著者
松木 隆宏 新井 悠 寺田 真敏 土居 範久
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2748-2760, 2011-09-15

マルウェアは金銭の詐取を狙うサイバー犯罪の道具として使われている.最近では,利便性の高いWebサービスが数多く出現する陰で,Webを介して感染するWebマルウェアの被害が増加している.その感染拡大の手口は,Web改ざんとDrive-by Downloadにより複雑化している.攻撃は,感染源となるサイト,脆弱性攻撃コード,そして,感染するマルウェアという複数の要素によって構成されており,それらがめまぐるしい変化と多様化を続けている.Webマルウェアへの対策として,感染源サイトのデータベースや攻撃コードの解析技術がWebに公開されている.しかし,それらは部分的な情報であったり,分散した状態であったりするため,対策に十分に活用されているとはいえない.本論文では,Webマルウェアへの対策推進を目的として,Web上に分散しているURLブラックリストなどのセキュリティ情報データベースや攻撃コード,検体解析ツールとクライアントハニーポットを連動させることをマッシュアップと定義し,これによってマルウェア対策に有用な情報を結合する手法を提案する.そして,試作システムを用いて得られたWebマルウェアの調査結果を通して,マッシュアップによる調査手法の有用性を示す.さらに,攻撃サイトのアクセス制御を逆用して感染を回避する手法を示す.Over recent years, malware has become `tool' for cybercrime such as money fraud. The number of damages created by Web-based malware has been increasing under the shadow of convenient Web services. Its infection methods have become more complex and varied by Web defacement and Drive-by Download. The Web-based attacks consist of several elements; landing sites, exploit codes and malwares. Additionally, they continue rapid diversifying and changing. Some useful information and analysis technologies are published on the Web. However, they are not completely utilized enough for countermeasures, because they are dispersed around the Internet. In this paper, we will mashup the data from disparate sources such as honeypot, databases and analysis technologies from the Web. Furthermore, we will provide recommended system which integrates and analyzes dispersed information. All phases of this report were conducted with the objectives of fastest and most accurate solution to deal with Web-based malware. Then, we will report an investigation result of mashup system of Web-based malware, and its usefulness. Also, we will introduce methods of taking advantage of attacker's Website access control, in order to extend the range of countermeasures.
著者
宮森 潤 芳賀 昭 角張 泰之 佐藤 文博 松木 英敏 佐藤 忠邦
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822932)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.110-113, 2009-03-01
被引用文献数
1 1

The Contactless Power Station (CLPS) is a cordless power supply system that makes use of electromagnetic induction generated by means of coils. We propose a desktop design for CLPS, using spiral coils, because it is convenient to be able to charge the batteries of a digital still camera, a cellular phone, and a PC on single desk. The primary coil are arranged so that the coupling factor becomes 0, since it is inconvenient for the primary coils to be excited by each other. However, when the primary coils are synchronized and driven, the magnetic flux interferes with the electric power transmission. Attention was paid to changing each phase on the primary coils. As a result, when the phase was moved, stabilization of the output voltage was confirmed. Therefore, if the primary coils are suitably arranged, the power transmission pad can stabilize electric power transmission everywhere.
著者
松木 佐和子
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.105-108, 2004-09-30
参考文献数
1
著者
松木 浩二 狩野 祐一 坂口 清敏 木崎 彰久
出版者
一般社団法人資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.126, no.12, pp.668-678, 2010-11-25 (Released:2011-11-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

Using joint elements for a mechanical model of grain boundaries, we performed a preliminary 3D finite element analysis of uniaxial tensile fracture for specimen models of monomineral polycrystalline rock under the assumption that fracturing occurs only at the grain boundaries. The specimen models were created on a computer by the method previously proposed by the authors, and the constitutive law of the grain boundaries was derived by applying the associated flow rule in the plastic theory and a tension-shear-softening curve to an extended Coulomb criterion. Tensile fracturing initiates at grain boundaries with a small angle of the normal direction relative to the loading axis, which are followed by grain boundaries with a larger angle of the normal direction. Unloading of intergranular cracks occurs before the peak strength when the intergranular cracks do not compose the final failure plane that is completely formed near the inflection point of the axial stress-axial strain curve after the peak. During the completion of the final failure plane, the conversion of failure mode from tension to shear occurs at intergranular cracks that have a large angle of the normal direction relative to the loading axis. For these intergranular cracks, the axial displacement given at an end of the specimen is converted to a shear displacement, rather than an opening displacement, and the normal stress becomes to be compressive due to shear dilation. Furthermore, the number of tensile intergranular fracturing at the peak strength increases with a decrease in the constant α that characterizes the rate of decrease in the tensile strength in the tension-shear-softening curve of the grain boundaries, and as a result, the tensile strength of the rock specimen increases with a decrease in the constant α. However, the effect of the residual frictional coefficient is small and limited to the stage after the final failure plane is completely formed, since the residual friction coefficient affects the mechanical behavior of the grain boundaries only after the failure plane is completely formed.
著者
松木 栄三
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.652-668, 1974-12-01

論文タイプ||論説
著者
井関 将太 定永 靖宗 松木 篤 岩坂 泰信 佐藤 啓市 竹中 規訓 坂東 博
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.256-263, 2010-11-10 (Released:2011-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2

