著者
高島 征助 信江 康弘 岡村 高幸 木下 久雄 清水 紘 小川 尚徳 村山 良介
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.300-305, 1980-06-01

On the examination of the disturbance of skin from residusal ethylene oxide (EO) in the operating gloves, the patch test on bilateral anterior antebrachial regions of 30 volunteers (male) was done with fixing small pieces of natural rubber (NR) sorbing EO. Even in the case of the residual EO concentration in the NR pieces below 100 ppm, the redness was detected for a few volunteers. For above 200 ppm, this symptom was more considerable. For preventing the disturbance, it is necessary to keep the residual EO concentration in the gloves low enough.
著者
高橋 亜希子 村山 航
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.371-383, 2006-09-30
被引用文献数
1 6

総合的な学習(総合学習)の時間の導入から3年が経過し,成果の一方さまざまな困難も指摘されている。総合学習で生徒への適切な支援やカリキュラム編成を考えていくためには,総合学習の達成を促進する要因を検討する必要がある。本研究では,先行研究ではあまり検討されてこなかった総合学習に特徴的な学習様式に着目し,総合学習を達成するために必要な要因を検討した。特に,量的検討と質的検討を組み合わせた手法を用いて,探索的な検討を行った。調査1では,総合的な学習に参加した高校生106人に対して質問紙調査を行った。その結果,教科の成績のみならず,テーマ決定や学習者の意欲・作業の進捗状況などが,総合学習の成績と相関を持つことが示された。調査2では,調査1において残差が大きかった生徒を抽出してインタビューを行い,事例を通した質的な検討を行った。その結果,「生徒の自我関与の深い領域とテーマとの結びつき」「研究の枠組み・計画の明確性」「情報収集や支援・資源へ向かう能動性」「教師からの適切な支援の有無」の4つの主要な要因が得られた。それぞれの要因に関して,総合学習独自の学習様式との関連から考察を行った。
著者
沖 良祐 内野 彰子 和泉 唯信 小川 博久 村山 繁雄 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000761, (Released:2015-11-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

症例は死亡時74歳の男性である.小児期の急性灰白髄炎罹患後に左下肢麻痺が残存した.60歳頃より四肢筋力低下,72歳頃より呼吸機能障害・嚥下障害が進行し,発症約14年後に死亡した.神経病理学的には脊髄にポリオ後遺症と思われるplaque-like lesionのほか,脊髄全長にわたりグリオーシスを伴う前角細胞脱落を認めたが,Bunina小体やユビキチン・TDP43陽性封入体などamyotrophic lateral sclerosis(ALS)に特徴的とされる構造物は認めなかった.ポストポリオ症候群は稀に呼吸機能障害や嚥下障害が急速に進行して致死的となる場合があり,これらの病理所見はポストポリオ症候群による運動麻痺の進行と関連していると考えられた.
著者
小池 高史 長谷部 雅美 野中 久美子 鈴木 宏幸 深谷 太郎 小林 江里香 小川 将 村山 幸子 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.357-365, 2015 (Released:2015-08-27)
参考文献数
25

