著者
萩野谷 俊平 倉石 宏樹 花山 愛子 小林 正和 細川 豊治 杉本 貴史
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究
巻号頁・発行日
2018
被引用文献数
2

<p>Studies of geographic profiling (GP) have generally investigated the efficacy of two categories of GP strategies for predicting an offender's base. These strategies can be classified as follows: (a) spatial distribution strategies, assessed by center of the circle hypothesis, mean center, median center, and the center of minimum distance, and (b) probability distance strategies, assessed by linear, negative exponential, logarithmic, and lognormal distributions. GP strategies were compared based on the data of 333 residential burglars who had committed at least three offenses in the Tohoku region during the years 2004-2013. Search area (total area that is searched before locating the offender's base) was utilized as an index for accuracy measure. The results demonstrated that probability distance strategies are more accurate than spatial distribution strategies. We conclude that this is because probability distance strategies captured crime patterns of residential burglars more precisely than spatial distribution strategies.</p>
著者
小林 正武 南里 和紀 田中 伸幸 長谷川 明 田口 丈士 齊藤 和裕
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.704-709, 2010 (Released:2010-11-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1

症例は76歳女性である.12年前に多系統萎縮症と診断され徐々に歩行障害が進行し独歩困難となった.頭部MRI T2強調画像で両側被殻は低信号,その外側に線状高信号をみとめ,SPECTでは両側線条体の血流低下所見をみとめた.抗GAD抗体陽性1型糖尿病,抗甲状腺抗体陽性,抗内因子抗体陽性ビタミンB12欠乏症であり多腺性自己免疫症候群3型に関連したパーキンソニズムと診断,ビタミンB12筋注治療,大量免疫グロブリン療法により安定した歩行が可能となった.診断困難な難治性神経疾患患者を診療する際には多腺性自己免疫症候群に関連したビタミンB12欠乏症,自己免疫機序の神経障害である可能性を考慮し十分な鑑別診断をおこなう必要がある.
著者
宮川 博文 稲見 崇孝 井上 雅之 小林 正和 西山 知佐 大須賀 友晃 本庄 宏司
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C3O2127-C3O2127, 2010

