著者
林 葉子 Yoko Hayashi
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.31-55, 2021-11-30

本稿は,1900年以降に全国的に大流行したストライキ節(東雲節)に関する史料の検証を通じて,娼妓や芸妓にとっての自由廃業運動の意義について考察するものである。本稿では,ストライキ節の発祥地が東京であったことや,演歌師ではなく娼妓や芸妓らがストライキ節の流行の主要な担い手であったことを明らかにし,流行唄に表現された遊廓内の女性たちの性の自由を求める思いが,自由廃業運動を根底で支えた原動力だったと論じた。
著者
上林 里絵 池村 健治 若井 恵里 杉本 浩子 平井 利典 加藤 秀雄 向原 里佳 石倉 健 今井 寛 岩本 卓也
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-9, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
20

集中治療室(intensive care unit,以下,ICU)入室患者の薬物治療は複雑であることが多く,処方の適正化には薬剤師の積極的な参画が求められる。三重大学医学部附属病院では,2019年2月よりICU専任薬剤師による翌日投与予定の注射処方発行前に処方鑑査を行う運用(注射処方発行前鑑査)を開始し,医師の指示や患者の病態に応じた薬物治療の適正化に介入してきた。本研究では,運用前後6カ月間における介入件数やその内容,注射薬の返品率に及ぼす注射処方発行前鑑査の影響について調査した。薬剤部にて注射薬の調剤・払い出しを行う薬剤師の全介入件数は,運用後に有意に減少し(p=0.030),ICU専任薬剤師の全介入件数は有意に増加した(p=0.002)。注射室と比較しICU専任薬剤師の注射オーダー反映率は運用後で有意に上昇し(p<0.001),未使用注射薬の返品率も有意に低下した(p<0.001)。以上より,ICU専任薬剤師による注射処方発行前鑑査の運用は,効率的な薬物治療の適正化に貢献したと考えられた。
著者
小林 益子
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2021

元資料の権利情報 : 本論文の一部は以下のとおり公表されている。(Part of this dissertation has been published as follows.) 1. Kobayashi M., N. Komatsu, H. K. Ooi and K. Taira. 2021.Prevalence of Blatticola blattae (Thelastomatidae) in German cockroaches Blattella germanica in Japan. J. Vet. Med. Sci. 83(2) https://doi.org/10.1292/jvms.20-0617The Journal of Veterinary Medical Science2. Kobayashi M, Ooi HK, Taira K. 2020. Effects of anthelmintics on the pinworm Blatticola blattae in laboratory-reared German cockroaches Blattella germanica. Parasitol. Res. 119(9):3093-3097 DOI: 10.1007/s00436-020-06778-1 PMID: 32591863 https://doi.org/10.1007/s00436-020-06778-1
著者
小林 俊光
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.7_42-7_45, 2010-07-01 (Released:2010-08-20)
参考文献数
4
著者
川口 麻衣 足立 茜 荒木 敬雄 大桑 由美 大納 英美 岡田 梨亜 金谷 妃佐子 北林 聖子 黒田 普美子 厳本 英 高田 圭美 谷元 直美 橋本 達矢 鶴亀 美幸 樋浦 絵美子 三島 準也 森岡 賢一 吉元 奈央子 斎藤 美智子 山本 和代 別府 清香
出版者
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
雑誌
神戸市立病院紀要 (ISSN:0286455X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.41-50, 2022 (Released:2022-04-25)
参考文献数
1

神戸市立医療センター西市民病院では、2020 年4月から新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れた。コロナ専用病棟や発熱外来の開設、一般病棟の閉鎖、スタッフの異動など、すべての部署で様々な影響があった。その中で主任研修において各部署の主任看護師が、コロナ禍における自部署での経験や学びを発表する場を設けた。今回この学びをまとめることにより、主任看護師は普段から持っている力を非常事態の際にも発揮していたが、状況に合わせてその力を使い分けていることが分かった。
著者
玄田 有史 神林 龍 篠﨑 武久
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.18-31, 2001-03-20 (Released:2022-07-30)
参考文献数
25
被引用文献数
4

