著者
沖田 一彦 小林 弘基 星野 晋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.61-65, 2004 (Released:2004-04-08)
参考文献数
6

代替医療を利用し運動療法に対するコンプライアンスの低さが問題となった症例に対し,インタビューを実施してその理由を質的に分析した。症例は,62歳の左下腿開放性骨折の男性であった。手術後,理学療法室での積極的な運動療法が開始されたが,担当理学療法士の指示を守らず自己流の運動を行なう,院内において民間療法である軟膏を利用するなどが問題となった。非構造化インタビューの結果,患者には,軟膏の効果に関する言説をもとに,それを塗ることで生じる皮膚の変調と症状の軽減とを因果的に結びつけて考える認知構造が存在していると考えられた。代替療法の利用は医療全体の問題となっているが,そのような患者の行動の背景には,感覚,意味付け,身体イメージの形成をキーワードとした認知機構が横たわっていると考えられた。
著者
小林 真
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.102-111, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
36
被引用文献数
4 2

発達障害のある青年に,様々な精神疾患や行動障害などの2次障害が発症することが知られている。この展望ではまず,ASD者やADHD者に2次障害が発症するメカニズムを解明する必要性があることを訴えた。次に,青年に対する高等学校や高等教育機関での支援の実態を紹介した。高等学校では学校間に支援体制の差があり,高等教育機関では事例や小集団での支援の実践研究が始まったばかりであることを紹介した。最後に今後の研究課題として,本人の自己理解につながるアセスメントツールの開発,仲間による発達障害の理解を促す心理教育プログラムの開発,保護者支援の必要性を提唱した。
著者
園田 順一 久保 義郎 小林 俊雄 伊藤 真里 三宅 俊治 Jun-ichi SONODA Yoshio KUBO Toshio KOBAYASHI Mari ITOU Shunji MIYAKE 吉備国際大学社会福祉学部臨床心理学科 吉備国際大学社会福祉学部臨床心理学科 吉備国際大学社会福祉学部臨床心理学科 吉備国際大学社会福祉学部臨床心理学科 吉備国際大学社会福祉学部臨床心理学科 Department of Clinical Psychology School of Social Welfare KIBI International University Department of Clinical Psychology School of Social Welfare KIBI International University Department of Clinical Psychology School of Social Welfare KIBI International University Department of Clinical Psychology School of Social Welfare KIBI International University Department of Clinical Psychology School of Social Welfare KIBI International University
雑誌
吉備国際大学社会福祉学部研究紀要 = Journal of Kibi International University School of Social Welfare (ISSN:13418912)
巻号頁・発行日
no.11, pp.163-168, 2006-03-31

This study revealed that most maladjustment behaviors had avoidance mechanism. These behaviors included anxiety disorders, somatoform disorders, dissociative disorders, alcohol dependence, social withdrawal, school refusal and the like. In the functional analysis of this article, we argued that the forms of psychopathology were viewed as unhealthy methods of avoidance. The treatments of avoidance-based maladjustment behaviors (symptoms) expose clients to previously avoided private experiences.
著者
宮町 宏樹 小林 励司 八木原 寛
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.471-478, 2022-12-31 (Released:2023-01-30)
参考文献数
9

We carried out a temporary seismic observation using 4 ocean bottom seismographs in and around the Aira caldera to obtain the precise hypocenter distribution, especially in the Wakamiko caldera. During the observation period from July to September 2020, we observed two short-time seismic swarms that occurred inside the Wakamiko caldera and revealed the precise distribution of these hypocenters and the focal mechanism solution. In contrast to our results, the JMA unified hypocenters of the two swarms are widely distributed in the western region outside the Wakamiko caldera. This difference in the hypocenter distributions insists that the seismic observation in the sea area around the Wakamiko caldera is required to reveal the precise seismic activity in the caldera.
著者
森田 久樹 水重 克文 平林 浩一 中島 茂 林 英宰 深田 英利 千田 彰一 高光 義博 松尾 裕英
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.19, no.12, pp.1435-1440, 1987-12-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
10

