著者
森 久史 伊藤 暁 辻村 太郎
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.638-641, 2006 (Released:2006-08-22)
参考文献数
8

This paper presented the results of application of super hydrophilicity TiO2 coating on Shinkansen vehicle. Also effect of metalic powder on hydrophilicity of TiO2 coatings was investigated. It was found that durability of protection from dirt adhesion was less than five months in real vehicle tests. The reason of degradation on protection was due to the contamination of metal powders produced by abrasive wear on the coating surface. Accordingly, it was considered that the degradation of hydrophilicity was attributed to the metal powder on the interface between TiO2 and water.
著者
酒井 保良 吉田 正勝 難波 大二 佐藤雅明 森 隆彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.711-718, 1983-09-15

コンピュータハードウェアの信頼度の向上 障害診断時に必要となる保守知識の増大と多様化等に伴い 保守戦力の集中化と広域保守の必要性が高まってきている.本論文では 保守上の問題点を解決するためのハードウェア遠隔保守方式に関し 遠隔保守システム構成法 リモートアクセス機構 障害現象から過去の障害事例を検索する障害情報集中化機構について提案する.また 試作した遠隔保守システムを用いた実験結果から 障害の95%に対して不良個所を部品取替え単位のレベルで遠隔から指摘可能であることを示している.
著者
松尾 篤 吉川 歩実 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】医療者と患者間のコミュニケーションの成功は,最良の理学療法を提供する上で重要な要素であることは言うまでもない。また,チーム医療の実践においても患者やスタッフ間での有機的なコミュニケーションは欠かすことができない。コミュニケーションにおける非言語的要素の例としては表情が挙げられ,臨床場面においても患者の表情から感情を読み取り,他者の心的状態を理解しようとする行為とともに理学療法が実践されている(Roberts L, 2007)。しかしこれまでの研究では,他者の表情から感情理解を行う際の自身の表情について十分に議論されていない。対人コミュニケーションという双方向性の社会的行動という観点から考えると,表情を読み取る側の表情変化にも注目すべきであると考える。また,他者の感情理解の性差に関する報告は存在するが,一定の見解は得られていない。そこで本研究では,理学療法における情意領域の教育にとっても重要な他者の感情を理解する際の自己の表情変化の影響と性差を検討し,また他者意識の高さと感情理解の関係性を検証することを目的とする。【方法】研究参加者は健常大学生99名(男性45名,女性54名,平均年齢21.08±1.1歳)とし,全参加者がアジア版Reading the Mind in the Eyes Test(野村・吉川:2008,以下,RMET)を実施した。RMETでは,ノート型PC画面上に男女様々な目の写真を2秒間提示し,その後画面上に目の写真が表す感情を含んだ4種類のテキストが提示された。参加者は,可能な限り速く,写真が表す感情を示す正解テキストに対応したボタンを押すことで回答した。練習セッションを10画像実施し,その後に36画像の実験セッションを行った。RMETの実施条件として,参加者を以下の3群に割り付けた。模倣群では,提示された目の画像を自身で模倣するよう指示し,模倣しながらRMETを実施した。パック群では,参加者の顔にフェイスパックを設置し,表情を固定した状態でRMETを実施した。コントロール群では,特に事前処置,口答指示を与えずにRMETを実施した。表情筋の活動を捉えるため,筋電図にて皺眉筋の活動をモニターした。アウトカムは,RMET正答率,他者に対する内的・外的意識を質問紙で回答する他者意識尺度とした。統計分析は,RMET正答率の群間・男女比較にMann Whitney test,Kruskal-Wallis testを使用し,RMET正答率と他者意識尺度の関係性にはSpearmanの順位相関係数を使用して分析を実施した。【結果】RMET正答率の群間比較において,男性では模倣群がパック群と比較して有意に高い正答率(P<0.05)であったが,女性では3群間に有意な差を認めなかった。RMET正答率の男女比較では,男性に比べて女性の正答率が有意に高く(P<0.05),また女性は提示画像の性差に関わらず同様の正答率であるのに対して,男性では女性画像提示時よりも男性画像提示時のRMET正答率が有意に高かった(P<0.05)。RMET正答率と他者意識尺度の相関分析では,男性においてのみ有意な正の相関関係を認めた(r=0.3,P<0.05)。【考察】女性は男性よりも他者の感情理解に優れており,男性においてのみ他者の表情を模倣することによって感情理解が促進された。これには脳の機能的性差と性役割や環境要因が関係していると考えられる。女性では,共感に関与する言語関連領域が男性よりも広範囲に存在しており,また子育てなどの共同体中心的な性役割を有していることからも他者理解に優れていると考えられる。一方,男性では狩猟採集民としての男性社会での競争,権力,社会的地位などの性意識や環境要因が強く,他者との共存,あるいは他者,特に女性を理解することに困難を経験すると言われている(Schiffer B, 2013)。しかしながら,他者の表情を模倣することで,他者理解が促進されることから,模倣による脳内の言語関連領域や共感システムの活性化が関与していることが示唆される。理学療法教育の現状では情意面に対する具体的な教育実践が不十分である。今後は,言語・非言語情報を含めた医療コミュニケーションを主軸とした,医療者として患者を理解するという共感的行動を育むような実践的教育が必要であると考える。【理学療法学研究としての意義】本研究は,他者の感情理解と自己の表情表出の関係性および性差を扱った研究である。理学療法学との関連性は,医療コミュニケーションは理学療法の根幹に位置する重要な要素であり,チーム医療の推進にとっても大切な要因である。本研究の結果が,理学療法の成果を支える対人行動時の共感メカニズム解明の一助を果たした意義は大きいと考える。
著者
森 俊夫 影山 隆之
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.135-142, 1995 (Released:2009-03-27)
参考文献数
31
被引用文献数
14 13

