著者
高澤 千智 馬塲 めぐみ 藤田 真敬 丸山 聡 鳥畑 厚志 大類 伸浩 桑田 成雄 菊川 あずさ 小林 朝夫
出版者
航空医学実験隊
雑誌
航空医学実験隊報告 (ISSN:00232858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.31-41, 2016 (Released:2020-04-11)
参考文献数
43
被引用文献数
1

Preventing incapacitation of aviator during flight is one of major missions in aerospace medicine. To prevent incapacitation and maintain health status of pilots, airline companies and Air Forces develop manuals and guidelines for aeromedical examination or use of medications. Though guidelines for aeromedical examinations and major diseases are defined in detail, there are no detailed guidelines about medications in chronic disease or common disease. Since early 1990s, as life-style related diseases increase, Aeromedical Laboratory has received numerous inquiries and cases to be reviewed in aeromedical council. To standardize aeromedical decision making and share information, Pharmacochemistry Section, Second Division of Aeromedical Laboratory published “Working Papers for aeromedical decision on medicated aviators” in 1999. This paper include following contents about common disease and medications. (1) Notice in initial medication (2) Aeromedical decision Cases to be avoided if possible, to be evaluated for returning flying duty during medications, to be allowed flying with medications (3) Effects for psychomotor activities (4) Cases of aviation accidents (5) Cases of aeromedical council (6) Reports of side effect In 2014 issue, we classify the risk of medications for aeromedical missions. We also have a planning to distribute digital issues in the same time. Points of considerations are academic reason and application for practical operations.
著者
久野 純治 坂田 清美 丹野 高三 坪田(宇津木) 恵 田鎖 愛理 下田 陽樹 高梨 信之 佐々木 亮平 小林 誠一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.255-266, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
50

目的 大規模自然災害後の被災地では生活不活発病が問題とされ,それに伴う転倒予防の必要性が高まっている。本研究では東日本大震災後の被災高齢者の新規転倒要因を明らかにすることを目的とした。方法 2011年度に岩手県沿岸部で実施された大規模コホート研究(RIAS Study)に参加した65歳以上の高齢者のうち,転倒や要介護認定,脳卒中・心疾患・悪性新生物の既往がなく,2012~2016年度までの調査に毎年参加した1,380人を対象とした。本研究では毎年の質問紙調査で一度でも転倒したと回答した者を新規転倒ありとした。新規転倒要因には,2011年度実施した自己記入式質問票,身体計測,および,握力検査から,自宅被害状況,転倒不安,関節痛,認知機能,心理的苦痛,不眠,外出頻度,既往歴(高血圧,脂質異常症,糖尿病)の有無,飲酒状況,喫煙状況,肥満度,握力を評価した。新規転倒の調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を,年齢と居住地域を調整した多変数ロジスティック回帰分析を用いて算出した。その後,前期高齢者と後期高齢者に層化し,同様の解析を行った。結果 5年間の追跡期間中,参加者の35.5%(男性31.9%,女性37.9%)が新規転倒を経験した。新規転倒と有意に関連した要因は,男性では認知機能低下疑い(OR[95% CI]:1.50[1.01-2.22]),女性では認知機能低下疑い(1.82[1.34-2.47]),不眠(1.41[1.02-1.94]),脂質異常症の既往(1.58[1.11-2.25]),過去喫煙(4.30[1.08-17.14])であった。年齢層では,後期高齢女性で自宅半壊(7.93[1.85-33.91]),心理的苦痛(2.83[1.09-7.37])が有意に関連した。結論 男女ともに認知機能低下,女性では不眠,脂質異常症の既往,過去喫煙が新規転倒要因であった。後期高齢女性では自宅半壊と心理的苦痛が新規転倒要因となった。大規模自然災害後の転倒予防対策では従来指摘されている転倒要因に加えて,環境やメンタル面の変化にも注意する必要があることが示唆された。
著者
法隆 大輔 林 武司
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.125-143, 2013-02-28 (Released:2013-03-07)
参考文献数
23
被引用文献数
3 7

Definition of similarity is required for clustering co-expressed genes or estimating gene regulatory network from gene expression data. Pearson correlation coefficient and mutual information are the popular measures to evaluate similarity between gene expression profiles. To investigate which measure is appropriate for evaluating similarity between gene expression profiles, we have compared these two measures using Gene ontology annotation similarity. Genes that have similar Gene ontology annotations can be interpreted that they have commonality in biological processes or molecular functions. The results showed that the better similarity measure is different depending on the purpose of the analysis or from which organism the data derived. In the case of evaluating similarities among more than three genes, mutual information was a better similarity measure for the data derived from multicellular organisms, though Pearson correlation coefficient was a better similarity measure for the data derived from unicellular organisms. In the case of finding genes whose transcripts have similar functions or genes that participate to similar processes, Pearson correlation coefficient was always a better measure.
著者
筒井 昭仁 瀧口 徹 斎藤 慎一 田村 卓也 八木 稔 安藤 雄一 岸 洋志 小林 秀人 矢野 正敏 葭原 明弘 渡辺 雄三 小林 清吾 佐久間 汐子 野上 成樹 小泉 信雄 中村 宗達 渡辺 猛 堀井 欣一 境 脩
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.329-341, 1994-07-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
35
被引用文献数
4

