著者
小林 直樹 佐藤 亮介 五十嵐 淳 塚田 武志 吉仲 亮 海野 広志 関山 太朗 佐藤 一誠
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

プログラム検証とは、プログラムが正しく振る舞うかどうかを実行前に網羅的に検証する技術であり、ソフトウェアの信頼性向上のために欠かせないものである。本研究課題では、近年の機械学習技術の台頭とそれに伴うコンピュータによって制御されたシステムの社会への普及を踏まえ、(1)代表者らがこれまで研究を進めてきた高階モデル検査などの自動プログラム検証技術や理論をさらに発展させるとともに、(2)プログラム検証技術のさらなる飛躍のために機械学習技術を活用し、さらに(3)機械学習技術の台頭に伴うソフトウェアの質と量の変化に対応するための、新たなプログラム検証技術の確立を目指す。
著者
林 善茂
出版者
北海道大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
小林 祐子 和田 由紀子
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-22, 2015-09

本研究の目的は、退院後の遺体の状況や家族の処置への参加状況から、医療施設での死後の処置の課題を明らかにすることである。葬祭業従事者680名に遺体に関するトラブルや感染予防状況などの質問紙調査を実施し、232名の有効回答を分析した。結果、開口や体液漏れなどのトラブルがみられ、遺体の状況に応じた処置を医療施設から行う必要性が示唆された。葬祭業者の中で家族参加がグリーフケアにつながると考えているほうが参加の声かけを行い、出血や体液漏れなどのトラブルの際には家族の対応が困難になることから、医療施設からの冷却、太い点滴チューブ抜去後の縫合など処置の見直しが求められる。家族は退院後も処置に参加する機会があり、葬祭業者と同様に家族の感染の可能性も考慮した説明が必要である。医療者から感染やトラブルの可能性など遺体に関する情報提供が少なく、そのニーズも高いことから、看護師と葬祭業者間の連携のあり方を検討することが課題である。
著者
栗林 健太郎 三宅 悠介 力武 健次 篠田 陽一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.635-649, 2023-03-15

物理空間上のセンサやアクチュエータ等のデバイスとサイバー空間上の計算処理とを架橋するIoTシステムにおいては,双方向のデータフローの構成が重要な課題となる.本研究は,階層的なアーキテクチャからなるIoTシステム全体を,単一のプログラミング言語で統合的に構築することを可能とするデータフロー基盤を提案する.その実現のために解決すべき課題として,(1)IoTシステム全体を構築可能なプログラミング言語としてどの言語を選択するか,(2)選択したプログラミング言語によって多様かつ双方向性を持つデータ取得方式に対応できるか,(3)IoTシステムの階層的なアーキテクチャにおけるデータフローを見通し良く扱えるか,の3点を示した.各課題に対して,(1)各層の実装に用いるプログラミング言語としてElixirを選択する,(2)Elixirを用いて多様かつ双方向性を持つデータ取得方式に対応できる基盤としてPratipadを提案する,(3)Pratipadにおいて階層的なアーキテクチャにおけるデータフローを一望のもとに把握できる記法を提供する,という3点の提案手法により解決を図った.提案手法について,有効性および適用可能性について評価した.その結果,提案手法が本研究の目的を実現するとともに,実用的な機能および規模を持つIoTシステムの構築に適用可能であることを示した.
著者
地野 充時 関矢 信康 大野 賢二 平崎 能郎 林 克美 笠原 裕司 喜多 敏明 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.727-731, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

慢性骨髄性白血病の治療においては,BCR/ABLチロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブが第一選択薬として用いられている。同剤の副作用として,血液毒性,肝障害,浮腫・体液貯留,消化器症状,皮膚症状などが知られている。今回,副作用の一つである下痢に対し,半夏瀉心湯が有効であった症例を経験した。症例は61歳女性。2004年4月,慢性骨髄性白血病と診断。メシル酸イマチニブによる治療により同年10月には寛解し,その後,メシル酸イマチニブ400mgを服用していた。治療開始後,1日4-5回の下痢が続いているため,2005年6月当科初診。半夏瀉心湯服用により4週間後には,1日2回の軟便となり,8週間後には普通便となった。メシル酸イマチニブは,慢性骨髄性白血病寛解維持のために継続的に服用することが望ましいとされている薬剤である。漢方薬を併用することで治療が継続可能となったことは,東西医学の融合という観点からも意義深いと考えられる。
著者
瀧内 裕之 広兼 道幸 林 勲
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.46, 2006 (Released:2007-05-30)

