著者
吉位 尚 濱本 嘉彦 村岡 重忠 糀谷 淳 古土井 春吾 麻柄 真也 大塚 芳基 中尾 薫 寺延 治 島田 桂吉 古森 孝英
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.479-488, 1999-11-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
47
被引用文献数
5

The clinical efficacy of long-term roxithromycin (RXM) treatment was examined objectively in 8 patients with chronic diffuse sclerosing mandibular osteomyelitis. RXM was administered orally at a dose of 300mg per day for 68 days to 66 months.As a result, the results of 7 out of 8 cases (87.5%) were assessed effective, and the symptoms had disappeared in 1 to 12 months. One case assessed poor had several operations and various kinds of antibiotic therapy for more than 11 years before this therapy. In 7 cases assessed effective, the improvement of osteolytic changes on X-ray was observed. However, most of the X-ray findings remained osteosclerosis or the osteosclerosis became more predominant, when this therapy was terminated. It was considered that X-ray findings would take a long time to be normalized. Therefore, the optimum duration of administration which is the time to terminate this therapy should be decided according to the improvement of symptoms along with the disappearance of osteolytic findings on X-ray. Diarrhea and stomach discomfort in 1 case, and liver dysfunction in 1 case were found, however, these side effects were slight.The mechanisms of RXM are unclear however, these results indicate that long-term RXM treatment has therapeutic possibilities for diffuse sclerosing mandibular osteomyelitis and should be used as the first choice followed by surgical treatment if necessary.
著者
森 敏 Mori Satoru
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-20, 2017-03-01

背景 NANDA-I看護診断は、投薬などの医療行為を施さずに、看護のみで改善可能な看護課題(看護の対象となる現象)を抽出するツールである。われわれは先に、「在宅療養者版看護診断」コンピュータシステムの基礎となる、ⅰ)看護診断ラベルの選定(10領域、49診断ラベル)、ⅱ)アセスメントリストの作成、ⅲ)診断を導く関数の考案を行った。 目的 今回、タブレット型コンピュータで動作する「在宅療養者版看護診断」コンピュータプログラムを構築した。 方法 データベースソフトには、FileMaker Pro 15を使用した。あせる面と項目の入力から看護診断ラベルの選定までを自動化した。 結果 アセスメント項目をフィールド名に置き換え、アセスメント項目の有無により診断ラベルが自動選定されるように設計した。フィールド名には使用できない文字・記号が存在するため、アセスメント項目名は一部修正した。また、アセスメント項目と診断ラベルとの重複回避、他項目での代用などの前処理も行った。フィールド定義はアセスメント項目に「1」「0」を割り当て、クリック入力できるようにした。診断ラベルの選定は、アセスメント項目のチェック状況により決定されるため、論理関数で処理される計算フィールドとした。画面設計は、画面サイズをiPad用に設定し、①療養者の属性、②各領域毎の入力項目(領域4のみ2分割)、③診断ラベルの選定結果をそれぞれ別個のレイアウトに配置し、レイアウト数は13となった。フィールド数は、療養者の属性15、アセスメント項目132、診断ラベル選定のための計算フィールド50を加え合計197となった。また、ファイル要領は1.3メガバイトとなった。iPadで患者データの入力を試みたところ、入力は迅速になされ、診断ラベルの自動選定まで問題なく動作した。入力に要する時間は一人あたり約15分であった。 結論 本プログラムを組み込んだタブレット型コンピュータを使用することにより、在宅療養者の看護診断を効率化することができる。
著者
森 隆男
出版者
近畿民俗学会
雑誌
近畿民俗 (ISSN:02882183)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.1-16, 1999-02-25
著者
森 暢平
出版者
成城大学
雑誌
コミュニケーション紀要 (ISSN:02887843)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.99-115, 2015-03
著者
山田 将弘 森寺 邦晃 森 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0350, 2017 (Released:2017-04-24)