著者らは, 日本における飲料水中フッ素濃度とエナメル斑の発現状況の関係を明らかにすることを目的に, 1978年以来, 東北, 関東, 甲信越地方で飲料水中フッ素濃度の測定を継続的に行ってきた。その結果, フッ素濃度の変動が少なかった7つの天然フッ素地域を確認した。水道給水系は26あり, フッ素濃度は0から1.4ppmの範囲に分布していた。フッ素濃度を確認してきた地域に生まれ, 当該の水道水を利用して育った小学5, 6年生1,081名を対象に, 1987年歯牙フッ素症検診を行った。歯牙フッ素症の分類にはDeanの基準を使用した。また, 非フッ素性白斑についてもDean基準の白濁部面積算定基準を準用して分類した。確認された歯牙フッ素症はいずれもmild以下の軽度のものであり, very mild以上のフッ素症歯所有者率と飲料水中フッ素濃度との間に有意な正の相関関係 (r=0.485, p<0.05) が認められた。また, 非フッ素性白斑歯所有者率と飲料水中フッ素濃度との間には有意な負の相関関係 (r=-0.429, p<0.05) が認められた。全エナメル斑発現状況と飲料水中フッ素濃度の間には特別な傾向は認められなかった (r=-0.129, ns)。CFIは0.04から0.30であり公衆衛生上問題のない地域と判定された。この度の研究結果は, わが国の歯牙フッ素症に関する疫学研究において不足しているとされていたデータ部分を補うものであり, わが国の至適フッ素濃度研究に寄与するものであると考察した。
著者
恩田 正臣 森村 隆作 大江 正直 忍垂 紀雄 榎本 貞二 佐二木 茂明 伊能 林平 小宮山 恒
出版者
日本家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.60-64, 1976

ブロイラーの育成用飼料について, TDN 4水準 (70, 75, 80, 85%), CP 2水準 (16, 20%) を組合せた8種類の飼料を作り, 群馬, 茨城, 千葉の3県で, ブロイラー専用種ひなに21日齢から70日齢まで給与して, TDN水準の差に対する反応を性別に検討した。その結果, 飼料中のTDN水準を変化させた場合に, 増体量については反応が少ししか見られず, 性のちがいによる反応の差も交互作用として認められなかった。飼料要求率については, 雄も雌も直線的に反応し, 21日から56日齢時の期間では, 回帰直線の勾配は, 雄では-0.0359雌では-0.0345でほぼ平行な直線を示し, TDN水準に対する反応のしかたに, 雌雄差は認められなかった。56日齢以降についても, 飼料要求率の反応は同様であった。TDN1%の差について1円の差をつけた飼料費単価で収益性を比較すると, 実験に用いたTDN水準の範囲では, TDN水準が高いほど飼料要求率が低くなるために, 収益性も増加し, 21日から56日齢時の期間で, 雄では<i>Y</i>=69.6+1.365<i>X</i>という回帰直線が成立し, 雌では, TDN78.2%で最高収益が得られる2次式が成立した。<br>CP水準については, 21日から56日齢時の期間で, 飼料要求率の反応に性による差が認められ, 第1報の結果と一致した。収益性の反応についても, 雌ではCP 16%のほうが20%にくらべて明らかにすぐれたのに対し, 雄では差が認められず, 交互作用が有意となった。
著者
小林 亮 中垣 俊之 三浦 岳
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

真正粘菌が鉄道網のような輸送ネットワークと等価なネットワークを形成する能力があることを実験的に示し、その数理モデルを構築することによって、ネットワークの新しい設計手法を提案した。また、卵割初期における空間的配位の決定や、肺や血管網の分岐構造の形成において、情報がどのような機序で働いているかを記述するモデルを提案した。これらの研究を通して、生物の構造形成と情報を結ぶしくみを記述する数理的手法を開発した。
著者
薫 一帆 高宮 朋子 町田 征己 小田切 優子 福島 教照 菊池 宏幸 天笠 志保 林 俊夫 齋藤 玲子 井上 茂
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2104, (Released:2021-04-21)