マイコプラズマ感染により,心膜心筋炎と肺炎を合併した症例を報告する.症例は59歳,男性.主訴は発熱,筋肉痛.入院時心電図では完全房室ブロック,完全右脚ブuック,広範囲のST上昇を認めた.胸部X線写真では,心胸郭比63%で,右肺野には炎症像を疑わせる異常陰影が認められた.CPKの上昇はなく,白血球数は正常であった.入院4日目,高度の咳漱,高熱が出現し,右肺野には明らかな炎症像が広範囲に出現した.ドキシサイクリンの投与で,肺炎は約10日で治癒した.心臓の調律は,入院3日目に心房細動に移行したが完全房室ブロックは続いた.入院16日目カウンターショックにて心房細動を洞調律にもどし,この時点ではII度房室ブロックがみられたが,発症約!カ月で正常洞調律に復した.各種ウイルス抗体価の有意な上昇はなく,マイコプラズマ抗体価はペア血清にて8倍の上昇がみられ,臨床所見とも併せて,本例はマイコプラズマ感染にまれな心膜心筋炎が,多彩な不整脈を呈し肺炎に合併して出現したものと考えられた.
著者
小林 匡子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1134, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
3

腸管粘膜には食物などに対する免疫応答を抑制する機構(免疫寛容)が存在し,この機構に異常が生じると炎症性腸疾患や食物アレルギーなどが引き起こされる.末梢での免疫寛容に重要な役割を担うのが,Foxp3によって免疫寛容能を獲得した制御性T細胞(regulatory T cells: Treg)であり,Foxp3の変異により食物アレルギーを発症したマウスにTregを移植するとアレルギー反応が抑制されることが知られている.最近,中国において潰瘍性大腸炎の補助療法薬として認知されている白頭翁湯が,腸管粘膜に存在するTregを増加させて免疫寛容を促し,炎症性腸疾患を改善することが報告されたので紹介したい.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Miao Z. et al., Front. Pharmacol., 11, 531117(2021).2) Yamamoto T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 516, 626-631(2019).3) Nagamatsu T. et al., Am. J. Reprod. Immunol., 80, e13021(2018).
著者
若林 信夫
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2/3, pp.247-274, 1971-11-30
著者
小林 勝法
出版者
文教大学
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.93-111, 2020-03-16

I examined 116 school songs of private universities which I found through their websites or by contacting them, in order to analyze their characteristics. Of them, 110 universities (94%) had established school songs. I obtained and investigated the lyrics of 109 of those by classifying them into the following time periods according to the year they were established:Old system period (1920-1947) : The period of the old school system Expansion period (1948-1988) : The period after World War II, when many universities were establishedHeisei period (1989-2014):The period when the 18-year-old population began to decline, women's colleges became coeducational, and junior colleges became universitiesUpon text mining the lyrics, I found the following characteristics:・In the lyrics, 75 of the university songs included the name of the university (69%), 36 mentioned the founding spirit (33%), and 73 had details including the name and features of the landscape where the university was located(67%).・The words that appeared most often in the lyrics were "my", "our" (246 times)," Oh!" (84 times)," world" (75 times), and "alma mater" (61 times).・Many of the frequently appearing words were common to both the old system and expansion periods which extolled the spirit of young people studying to seek their ideals, bring honor to their alma mater, and make history.・Inspiration, and support for life and school life appeared to be characteristic of university songs in the expansion and Heisei periods with words like “dreams", "friends", and "flowers" appearing often. The trend grew even stronger in the latter period where I observed words like "tomorrow", "future", and "youth". The increasing in the ratio of university admission has changed the university culture and student temperament, and this is reflected in the characteristics of the school songs.
著者
利部 なつみ 千葉 史 両角 和恵 小林 誠一 矢内 勝
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.145-153, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
14

宮城県石巻市は,沿岸漁業地域で喫煙に対して非常に寛容的な地域性があった.2006年の市民を対象とした調査では,40歳以上のCOPD罹患率がNICE Studyで示された有病率より1.5倍高いことがわかった.しかし,COPD診療の医療体制は全く整備されていなかった.このような背景から,2009年に石巻地域COPDネットワーク(略称ICON)が設立された.宮城県北東部における,地域完結型・循環型の医療連携システムである.COPDの診断・治療の標準化と役割分担を効率的かつシームレスに行うだけでなく,多職種が連携してCOPD患者を包括的に評価し,個別的に介入する患者教育プログラムの展開に重点を置いている.2021年8月現在,登録医療機関は79件,登録患者数は累計833名,継続中の患者は645名となっている.これまで,医療連携及び,多職種連携による患者教育の検証を行い,得られた成果・課題を連携に反映させてきた.今後も,COPD医療連携と患者教育の実践・検証を継続し,本学会の発展に貢献していきたい.
著者
田中 美智子 長坂 猛 矢野 智子 小林 敏生 榊原 吉一
出版者
コ・メディカル形態機能学会
雑誌
形態・機能 (ISSN:13477145)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.8-16, 2011 (Released:2015-08-28)
参考文献数
32
被引用文献数
2