【目的】拡散圧力波は2015年より保険適応で使用可能となり,当院では難治性の足底腱膜炎に対して拡散圧力波を取り入れた治療を行っている。足底腱膜炎に対しては体外衝撃波(集中衝撃波)の研究報告が世界で数例報告されている。しかし,本邦において足底腱膜炎への拡散圧力波による治療介入の報告は,我々が調査した限りでは見当たらない。そこで拡散圧力波を使用し,一定の結果と傾向が得られたため,その治療結果を文献的考察を含めここに報告する。【方法】足底腱膜炎と診断され拡散圧力波による介入を行った患者6名(男性1名72歳,女性7名67.80±11.71歳)7脚を対象とした。初診時の罹患期間は半年から一年半であった。調査期間はH28.5.16~H28.9.30とした。治療内容は,患部への拡散圧力波照射と足底筋に対するストレッチを行った。治療機器はGymna社製,Physio-ShockMasterを使用し,拡散圧力波を圧痛部位に疼痛閾値程度の刺激強度(1.5~4.0bar)で照射し,周波数は8~16Hz,shock数は2000shocks,で統一した。治療頻度はGerdesmeyerの先行研究に習い,週に1回(最小6日・最大14日)とした。痛みの程度をVisual analog scale(以下:VAS)を用いて評価した。初回,1週間ごとに計測し痛みの推移をみた。また拡散圧力波照射前後でVASを計測し,照射前後での痛みの変化を最大8週間計9回までみた。さらに患者の主観を内政調査で聴取した。拡散圧力波照射前後のVASに対し対応のあるt検定を使用し統計学的処理を行った。統計学的有意水準は5%(片側2.5%)未満とした。統計ソフトはStat flex Ver6.0を使用した。【結果】初回のVAS平均66.14±12.67mmであった。6名7脚全ての患者で1週ごとにVASは漸減傾向を示し,4名5脚で4週目でのVASが10mm以下となった。また残りの2名2脚においても8週目でVASは10mm以下となった。拡散圧力波の照射前後でのVASは有意に低下した(p<0.01)。口頭による内政調査では,4名において「朝の一歩目以外は痛くない」との回答が得られた。【結論】1週ごとにVAS値は漸減傾向を示し,4週目でVASが2名を除いた4名5脚においてほぼ0mmに近い値となり,良好な治療効果が得られた。残りの2名2脚に関しても8週目でVASが10mmを切る値となっていた。拡散圧力波の照射前後でVASは有意に低下しており,即時の除痛効果が期待できることが示唆された。拡散圧力波はクラスIIの機器であるため,クラスIIIの機器である体外衝撃波と比べて安全に使用しやすいと思われる。我々の拡散圧力波を用いた方法は拡散衝撃波を用いた諸家の報告と同等の治療効果が得られており,足底腱膜炎に対する拡散圧力波照射は有用な治療法であることが示唆された。
著者
阪田 安彦 岩本 康男 菅原 隆文 阿部 圭輔 赤木 恵 宮森 伸一 伊藤 充矢 大谷 彰一郎 雑賀 隆史 野間 純 檜垣 健二 二宮 基樹 開 浩一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.780-784, 2012-12-10 (Released:2013-12-10)
参考文献数
10

Docetaxel is used to treat various types of carcinomas. Since docetaxel is insoluble in water (solubility, 0.002 mg/mL), to improve its solubility, it is administered with alcohol. The amount of alcohol required to improve the solubility of Onetaxotere® is twice as much as that required to improve the solubility of Taxotere®.In this study, we investigated the immediate breath alcohol level of and feeling of drunkenness experienced by patients after administration of chemotherapy with Onetaxotere®. The study was performed in 50 patients, from March 2012 to June 2012. In addition, 25 patients served as controls: these patients were administered chemotherapy with paclitaxel. Breath tests revealed no alcohol in any of the patients who were administered Onetaxotere®. Furthermore, none of these patients experienced a feeling of drunkenness. In contrast, breath tests performed in the control patients revealed alcohol in 15 cases, and 4 out of the 15 patients experienced a feeling of drunkenness.Breath tests revealed alcohol in 60.0% of the patients who were administered paclitaxel. The result is similar to those reported in other studies. No alcohol was detected in any of the patients who were administered Onetaxotere®. Moreover, these patients did not experience a feeling of drunkenness. These findings suggest that the patients who received Onetaxotere® were unaffected by the alcohol used to administer the drug.
著者
林 勝知 上田 宣夫 森 茂 三鴨 肇 山田 敦子 島田 武
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.274, 2006