病院看護者の精神衛生と職場環境との関係を検討するために, 3病院471名の看護者を対象に自記式質問紙調査を行った. GHQ-60による評価では,対象者は明らかに一般集団よりも精神的不健康度が高かった.精神的不健康度は,最近1カ月の休日数と負の関連,「判断の難しい仕事」「患者の死との直面」というストレッサーと正の関連があった.同僚との対人関係には,「判断の難しい仕事」というストレッサーに対する緩衝効果がみられた.以上より病院看護者の精神衛生のために,勤務時間に関する労働環境面の対策,現職教育を含む職場のソーシャルサポートに関する対策,および職場での心理的サポートシステムなど個人の耐性を高める対策の3つの次元にわたる対策が必要と考えられた.
著者
間渕 皓介 森本 康彦 宮寺 庸造
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE) (ISSN:21888620)
巻号頁・発行日
vol.2018-CLE-26, no.13, pp.1-8, 2018-11-30

近年,大学等の高等教育機関にとどまらず,小 ・ 中 ・ 高等学校においても,e ポートフォリオを活用した学習が注目されている.この学習において,特に相互評価 (以下,ピア ・ アセスメント) は学習動機を高めるといった効果が期待されている.しかし,ピア ・ アセスメント活動において,たとえば,ピア ・ アセスメントの対象が偏っているといった状況や,ピア ・ アセスメントがあまり行われていない状況があり,ピア ・ アセスメントを促進させるためのファシリテーションが必要であると考えられる.そこで,本研究では,e ポートフォリオを活用した学習において,学習者のピア ・ アセスメント活動を促進させることを目的とする.具体的には,社会ネットワーク分析に基づきピア ・ アセスメントの活動状況に応じたファシリテーションを適応的に提供するシステムを開発し,その有効性を検証するため評価実験を行った.その結果,本システムを利用することで,ピア ・ アセスメント活動が活発化し,様々な人とピア ・ アセスメントを行うようになる可能性が示唆された.
著者
森 貴史
出版者
関西大学文化財保存修復研究拠点
雑誌
Semawy Menu
巻号頁・発行日
vol.4, pp.117-129, 2013-03-04