成果主義的賃金制度が労働意欲を刺激するには,どのような条件整備が必要だろうか.成果主義が導入された職場でホワイトカラー非管理職の労働意欲が高まるには,能力開発の機会拡大が重要である.それは,性別,年齢,学歴,職種等の個人属性,規模,社員増減,業績等の企業属性の違いを超えてあてはまる.能力開発と並び,仕事の分担や役割の明確化も労働意欲を高め,これらは職場全体の個々の能力を活かす雰囲気も改善する.
著者
小林 甫
出版者
北海道大学教育学部教育社会学研究室
雑誌
『調査と社会理論』・研究報告書
巻号頁・発行日
vol.5, pp.67-84, 1985

倉敷市/倉敷,児島,玉島,水島 地域産業変動と住民諸階層の生産・労働-生活様式の変質,分析シリーズ1
著者
山下 由貴 大林 恵 岡野 由利 正木 仁
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.216-222, 2010-09-20 (Released:2012-09-25)
参考文献数
14
被引用文献数
7 2

近年,目立つ毛穴に対するケアは市場の注目を集めており,毛穴開大のメカニズムの解明とその抑制方法の開発は化粧品技術者にとって大きな課題となっている。本研究は,目視による毛穴開大の印象を表すパラメーターを確定することと,毛穴開大のメカニズムに対する酸化ストレスの関与を明らかにすることを目的とした。はじめに,われわれは毛穴が目立つと認識される毛穴面積を0.04mm2 以上と定義した。また,測定野あたりの毛穴総面積,毛穴平均面積および開大毛穴個数を毛穴パラメーターとして算出し,これらが目視による毛穴開大の印象と相関を有し,さらに毛穴総面積は年齢とも相関を有することを明らかにした。次に,毛穴開大のメカニズムを明らかにするために,角層より得られた有核細胞率,多重剥離度,カタラーゼ活性およびタンパクのカルボニル化レベル (SCCP) の各角層パラメーターと毛穴総面積との相関について調査した。毛穴周辺部全体について解析を行った結果では,カタラーゼ活性を除くいずれのパラメーターも毛穴総面積との相関は認められなかった。しかし,開大した毛穴は下頬と比較して上頬に多く認められること,また有核細胞やSCCP による強い蛍光は毛穴開口部周辺に局在していることが確認されたため,上頬の値を下頬の値で標準化した各角層パラメーター比を算出し解析を行った。その結果,SCCP 比およびカタラーゼ比は毛穴総面積と有意な相関を示した。これらの結果より,毛穴開大のひとつの要素として酸化ストレスが関与している可能性が考えられた。
著者
宮地 慎 小林 良次 野中 和久
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.161-167, 2010-05-25 (Released:2010-11-25)
参考文献数
19

乳牛の胎盤摂取が泌乳初期の採食量,乳生産量,採食行動に与える影響および胎盤の第一胃内分解特性を明らかにするため,経産牛を10頭供試し,分娩後に胎盤を摂取させる区(PF区)と無摂取区(NF区)に分け,分娩前1週から分娩後4週まで採食量,採食行動,乳生産量,血液性状を測定した.また,胎盤の第一胃内分解率については第一胃カニューレ装着去勢牛を供試しin situ法で測定した.採食量,体重,乳量および乳成分は処理間で差はなかった.分娩後7日間のミール回数はPF区がNF区より多く,分娩後10日間のミールサイズはPF区がNF区より小さく,継続時間は短かった.分娩後2週以降ではミールパラメータに処理間で差はなかった.血中総ケトン体および遊離脂肪酸濃度は分娩後5日間でPF区がNF区より低かった.また胎盤の第一胃内乾物分解率は5日間で70.9%に達するが,それ以降は増加しなかった.以上より,分娩後に胎盤を摂取した乳牛の泌乳初期の採食量,乳生産量は無摂取の乳牛と同様に増加することが示唆された.
著者
柴田 真裕 田中 綾子 舩木 伸江 前林 清和
出版者
防災教育学会
雑誌
防災教育学研究 (ISSN:24359556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.19-30, 2020 (Released:2021-10-19)