<B><緒言></B>中濃厚生病院救命救急センターは、2000年8月から約6年、岐阜県の狭義の中濃地域(関市、美濃市)で、救急診療を行っている。今回、当センターとして、岐阜県中濃地域の救急医療体制の検証を行ったので報告する。<BR><B><検証結果></B><BR> 1.当センターの現状:年間の総救急患者数は約2万人で、重症度別にみると、一次が約90%と多い。救急車搬送による救急患者は、開設後約2年間は、一次が60から70%と多かったが、その後の約4年は一次が約50%となり、それに伴い急性心筋梗塞及び脳卒中等の重症救急患者の中濃医療圏の他の病院からの紹介、転送も増えてきている。ときどき生じる問題は、(1)約1時間に、三つの消防組合からあわせて4から5例の救急車搬送の要請があることにより初療室が混雑したこと、(2)中濃消防組合から約1時間で心肺機能停止状態(CPA)2例、重症外傷1例症・中等症外傷3例のホットラインが4回あり、大混雑の中で、診療を行なったこと、(3)夜間の中濃消防組合からの救急車搬送が、他の三つの二次病院ではなく、ほとんどが当センターであったこと等である。中濃地域の救急の協議会等で病診連携や二次病院の救急診療の役割分担を要望しているものの、未だ改善されてはいない。今後とも、行政の協力も求めながら、システムの改善を目指している。また、夜間、休日に直接来院する軽症患者が多いため、救命救急センターの利用法についてという掲示を出して、軽症例については、開業医の受診を奨めている。平日夜間については、少し受診患者が減少した。しかしながら、休日の午前中は多くの小児患者が来院している。このことについても今後改善されるよう模索している。<BR> 2.メディカルコントロール:オフラインメディカルコントロールとして、(1)中濃消防組合の救命救急士に対する包括的指示下の除細動のトレーニングは、プレコース、本コースあわせて8時間行った。(2)中濃消防組合の救命救急士でない一般の救急隊員約120名には一次救急処置(BLS)、自動体外式除細動(AED)のトレーニングを1)に準じ計8時間のトレーニングを行った。(3)気管内挿管の研修を2005年2名の救命救急士、2006年3名の救急救命士に行った。いずれも消防組合からの評価は高かった。
著者
吉田 衣里 森川 優子 仲野 道代
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.235-238, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
18

小児の悪性腫瘍の代表的な疾患である白血病あるいは固形腫瘍である横紋筋肉腫や髄芽種のうち,重度でステージが高く重症な症例においては放射線治療や大量化学療法に続き,その後に生じる造血機能不全を補うために造血幹細胞移植を行うケースが多い.造血幹細胞移植の際には,化学療法,免疫抑制剤,放射線治療を行うために,好中球がほとんど存在しない状態となり,口腔内には口腔粘膜障害が発症するリスクが最も高い.口腔粘膜障害の症状としては,発赤,出血,口内炎,潰瘍,および口角炎などがみられ,重度なものでは開口障害を生じる.口腔粘膜障害の治療としては対症療法が主となるが,周術期において早期に歯科的介入を行うことにより,症状を軽減させることが可能である.そのため,患者および保護者に口腔ケアの重要性を理解してもらうことが重要である.口腔ケアとしては,ブラッシング,含嗽,および保湿が挙げられる.さらに口腔粘膜障害は一旦消失しても慢性的に口腔内粘膜に拘縮が生じ,刷掃困難や唾液の減少による口腔内乾燥等が生じることが多くみられ,重度齲蝕や歯周病の発症がみられることもある.そのため小児においては,周術期の口腔ケアのみならず,長期にわたるフォローアップが重要である.
著者
上田 浩 門口 礼 森 幹彦 喜多 一
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.9-20, 2018-10-30

1つの情報モラル事例を,複数の視点から見る,小学校高学年を対象とした情報モラル指導手法を提案する.手法の特徴は,(1)情報モラル事例の中心的な登場人物に加え,加害者などを含めた複数の登場人物の視点から事例を見る物語を提示すること,(2)登場人物の相関図を示し,相関図から自由に視点別の物語を選択できるようにすることの2点である.提案手法に基づき,情報モラル指導用のWeb教材「情報モラルそうかんず」を開発した.教材を構成する物語は,言葉だけでは表現が困難な登場人物の心情や行動を表現するためにマンガを利用した.本論文では,開発した教材を用いて,小学校6年生の児童を対象に授業実践を行い,開発した教材を用いた授業案が構成可能であること,提案手法から期待される効果を検証した結果を報告する.提案手法の効果として,(1)学習者が加害者の視点から新たな知見を得られること,(2)相関図から自由に物語を選択させる手法が,学習者にとって有用なコンテンツの要素となりうることが明らかとなった.
著者
稲森 真由 五十幡 康弘 王 祺 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.124-126, 2018 (Released:2018-10-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The crossing of potential energy surfaces plays an important role in photo-decay processes and photochemical reactions. The energies and geometries of the crossing points have been reported for various molecules using quantum chemical calculations. In this research, excitation energy components of uracil are investigated to understand the characteristics of the crossing points. We revealed that the HOMO−LUMO exchange integral becomes approximately zero at the minimum energy conical intersection between S0 and S1 states. Furthermore, it was found that the HOMO−LUMO gap is close to the HOMO−LUMO Coulomb integral at the crossing structures.
著者
横山 顕 大森 泰
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.1745-1752, 2013-10-05
参考文献数
36