After Alexander the Great died, his successor Ptolemy I, known as Ptolemy Soter, became the ruler of Egypt and set about making the Mediterranean city, Alexandria, not only the center of politics, but also the center of learning and culture. Soter also founded the Great Library of Alexandria (hereinafter referred to as the Great Library), and the Great Library became most famous for its collection of cultural and intellectual works in the ancient world. All the remains and sites, however, were under water and their historical details are unclear. "Mouseion" had also the Great Library, and many top scholars and intellectuals were brought together to contribute to the development of the academic achievements during the Hellenistic period. It is also said that the Great Library played an important role in the Greek translation of the Old Testament, "The Septuagint," the translation of the seventy interpreters. The policies on religion included the creation of Serapis, an ancient Egyptian religion. Serapis was actually a composite of the Egyptian god and the Greek god, and was created to form a spiritually integrated world of both the Egyptian and Greek people. As the Ptolemy Dynasty in Egypt began to fade, the Great Library as well as Serapis decreased in strength. Nevertheless, the culture of Alexandria, the ancient academic city, and the characteristics of the Great Library are still worth reviewing because their concept is a prototype of criteria for modern universities and libraries.大王アレクサンドロスの死後、エジプトの統治者となったプトレマイオス1世(ソテル)は、地中海沿岸都市アレクサンドリアを、政治の中心地だけでなく、文化の中心地にもしようとした。かれが設立したアレクサンドリアのく図書館〉は、古代世界でもっとも有名な知の殿堂となった。しかし現在、その遺跡はすべて水没して、いっさいが不明である。ムセイオンとこの<図書館>は、たくさんの優れた知識人が集うこととなり、ヘレニズム時代の学術の発展に貢献した。ギリシア語訳の聖書『セプトゥアギンタ』 (70人訳聖書)の成立にも大きな役割をはたしたとされる。また、宗教政策としては、セラピス神創造があげられる。これによって、ギリシア人とエジプト人のふたつの神を統合した神セラピスをつくることで、両市民の精神世界の統合をめざしたのである。やがて、プトレマイオス朝とともに、<図書館>やセラピス信仰も衰退していったが、学術都市アレクサンドリアの文化や<図書館>は、現代の大学や図書館の原型となっているため、いまもなお一顧するに足る対象であるだろう。
著者
森口 繁一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空學會誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.69, pp.20-42, 1941

前の論文(1)の一部の註釋であつて,新らしいことがらを論じたものではない.<BR>"第一近似の公式"による風速分布の計算をBairstowの翼型A(2)に就て行つた.そのやり方を詳しく紹介する.次に"守屋教授の公式"と"第一近似の公式"とを比較し,式の上での差異とその數値の一例を示した.圓弧翼に對する計算の結果から見ると"第一近似の公式"の方が一層正確な値に近いやうに思はれる.
著者
金森 昌彦
出版者
富山大学医学会
雑誌
富山大学医学会誌 (ISSN:18832067)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.10-15, 2010

高齢化社会を迎え,健康寿命延伸の必要性が論じられる中で「運動器不安定症」という概念が確立しつつある。運動器を「からだ」の単なるパーツとしてではなく,総合的に捉えるとともに,人間の健康そのものも「からだ」全体として把握する考え方に変化してきた。これは生命に直結する内臓疾患や感情や情動の中枢となる脳神経疾患ばかりではなく,個人の自立と尊厳を考える上で,人間の日常生活活動を妨げる運動器の障害に注目することを再認識した結果である。特に,様々なストレスに関連する慢性疼痛は「からだ」の異常から「こころ」の異常へ連続する最も順応できない感覚である。人間の健康と看護を論ずる上で運動器に纏わる障害や慢性疼痛は避けて通ることができない重要な課題であることには間違いない。運動器医療を「からだ」「こころ」「文化・社会」の面から学際的に分析すること,そして運動器医療の不確実性を理解し,種々のコミュニケーションを構築すること,運動器障害と共生し,自立および社会復帰するための支援をすることが重要であると考え,私は看護基礎科学教育の中に運動器人間科学としての視点を展開したい。
著者
小林 まり子 森 佐苗 徳森 啓訓 小林 隆司 原田 和宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1234, 2009

【背景と目的】<BR> 加齢や疾病に伴う歩行能力の変化では,歩容の側面からも重要な情報がもたらされることが少なくない.Wolfsonら(1990)は,転倒予防のための16項目の歩行観察評価を作成し,Gait Abnormality Rating Scale(GARS)として報告した.VanSwearingenら(1996)は,改訂版GARSの信頼性と妥当性を示すと共に,それが虚弱高齢者の転倒危険性を反映することを明らかにした.改訂版GARSは 7項目で構成され,それぞれ0~3までの4件法で評価し,点数が高いと歩行が不良とされる.今回我々は,改訂版GARSを遠隔環境下で実施し,この評価の使用可能性を検討したので以下に報告する.<BR><BR>【対象と方法】<BR> 対象は,当院入院中の女性患者5名(平均年齢80.0±6.4歳)とした.疾患の内訳は腰椎圧迫骨折1名、変形性股関節症1名、変形性膝関節症1名,大腿骨頚部骨折1名、膝蓋骨骨折1名であった.全員歩行可能で,認知面の問題はなかった.ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には本研究の主旨と方法に関して説明を十分に行い承諾を得た.<BR>対象者に,片道3mの直線コースを2往復してもらった.床面は木製であった.危険防止のためセラピストが横についた.コースから垂直斜め横3mの地点にノートパソコン(pentiumM-1.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)とウエッブカメラ(Qcam9000)を設置した.skype(ver.3.8)のビデオ通話機能を利用して,歩行の様子をイントラネット(100Mbps)で接続した別室のパソコン(pentium4M-2.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)にて別のセラピストが観察した.SkypeのビデオをTapur ver1.3にて25fpsで録画するも,コマ落ちが目立つため遠隔ではライブ評価のみとした.遠隔評価と同時に、デジタルビデオ(69万画素)でミニDVカセットに歩行の様子を撮影しておき,1週後に,その映像を必要なだけ見直しながら,原法どおりに評価をおこなった.<BR> 遠隔評価とビデオ評価との一致率と相関係数を求め精度を検討した.<BR><BR>【結果】<BR> 遠隔とビデオ評価との各項目の一致率は60~100%で,全評価項目では77%であった.総合得点のspearmanの順位相関係数は0.9(p=0.037)と相関を示した.<BR><BR>【考察】<BR> 改訂版GARSは,skypeを用いた遠隔環境下のライブ観察でもある程度の一致度が得られることがわかった.しかし,評価を正確に行うには,高スペックのパソコンで映像を録画できることが必要である.また,今回は在宅の環境を想定して歩行距離を3mとしたが,原法に従って10m程度に伸ばすことや側面画像を送ることが精度向上につながると考えられた.今後はセキュリティーの問題を検討し,インターネット環境下でこれを実施する必要がある.
著者
森川 貞夫
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.27-42, 2010-03-20 (Released:2016-10-05)
参考文献数
11