目的 自治体による身元不明の認知症高齢者の増加を抑制する事業の利用を広めていくために,大田区で展開される高齢者見守りキーホルダーの利用の特徴を明らかにする。また,普及を担当する地域包括支援センターの方針や戦略と利用の特徴との関連を明らかにすることを目的とした。方法 2013年 7 月,東京都大田区 A 地区において,住民基本台帳上65歳以上の高齢者のうち,自力回答が難しいと思われる人を除いた7,608人を対象に質問紙を郵送し,5,166人(回収率67.9%)から回収した。このうち,分析に用いた変数に欠損のなかった4,475人を分析対象とした。見守りキーホルダーの利用の有無を従属変数とする二項ロジスティック回帰分析を行った。独立変数には,性別,年齢(前期高齢者/後期高齢者),同居者の有無,社会的孤立状況(孤立/非孤立),IADL(自立/非自立),もの忘れ愁訴の有無を投入した。また,2014年 8 月に大田区内 6 か所の地域包括支援センターにて12人の職員を対象にインタビュー調査を実施した。結果 ロジスティック回帰分析の結果,女性は男性よりも1.64倍,後期高齢者は前期高齢者よりも4.39倍,独居者は同居者のいる人よりも2.14倍,非孤立者は孤立者よりも1.36倍,IADL 非自立の人は自立の人よりも1.50倍,もの忘れ愁訴のある人は無い人よりも1.37倍見守りキーホルダーを利用していた。地域包括支援センターへのインタビューの結果,見守りキーホルダーの主な普及の対象としては,独居高齢者,心配を持っている人,若くて元気な人などがあげられた。地域包括支援センターのなかでも,独居高齢者と若い層を普及の主な対象と考えているセンターがあったが,実際には独居高齢者は多く利用し,前期高齢者の利用は少なかった。登録している人が多いと考えられていたのは,不安感の高い人,若くて自立度が高い人などであった。実際の登録までの経路としては,人づてや,町会などで登録するケースがあげられた。結論 見守りキーホルダーは,女性,後期高齢者,独居者,非孤立者,IADL 非自立の人,もの忘れ愁訴のある人により利用されていた。地域包括支援センターの多くが例示した友人や地域団体を経由しての登録の仕方と,孤立している人の利用率の低さの関連が示唆された。若くて IADL の高い人や社会的に孤立した人の利用を広めていくことが今後の課題である。
著者
古川 祥子 藤原 和哉 尾本 美代子 村山 友樹 呉 龍梅 笹木 晋 熊谷 亮 五十野 桃子 秋根 大 小林 浩幸 高屋敷 典生 鈴木 浩明 島野 仁 野牛 宏晃
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.913-920, 2014

症例は21歳女性.2年前から繰り返す発熱,倦怠感,頭痛,動悸,嘔気が1ヶ月前より増悪し来院.血圧186/133 mmHg,脈拍106/分,体温38.5 ℃,血液検査上HbA1c 8.2 %,血糖356 mg/d<i>l</i>と糖尿病を認め,CRP 40.21 mg/d<i>l</i>, IL-6 100 pg/m<i>l</i>と高値だった.画像上<sup>123</sup>I-MIBGシンチグラフィーで集積のある7 cm大の左後腹膜腫瘤を認め,カテコラミン・メタネフリン高値であり褐色細胞腫と診断した.ドキサゾシン,プロプラノロールの他,発熱,炎症反応高値に対しナプロキセンを使用した結果,CRP 0.15 mg/d<i>l</i>, IL-6 1.7 pg/m<i>l</i>まで低下した.同時に耐糖能は改善し,インスリン療法を術前に中止し得た.IL-6高値を伴う褐色細胞腫では,ナプロキセンが二次性糖尿病を改善し,高血糖による手術リスクを減少し得ることが示唆された.
著者
磯田 豊 村山 達朗
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究ノート (ISSN:09143882)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.85-95, 1990-08-31

対馬暖流の分枝流の一つは南西日本海の日本沿岸に沿って存在し,地形性β効果によって海底斜面に制御された定常流である。我々は浜田沖の大陸棚を対象海域とし,成層期である1988年8月5日・10月31日,非成層期である1989年1月30日・3月27日の計年四回のSTD及びADCP観測を行った。浜田沖の底部冷水の存在は一年中認められ,成層期にその低温化の傾向は強くなることがわかった。日本沿岸に沿った対馬暖流はこの底部冷水の存在領域によく対応し,二分枝化の傾向を示している。すなわち,第一分枝流は底部冷水の南限から沿岸域にかけて存在するほぼ順圧的な流動構造を持っている。一方,第二分枝流は陸棚縁上に位置し,傾圧的な流動構造を持っている。特に注目すべき流動構造の特徴は,これら両分枝流の間に下層の底部冷水に近づくほど顕著な反流域が存在している点である。
著者
村山 綾 三浦 麻子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.1-9, 2015
被引用文献数
5

