著者
花田 充治 野口 俊弘 村山 隆夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.141-150, 2003-08-01
被引用文献数
1 14

アムルビシンは住友製薬により全合成された新しいアントラサイクリン系の抗癌薬であり,2002年4月に非小細胞肺癌と小細胞肺癌を適応症として製造承認を得た.ドキソルビシンなど現在市販されているアントラサイクリン系薬剤は全て発酵品あるいは発酵品からの半合成品であるのに対し,アムルビシンは化学的に全合成された化合物である.9位に水酸基の代わりにアミノ基を有し,アミノ糖の代わりにより簡単な糖部分を有するという,発酵品あるいは発酵品からの半合成品にはない化学構造上の特徴を有している.非臨床試験では,アムルビシンはヌードマウス皮下に移植したヒト腫瘍細胞株に対しドキソルビシンより強い抗腫瘍効果を示した.このマウスモデルにて薬剤組織分布を調べたところ,in vitroにてアムルビシンの約5~200倍の細胞増殖抑制活性を示す活性代謝物アムルビシノール(13位ケトン還元体)が正常組織に比べ腫瘍組織に多く分布していた.アムルビシンは組織分布の上でドキソルビシンに比べより腫瘍選択性の高い薬剤であると考えられ,また,既存のアントラサイクリン系薬剤と異なり,その抗腫瘍効果の発現に活性代謝物アムルビシノールが重要な役割を果たすと考えられた.アムルビシンはトポイソメラーゼIIを介したクリーバブルコンプレックスの安定化により抗腫瘍効果を示し,強いインターカレーション作用により抗腫瘍効果を示すドキソルビシンとは作用機序が異なると推察された.臨床試験では,未治療の進展型小細胞肺癌に対し高い奏効率(76%)を示した.未治療の非小細胞肺癌に対する奏効率は23%であった.主な副作用は骨髄機能抑制で,特にグレード3以上の好中球減少の発現率は77%であった.現在,悪性リンパ腫に対する後期第II相試験と未治療の進展型小細胞肺癌に対するシスプラチンとの併用による第II相試験が進行中である.<br>
著者
比屋根 真一 川満 芳信 村山 盛一 Hiyane Shinichi Kawamitsu Yoshinobu Murayama Seiichi 琉球大学農学部
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.2-8, 1998-08

サトウキビ4種を用いて,光合成速度の長時間連続測定から光合成支配要因を調べた.2000μmol m^<-2>s^<-1>の強光条件下では,測定後半に光合成速度の低下が認められた.特に,高い光合成速度を示したTainanおよびNiF4は,低いBadila,Yomitanzanと比較して急激な低下であった.しかし,1000μmol m^<-2>s^<-1>の条件下では,BadilaおよびYomitanzanは緩やかな山なりの曲線を描いたのに対し,Tainanは直線的に,NiF4においては時間の経過と共に緩やかに上昇した.気孔伝導度の日変化は光合成速度と同様のパターンを示した.光強度2000μmol m^<-2>s^<-1>の条件における葉内CO_2濃度は,測定開始から8~10時間経過後上昇した.CO_2濃度900ppm条件下において光合成速度を長時間連続測定し,気孔の影響を省き光合成速度の制限を明らかにした.その結果,900ppm区の光合成速度は350ppm区に比べ若干高めで推移したものの,両区とも測定開始後約5時間目以降に低下した.従って,光合成速度に対する気孔の制限程度は低いと考えられた.日変化を基礎にCO_2収支量の"光―光合成曲線"を作成したところ,1000μmol m^<-2>S^<-1>に飽和点を持つ飽和型曲線を示し,瞬時の測定の"光―光合成曲線"とは著しく異なる結果となった.以上から,光強度2000μmol m^<-2>s^<-1>の条件における光合成速度の低下は,気孔閉鎖に伴う葉内への炭酸ガス供給量の低下に起因したものではなく,葉の内部要因の活性低下が主な原因と推察された.
著者
池上 哲司 朴 一功 村山 保史 加来 雄之 藤田 正勝 門脇 健 西尾 浩二 竹花 洋佑
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

清沢満之の東京大学時代未公開ノート解読を通して、西洋哲学が明治期の日本にどのような形で受容されたかを明らかにしようとした。フェノロサが行った哲学関係の授業についての英文聴講ノートの内容を調査・分析していく過程で、満之と同年入学の高嶺三吉によるフェノロサ講義のノートが発見された。そこで、フェノロサによる複数の哲学関係授業の時期と内容を確定するために、清沢および高嶺の聴講ノートを翻刻・翻訳し出版した。
著者
向後 麻里 斉藤 有深 柏原 由佳 小市 佳代子 市川 幾重 堀地 直也 今井 俊道 足立 満 村山 純一郎 木内 祐二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.973-981, 2004-12-01
被引用文献数
1 2

