著者
田部 陽子 岩渕 和久 笹井 啓資 金 林花
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、低線量放射線がヒト生体内の微小環境の中で、前がん状態の細胞に対して発がんに関与する遺伝子発現やその調節機構にどのような影響を与えるのかを調べることを目的とした。研究の結果、①低線量放射線ストレスによって前がん状態の細胞内では遺伝子の発現を抑制するmicroRNAを介した遺伝子発現コントロールが機能し、遺伝子とタンパク発現が変化すること、②生体微小環境内に存在する間質細胞が、直接・間接的にこれらの前がん細胞内での低線量放射線による遺伝子・タンパク発現変化に関わっていること、が明らかになった。
著者
野々村 禎昭 高井 義美 清水 孝雄 柴田 宣彦 小林 良二 尾西 裕文
出版者
東京大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1986

血管平滑筋は内皮細胞との関連では病変時特異的増殖, 脱分化を行い, いわゆる動脈硬化性変化をもたらす. この際の形態変化等は詳しく調べられているが, 生化学, とくに収縮蛋白質レベル, 及び分子生物学的レベルの研究は遅れている. 本研究班はその弱点をおぎない, 新らしい展開をはかる為に我国の平滑筋生化学者を結集した.本年は平滑筋のミオシンの構造については尾西が中心になり, 公募班員の岡本と共に一次構造と機能の関連について, ATP結合位等を明らかにさせた. 下等動物平滑筋のCatch機構については八木がミオシン重鎖のリン酸化でかなり明らかになった. 一方細いフィラメント側の調節機序に影響した因子によってラッチ機構が生じるが, この説明に野々村は大動脈からとったゲルゾリンファミリーが働く可能性を示し, その進んだ精製で86K, 84K, 45Kダルトン蛋白質が存在することを明らかにした. 一方, 丸山はこの45Kが84Kの中心分解物である可能性を示し, その精製を行った. 柴田は血管においてカルデスモン様蛋白質の存在を明らかにし, 祖父江はカラデスモンに2種類あり, 非筋細胞, 未分化型のものと筋, 分化型の違いを明らかにした. 小林は平滑筋膜よりカルパクチンをとり, 山本はCa-ATPアーゼをとって膜でのCa調節への足がかりを求めた. 高井は血管培養細胞のC-キナーゼ存在様式が成長因子との関係から異ることを示し, 清水はロイコトリエン連関酵素系の精製とその機能への結びつきを示した. 野島はCM(カルモジュリン)遺伝子クローニングをcDNAクローニングから進め, 高血圧との関係を追究している.本年は班員全ての研究が具体化し, すでに病態との関係へと入ってきた班員もあり, 来年度に向けての一層の具体化が期待される.
著者
林 弘典
出版者
明治国際医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、国内外において初めて、柔道の審判員が実際にどのような位置で投技評価を行っているかを検証した。現在の副審は移動できないために、異見発生を含め投技評価の半数以上は推奨される審判員の位置(主審と副審2名を線で結んだ三角形の内側)で行われていないことや主審に視界を遮られて投技が見えにくい場面があることが明らかとなった。ゆえに、主審と同様に副審も移動して投技評価を行うことが望ましいことを提言した。
著者
林 英子
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

動いている電車の中で,ものを真上に投げ上げると同じ位置に戻ることは、日常生活で体験している現象である。この運動のイメージが,跳び箱運動の助走と踏切の過程と類似であることに気がつき,跳び箱を跳ぶ際に役立てることができるか調査をおこなった。跳び箱大の机をくぐりながらボール打ち上げる装置を作成して演示し,また,走る台車上から生徒・児童がボールを投げ上げる活動等を通して,運動のイメージを体験的に認識した。その結果,中学生では約4割,小学生では半数以上が,跳び箱が以前よりうまく跳べたと回答し,正の効果が見られた。
著者
坂野 秀樹 陸 金林 中村 哲 鹿野 清宏 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.177, pp.15-20, 1997-07-17
被引用文献数
9

これまで音声の短時間位相は振幅情報に比べると聴覚的に重要でないという理由でなおざりにされてきた. しかし, 高品質な音声合成や符号化を考えた場合, それは必ずしもあてはまる訳ではなく, 短時間位相も合成音の品質に大きく関わってくる. ところが, 振幅スペクトルにはいくつかのパラメータ化法が確立されており効率的な表現が可能なのに対し, 短時間位相にはそのような方法は確立されていない. そこで, 短時間位相を効率良く表現する方法を提案し, 主観評価及び客観評価の両方から提案手法の有効性を示す.
著者
林 文男 上村 佳孝
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

昆虫類のオスの交尾器の多様性は顕著である.そうした多様性は,雌雄の交尾器の接合を通して進化してきたものである.しかし,交尾器のそれぞれの部分の機能については,その方法上の問題からほとんんど解明されていない.そこで,本研究では,新しい手法として,微細蛍光ビーズをオスの交尾器の各部に塗布し,交尾後にその蛍光ビーズがメスの腹部末端のどこに付着するのかを調べることによって,交尾器の接合部を明らかにした.大型昆虫であるカマキリ類を用いて,この手法を確立し,カマキリ類のオスの左右非対称な交尾器の機能が,メスの産卵弁を持ち上げることにあることを明らかにした.この手法は交尾器の機能解明に広く応用できる.
著者
児矢野 マリ 高村 ゆかり 久保 はるか 増沢 陽子 島村 健 鶴田 順 堀口 健夫 北村 喜宣 遠井 朗子 山下 竜一 佐古田 彰 藤谷 武史 坂田 雅夫 亘理 格 城山 英明 加藤 信行 郭 舜 小林 友彦 藤谷 武史 坂田 雅夫 及川 敬貴 梅村 悠 村上 裕一 伊藤 一頼
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

