著者
藤尾 圭志 駒井 俊彦 井上 眞璃子 森田 薫 照屋 周造
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本課題では制御性T細胞が産生する抑制性サイトカインTGF-βによる液性免疫制御機構を解明し、新たな自己免疫疾患治療戦略の確立することを目指した。本研究により、TLRシグナルを介したB細胞活性化制御には、TGF-βおよびIL-10の協調的作用が必須であるという知見を得た。さらに、TGF-β/IL-10による抑制はB細胞におけるミトコンドリア機能制御を介していることを明らかにした。これらの検討により、Tregを介した液性免疫抑制機構におけるB細胞エネルギー代謝制御の重要性が示された。これらの成果は、自己抗体産生を介した自己免疫性疾患の新規免疫抑制療法開発の一助となると考えられた。
著者
森田 雅也
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

成果主義の進展に伴い、評価の対象が時間から仕事の結果へとシフトしてきている。この場合、時間とは、長期的には勤続年数、短期的には仕事の遂行に費やした時間の双方を含んでいる。貢献と報酬の清算期間が短期化してきており、評価における時間の重要度は相対的に低下しつつある。また、成果主義の考え方と一致した人事施策として注目が高まってきている裁量労働制のもとでは、時間のみならず仕事の場という空間への制約も弱めることが可能である。しかし、現実には裁量労働適用者の多くは通常勤務者と同様に出社しているし、フレックスタイム制を廃止する企業も出てくるなど、仕事における時間と空間の障壁を打破する動きには一定の方向が確認されない。スタッフ部門を中心にホワイトカラーの時間-行動分析を行った結果、職位が高くなるほど、対人接触時間が増大し、個人作業時間や通信時間の割合が減少しており、時間や空間を共有しなくてもよい自己完結的な仕事をしている人はほとんどみられないことが確認された。これも、対象部署が限定されているとはいえ、時間と空間を共有しない働き方の進展には反する結果である。しかし、仕事生活と仕事を離れた生活を労働者が自律的に設計し、ワーク・ファミリー・バランスを重視した働き方を構築していくことは社会全体の重要な課題でもあり、今後組織が優秀な人材を獲得するためにも必要である。そのためにも、仕事における時間と空間の障壁を克服していくことはやはり不可欠である。職場での一体感や集団討議の強みを維持し、顔を合わせることができないことから生じる仕事の非効率化を抑えながら、この障壁克服を進めるためには、仕事の進め方そのものを再編成しなければならない。再編成のあり方は業種や部門によって異なると考えられるが、それについて何らかの類型化を行うことが今後に残された課題である。
著者
今津 節生 森田 稔 河野 一隆 鳥越 俊行 市元 塁 樋口 隆康 廣川 守
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、九州国立博物館に設置した文化財用の大型X線CTおよび精密三次元デジタイザを活用し、非接触非破壊で中国古代青銅器の構造を解析することによって、製作技法の研究を飛躍的に進めることを目的にしている。これを達成するために、世界有数の中国古代青銅器を保有する泉屋博古館(住友コレクション180点)と協力し、中国古代青銅器の内部構造データを系統的に集積した三次元デジタルアーカイブを構築した。研究成果として、国内外の学会で研究発表を行った。また、一般市民への研究成果公開として、アジアが誇る卓越した古代技術を分かり易く紹介する展示会を開催した。
著者
森田 由佳 江原 史雄 森田 義満 堀川 悦夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.401-404, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
11

〔目的〕動物介在療法の効果を心理尺度,生理学的手法を用いて示し,その効果の検証を行うことである.〔対象と方法〕対象は,佐賀大学学生30名(男性15名,女性15名),年齢:20.6 ± 0.7歳(平均 ± 標準偏差)とした.方法は,対象者に介在動物であるトカラヤギ2頭と触れ合ってもらい,その前後で気分プロフィール尺度であるPOMSと,唾液アミラーゼ活性を測定した.〔結果〕POMS,唾液アミラーゼ活性ともに,介入前と比較して介入後が有意に低下した.〔結語〕動物介在療法による効果を心理尺度,生理学的手法を用いて示すことができた.今後,障がいなどを持つ高齢者のリハビリテーションに応用し,その際の治療効果判定の一助となると考えられる.
著者
市原 香織 宮下 光令 福田 かおり 茅根 義和 清原 恵美 森田 達也 田村 恵子 葉山 有香 大石 ふみ子
出版者
Japanese Society for Palliative Medicine
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.149-162, 2012
被引用文献数
1