【目的】愛知県理学療法士会健康福祉部は平成17年より、地域住民の健康増進、スポーツ傷害の予防と改善を目的に県内行政機関と連携をとり、スポーツ傷害講座を年1回開催している。平成20年度はスポーツ傷害の発生機序からの予防対策に注目し、小・中学生バスケットボールチームを対象にバスケットボール女子日本リーグ機構(以下WJBL)外傷予防プログラムの紹介を中心に講座を開催した。今回の研究の目的は小・中学生に対するWJBL外傷予防プログラム(以下プログラム)の有効性、問題点をアンケート調査及びプログラム紹介後の実施状況より検討することである。<BR>【方法】対象はN町小学生(以下ミニ)・中学生(以下ジュニア)バスケットボールクラブチーム女子選手38名(ミニ17名:平均年齢10.7±1.1歳、ジュニア21名:平均年齢14.0±0.9歳)、保護者22名、指導者3名の計63名である。尚、競技レベルはミニがA県大会出場レベル、ジュニアは東海大会出場レベルである。プログラムは膝前十字靭帯(以下ACL)損傷、足関節捻挫など下肢の外傷予防を目的に2007年日本臨床スポーツ医学会、国立スポーツ科学センター、WJBL所属チームのトレーナーによって作製された。その内容は1.筋力(下肢・体幹筋)、2.バランス、3.ジャンプ、4.スキルの4項目で、それぞれベーシック(高校生、大学生)、スタンダード(大学生上位・実業団)、アドバンス(WJBLトップ選手)の3段階より構成されている。今回は体育館を会場とし、ベーシックを中心としたプログラムを6名のスタッフ(理学療法士3名、トレーナー1名、理学療法士養成校学生2名)による講義及び実技にて紹介した。<BR>アンケートはプログラムの紹介後に会場内で調査用紙を配布し、記入後その場で回収した。アンケート内容は以下の5項目である。1)下肢外傷の既往歴:医療機関で診断された外傷、2)プログラムがどの程度できたか:自覚的達成率、3)プログラムで最もケガの予防に役立つと思われる項目は何か、4)プログラムを通常の練習に取り入れたいか、5)プログラムを練習に取り入れる場合、何分が適当か、尚、プログラム紹介後に実施状況を調査した。<BR>【説明と同意】アンケート調査の説明はスポーツ傷害講座終了後、全対象に行い、同意の上で調査の協力を得た。<BR>【結果】回答数は63件で回収率は100%であった。1)下肢外傷の既往歴:ミニ期での発生は足関節捻挫3件、足関節骨折1件、ジュニア期は足関節捻挫8件、足関節骨折3件、ACL損傷2件であった。2)プログラムの自覚的達成率:筋力はミニ72.1、ジュニア79.8%、以下同様にバランスは69.1、78.6%、ジャンプは76.5、81.0%、スキルは67.6、82.1%であった。 3)プログラムで最もケガの予防に役立つと思われる項目:ミニは筋力とジャンプ、ジュニアはジャンプであった。4)プログラムを通常の練習に取り入れたいか:対象全員が取り入れたいと回答した。5)プログラムを練習に取り入れる場合の時間:最も回答の多かった時間はミニ15、ジュニア20、保護者20、指導者10分であった。プログラム紹介後の実施状況:紹介後4ヵ月での実施状況は、ミニはジャンプ、スキルの一部、ジュニアは筋力、ジャンプの一部が実施されるのみで、プログラムは通常練習に十分に取り入れられていなかった。<BR>【考察】ミニ・ジュニア選手に対するプログラムのスポーツ現場への導入は、ジュニアを中心に下肢外傷が多数発生していること、ベーシックを中心としたプログラムがミニ約70%、ジュニア約80%の自覚的達成率で実施可能であること、選手、保護者、指導者全てが通常練習への導入を希望していること等から早期に実現すべきと考える。しかし、スポーツ現場への導入は今回紹介したスポーツ傷害講座の開催による現場指導者や選手へのスポーツ外傷予防に対する理解を得るのみでは困難であった。スポーツ現場への導入にはそれに加えてプログラムの実施が現場のスポーツ活動の妨げにならず、さらに競技力向上につながるプログラムメニューの工夫が必要であり、我々理学療法士がスポーツ現場に足を運び指導者、選手と意見交換を重ねメニューを作成することが必要不可欠と考える。具体的には1)プログラムの実施時間は10~15分とする、2)プログラムの内容はウォームアップメニューとしてリズミカルでチームの士気を高め、さらにサーキット形式、ボールを使った形式など実践に近いメニューも取り入れる等の工夫が必要と考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】スポーツ現場は外傷予防に強い関心を持っているがその導入に至っていないのが現状である。外傷予防プログラムの内容、導入方法等の検討はスポーツ傷害の発生機序からの予防対策として重要であり、理学療法学研究としての意義は高いと考える。<BR>
著者
林 正雄
出版者
日本岩石鉱物鉱床学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.152-158, 1989-05-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1

A method is proposed to describe quantitatively various zircon crystal forms projected either on the plane {100} or {110}. When the crystal planes observable from one direction are assumed to be the same size as those on the opposite side, four indexes can be calculated: the flatness index is the ratio of the total thickness to the total width, the elongation index is the ratio of the prism height to the sum of the total height and the total width, the prism index is the ratio of the total width of {100} to the prism perimeter, and the pyramid index is the ratio of the pyramid height to the height of {211}. All these indexes range from 0 to 1 for almost all zircon, and, regardless of the direction of observation, they remain virtually unchanged. This technique will provide useful clues not only to correlate igneous formations but also to estimate the physico-chemical conditions of the host rock of zircon crystals.
著者
岡田 誠 才藤 栄一 水野 元実 藤野 宏紀 伊藤 三貴 西尾 美和子 余語 孝子 織田 幸男 林 正康
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.B0126-B0126, 2007