近年,高度経済成長期に造られたコンクリート構造物の劣化が深刻な問題となっている.そのため,いかに効率的に維持管理していくかということが重要になってきている.このような状況下にあり,我々はコンクリート構造物の耐久性の診断を的確に行い,維持管理の効率化をはかる必要に迫られている. そこで本研究では,ひび割れの抽出を的確に行い維持管理の効率化をはかることを目的としたシステムの提案を行っている.本研究で提案しているシステムは,コンクリート構造物の耐久性の診断の手法の一つである専門家による目視点検の手助けとして,コンクリート構造物のひび割れを抽出するシステムである. 本研究では,コンクリート構造物を接写したデジタル画像からガボール関数を用いてひび割れを抽出するシステムの開発を行った.
著者
大伴 潔 林 安紀子 橋本 創一 菅野 敦
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

幼児期から学齢期にかけての言語・コミュニケーションスキルの変化を縦断的に追跡し、学齢期での支援ニーズを予測する関連要因について検討した。併せて環境的要因としての家庭での語りかけの豊富さや読み聞かせの頻度等についてアンケート調査も実施した。その結果、幼児期の総合LC指数は学齢期のLCSA指数と有意に相関し、幼児期の言語発達面の課題は学齢期の困難を予測することが示されるとともに、環境・生活要因の影響も明らかになった。幼児期の支援としては、間接的な方法としての言語環境の調整と、より直接的な介入として語彙面、統語面、対人交渉場面でのコミュニケーション面の指導に整理された。
著者
林 基哉 小林 健一 金 勲 開原 典子
出版者
National Institute of Public Health
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.63-72, 2020-02-01 (Released:2020-03-12)
参考文献数
6

建築物衛生法(LEHB)の制定から50年を経て,建物の衛生が再び注目されている. 1970年代には,LEHBによってシックビルディングシンドロームを予防できると考えられていたが,LEHBの基準に対する空気環境の不適合率は,この20年間増加している.最近の研究では,オフィスでのシックビルディング症候群の発生率は低くないことが示された.この不適合率の要因の 1 つは,1990年代以降の建物の省エネルギー対策のためであり,この傾向は,2017年に建物のエネルギー効率化が義務付けられたため,今後も続くと考えられている.建物衛生を考慮しつつ環境負荷を軽減するには,建築衛生の実態把握と課題の抽出が必要である.本稿では,LEHBと,日本の建物における環境衛生管理,室内空気環境,保健所による監視指導,建物衛生向上のための課題に関する最近の研究の結果を紹介する.
著者
関口 達也 林 直樹 杉野 弘明 寺田 悠希
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.465-474, 2017-12-30 (Released:2018-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This study aims to analyze the conceptual and spatial recognition to “Jimoto” of people by using an online survey data. The result showed that both recognitions of “Jimoto” were classified into several groups and each group had own feature. The result also showed these “Jimoto” consciousness were formed through the life events and daily lives of people. We also analyzed the relationship of these recognitions and undesired change to their “Jimoto”. The results indicated that people didn’t desire specific change if the connections between them and their “Jimoto” were formed by concrete objects or intimate people. These “Jimoto” consciousness sometimes comes from outside of each region and spreads over administrative boundaries. This suggests the necessity of the systems that enable people to participate regional development projects from the outside or cooperation of several local governments.
著者
林田 健男 上野 武
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.441-448, 1968-12-15 (Released:2011-07-05)
参考文献数
51