日本における肺癌罹患者数は増加傾向にあり, 男性では悪性腫瘍の中で死亡原因の1位となっている. 非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer:NSCLC)は早期診断, 早期切除が原則となってくるが, 進行性肺癌や小細胞肺癌(small-cell lung cancer:SCLC)に対しては外科的切除の適応は少なく, 強力な化学療法や放射線療法が実施されるものの, 5年生存率は1%未満である. 近年, 肺癌の化学療法は, cisplatin(CDDP)と他剤との併用療法が主流でありSCLCではetoposide(VP-16), irinotecan hydrochloride(CPT-11), NSCLCではvinorelbin tartarate(VNR), gemcitabin hydrochloride(GEM)などと併用されている. こうした併用化学療法を安全かつ効率的に実施するためのクリニカル, パス(パス)を用いることは有用と考えられるが, 国内ではいまだ十分には活用されていない. パスとは, 病棟でのチーム医療の「質」と「効率」を同時に保障するために考え出されたマネージメントツールであり, パス導入により, 医療の標準化, チーム医療の推進, 情報の共有などの効果が期待される.
著者
山内 太 長谷部 弘 高橋 基泰 佐藤 康行 村山 良之 岩間 剛城
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、近世村落社会における農民的土地所有の性格について、特に新潟県の割地制度を素材としながら、実証的に明らかにしようとしたものである。旧上塩尻村(長野県上田市)の事例研究をベースとして、旧中郷屋村等新潟県蒲原平野に位置する、かつて割地を行っていた村落の資料調査を行い(継続中)、共同体的な土地所有制度であると見なされてきた割地が、この地域の自然環境、並びに村落構造と密接な関連をもちながら行われていたという事実を明らかにしつつある。
著者
貝沼 昭司 村山 泰啓 森 弘隆 五十嵐 喜良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.422-425, 1996-07-25

通信総合研究所(CRL)では,日米国際共同研究の一環としてアラスカ大学等と共同で,アラスカにおいて極域中層大気の総合的な研究観測を行う計画を推進している.256ビームイメージングリオメータは,CRLがこの計画のために新たに開発している観測装置の一つである. この論文では,システムのデザインと,国内試験観測結果について述べる.
著者
村山 淑子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
no.15, pp.25-34, 1974-03-31

The author investigated the Unesco report of "WORLD SURVEY OF HOME AND FAMILY EDUCATION WITHIN FORMAL EDUCATION" and compared some phases of the survey with those of Japanese homemaking education. In Part I, the composition of the survey, curriculum development, curriculum content, participation of boys in home economics education have been studied It is recommended that the findings of the report which has been worked out by co-operation of Unesco and I.F.H.E., be utilized for Japanese homemaking education. The close examining of the results of the past and present levels of regard for home economics education indicates an awareness, amongst the majority of countries in the world, of clear relationship between effective teaching of home economics and general welfare of the people. Further development will be obtainable by clarifying roles, objectives and subject matter content of homemaking education in the changing Japanese society. It is hoped that further studies to give boys suitable homemaking education in secondary schools will be developed. Associations, teaching institutions and governmental institutions who are engaged in homemaking education should co-operate for the development of Japanese homemaking education.
著者
村山 祐司 山下 清海 森本 健弘 兼子 純 呉羽 正昭 松井 圭介 仁平 尊明 山下 亜紀郎 田林 明 手塚 章
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトでは,人文地理学者が培ってきた豊富なフィールドワークの経験や蓄積にもとづき,暗黙知とされてきたフィールドワークを体系的に考察することにより,方法論の「ホワイトボックス」化に挑んだ.研究そのものを遂行するノウハウや研究論文の論旨を組み立てる方法などに注意を払いつつ,データを系統的に取得・蓄積・管理・分析・可視化・伝達する汎用的な方法を探究した.さらに,GISデータ解析のポータルサイトを立ち上げ,時空間データベースの活用実験を行うとともに,空間解析を主体としたフィールドサイエンスの確立に向けて議論を重ねた.本研究の成果はウェブで公開した.
著者
原 光顕 匂坂 小夜 村山 登
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.21, 2003-03-18

油絵が動いたらおもしろいだろうと考えていたので制作しました。油絵ならではの魅力を出すことがねらいです。さて、ここで問題があります。映像化されると、絵の具の魅力はかなり失われてしまいます。ベンヤミンの「複製技術時代の美術」の言葉をかりれば「アウラの消滅」です。しかし、絵の具の魅力は100パーセント失われてしまった訳ではありません。実力と工夫次第では、油絵の魅力を40〜50%くらいまでは引き出せるはずです。この「横浜」では、どのくらい油絵の魅力が出ているかを見ていただきたいと思います。1分6秒の短い作品で音楽は匂坂が作曲しました。
著者
村山 尚 児玉 靖司 原田 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.7-8, 1996-03-06

プログラミング言語は、型付き言語と型無しの言語に、大別できる。型付き言語は,静的型検査によって型誤りを起こさないことが保証される強く型付けされた言語、型誤りを起こす可能性のあるプログラムも型検査に合格してしまう弱く型付けされた言語とに分けられる。強く型付けされた言語では,型に関して安全で,信頼性の高いプログラムを作ることが可能である。型無しの言語では,型を明示的に指定する必要がないので,プログラムが簡潔に記述でき、変更などに対しても柔軟に対応できる。 強く型付けされた言語と型無しの言語の両方の長所を実現するために,型推論が考案された。型推論とは,プログラム中に現われる,非明示的な型に関する情報を使って,式の持ち得る型を厳密な推論規則によって、決定することである。型推論を行うことにより、明示的に型を指定しなくても,強い型検査を行うことができ,実行時の型誤りが起きないことが保証できる。
著者
大庭 三枝 村山 ひろみ
出版者
福山市立大学
雑誌
福山市立女子短期大学研究教育公開センター年報 (ISSN:13485113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-6, 2009

It is five years since we began the demonstration of educational contents in the department of Childcare and Early childhood education: play, music and theater for Fukuyama people with their participation. Practice by structurizing physical expressions has given a lot of good effects on students: Autonomy, verbal and physical expression, cooperative work, communication with different ages, self-confidence, motivation to make efforts, concentration, kindness, understanding with others and Fukuyama city, etc,. Teacher's efforts to brush up their capacity and the close comunication with the college-affiliated kindergarten are indispensable to improve the activities.