzauberung des Scheins durch die Allegorie, (3) Unterbrechung des Scheins durch "das Ausdruckslose".
著者
村上 佳久
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.58-63, 2013-12

スーパーコンピュータ(以下:スパコン)の超小型タイプを製作し,スパコンとは何かについて原寸大で教育できるような教材化を行い,検証した。実際,作製した超小型スパコンは,東京工業大学の大型スパコンである"Tsubame 2.0"とソフトウェア面で互換となるように設計し,将来的は発展が見込めるようなものが実現できた。
著者
石黒 格 村上 史朗
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.130-139, 2007

"Sharing norms" has rarely been studied directly though it is one of the most important key-concepts in self-effacement research. The present study examined the effects of sharing norms on individual behavior by operationalizing the degree thereof regarding self-effacement. Two levels of sharing were measured : in a personal network and in a social system. It was predicted that both levels of sharing would be positively correlated with individual self-effacement behavior. A mail survey covering 12 local communities in Japan was conducted. The results showed that people engage in self-effacement more frequently when 1) positive evaluation and behavior regarding self-effacement were shared in their personal network and 2) behavior regarding self-effacement was shared in the communities where the respondents live. Sharing in a personal network was also correlated with individual attitude toward self-effacement. We discussed the differences of the roles that sharing in a personal network and social system plays in terms of self-effacement.
著者
村上 雄一 小崎 幸雄 本川 正明 大藪 芳樹 宮本 明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.5, pp.612-618, 1977-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

各種金属酸化物触媒上でのアンモニア酸化反応を流通法により研究した。アンモニア酸化反応の活性および選択性におよぼす反応温度,入口O2-/NH3比ならびにW/Fの影響を検討した。これらの実験結果を説明するために,NO-NH3反応,NO酸化反応,NO2-NH3反応などを含むNH3酸化反応径路に関するモデルを新たに提出した。このモデルによりNH3酸化反応の選択性をNO-NHs反応活性との関連において合理的に説明できた。また,触媒のNH3酸化活性の大きさは酸化物の禁止帯幅など触媒の酸化力により決定されることも明らかとなった。
著者
村上 敬進 藤澤 宜広
出版者
沖縄大学法経学部
雑誌
沖縄大学法経学部紀要 (ISSN:13463128)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-10, 2008-12

いわゆる「失われた10年」問題の解明は、多くの研究者が取り組んでいるが、未だに定型化された事実(stylized Facts)は得られていない。その原因の一つは、経済学の古典的課題と強く関係している。すなわち、経済動向を分析する際、需要サイドを重視するか(需要派)、供給サイドを重視するか(供給派)、需要と供給の相互作用を重視する立場を採るかによって、分析の視点が異なってくるのである。本稿では、1990年代の日本経済の長期停滞の原因を究明した諸研究を、これら三方向からサーベイし論争を整理する。更に、供給派はTFP低下説と労働市場における資源配分の非効率説に分けて整理する。最後に、国民経済の分析を、沖縄経済の分析に適用するための研究課題を明らかにする。
著者
村上 あかね
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.319-335, 2011-12-31
被引用文献数
1

本稿の目的は, 離婚による女性の生活の変化を, 縦断的データを用いて明らかにすることにある. 家族と格差の問題を考えるうえで離婚は重要なライフイベントである. しかしながら, 日本では離婚の発生自体があまり多くはなかったこと, ライフコース研究に適した縦断的データの蓄積が少なかったことなどの理由から, 離婚に関する研究は決して多くはなかった. しかし, 今後, 経済の低迷や価値観の変化に伴って, 離婚が増えることが予想される. 子どもが貧困状態に陥る大きな要因の1つは親の離婚であり, 貧困が子どもの発達, 教育達成・職業的達成などその後のライフチャンスに及ぼす影響は社会的にも大きな関心を集めている. 離婚と社会経済的格差について検討することは, 今後重要性を増すといえよう.<br>1993年から実施されている全国規模のパネル調査データに対して, 固定効果モデル・変量効果モデルを用いて分析した結果, 離婚によって等価世帯収入が大きく減少することが明らかになった. 夫からの養育費や児童扶養手当などの社会保障給付も決して多くはなく, 離別女性は経済的自立を迫られているが容易ではない. 母親が就労していても母子家庭の経済状況は苦しく, 離婚後の生活を支える仕組みをどのように構築するか検討が求められる.