日本の全国的統轄スポーツ組織である体協(Japan Sports Association)・JOCはオリンピック大会に参加するために1911年に創立された。しかし体協・JOCは創立以来、スポーツの振興を多くのスポーツ愛好者に基礎を置いて進めるというよりは、政府・財界に寄生しながら今日まで進めてきたために未だ財政的にも組織的にも自立しえないでいる。したがって、戦前も戦後も「国策としてのスポーツ」への協力・推進と「競技力向上」に実際の活動・事業の力点が置かれてきた。 1970年代前後の国際的な「スポーツ・フォア・オール」運動の進展に呼応するように一時日本でも国のスポーツ政策に路線の転換が行われたが、21世紀直前より再びオリンピック大会での「メダル獲得率」を目標にした「強化策」と結びついた「スポーツ立国」論という、大国主義的イデオロギーを中核にした「国策としてのスポーツ」論が幅をきかせ始めている。 本論では、これまでの「国策としてのスポーツ」論を歴史的に追求しながら、さらに今日の「スポーツ立国論」が結局は「メダル獲得率」を目標とする「強化策」と結びつき、必然的に「実績主義」「メダル主義」に陥らざるを得なくなるという問題点を指摘し、それをどのように克服していくかの展望を「スポーツの高度化とスポーツの大衆化の統一」という視点から叙述する。
著者
森下 一喜
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1353, pp.135-138, 2006-08-07

7月19日、弊社の社員が不正アクセス禁止法違反の容疑で警察に逮捕されました。同日付で懲戒解雇処分を下し、翌20日には東京証券取引所で記者会見を開いて事件について公表させてもらいました。 事件の舞台は、弊社がサービスを提供している「ラグナロクオンライン」というオンラインゲームでした。
著者
森田 浩介
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.698-707, 2005-09-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
23

我々は, 独立行政法人理化学研究所の重イオン線形加速器からの70Znビームを209Bi標的に照射し, ビーム核と標的核との完全融合反応によって合成される, 原子番号113, 原子質量数278の原子核278113の崩壊を観測することに成功しました.ビームやその他実験にとってバックグラウンドとなる粒子から分離された目的の核は, 半導体検出器に打ち込まれ, そこで4回の連続したα崩壊をした後, 自発核分裂を起こして崩壊しました.4回目のα崩壊の崩壊エネルギーと崩壊時間, それに引き続いて起こった自発核分裂の現象と崩壊時間は, 既知の崩壊連鎖である266Bh(原子番号107)→262Db(原子番号105)のものと矛盾がなく, これらの崩壊に先立って起こった3回の連続したα崩壊は278113→274Rg(原子番号111)→270Mt(原子番号109)→という, これまでに報告されていない新同位体の崩壊であると結論づけました.観測された原子数はわずか1ですが, 保守的な言い方をすれば, 今回合成された278113は, 実験的に原子番号と質量数を決定されたものとしては, 原子番号, 原子質量数ともに最大のものであり, 新元素の発見の可能性があると考えています.
著者
山田 実 河内 崇 森岡 周
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.5, 2008