飲酒,喫煙,野菜果物不足,やせ,頭頸部癌既往,アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)低活性型とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)ヘテロ欠損型は,食道癌の危険因子である.多発ヨード不染帯,メラノーシス,MCV増大もリスクを高める.ALDH2欠損でアセトアルデヒドが蓄積し,ADH1B低活性でエタノールへ長時間曝露される.両遺伝子型+飲酒+喫煙で357倍のリスクとなる.ビールコップ1杯で赤くなるか,現在と過去の体質をたずねる簡易フラッシング質問紙法は,精度90%でALDH2欠損を判別し,飲酒・喫煙・食習慣と組み合わせた食道癌リスク検診問診票の高スコア群の癌の頻度は高い.予防の新戦略となる遺伝子解析の普及が望まれる.<br>
著者
野田 敦子 野田 浩司 今村 孝史 小野 行雄 森田 美華 甲斐 麻美子 嶺 佐知子 後藤 茂
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.111, no.9, pp.499-503, 1991-09-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
3 6

Pentanthrene type heterocyclic compounds, which contain oxazole, isoxazole, oxadiazole, thiazole, isothiazole, thiadiazole or pyrrole ring as C-ring, and naphthalene, quinoline, isoquinoline or quinoxaline ring as A·B-ring, were prepared, and their monoamine oxidase (MAO) inhibitory activities were examined. As expected from our previous investigation on the structure-activity relationship of this series, most of them showed strong inhibitory potency to both MAO-A and MAO-B. However, a few indicated highly selective inhibition for either of MAO subtypes.
著者
大森 正子 和田 雅子 内村 和広 西井 研治 白井 義修 青木 正和
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.329-339, 2002-04-15
参考文献数
39
被引用文献数
4

25歳以上の成人の60.3%, 人数にして5, 400万人が毎年定期の集団検診 (結核検診) を受診していると推計された。しかしながら定期集団検診による結核患者発見率は著しく低下し, 1998年には学校健診で受診者1, 000人対0.03, 職場健診で0.06, 住民健診で0.16までになった。ただし新登録中定期健診発見割合は過去10年ほぼ一定で, 1998年は12.8%であった。年齢別では20~30歳代で定期健診発見割合が大きく25.7%であり, 多くは職場健診からの発見であった。なお検診発見患者で排菌が確認されたのは35.1%であったが, この割合は高齢者でより大きかった。<BR>結核予防会で実施した40歳以上の住民健診成績から1名の結核患者の発見に要するコストは, 全体で440万円, 男で230万円, 女で840万円, 40歳代で730万円, 80歳以上では180万円と試算された。また罹患率人口10万対30の地域では400万円, 罹患率20では670万円と推計された。結核患者を2ヵ月入院, 4ヵ月外来で治療した場合, 治療費は約90万円と見積もられているので, 60歳未満の一般住民や罹患率50未満の地域では, 経費・効果の点で現行の結核検診は必ずしも効果的とは言いがたくなっている。しかしながら定期の結核検診のあり方については発見率やコストの他に発見患者の特性, 公共保健サービス, 国民の意思等も含めて検討する必要があるだろう。
著者
森下 裕之 宮崎 猛
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.256-261, 2008-06-25
参考文献数
4
被引用文献数
3