This study defined Belief in Just World (BJW) multidimensionally and investigated the effects of Belief in Immanent Justice (BIJ) and Belief in Ultimate Justice (BUJ) on victim derogation and draconian punishment of perpetrators. Study 1 tested the validity of the multidimensional structure of BJW and demonstrated relationships between BJW and other psychological variables. In Study 2, we measured the reactions to the victim and perpetrator in an injury case reported in a news article, and evaluated the relationships of these reactions to BIJ and BUJ. The results revealed that BIJ was associated with a preference in draconian punishment of the perpetrator, while BUJ was associated with dissociation from the victim (a type of victim derogation). In addition, as hypothesized, we found that dehumanization of the perpetrator partially mediated the relationship between BIJ and victim derogation. We discussed relationships between the two types of BJW and just-world maintenance strategies in the situation where a victim and a perpetrator are both recognized.
著者
村山 航
出版者
高知工科大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は,昨年度作成したトリビアクイズ課題・マジックショー課題を用いて,機能的磁気共鳴画像法によって,知的好奇心の脳内基盤を調べることが目的であった。この実験では,トリビアクイズやマジックショー課題をスキャナ内で被験者(大学生)に提示し,クイズの答えやマジックのタネをどれくらい知りたいかを,意思決定課題を用いて調べた。この意思決定課題の反応を用いて,知的好奇心に関わる脳内部位を知ることが可能になる。この実験では,こうした知的好奇心を掻き立てる刺激だけでなく,食べ物の写真も提示し,外発的な報酬(動機づけ)に関わる脳部位も調べることで,この両者の脳内表象が重なっているかをしているかを調べることも可能になる。実験の結果,知的好奇心も外発的な報酬(食べ物)も,線条体という脳内の報酬系によって支えられていることが明らかになった。一方,意外なことに,知的好奇心特有,もしくは外発的な報酬に特有の脳部位は,現在までの分析では得られていない。このメインの結果は,現在論文を執筆中である。こうしたメインの脳イメージング実験に加え,いくつかの実験や文献レビューを行い,知的好奇心の心的メカニズムに関して,いくつもの系統的な検討を行った。たとえば,文献レビューの1つでは,知的好奇心が脳内の報酬系を活性化させることで,生活における適応的な自己制御を促進することを明らかにし,研究論文として出版された。また,別の行動実験では,こうした外的報酬と内発的報酬のダイナミクスに関して,人間は不十分な理解しかないため,自己制御的行動に不順が生じる可能性を示唆した。
著者
村山 重忠
出版者
法政大学
雑誌
社會勞働研究 (ISSN:02874210)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.41-46, 1955-11-30
著者
村山 幸栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.12-14, 1967-03-25

新潟県には, 平年でも積雪2m, 融雪期4月中〜下旬の山間多雪地が少なくない。これらの地域には第1表に示すように豪雪とか, 春季降雪あるいは春季異常低温などが原因して自然融雪期が5月上〜中旬におよぶ年もしばしば訪ずれ, 稲作の作期や作業手順を狂わせ作柄を不安定にしている。このように甚しく融雪遅延が予想される年には, 散土, 雪割等の人工消雪法が行なわれるが, 最も実用化されている散土消雪も, 土取場がないとか, 土取場の地理的関係がわるい等の制約が多く, また, 散土消雪の効果は1週間前後しかないので, 広範囲な普及はみられない状況にある。たまたま, 昭和40年春季降雪と低温による融雪遅延が動機となり, 41年に県農地部, 農林部の企画のもとに流水により消雪をはかる"無雪苗代施設"の設置が試みられた。ここに, その概要を紹介する。筆者は企画に参画し, 成績の取まとめに当っただけで, 現場における調査は, 土地改良区職員および農業改良普及員によってなされたものであることを附記し, その労に多謝するものである。
著者
水野 石一 村山 徹 大林 千穂 高橋 健太郎 宮田 陽子 安藤 美和 佐藤 倫明 井本 しおん 松井 利充 伊東 宏 千原 和夫
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.593-599, 1998-08-30
被引用文献数
3

53歳,女性。51歳の時に肺炎にて近医を受診し,頚部リンパ節腫脹,貧血,高ガンマグロブリン血症を指摘され,multicentric Castleman's disease (MCD)を疑われた。53歳の時に下肢のしびれ感,脱力感を認め,当科入院。多クローン性高ガンマグロブリン血症を認め,リンパ節生検にてリンパ濾胞間に形質細胞の浸潤を認めたため,MCDと診断した。また,胸部CTにてびまん性粒状影,経気管支肺生検にて形質細胞の浸潤を認め,lymphoid interstitial pneumonia (LIP)と診断した。また神経学的所見および神経電気生理検査から多発神経障害の合併と診断した。LIPに対しprednisoloneとcyclophosphamideによる治療を行ったが,一部に線維化が進んでいたためかあまり改善は認められなかった。肺合併症はMCDの予後を左右するため早期の発見と治療が必要である。