【目的】調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具(APS-AFO)は、外観性・機能性・調整性という臨床の3つのニードを同時に満たした装具であり、モジュラーパーツである後方平板支柱(4剛性)、ヒンジジョイント(3タイプ)を適切に選択することにより、幅広い歩行能力に適応可能な装具である。今回、連続歩行による多数歩採取可能、定常速度設定可能という、トレッドミル歩行分析法の利点を生かした計測方法でAPS-AFOの歩行分析を行った結果、一般的な平地歩行分析では困難と思われる、再現性の検討やパターン分析が可能となったので報告する。<BR>【対象と方法】対象は、APS-AFOにて歩行が修正自立の脳卒中片麻痺者10例とした。方法は、トレッドミル上を約20秒間連続歩行した時の歩行を3次元動作解析装置(3D解析)で分析した。3D解析には、キッセイコムテック社製Kinema Tracerを使用した。APS-AFO、裸足の2歩行について同一歩行速度(裸足の快適歩行速度)で歩行分析を行い、それぞれの時間・距離因子の再現性、関節角度変位(特に、足部内反の角度変位)、進行方向の重心移動速度、連続歩行による歩行パターン分析を比較検討した。なお、本研究は藤田保健衛生大学倫理委員会において認証されており、データ計測の際には被験者より同意書を得て行った。<BR>【結果】トレッドミル上を連続歩行する多数歩計測によって、各因子の平均値、標準偏差、変動係数(ばらつきの指標)などの統計的手法が可能となった。APS-AFO、裸足の時間・距離因子、関節角度変位は、APS-AFOの方が、裸足よりもばらつきが少なく、運動の再現性が高い結果となった。また、関節角度変位は、APS-AFO、裸足の順に歩行時の関節コントロールが良好であった。特に、遊脚期の足部内反はAPS-AFO、従来型装具が著明に減少した。進行方向の重心移動速度では、APS-AFOの重心移動は両脚支持期でスムーズに行われており歩行効率の向上につながった。<BR>【考察】トレッドミル歩行分析法では、多数歩採取、定常速度設定という計測方法が可能なため、一般的な平地歩行による2~3歩による歩行分析では困難な統計的手法が可能となった。すなわち、1歩1歩にばらつきが生じやすい片麻痺者では、トレッドミル歩行で採取した約15歩分の平均値を算出することによってより信頼性の高い結果が得られ、また、変動係数を利用することによりそのばらつき程度の評価も可能となった。APS-AFOの効果判定おいても、トレッドミル歩行分析法による足部内反や重心移動速度などが有効であったと思われる。これらのことから、トレッドミル歩行分析法による歩行評価は、片麻痺者など障害を呈した症例の装具効果判定を行う際の新しい指標となると思われる。<BR><BR>
著者
小林 正典
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.10, pp.41-58, 2017-03

中国政府は2013年に旅遊法を制定し、「零負団費」に象徴される悪質なパッケージツアーを規制するための条項を設けた。その結果、「零負団費」については立法上の対策が講じられているが、残された課題も少なくない。例えば、航空券とホテルを組み合わせた旅遊商品は、そのサービス内容如何によって旅遊者の権利利益を損なう危険性を孕んでいる。また、旅遊者が契約した業者が無登録旅行社であれば、契約自体が無効になる可能性もある。さらに、包価旅遊契約の解除によって代金が返還される場合、代金から差し引かれる「必要な費用」の範囲は必ずしも明確でない。「転団」には、現行の法律法規の枠内で解決できない問題がある。最近では制度上の弱点を狙って、旅遊法の厳しい規制を回避するパッケージツアーが登場し、周辺諸国を巻き込んで様々な影響を与えている。中国では早くも旅遊法改正の必要性が指摘されており、周辺諸国にとっても、中国の法整備の状況を注目しながら、消費者の権利利益の保護とツーリズム秩序の安定に資する政策の実施が求められている。
著者
森谷 友昭 金子 裕哉 新井 崇博 清水 宣寿 青木 香織 高橋 時市郎 木口 実 片岡 厚 石川 敦子 松永 正弘 小林 正彦 森田 珠生 山口 秋生
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.69-79, 2017 (Released:2017-06-03)
参考文献数
11