日本の小学校,中学校,高等学校の防災教育の実情と課題についてアンケート調査によって明らかにした。 結果は次のとおりである。 1)防災教育を実施していない学校が非常に多く,その割合は,小学校が約20%,中学 校が約30%,高等学校が約40%であった。 2)ほとんどの学校で,防災教育の年間実施回数は,1 回から3 回程度であり,体系的な 教育がなされていない。 3)文科省が求めているような各教科による防災教育はほとんど行われていない。 4)教員の防災に関する知識が不足している。 5)防災教育教材の多くが受け身型の授業のための教材であり,教員が使用したくなるア クティブラーニング教材が少ない。
著者
土井 徹 林 武広
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.79-86, 2015 (Released:2020-01-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の目的は,小・中学校理科授業の円滑な接続を検討するための基礎資料を得るために,小・中学生の理科授業に対する認識と要望を明らかにすることにある。小学校6年生(以下,小学生),中学校2年生(以下,中学生)を対象に行ったアンケート調査の結果から,以下のことが明らかになった。① 小・中学校ともに,児童・生徒の情意面に配慮した教師のていねいな指導と問題解決が行われていることが推察される。相違点は,小学校では,一人で考えることと小グループで話し合うことが大切にされ,中学校では,受験への対応,新たな情報の提供,教師の「待つ」姿勢が大切にされている傾向が見られることである。② 理科授業への共通する顕著な要望は,「実験がしたい」である。小学生では発展的な内容への要望,中学生では刺激や面白さを求める要望が目立つ。③ 中学生の多くが理科の授業で困っていることは,学習内容の難しさであり,周りの人と相談させてほしいと思っている。
著者
山中 麻帆 浅野 桂吾 林 英明 河井 重幸 平山 琢二
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.375-379, 2020-11-25 (Released:2020-12-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

本研究では,ウシに市販海藻飼料を給与した場合の糞中IgA, VFA濃度および糞便性状について調査し,腸管免疫賦活活性に与える影響について検討した.試験には黒毛和種の経産牛4頭を用い,海藻飼料を給与する区(海藻区)および給与しない区(対照区)に2頭ずつ分け,給与I期(10日間),休止期(13日間),給与II期(10日間)の3期からなる2×2のクロスオーバー法で実施した.糞中IgA濃度の変化量は,海藻区が対照区に比べ有意に増加した(P<0.05).一方,糞pH値および糞中VFA濃度は両区ともに正常範囲内で推移し,海藻飼料の給与の有無で差は認められなかった.また,糞中VFA濃度と糞中IgA濃度との間にも相関は認められなかった.以上から,ウシへの市販海藻飼料の添加給与は,腸内微生物叢には影響しないものの,腸管免疫を活性化させることが示唆された.
著者
藤目 文子 尾形 明子 在原 理沙 宮河 真一郎 神野 和彦 小林 正夫 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.167-175, 2009-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、1型糖尿病患児を対象としたキャンプが、病気の自己管理行動に及ぼす影響を検討することであった。キャンプの前後に1型糖尿病患児28名に対して、自己管理行動に対するセルフエフィカシー、糖尿病に関する知識、ストレス反応、HbAlcを測定した。キャンプにおいて、ストレス反応が減少し、自己の症状把握に対するセルフエフィカシーの上昇が認められた。さらに自己注射や、糖分摂取、インスリン調節に対するセルフエフィカシーがストレス反応やHbAlc値を改善させる要因として示唆された。1型糖尿病患児を対象としたキャンプは、症状コントロールのための自己管理行動へのセルフエフィカシーや知識の向上に効果的であることが示唆された。