目的:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下に運動を実施するには,運動時にも感染症予防対策が必須である。しかし,運動時の個人の感染予防行動に関する研究は乏しい。本研究の目的は,主に自宅外で運動する運動習慣者における運動時の感染予防行動の実態を明らかにすることである。 方法:インターネット調査を用いた記述疫学研究を実施した。2020年2月に初回調査を実施した関東在住日本人2400名のうち,同年6月,7月に実施した追跡調査に回答した2149名において,運動場所,運動種目,運動時感染予防行動8項目を尋ね,運動場所や運動種目毎の感染予防行動の実施割合を算出した。 結果:運動習慣者は636名(29.6%),このうち自宅外で運動する者は431名(67.8%)であった。8項目中,運動を「体調が悪い時には行わない」は,屋内で運動する者で83.3%,屋外で91.5%であった。運動場所,運動種目によらず,「運動後は手を洗う」の実施割合が高く,「運動中のマスクやネックゲーターなどの着用」が低かった。「人との距離を保つ」は,むしろ屋外より屋内で低く,室内球技や武道等実施者で低い割合を示した。 結論:本研究の結果より,体調不良時の運動自粛の徹底,屋内運動実施時の飛沫感染予防策の実施等の課題が明らかになった。感染流行が長期化する中,運動時の感染予防行動について今後も普及啓発の必要がある。
著者
小川 麻萌 岩越 景子 中嶋 順一 髙橋 夏生 坂牧 成恵 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.51-55, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
12

臭素化植物油(Brominated Vegetable Oil:以下BVOとする)の分析において,前処理として知られるメチル化について,その反応効率を算出する場合に有用と考えられた1H-NMRの適用性について検証した.検討の結果,BVOをメチル化した際,未反応物の構造に由来するメチン基と生成物の構造に特徴的なメチル基,およびおのおののプロトン数とそのシグナル積分比を用いて1H-NMRにより簡便にBVOのメチル化効率を算出することができた.また,1H-NMRのシグナルおよびGC上のピーク面積の経時変化から,計算により得られた結果とGCで定量した結果は相対的にほぼ一致していた.したがって,BVOのメチル化効率を算出する際に1H-NMRを適用することは有効であることが判明した.
著者
三田村 茂宏 坂前 浩 河合 政夫 藤田 真 林 広司 副島 啓義
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学講演大会講演要旨集 第25回表面科学講演大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2005 (Released:2005-11-14)

これまで結晶型電子源としてはLaB6がもっとも優れているとされていた。 しかし、その後の結晶製作技術、測定技術、真空技術の進歩の中でCeB6の特性がLaB6の特性に劣らないものであることが見出された。 本発表ではLaB6とCeB6の特性比較を行った上で、CeB6を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)に搭載したときの特性評価に関して報告する
著者
林 眞弘
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.85-90, 2018-01-15

抄録 統合失調症の治療は現在もドパミンD2受容体遮断作用を有する薬剤が主体で,精神科領域でのパーキンソニズムは一般的な神経症状である。パーキンソン病(PD)は,65歳以上の有病率は約1%と言われており,初老期以降の統合失調症患者でPDの合併に注意が必要である。一方若年性PDの有病率は40歳以前で0.00001%以下ときわめて低いため,成人早期の統合失調症患者に合併した際に,PDの診断・治療が遅れる恐れがある。今回,発症から約10年の経過を経て心筋MIBG,DaTSCANでのPDの診断が確定し,ドパミン補充療法にて精神・運動症状の顕著な改善を認めた43歳の統合失調症症例を経験した。その症状・経過とともに黒質線条体神経系の変性に関連のあるPD様症状も検討した。
著者
小沢 浩 林 時仲 土畠 智幸 齋藤 大地 金田 実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-33, 2017