地球温暖化、海洋汚染、生物多様性の減少等、グローバル化した現代社会の環境問題に対処するためには、環境条約と各国の国内法・政策との連結と相互浸透が不可欠だが、その適正な確保は必ずしも容易ではない。本研究はこの問題に対処するため、国際法学、行政法学、行政学、環境法政策論を含む学際的研究として、地球温暖化、オゾン層の破壊、廃棄物・化学物質の規制、海洋汚染、生物多様性・自然保護、原子力安全規制を含む主要問題領域について、日本における多国間環境条約の国内実施及び環境条約の定立と発展に対する国内法・政策の作用の動態を実証分析し、その結果を統合して日本の特徴を解明するとともに、その課題と将来展望を探った。
著者
富樫 盛典 小林 敏雄
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.103-106, 1994-02

特集 乱流の数値シミュレーション(NST) その10
著者
小林 正男
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.790, pp.132-135, 2014-01
著者
川上 いずみ 村山 伸樹 川崎 貞道 伊賀崎 伴彦 林田 祐樹
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.559-565, 2008-11-15 (Released:2008-12-31)
参考文献数
7
被引用文献数
1 10

本研究ではそばの風味とテクスチャーに与える,保存温度の影響を官能評価と機器分析により確認し,食味保持に適した保存温度の確認と機器分析による客観的手法の確立を行った.石臼挽きソバ粉をクラフト包材に7日間異なる温度で保存し,官能評価と機器分析,味覚認識装置(味覚センサ),GC-MSクロマトグラフィ,テクスチャーアナライザによる分析で次のような知見が得られた.(1)官能評価では保存温度が高いと食味が低下し,苦味の増加が起こることが明らかとなった.しかしながら,保管温度5℃では苦味が強く異なる傾向を示しており,結露による水分変化により食味が変化することが明らかとなった.(2) 機器分析では味覚認識装置(味覚センサ),GC-MSクロマトグラフィ,テクスチャーアナライザによるいずれの分析でも,保存温度の違いによる食味の変化を確認できた.味覚センサでは保存温度による「苦味」,「酸味」,「渋味」を示唆するセンサ出力の変化が確認され(P<0.05)5℃保存サンプルでは「苦味」,「渋味」を示唆するセンサ出力で異なる挙動が確認できた.GC-MS分析では「そばの香り」と定義した香気成分は保存温度が高いほど減少し,保存温度が低い方が香りは保持されることが示唆された.テクスチャーアナライザでも5℃保存サンプルが最も食感がやわらかくなり,−18℃では硬さがあることが確認できた.(3) 官能評価と機器分析値との相関は,味覚認識装置(味覚センサ),テクスチャーアナライザで確認され,これらの方法がそばの食味の客観的分析法として有効であることが示唆された.テクスチャーアナライザの「抗張力」と食感「硬さ」との間で相関の可能性が示唆された.官能評価「酸味」は味覚センサの3chと0.63,4chと0.70,2chと0.74,5chと0.88という相関が確認できた.試料数nを増やし相関の精度を向上することで,味覚センサでそばの味の違いを判別できる可能性が示唆された.(4) そばの食味を維持するには保存温度が低い方が適していることか明らかとなり,クラフト包材で保存する場合5℃温度では結露の問題があることから−18℃の低温が適していることがわかった.
著者
堀 光平 林 巌
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.60, no.579, pp.3940-3947, 1994-11-25
被引用文献数
6

Mechanical paradox planetary gears are suitable for power transmissions of current robots, such as space manipulators, which drive large-inertia loads, because the gears offer high reduction ratio, small size, light weight and high reliability. However, mechanical paradox planetary gears are subject to a drawback in that their efficiencies are lower than those of conventional planetary gears. The efficiencies of mechanical paradox planetary gears are hence theoretically analyzed and evaluated by defining the tooth number modification of a planet gear to deal with all the possible combinations of tooth numbers. The following results are obtained : the efficiencies are greatly influenced by the efficiencies of the planet and internal gear pairs ; the maximum efficiencies are minimally influenced by the reduction ratio, and they are obtained when the factors of the contact ratio of the gear pairs are approximately equal ; the maximum efficiency is approximately 78% if the tooth surface friction coefficients are 0.1.

1 0 0 0 OA 論語年譜

著者
林泰輔 編
出版者
大倉書店
巻号頁・発行日
vol.附録, 1916
著者
湯浅 高之 藤野 [ヨシ]男 手塚 裕文 斎藤 憲一 西村 好一 小林 一日出 飯淵 義久 植木 清二 荒井 照夫 百瀬 深志 西巻 明彦 屋代 正幸
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.287-295, 1992-09-20

神農を医薬祖として奉祀している神社や祠は,日本各地に存在すると思われるが詳細は定かでない.また,これらの神社で神農を奉讃する神農祭を執行しているか否かも判然としない.しかしその中で,東京都文京区湯島聖堂の「神農祭」と大阪市東区道修町(どしようまち)の少彦名(すくなひこな)神社の「神農さんのお祭り」は,古い伝統をひき継ぎながら現在でも綿綿として統けられている.この両地の神農祭は,医薬祖である神農を祭神としていることでは同一であるが,その祭りの様式と内容が異なっている.湯島聖堂の「神農祭」は,日本漢方の医学者が主体の「医学祭」的色彩が濃く,少彦名神社の「神農さんのお祭り」は,町の庶民が主体の「商業祭」的様相を呈する.神農という同一神を祭神としながら,祭りの発展過程で,祭りを司る人々と地域性の相違から,内容が変化し,東京と大阪では異なる形として現われていったものと思われる.