本論文では,暴露試験により計測された木材表面の色を基に,木材画像の色の経年変化シミュレーションを高速に行う手法を提案する。暴露試験は,約1年間計測したデータを基に木材表面の色と試験実施場所の気候の関係性を明らかにした。求められた関係性により,提案する手法は温度,雨量,日射量を入力することで任意の地点での木材表面の色変化をシミュレーションすることができる。また,提案手法は建築物の外壁に取り付けられた木材表面の色変化シミュレーションができる。建築物の3D モデルを用意し,事前に遮蔽計算を行う。遮蔽計算の結果を基に提案手法への入力である,温度,雨量,日射量を各箇所で増減させることで,例えば,地面近くの木材では降雨の跳ね返りにより色変化が速い,というように,木材の周囲環境を考慮した木材表面の色変化シミュレーションができる。
著者
望月 直美 小林 正夫 西大路 賢一 釜口 麻衣
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.545-555, 2014 (Released:2014-10-15)
参考文献数
16

人間ドックで胃がんリスク評価(ABC分類)を実施した。対象は1223例, 平均年齢は56.3歳であった。A群が全体の61%でA群の割合は年代が上がるにつれ低下した。同時に実施した内視鏡検診でC群から3例, A群から1例の胃がんが発見された。いずれも年齢は65歳以上で内視鏡的に胃粘膜の萎縮は高度であった。ABC分類の結果と内視鏡的胃粘膜萎縮度を比較した結果, A群の13.9%は内視鏡的に萎縮を認める, いわゆる「偽A群」であった。内視鏡的に萎縮を認めない真のA群と比較すると, 「偽A群」では60歳以上, およびHp抗体価3.0U/ml以上の症例が有意に多かった。「偽A群」のうち高度の胃粘膜萎縮を有する20例はPGI低値, Hp抗体価3.0U/ml以上の両方, あるいはいずれかに合致し, Hp既感染, または現感染が考えられた。胃がんリスク評価を正確に行うため, 初回は内視鏡による画像診断を併用することが望ましい。
著者
浜口 斉周 道家 守 林 正樹 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.2194-2205, 2006-10-01
参考文献数
14
被引用文献数
7

我々は,ブログを書くような感覚で,だれでも簡単にテレビ番組を制作し,公開できる,インターネットテレビシステムを開発した.これを実現するためにテレビ番組型コンテンツを台本と演出,素材という三つの部品に分割し,別々に制作・流通させる手法を考案した.制作ユーザはワープロ型ツールで台本を書き,用意されている演出を選び,素材をリンクするだけで,簡単にテレビ番組を作り,サーバにアップロードして公開することができる.視聴ユーザが公開されている番組を選択すると,その番組を構成する台本,演出,素材がダウンロードされ,視聴クライアント側で台本・演出・素材が組み合わされ,コンピュータグラフィックスや音声合成により番組として合成・再生され,番組を視聴することができる.システムの試作及び評価実験により,一般ユーザでもテレビ番組を容易に制作し,公開できることが確認された.
著者
林 正治 夏目 琢史 松田 訓典 山本 和明 赤木 完爾
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.81-86, 2016-12-02

本研究ではウェブアノテーションによる資料画像の分類・整理手法について述べる.とくに,一橋大学附属図書館および慶応義塾図書館が所蔵する「幸田文庫」を対象にしたウェブアノテーションによる仮想コレクション定義手法の提案,実装,その実現に向けた課題を明らかにする.
著者
三好 茂樹 河野 純大 白澤 麻弓 磯田 恭子 蓮池 通子 小林 正幸 小笠原 恵美子 梅原 みどり 金澤 貴之 中野 聡子 伊福部 達
出版者
The Society of Life Support Engineering
雑誌
ライフサポート = / the Society of Life Support Technology [編] (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.146-151, 2010-12-30
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