高齢者14名(男性7名、女性7名)を対象とし、腹式呼吸を行なっている間の、循環や自律神経の反応に加え、ストレスホルモンへの影響について検討した。対象者が通常の呼吸条件と意識的腹式呼吸条件を行っている時にRR間隔と血圧を持続的に測定し、実験前後の唾液もしくは尿のサンプルからストレスホルモンを採取し、分析した。RR間隔から心拍数を算出するとともに、心拍変動を解析することで、自律神経系の指標を算出した。意識的腹式呼吸条件中には、通常の呼吸条件と同様に心拍数の減少を認め、さらに、収縮期血圧及び拡張期血圧ともに低下した。自律神経系の反応では、意識的腹式呼吸条件中に副交感神経系の指標であるlog(L×T)の増加が見られた。実験後に両条件でストレスホルモンの減少が認められたが、意識的腹式呼吸条件では有意な減少であった。以上のことより、意識的腹式呼吸は高齢者にはストレッサーにはなっておらず、リラックスした状態を維持できる呼吸法と考えられる。
著者
岩井 紀子 林 萍萍
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.12, pp.12_18-12_26, 2021-12-01 (Released:2022-04-22)

自分や家族が感染する不安感は、感染者の増大局面に高まり、政府の対応に対する評価は増大局面で低下した(NHK政治意識月例調査)。2回目の緊急事態宣言下の2021年2月に実施した日本版総合的社会調査によると、感染不安は、女性、高齢者、製造業と不動産業従事者、慢性疾患のある人、経済的不安を抱える人、感染リスクを強く感じている層で強かった。感染する可能性が高いと考えていたのは、50歳以下、慢性疾患のある人、正規雇用者、医療・福祉サービス従事者であった。政策への評価は従事する業種や支持政党により異なり、経済不安をもつ層で低い。感染するのは本人の責任という考え方は、他人に向けられるが、それ以上に自分に対して厳しい。経済活動より感染拡大防止を優先すべきが68%、プライバシーより行動追跡を重視する意見がやや多く38%、国境封鎖は72%、移動制限は75%が重要であると考えていた。国会議員への信頼感は低下し、2000年以降で最も低い。
著者
上田 康夫 丸尾 原義 足高 善彦 深山 知子 本田 由佳 中林 正雄
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.275-286, 2004 (Released:2004-09-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