【目的】Liverpool Care Pathway (LCP)は, 看取りのクリニカルパスである. LCP日本語版のパイロットスタディを実施し, LCPを看取りのケアに用いる意義と導入可能性を検討する. 【方法】緩和ケア病棟入院患者を対象にLCPを使用し, ケアの目標達成状況を評価した. 対象施設の看護師に, LCPの有用性に関する質問紙調査を行った. 【結果】LCPに示されたケアの目標は, 80%以上の患者・家族において達成されていた. 対象看護師の65%以上が, 看取りの時期の確認, ケアの見直し, 継続的で一貫したケアの促進, 看護師の教育においてLCPを有用だと評価した. 【結論】LCPは緩和ケア病棟での看取りのケアと合致し, 看取りのケアの指標を示したクリニカルパスとして導入可能であることが示された. 看護師の評価では, LCPが看取りのケアの充実や教育における意義をもつことが示唆された.
著者
森田 歌子 石黒 裕康 千葉 吉一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.445-459, 1998 (Released:2001-04-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

科学技術振興事業団では1996年3月にJICST―DTDおよびSGML文書作成プロトタイプシステムを開発した。また,『情報管理』誌では編集・印刷における作業量の軽減,期間短縮,経費節減と同時に,データの一元的利用,電子ジャーナル・全文DBの同時進行を目的として,『情報管理』誌SGML編集システムを開発した。本稿では,SGML文書処理システムの概要を紹介し,『情報管理』誌SGML編集システム開発のポイント,システムの機能,編集作業の流れ,編集・印刷工程の変化について述べる。
著者
寺井 滋 森田 康裕 山岸 俊男
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.172-179, 2003-03-31 (Released:2017-01-07)

Two experiments using the "Prisoner's Dilemma with Variable Dependence" with a total of 70 subjects are reported. The cooperation rate was extremely high (95.1%) while the game was being repeated, but only half of the subjects cooperated in the final game. This suggests that cooperation in ongoing relations is supported by the "shadow of the future" (Axelrod, 1984). Nonetheless, most subjects trusted a partner who had behaved cooperatively toward them in the repeated games (i.e., under an incentive structure that encouraged such behavior), even in the final game, in which such an incentive basis was absent. This result indicates that the subjects failed to distinguish the two bases of expecting benign behavior from interaction partners-trust based on the inferred personal traits of the partner and assurance of cooperation based on the nature of the incentive structure.
著者
森田 雅也
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Sociology, Kansai University (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.103-111, 2015-03

本研究は、JSPS 科研費(研究課題番号:26380551)の助成を受けたものである。A questionnaire survey was conducted to determine how workers employed under the discretionary working system feel about their work situation, especially in relation to their superiors. The sample comprised 154 respondents; 120 of these were employed under the discretionary working system in thetype of professional work, whereas 34 were employed under the same system in the type of planning work. In this article, the results of this survey will be presented as obtained, without any analytical commentary.裁量労働制適用者154人(専門業務型裁量労働制120人、企画業務型裁量労働制34人)を対象に、裁量労働制適用者として働くことをどう考えているかについて、特に上司の管理のあり方との関係をみるために質問票調査を行った。資料として、単純集計結果等を掲載する。
著者
横井 彩 山中 玲子 森田 学 山崎 裕 柏﨑 晴彦 秦 浩信 友藤 孝明 玉木 直文 江國 大輔 丸山 貴之 曽我 賢彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

舌の上に白い苔のように付着している汚れ(舌苔)の面積と、口の中のアセトアルデヒド濃度について、健常者65人(男性51人、女性14人)で調査し、舌苔の付着面積が大きい人は、付着面積が小さい人に比べ、口の中のアセトアルデヒド濃度が高くなることを明らかにしました。その理由として、舌苔に含まれる細菌がアセトアルデヒドの産生に関与していると考えられ、舌苔を取り除く舌清掃を行うと、口の中のアセトアルデヒド濃度が減少することも確認しました。