Ⅰ.はじめに厚生労働省は、地域包括ケアシステムを提唱している。地域包括ケアシステムとは、30分でかけつけられる圏域を日常生活圏域と定義し、地域包括ケア実現のために、医療、介護、予防、住まい、生活支援という5つの視点での取り組みが包括的、継続的に行われることが必須であると説明している。またそのために①医療との連携強化、②介護サービスの充実強化、③予防の推進、④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、⑤高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備、が必要不可欠であると述べている。今後、リハビリテーションについても、訪問リハビリテーションや、学校および通所施設など、病院以外のリハビリテーションがますます重要になってくるだろう。北海道は、広大であるため、障害児が地域に点在していることも多く、その中でさまざまな工夫を凝らして療育を担ってきた。日本は、高齢化社会を迎え、特に地域において、人口の減少、障害児の地域の点在化が進んでいくであろう。そのため、北海道モデルからわれわれが学ぶことは多く、新たなモデルを構築していかなければいけない。そのために、必要なのは、ライフステージを見据えた長期的視点による生活へのアプローチであり、多職種との連携の中でのリハビリテーションの役割を担っていくことであろう。以上の視点より、北海道の先進的な取り組みを紹介する。Ⅱ.北海道療育園における在宅支援北海道療育園 林 時仲遠隔過疎地域を背景にもつ北海道療育園(以下、当園)の在宅支援とその課題、解決策について報告した。当園は北海道旭川市にある医療型障害児入所施設・療養介護事業所で、入所336床、短期入所6床の入所支援のほか、通園事業所、訪問看護ステーションを併設している。主な担任地域は北海道北部、北・中空知および北オホーツクで、東京の8.5倍の面積に人口約65万人、163人の在宅重症児者が居住している。近年、在宅で療養する重症心身障害児者(以下、重症児者)と在宅で医療行為を行わなければならない「医療的ケア児」が増加している。この3年間で在宅重症児者(半数は要医療的ケア)は旭川市内で26人、全道で約200人増加した。遠隔過疎地は社会資源が少なく、在宅重症児者や医療的ケア児とその家族を支える調整役が不足し仕組みが十分に機能していないために彼らは多くの問題を抱えながら生活している。たとえば、短期入所を利用したくても地域に重症児者や医療的ケア児を受入れている事業所がないため、利用者によっては250km離れた北海道療育園まで車で移動しなければならない。緊急時には車が確保できなかったり、冬期間は吹雪で道路が閉鎖されるといった困難を抱える。地域の基幹病院は福祉サービスである短期入所を受託していない。当園ではこれらの問題に対し以下の支援を実施している。1.直接的支援:目に見える形で提供する支援サービスとして、①短期入所、②通所支援、③訪問リハビリテーション、④訪問看護、⑤日常生活補助具や姿勢保持具の製作と提供、⑥相談支援、⑦巡回療育相談、⑧外来療育等指導事業、⑨テレビ電話相談、⑩小児慢性特定疾病相談室の運営等を行っている。短期入所は空床利用型6床で年間400件、延べ2000日を受けているが、利用申請の2割は満床等当園の理由でお断りしている。また、入所支援と在宅支援を同一病棟、同一スタッフで実施することの難しさを実感している。短期入所枠の増床は物理的に困難であり、新規棟の建設が望まれる。小児慢性特定疾病相談室は平成27 年1月より中核市である旭川市から小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の委託を受けて開設した。小児慢性特定疾病児童(重症児や医療的ケア児が重複する)を対象に自立支援員による相談支援やソーシャルワークが行われ、医療と福祉の橋渡しになっている。2.間接的支援:医療機関や福祉サービス事業所が重症児者や医療的ケア児の受け皿となってもらえるよう支援事業に取り組んでいる(資源の再資源化)。①職員研修(実習見学会、交換研修等)、②当園職員を派遣しての研修(出前研修、保育所等訪問支援事業、医療的ケア支援事業、子ども発達支援事業等)、③テレビ電話による遠隔支援等である。市立稚内病院小児科では当園で研修した看護師が中心となり、親の付き添いの要らない重症児の入院が始まった。道北のある就労支援b型事業所は出前研修後に生活介護事業所を併設し地域の重症児者の受け皿になっている。思いはあっても踏み出すことが難しい医療機関や事業所の背中を押して、一緒にやろうという姿勢が重要である。重症児者のための協議会を立ち上げて課題解決や相談支援等に当たっている。この協議会は周辺自治体に働きかけて重症児者のための協議会立ち上げを支援している。将来の仲間作りのために医学生や福祉科学生の実習を受け入れている。地域住民や首長に重症児者に対する理解がなければ在宅支援が進まないことから啓蒙活動にも力を入れている。課題と解決策:①北海道においては、地域の基幹病院など医療機関の医療型短期入所事業への参入が求められる。これには自治体による福祉サービス料と医業収益との差額補償や空床補償、国による報酬単価引き上げ等の対策が必要である。②当園のような重症児者施設における在宅支援が不十分である。当園では、家族の要望があるにもかかわらず、重症児者外来や訪問診療を始められておらず、短期入所や通園事業枠も長年増やすことが出来ていない。重症児者施設のさらなる取り組みが求められる。③厚労省のモデル事業により標準的な療育を学ぶためにテキストが整備されたが、研修を担う人材が不足している。これには協会認定重症心身障害看護師の活躍が期待される。④協議会の運営や研修活動が継続した活動となるためにはこれを国や自治体の事業とし、財政基盤を確保する必要がある。国は、人材育成や市町村・広域のバックアップ、スーパーバイズ機能を持たせた地域の中核となる支援センターを設置して支援体制の構築を進める都道府県等に補助を行っているが(重症心身障害児者支援体制整備モデル事業)、現時点で受諾は大阪府のみであり拡充が必要である。⑤調整役(相談支援専門員、自立支援員)の増員と地位向上、および「つなぎ先(受け皿)」の充足に最優先で取り組む必要がある。(以降はPDFを参照ください)