中国雲南省元陽県には、世界遺産に申請中の世界最大級の棚田がある。少数民族のハニ族が耕作する棚田農村では、森林(聖山・聖樹)・棚田(稲魂)保全の伝統文化による有機物と水・蒸気・降雨との循環システムの保全活動、アジア・モンスーンの気候風土に基づく生物多様性を最大限に活用した棚田中心の農畜漁業の発展、自給自足に近い自然主義的稲作を中心に多様な生物相から少しずつ食料を地産地消する生活がみられ、近年の農業生産力の発展は高い人口の伸びをもたらしている。しかし、中国経済の高度経済成長は内陸部の山間僻地にある棚田農村でも、青壮年層の出稼ぎの急増と観光客の増加として影響を強めている。出稼ぎの増加は、棚田の粗放的管理や耕作放棄による棚田の崩壊を引き起こし、観光客の増加に対応した農家楽の振興は、農民間の貧富の格差拡大や観光公害等の新しい農村問題を引き起こしている。本稿では、元陽県新街鎮土戈寨村での農家調査に基づいて、主要な現金収入源である出稼ぎと農家楽を分析する。とくに個人営と集落営の2タイプの農家楽を分析して、棚田農業保全のための出稼ぎの抑制と貧富の格差是正とのためには、集落営の農家楽が効果的であることを明らかにする。本稿は、住友財団の環境研究助成「中国雲南省元陽県の棚田における持続的農業と循環型社会の構築に関する学際的研究」の成果の一部である。
著者
松井 知之 森原 徹 東 善一 瀬尾 和弥 平本 真知子 木田 圭重 高島 誠 堀井 基行 久保 俊一
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.223-226, 2013-06-01 (Released:2013-06-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

The pitching motion requires neck, trunk and hip rotations. The purpose of this study was to investigate the relationship between pitching injuries and dominant versus non-dominant differences of the ranges of these motions. The subjects were 66 high school baseball pitchers who received medical checkup during baseball classes in Kyoto prefecture. During medical checkup, physical therapists measured the ranges of neck/trunk rotations, and internal rotation of the bilateral hips. Then orthopaedic doctors did special tests such as shoulder internal impingement test, subacromial impingement test, elbow valgus stress test and elbow hyper extension test. Fourteen pitchers (21.2%) who were positive in one or more special tests were judged to require second screening (injured group). In normal group, average neck/trunk rotations toward the non-dominant side were significantly wider than rotations toward the dominant side. Average hip internal rotation was significantly wider on the non-dominant side than on the dominant side. In injured group, a larger number of pitchers had wider neck and trunk rotation ranges toward the dominant side than toward the non-dominant side, and had wide hip internal rotation range on the dominant side compared to the non-dominant side. Comparing the ranges of the neck/trunk rotations and hip internal rotation between dominant and non-dominant sides might be useful for the prediction of pitching injuries of the shoulder and the elbow.
著者
松井 知之 森原 徹 平本 真知子 東 善一 瀬尾 和弥 宮崎 哲哉 来田 宣幸 山田 陽介 木田 圭重 池田 巧 堀井 基行 久保 俊一
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.463-468, 2014-10-01 (Released:2014-10-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

Pitching motion is made up by three-dimensional whole body movement. Pelvic and trunk rotation movement is important for the prevention of throwing injuries. Throwing is not a simple rotation movement. Evaluation should reflect muscle strength, coordination, and pitching motion characteristics. We have devised throwing rotational assessment (TRA) similar to throwing as the new evaluation of total rotation angle required for throwing. The purpose of this study was to introduce the new method and to examine the characteristics of players with throwing disorders. The subjects were 76 high school baseball pitchers who participated in the medical check. Pain-induced tests were elbow hyperextension test and intra-articular shoulder impingement test. Pitchers who felt pain in either test were classified as disorder group. TRA evaluation was performed as follows. In the positions similar to the foot contact phase, rotation angles of the pelvis and trunk were measured. In the position similar to follow through phase, the distance between the middle finger and the second toe was measured. All tests were performed in the throwing and opposite direction. Twenty five pitchers were classified as disorder group. All TRA tests in healthy group were significantly higher in the throwing direction than in the opposite direction, but there was no significant difference in the disorder group. Disorder group had significantly lower average rotation angles of the pelvis and trunk in the throwing direction and rotation angle of trunk in the opposite direction than the healthy group. Restrictions on TRA reflecting the complex whole body rotation movement may be related to the throwing disorder. This evaluation is a simple method. It would be useful early detection of throwing disorder and systematic evaluation in medical check, as well as self-check in the sports field.