Deaf or hard-of-hearing people need support services such as real-time captioning. It is fairly common for captionists to be unable to perform captioning services. In order to address this problem, we proposed a Mobile-type Remote-captioning System. The main characteristic of our system is to use two functions of one mobile phone (e.g. the iPhone 3G/3GS, Apple Computer, Inc.) at the same time. The two functions are to display the captions input by the captionists (data communications) and to call the captionists to transmit the speaker's speech to the captionists (telephone call). The purpose of our research was to make clear the differences with the existing system, and to discover the advantages and faults of our system. In this study, we investigated these issues using a questionnaire for captionists who had used our system. As a result, we found that our system is suitable for a situation in which the speaker and the deaf or hard-of-hearing person are communicating while walking together (e.g. excursions, plant tours), whether indoors or outdoors. In addition, it reduces the stress that can be caused to deaf or hard-of-hearing children by having adults (captionists) other than teachers in the classroom.
著者
臼井 陽一郎 市川 顕 小山 晶子 小林 正英 小松崎 利明 武田 健 東野 篤子 福海 さやか 松尾 秀哉 吉沢 晃
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)先行研究のレビューを進めるとともに、海外学会(英国EU学会など)に参加、さらにブリュッセルなどヨーロッパ諸国で実務者および海外研究者にアクセス、インタビューを実施するなかで、本研究課題に関わる研究状況をサーベイし、<EUの規範パワーの持続性>という研究テーマの意義およびアクチュアリティについて再確認できた。規範パワー論はEU政治研究においていまだ<終わった>研究課題ではなかった。(2)研究会を3回実施(関学大・東海大・新潟国際情報大)、理論枠組と役割分担の微調整を行った。また4名の研究協力者に参加してもらい、理論枠組と実証事例の整合性について批判的視点を加えてもらった。この一連の研究会の結果、規範パワーたろうとする加盟国首脳の政治意思と、EUの対外関係にみられる4つの制度的特徴(マルチアクターシップ・シンクロナイゼーション・リーガライゼーション・メインストリーミング)の関係性をどう理論的に突き詰めていくかについて、メンバー間に意見の不一致があることが分かり、今後の理論的討究の課題が浮き彫りとなった。それは大きくは、合理主義アプローチに依拠した因果関係として仮説化していくべきか、それとも構成主義アプローチに依拠した構造化プロセスの把握を目指していくべきなのか、という二つのアプローチの対抗関係であり、次年度の研究会で詰めていくべき課題となった。なお4年後の研究成果発表のため、メンバーそれぞれの研究課題を仮題として章立てを作り、出版社を決め、出版へ向けた交渉に入った。
著者
堀井 洋 沢田 史子 林 正治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1172-1177, 2012-10-15

これまで古文書や掛図などの歴史資料は,大学や博物館など学術機関で取り扱われる研究対象であり,収集・保存・展示されることが一般的な学術資料として認知されてきた.「難しい」「難解な」「取っ付き難い」と世間一般に捉えられていたそれら歴史資料を活用して,遍プロジェクトでは歴史観光情報コンテンツの作成および実証実験を実施している.本報告では,石川・金沢地域の歴史資料「梅田日記」を基にした「梅田日記ぶろぐ」およびスマートフォン歴史観光ガイドアプリを事例として,情報技術による歴史資料の新たな活用ついて紹介する.
著者
小林 正則 久保田 倫夫 松浦 良樹
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-8, 2003-01-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
33
被引用文献数
4 18