【目的】特定高齢者は、要支援・要介護高齢者の予備群と位置づけされており、これら高齢者の転倒を予防することは介護予防や医療・介護費用の削減に直結する重要な取り組みである。自験例において、特定高齢者の転倒には、探索的行為や注意機能、それに幾多の方向転換などの要素が関与していることを報告した。本研究では、日常生活で不可欠となる極短期的な作業記憶(ワーキングメモリ)の要素を組み入れた複合機能評価によって、特定高齢者における転倒の特性について検討した。<BR>【方法】対象は特定高齢者30名(79.5±6.2歳)とした。対象者が立っている位置より後方2mにホワイトボードを設置し、側方から前方2mにかけて扇状に高さ70cm、幅200cm、奥行き40cmのテーブルを2台設置した。テーブル上には、裏面に磁石のついた15cm×15cmの厚紙に『あ』から『ん』までの平仮名が一文字ずつ書かれた46枚の仮名カードがランダムに配置された。ホワイトボードには3文字(例:らはそ)か4文字(例:こるそや)、もしくは5文字(例:かふろんほ)の意味をなさない文字が書かれてあり、対象者はスタートの合図でホワイトボードの文字を見て、テーブル上にある仮名カードを探索し、拾い集めてホワイトボードに貼り付けることが求められた。検者はスタートの合図より全ての仮名カードを貼り付け終えるまでの時間を計測した。なお、3文字、4文字、5文字は対象者によってくじ引きによってランダムな順序で実施し、1週間の間隔を挟みながら3通りの測定を行った。また、過去1年間の転倒経験の有無によって転倒群12名、非転倒群18名に分けて統計解析を行った。<BR>【結果】3文字の際には、転倒群32.6±10.7秒、非転倒群29.9±8.5秒で有意な差は認められなかった(p=0.607)。同様に4文字の際にも、転倒群43.7±8.1秒、非転倒群39.8±9.3秒で有意な差は認められなかった(p=282)。しかし5文字の際には、転倒群75.5±12.1秒、非転倒群57.3±11.9秒で有意な差が認められた(p=0.012)。<BR>【考察】3文字及び4文字の場合には群間差は認められなかったが、5文字になると転倒群で有意に時間的延長を認めた。本研究で用いたテストは、仮名カードを探す探索的行為や注意機能、仮名カードを探す為に繰り返し行う方向転換、手を伸ばして仮名カードを採るリーチ動作、そして文字を極短期的に記憶しておくワーキングメモリなど日常生活で欠かすことのできない要素が組み込まれている。5文字の場合でのみ転倒群で有意に延長していたということから、探索的行為や方向転換、リーチ動作などの機能に群間差があるとは考えにくく、ワーキングメモリが転倒に関与していたものと考えられた。<BR>【まとめ】特定高齢者の転倒には、ワーキングメモリ機能低下が関係している可能性が示唆された。
著者
渡辺 幸恵 森田 明理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.548-552, 2006

2001年に日本皮膚科学会においてケミカルピーリングガイドラインが作成されて以来,ケミカルピーリングは,大学病院や総合病院,また開業医においても,皮膚科治療の一方法として盛んに行われるようになっている。今回,開業医で行われるケミカルピーリングの実態を知る目的で,当院でグリコール酸ピーリングを受けたざ瘡患者199例について検討した結果,2回以上継続して治療を受けたものは176例であり,著効27例と有効105例を合わせ,約75%に治療効果を認めた。一方,副作用は7例に認められ,部分的痂皮形成が2例,強い発赤が認められステロイド外用の必要があったものが5例であった。本治療法は,一般開業医のレベルにおいても,その日常診療で非常に診療頻度の高い尋常性ざ瘡の患者に対して,安全かつ有効性の高い治療だと考えられた。
著者
山下 篤央 久米 雅 森井 秀樹 Atsuo YAMASHITA Masashi KUME Hideki MORII 京都文教短期大学 京都文教短期大学 京都文教短期大学 Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo Junior College Kyoto Bunkyo Junior College
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 = The Kenkyu kiyo (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.87-91, 2012-01-01

フィギュアスケート歴12年の女子ジュニア選手における2回転と3回転フリップジャンプの動作解析を行った。その結果、ジャンプの回転数の増加に伴い、Take-off時の膝関節伸展角度および回転運動の跳躍幅と時間の増加が認められた。これらの変化には、角運動量を増加するためのスキルが関連していると考えられる。また、Take-off時の左膝伸展角度が右膝伸展角度に比べ、高いことから左脚がジャンプ動作(跳躍高)に大きく貢献していることが示唆された。