The progress in the field of organ transplantation and artificial organ has been remarkable in the recent years. The number of clinical cases is increasing daily, and the clinical renal transplantation will soon be performed in more than 2000 occasions. One human life has been supported by artificial kidneys for over eight years. Many hearts and livers have been transplanted, and artificial auxiliary left ventricles have been functioning in human bodies. The ancient dream of replacement of organs has almost been realized.In reviewing the history of development of organ substitutes, the current status in reference to various organs has been described as precisely as possible, along with the expected development and problems in the future.
著者
竹林 正樹 藤田 誠一 吉池 信男
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.28-37, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
25

目的:小児肥満が深刻な青森県下北地域において,下北ブランド研究所では,母親と子が健康意識を大きく変えなくても小児肥満を予防できる食環境の整備を目的とした健康中食のマーケティングを実施した.本稿ではPDCAサイクルを用いた評価内容を示した.事業/活動内容(PLAN・DO):保育園保護者へのインタビュー(n=11)や質問紙調査(n=441)等から,当地域では親子向け健康中食の市場創出機会ありと判断した(推定市場規模6,200万円).ターゲットを「中食の摂取頻度が高く,子にヘルシー中食を食べさせたいと考える母親」,ポジショニングを「親しみ」と「手軽さ」と設定した.保育園給食メニューを中心に5品を発売した.事業/活動評価(CHECK):業者は健康中食を安定的に製造せず,ターゲット層の利用は推定市場規模の0.1%で,当地域での小児肥満予防に与える影響は極めて限定的であったと推測された.消費者ニーズがあったにもかかわらず業者を製造へと動かせなかった原因を「業者の心理を十分考慮しないまま戦略設計し,業者に事業の魅力が伝わらなかったため」と分析した.今後の課題(ACT):改善策として,業者と消費者が直接対話できる場を設定した.この策はナッジ(強制を伴わずに行動を促す仕組みやシグナル)によるものであり,業者は健康中食への愛着が高まり,製造へと一歩踏み出すことが期待される.
著者
山本 悦子 仲俣 菜都美 間嶋 満 倉林 均 高橋 一司 荒木 信夫 山元 敏正
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.408-411, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
10

嚥下障害は進行期のParkinson病(Parkinson disease:PD)患者の生命予後に大きく関わる症状の一つであり,病気の進行に伴い緩徐に出現するが,自覚的,他覚的にも気づきにくいことが多い.本研究の目的は,嚥下障害の出現頻度が高い進行期PD患者を対象として,食事摂取の可否に関連する因子を明らかにし,PD患者の嚥下障害を簡便に評価できる方法を検討することである.対象:当院脳神経内科に入院した進行期PD患者37名,平均年齢は77.0±5.8歳(meant±SD),平均罹病年数は7.9±6.3年であった.方法:嚥下造影検査(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)の結果から明らかな嚥下障害を認めたか否かをもとに対象例を嚥下障害なし群と嚥下障害あり群の2群に分けた.次に両群を簡便に分別するための因子を検討するために,年齢,性別,罹病期間,入院期間,入院から嚥下造影検査までの日数,Hoehn&Yahr stage,VF検査時点の血清アルブミン値,body mass index,mini mental state examination(MMSE),咽頭反射の有無,反復唾液嚥下テストの値,自己喀痰排出能力,最長発声持続時間(maximum phonation time:MPT),声量,発話明瞭度,握力,歩行能力,入院期間,入院からVF検査までの日数について比較した.結果:握力,自己喀痰排出能力,声量,MPT,咽頭反射で有意差を認めたが,他の項目では両群間に差はなかった.結論:握力,自己喀痰排出能力,声量,MPTが進行期PD患者の嚥下障害の有無を簡便に検出する指標となり得ることが明らかになった.
著者
中山 竹美 林 千穂
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.83-89, 2001-12