石川県能登半島珠洲で2008年12月からオゾンと一酸化炭素の測定を行い、東アジアの汚染された地域からの長距離輸送の観点から、季節変動・日内変動について解析を行った。オゾンと一酸化炭素濃度は、季節変動として春に高濃度、夏に低濃度となった。珠洲に到達する気塊を、後方流跡線解析を用いて、ロシア・中国・日本由来に分類したところ、春にロシアや中国からの大陸由来の割合が高くなり、夏に日本由来の割合が高くなった。区分別に見ると、中国由来の気塊が一年を通して高濃度となり、同じ大陸由来でも、ロシア由来の気塊は日本由来よりも低濃度になる傾向が見られた。日内変動を見ると、各月においてO3は日中の午後に最高値を示すが、COは一貫した変動を示さなかった。O3の日内最小値の月変動は、気塊の由来と長距離輸送中の光化学O3生成によるものであり、日中のO3増加量の月変動は、観測値近傍での光化学O3生成であると考えられた。また、日中のO3増加量と積算日射量との間には高く正の相関があることが明らかになった。
著者
松木 順
出版者
京都帝國大學經濟學會
雑誌
經濟論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.463-472, 1942-04
著者
松木 啓子
出版者
同志社大学
雑誌
言語文化 (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.597-618, 2008-03

本稿は、Brown and Levison(1987)によるモデルに基づき、アカデミック・コミュニケーションにおけるポライトネスの現象に注目する。この問題を考察するに当たって、1980年代のアメリカ文化人類学で有名となった「ミードーフリーマン論争」を取り上げる。デレック・フリーマンが20世紀のアメリカ文化人類学の象徴的存在であった故マーガレット・ミードを批判したことが発端となった同論争をポライトネスの問題から論じ、知識構築を目標とするアカデミック・ディスコースの社会的側面に注意喚起する。
著者
村上 正隆 折笠 成宏 斎藤 篤思 田尻 拓也 橋本 明弘 財前 裕二 牧 輝弥 荒木 健太郎 松木 篤 久芳 奈遠美
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

つくばサイトに於いて、各種エアロゾル測定・採取装置、雲核計、氷晶核計を用いて通年観測を継続実施した。エアロゾルの物理化学生物特性および雲核・氷晶核活性化スペクトルの季節変化について明らかにした。大気エアロゾルの主要構成要素である、黄砂粒子・バイオエアロゾル・種々の人為起源エアロゾル(標準粒子)を対象とした雲生成チェンバー実験や雲核計・氷晶核計を用いた測定結果と詳細雲微物理モデルの結果に基づき、その雲核能・氷晶核能を種々の気象条件下で調べ定式化した。その結果を用いて非静力学モデルなどに用いるエアロゾル(雲核・氷晶核)・雲・降水を統一的に取扱う新機軸のパラメタリゼーションを開発した。
著者
渡辺 幸一 朴木 英治 久米 篤 青木 一真 中野 孝教 石田 仁 松木 篤 岩坂 泰信 松木 篤 田中 泰宙
出版者
富山県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

高所に出現する弱い黄砂(バックグランド黄砂)の動態やその自然環境へ及ぼす影響を評価するため、立山において、エアロゾル粒子、微量気体成分、降水、霧水、積雪などの観測・分析を行うと共に、植生への影響について検討した。年度による程度の違いはあるものの、毎年秋期に「バックグラウンド黄砂」の影響がみられることがわかった。立山山の植生は、大気汚染物質だけでなく、黄砂粒子の影響も大きく受けている可能性が示唆された。また、立山での観測と並行して、回転翼航空機による富山県上空大気観測も行った。観測結果から、高所では高濃度の光化学オキシダント物質に植生が晒させやすいと考えられる。
著者
松木 武彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

日本列島と朝鮮半島における紀元前5世紀頃から紀元後7世紀までの武器・武具の発達過程を考古資料によってあとづけ、それぞれの地域における武器組成の変化から戦術および軍事組織の変遷過程を考察した。その結果、日本列島では紀元後1世紀以降に武器組成が単純化して儀器化が著しくなるのに対し、朝鮮半島では武器組成が複雑さを保ち、騎馬戦用の武器も含みながら日本列島よりは実戦的な発達を示すことが明らかになった。その背景として、北部の騎馬勢力との軍事的緊張が継続した朝鮮半島と、そこから離れた島嶼部であった日本列島との間の政治的・軍事的環境の違いを想定した。さらに、日本列島と朝鮮半島の武器・武具の組成・技術・形態を時期ごとに比較し、その変化をたどった。その結果、両地域の武器・武具は当初は共通するが、紀元後1世紀から4世紀にかけて親縁度が低くなり、5世紀に再び接近し、6世紀にはまた親縁度が低下する状況がみてとれた。その背景として、5世紀に両地域の政治勢力間で、軍事的側面を含む相互交流がもっとも強まったという歴史的事情を推測した。最後に、両地域の武器の比較を象徴性や認知の側面から深化させ、組成の差、意匠の選択、形態パターンという、言説的なものから暗黙的なものにいたるさまざまな位相での差異が、全体として「地域色」と総称される器物の空間的な変異を構成していることを分析し、それが両地域間のアイデンティティの形成に重要な影響を与えた可能性を指摘した。
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.