【目的】正常および妊娠中毒症母体の妊娠経過に伴う体脂肪(Fat Mass:FM),体水分(Total Body Water:TBW)の動態を生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA)に胎児部分重量補正を加えた妊婦体成分測定系によって明らかにしようとした. 【方法】兵庫県立柏原病院で管理した妊婦358例を対象とし,1)妊娠6週から16週までの正常妊婦66例,2)妊娠末期から産褥期の正常妊婦44例,3)非妊時体型(やせ:BMI<18,標準:18~24,肥満:>24)と妊娠期間中の全体重増加量によって区分された正常および妊娠中毒症関連疾患妊婦290例である.これらの妊婦は健診時に体脂肪計(タニタTBF-410)による両足間インピーダンス測定を行い,FM,TBWを算出した. 【成績】妊娠6週から16週までの体重変化はFMおよびTBWと有意な正相関を示し,FM,TBWの体重に対する比率は前者が57%,後者が29%を示した.正常妊婦での母体体重およびTBW増加が妊娠期間を通じてほぼ一定であったのに反し,そのFMの増加勾配は妊娠前半期に著明で後半期には明らかに抑制された.とくに肥満体重増加不良群でのFMは非妊時レベル以下に下降した(肥満<7kg:1.0±2.1kg).妊娠中の体重増加はTBWよりFMとの相関性が高かったが,産褥1ヵ月間の体重減少は逆にTBWの減少に起因するものであった.一方,中毒症関連疾患のうち中毒症重症(高血圧主徴,純粋型)におけるFMは初期より明らかに減少し36週には-2.6±3.2kgと対照2.8±1.8kgに比べて有意に低値であり,中毒症軽症や妊娠浮腫と対照的であった.他方, TBWは4群とも36週には対照より高値であり,とくに妊娠浮腫重症では6.6±2.4kgと明らかな高値を示し,とくに妊娠浮腫群では体重との相関が高かった.一方,二次元座標系による分析では妊娠浮腫,中毒症軽症が第1象限内を推移し末期には正常>10kg群にオーバーラップしたのに反し,妊娠浮腫重症は後期にTBWが急増し第1象限をY軸方向へ推移した.他方中毒症重症は初期より第4象限を左上方に偏倚した.また,妊娠36週でのFM,TBW増加量による分類によると妊娠浮腫軽症はFM過少-TBW過剰群を除いた8群間に広く分布したのに反し,妊娠浮腫重症はFM過少/正常-TBW過剰群に,中毒症軽症はFM過剰-TBW正常/過剰群に分布した.他方中毒症重症はFM過少-TBW正常/過剰群に局在した.他方,妊娠浮腫軽症と診断した例のうち実際にTBW過剰であったものは37%であった. 【結論】本測定系の応用によって母体体重変化をFMとTBWの2つに分けて把握することが日常診療の場で可能になり,妊娠浮腫軽症という診断自体の不確実性が明らかになった.一方,中毒症重症ではFMの著明な減少とTBWの相反的な増加が特徴的であり,これには同症で観察されるインスリン抵抗性の高まりが関与する可能性が考えられた.さらに,本症ではFM,TBW両者の相反的な変化が相殺されるために母体体重に明らかな変化の現れないことが推測され,従来の体重のみを指標とした妊婦管理の限界がうかがわれた.いずれにしても臨床的にもっとも問題となる中毒症重症の体成分変化が,この妊婦体成分診断法によって妊娠の比較的早期から他の中毒症群と区別しうるという事実は,本法が中毒症の予知,病態診断を考えるうえできわめて重要なものになる可能性を示唆するものと考えられた.〔産婦の進歩56(3):275-286,2004(平成16年8月)〕
著者
槙山 和秀 中井川 昇 村上 貴之 林 成彦 佐野 太 河原 崇司 関口 善吉 窪田 吉信
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.721-725, 2010 (Released:2012-03-16)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

(目的) 腹腔鏡下膀胱全摘除術(LRC)は従来の開腹膀胱全摘除術(ORC)と比較し,周術期にメリットがあるか否か検討した. (対象と方法) 横浜市立大学付属病院で膀胱全摘除術を施行した連続した22例を対象とした.2008年2月から2009年5月に施行したLRC 11例と,2006年10月から2009年4月に施行したORC 11例の周術期成績を比較した. (結果) 平均手術時間はLRC 521分,ORC 428分で有意にLRCが長かった(p=0.00794).平均出血量はLRC 801ml,ORC 2,156mlでLRCが有意に少なかった(p=0.0014).術後食事開始日の平均はLRC 4.6日目,ORC 9.3日目で有意にLRCが早期に食事開始できた(p=0.0142).術後最大C反応性蛋白(CRP)の平均はLRC 10.8mg/dl,ORC 16.6mg/dlで有意にLRCが低かった(p=0.0124).合併症発生率はLRC 27%,ORC 45%で有意な差はなかった(p=0.375).平均郭清リンパ節数はLRC 10.9個,ORC 13.7個で有意な差はなかった(p=0.262). (結論) LRCはORCに比べて,有意に手術時間は長いが,出血量は少なく,食事開始時期が早く,術後CRPのピークは低い.したがって,LRCはより低侵襲であり,術後早期にはメリットのある術式である.
著者
北 洋輔 小林 朋佳 小池 敏英 小枝 達也 若宮 英司 細川 徹 加我 牧子 稲垣 真澄
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.437-442, 2010 (Released:2015-11-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2

全般的知能正常で読み書きにつまずきを持つ小中学生98名 (発達性読み書き障害, すなわちdevelopmental dyslexia (DD) 群24名と非DD群74名) に対して, 読字・書字各15項目からなる臨床症状チェックリスト (以下CL) を適用し, ひらがな音読能力を検討した. 信頼性分析の結果, CL各13項目の妥当性が示され, 音読4課題成績との関連性が認められた. DD群は非DD群より多くの臨床症状を有しており, 音読課題の成績低下も顕著であった. 臨床症状が7つ該当し, 音読課題2つに異常がみられる場合, DD群は感度 (79.7%) と特異度 (79.2%) がバランス良く, 非DD群と弁別された. 以上より, DDの医学的診断における本CLの臨床的有用性が示された.