The effects of two kinds of raincoat with different materials on physiological parameters and clothing microclimate inside raincoat under simulated rain conditions were studied at ambient temperature of 30℃ and a relative humidity of 80% in five female participants, aged 19.6±0.5yrs. One kind of raincoat was made of nylon with coating and calendar finishing (A) and the other of the fabric laminated with nylon, polyurethane and knitted nylon with moisture permeable properties (B). After they took a rest for 15min, water was sprinkled at the rate of 5mm/h for 20min, followed by 15min recovery. The main results are summarized as follows: (1)Skin temperatures on the chest and back were lower under sprinkling in B than in A. (2) Clothing microclimate absolute humidities on the back were significantly lower in B than in A. (3) Comfort sensation was better in B than in A. The raincoat B made the chest and back skin temperatures and microclimate absolute humidities inside the raincoat lower. The present findings suggest that the raincoat materials are of importance in improving the comfort sensation by reduction of microclimate humidity and trunk skin temperatures.
著者
村澤 智啓 小林 吉之 小関 道彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.176-184, 2022 (Released:2023-03-03)
参考文献数
29

ランニング中の大きな leg stiffnessは優れた長距離走パフォーマンスに関連づけられるが,大きな leg stiffnessに関連づけられる運動学的特徴は十分明らかにされていない.そこで本研究では, 14名の優れた長距離ランナーを含む 28名の実験参加者の,ランニングにおける運動学的変数に対し主成分分析を行い,優れた長距離ランナーの運動学的特徴を記述する主成分と leg stiffnessの間の関係を調べた.その結果,第 1主成分のみが優れた長距離ランナー群で有意に大きく( p ‹ 0.01),かつ leg stiffnessと有意に相関する( r = 0.77, p ‹ 0.01)ことが明らかになった.この主成分は,立脚期における,小さな骨盤下降変位や小さい膝関節の屈曲運動範囲など,大きな leg stiffnessに関係する HRの運動学的特徴を記述していた.
著者
奥山 誠義 水野 敏典 河崎 衣美 北井 利幸 岡林 孝作 加藤 和歳
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では古墳時代における繊維製品の材料学的・構造的研究方法の基礎的研究を行い、ヤマトにおける古墳時代繊維製品の具体的な変遷の把握を試みた。考古学および文化財科学における新たな価値を生み出す研究を大きな目標として研究を進めた。本研究では、ラミノグラフィおよびX線CTと呼ばれる非破壊調査法により非破壊的に織物の構造調査が可能であること、光音響赤外分光分析が非破壊的に素材を知る手段として有効であることが確認できた。考古学的には新沢千塚古墳群から出土した染織文化財を例として、統計分析をおこない織密度や織物の種類や古墳の墳形、規模との相関について研究した。
著者
上野 真奈 光成 滋生 小林 鉄太郎 村上 啓造
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
pp.223-230, 2021-10-19

本研究はウェブ会議などのオンラインコミュニケーションツールにおけるスケーラビリティと E2EE の両立を目的として,楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いた暗号化済み音声データ重ね合わせを実装する.楕円 Lifted ElGamal 暗号を用いることで従来の E2EE オンラインコミュニケーションではできなかった,サービス提供サーバにおける演算処理が可能となり,スケーラビリティの大幅な改善を見込むことができる.一方で,演算コストの大幅な増加が問題となる.そこで,本研究では暗号化済み音声データ重ね合わせを実装し,各演算処理の速度を測定,リアルタイム通信が可能な処理速度であるかを検証する.測定は複数の楕円曲線に対して行い,最適な楕円曲線の検討も行った.この評価実験の結果,256 ビットの楕円曲線を用い,かつ移動端末の上り通信速度で音声通話のみの実施を仮定した場合,最大 1024 人まで同時接続した状態で,暗号化または復号の処理をリアルタイムで実施できることが明らかになった.
著者
松林 靖明
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.1-9, 1985-05-10 (Released:2017-08-01)

『承久記』諸本のどれを見ても後鳥羽院の怨霊が現われない。最古態の慈光寺本は後鳥羽院御霊の発動以前の成立だからであると考えられるが、前田家本は成立時期、『保元物語』の強い影響などから怨霊を描かないのは何らかの理由があったと見るのが自然である。『後鳥羽院御霊託記』等を見ると、前田家本成立時期の室町初期には足利氏が後鳥羽院御霊を畏敬しており、足利氏の立場を反映している前田家本はその畏怖感から怨霊を描くことを憚ったものと考えられる。