マルトオリゴシルトレハロース合成酵素(MTSase)はトレハロース生合成経路の第一段階で働く酵素であり,マルトオリゴ糖の還元末端のα-1,4結合を主として分子内転移によりα,α-1,1結合に変化させる反応を効率よく触媒する.筆者らは本酵素の立体構造を精密に(1.9A分解能)X線結晶解析し,反応機構について知見を得た.MTSaseはα-アミラーゼファミリーの酵素であり,触媒活性残基(Asp228,Glu255,Asp443)はファミリーに共通に保存されたものであり,α-1,4結合の解裂に続いてグルコースの転位が起こると考えられる.全体的な構造はファミリーに共通にみられる(β/α)8-バレルが存在し(ドメインA),活性部位はその中心β-バレルのc末端側とドメインBとの間に形成されたクレフトの底に位置している.通常のα-アミラーゼに比して挿入されたポリペプチド部分が多く,全体の分子量を大きくしている(720残基).活性部位はクレフトの一端の奥に存在し,三つの活性残基を底部に有したポケットを形成している.ポケット形成には上記挿入ポリペプチド部が大きく関与している.またポケット上部には触媒活性に必須なGlu393,側面にHis229が存在し,それぞれ末端グルコース基との水素結合に関与している.基質のα-1,4結合末端が挿入された際にポケット内部で形成される酵素・基質問の水素結合の数は,α,α-1,1結合を形成することにより増加し,その結果トレハロース残基の生成が促されると考えられる.
著者
山本 紗規子 吉田 哲也 齊藤 優子 佐々木 優 矢野 優美子 小林 正規 佐藤 友隆
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.193-197, 2015 (Released:2015-08-27)
参考文献数
11

スナノミ症はTunga penetransと呼ばれるスナノミが感染して生じる寄生虫性皮膚疾患である.スナノミはアフリカ,南米,西インド諸島を含む熱帯,亜熱帯の乾燥した砂地に生息する.雌の成虫が宿主の皮膚に侵入し“ネオゾーム”と呼ばれる腫大した構造を呈し,これがスナノミ症を引き起こす.スナノミ症の好発部位は足の爪周囲や趾間であり,症状は刺激感や瘙痒,疼痛を生じることが多い.治療はノミの除去である.スナノミ症は細菌による二次感染をおこすため,感染に対しては抗生剤の投与を行う.スナノミ症は通常,蔓延地域への渡航歴や,特徴的な臨床所見,病変から虫体や虫卵を確認することで診断できる. KOH直接鏡検法を用いて虫体や虫卵を確認し診断に至ったスナノミ症の1例を報告する.患者は67歳男,タンザニア連合共和国に仕事で滞在中,左足第�趾爪囲の色調の変化に気がつき急遽日本に帰国し当科を初診した.初診時,左足第�趾の爪は一部爪床から浮いており爪周囲は暗紫色調を呈し浮腫状であった.趾先部の中心に黒点を伴う角化を伴った黄白色の結節を認め,スナノミ症を疑い変色部位を爪とともに一塊に切除した.自験例では皮膚の変性,壊死が強く臨床的には虫の存在は明らかではなかったが,KOH直接鏡検法を用いたところ虫体の一部と多数の虫卵を認めることができスナノミ症と診断した.病理組織でも虫体構造物を確認した.感染部位を摘出後,軟膏による潰瘍治療と抗生剤の内服で軽快,治癒した. 病変部位から虫がはっきりと見えない場合,KOH直接鏡検法はスナノミ症の診断に有用である.
著者
小林 正秀 野崎 愛
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.67-71, 2001
被引用文献数
2

ナラ類集団枯損の被害材から,特定の糸状菌が分離されている。4種類の食用きのこ,シイタケ菌,ナメコ菌,クリタケ菌,エノキタケ菌とナラ類病原性未同定菌の対峙培養を実施して,食用きのこが未同定菌に与える影響を検討した。その結果,シイタケ菌が未同定菌の菌糸伸長を阻害することが明らかになった。次に,73品種のシイタケ菌との対峙培養を実施して,未同定菌の菌糸伸長を阻害する能力が高い品種を選抜した。選抜したシイタケ菌品種は,ナラ類集団枯損の防除に利用できると考える。