著者
榊原 隆次
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.176-180, 2020 (Released:2020-10-16)
参考文献数
31

パーキンソン病(PD,大脳皮質に広がった形はレヴィー小体型認知症[DLB])は,ときに高度の便秘をきたす場合があり,消化器科救急として偽性腸閉塞/麻痺性イレウスをきたす場合もある.さらに最近,PD患者の便秘が,運動症状などをほとんど伴わず,初発症状となりうることが明らかとなってきた(レヴィー小体型便秘Lewy body constipation).その機序として,腸管壁内(Auerbach)神経叢の変性・レヴィー小体出現を反映しているものと思われ,一部,大脳黒質・青斑核の病変も関与していると考えられる.救急受診を予防するためにも,PDの便秘に対して,十分な治療が望まれる.とくにレヴィー小体型便秘の患者さんは,内科・消化器内科を初診することが少なくないと思われ,脳神経内科と消化器内科の協力が重要と思われる.
著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
18

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
著者
榊原 清則
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.435-439, 2014 (Released:2016-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1
著者
榊原 博樹 谷口 正実 大河 原重栄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.621-629, 1996-06-15

医薬品添加物は製剤の適用性(溶解補助,pH調節,等張化,吸収促進,安定化,成型など)をたかめ,医薬品の有効性と安全性を維持するために不可欠なものとされている.しかし,医薬品添加物に関しては使用品目の制限や使用量の基準は作られていないようである.製剤として有効成分とともに承認前の臨床試験を経てきており,これをもって安全性の検討はなされたものと解釈されている.一方,食品添加物は340品目余りが許可されており,対象食品の規定や一部に使用量や使用制限の規定も明らかにされている.そのうちの一部は医薬品にも共通して用いられており,その存在すら意識されずに摂取されている.ところが,食品・医薬品添加物のなかには一部の気管支喘息や蕁麻疹患者に過敏反応を惹起するものがあり,その増悪因子として注意する必要がある.特に非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti—inflammatory drugs,NSAID)に過敏な,いわゆるアスピリン喘息(aspirin-induced asthma)やアスピリン過敏性蕁麻疹をもつ患者に食品・医薬品添加物過敏症が多い.注意すべき添加物は,食用黄色4号(タートラジン),その他のタール系色素(食用黄色5号=サンセットイエロー,赤色102号=ニューコクシン,赤色2号=アマランス),安息香酸ナトリウム,パラオキシ安息香酸エステル類,亜硫酸塩類である.
著者
榊原 浩晃
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.41-56, 1997-03-31 (Released:2017-03-18)

This paper intends to explain the circumstances of the football games for elementary schoolchildren from the late 19th century to the early 20th century England. Her Majesty's Inspectors revealed that the football games for schoolchildren were not still actually timetabled and that they were played outside normal school hours in parks and other open spaces near schools, and this brought extra work of teachers concerning with children's football, who in season and out of season, sacrificed so much of their time voluntarily for the children's benefit. While all this grassroots activities of the teachers were going on, the Board of Education remained hesitant about officially sanctioning the organized games for elementary schoolchildren. South London Schools' Football Association(hereafter SLSFA)was founded in the summer of 1885 under the supervision of the elementary schools' teachers, which was the first elementary schools' football association in England and Wales. The object of SLSFA was to encourage the inter-school matches of football in the districts of Lambeth, Wandsworth and Southwark, i.e., the south devision of London. SLSFA had from the beginning received the valuable help from various some football clubs and proprietors of grounds, this had materially assisted the progress of SLSFA. The interest of children and teachers in the Competitions rapidly increased, and in three years from the commencement;the Junior Competition and the Senior Competition were arranged. Thus, The elementary schools' football associations depended upon the initiative and enthusiasm of children and teachers working together without the financial assistance from the local or central educational authourities. In fostering the sporting and recreative side of football, as opposed to the modern spectacular and commercialistic aspects of the games, SLSFA had done and was still doing a good work. In matches with the teams of other associations, the selected team of SLSFA had met with great measure of success. To win the Championship of London, by gaining the Corinthian Shield six times in twelve years, was a result of which anyone may be proud. The proceeds of many of these matches, particularly of those played with some opponents from Sheffield, Manchester, Birmingham, and so on, had been devoted the friendship of inter-association matches. Therefore, SLSFA played an important role in the organization of the football games for elementary schoolchildren, and the promotion of friendly matches between each schools' football association.
著者
野村 武男 松内 一雄 榊原 潤 椿本 昇三 本間 三和子 高木 英樹 中島 求
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

工学分野で発展してきたPIV計測法(Particle Image Velocimetry)は、時々刻々変化する非定常な流れ場を可視化・解析することができる。これまでのこの手法を用いた研究は、細部の気流解析や魚などの小型遊泳動物、昆虫の飛翔メカニズムに関する研究のように測定領域が非常に小さいものしか行われていない。本研究では、PIV計測法を用いて、ヒト水泳時の身体周りの流れ場の可視化から流れの非定常性を明らかにし、競泳動作のダイナミクス解析、および泳シミュレーションモデルを作成する事で、ヒトの推進メカニズムを明らかにしようとした。ヒトを扱った測定領域の大きなPIV解析は世界的にも初である。PIV計測法を用いた研究結果から、ヒトは泳動作時に渦(運動量)をうまく利用し、効率よく推進力へと結び付けている事が明らかになった。泳者の手部および足部の複雑な動きは、それら推力発揮部位周りの循環の発生・放出と関係しており、特に手部の場合は、放出された渦と手部周りの束縛渦が渦対を作り、その渦対間にジェット流を生成し、運動量を作り出していることが分かった。この運動量の変化(増減)が推進力と結びついている。また、泳動作モデルの作成では、水泳時に身体各部位に働く流体力を算出するために用いられている3つの流体力係数(付加質量力係数、接線方向抵抗係数、法線方向抵抗係数)を分析の対象となる泳者の体型と泳動作に合うように調節することによって、水泳中のダイナミクスをシミュレーション上で再現することができ、水中ドルフィンキック泳動作中に発生する全身の推進力や各関節トルクなどを算出することができた。身体部位別の推進力を求めることによって、水中ドルフィンキックの推進力は主に足部によって発揮されていることがわかった。さらに、足部の柔軟性と泳パフォーマンスの関連性を示す事ができた。
著者
三輪 飛寛 鎌田 依里 松内 一雄 榊原 潤 野村 武男
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.33, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
25

本研究の目的は,PIV計測法を用いて泳者手部周りの非定常流れ場を可視化し,水泳スカーリング動作の推進メカニズムの知見を得ることである. 元競泳選手1名が本研究に参加し,回流水槽中でスカーリング動作を行った.PIV計測により,泳者左手周りにおける200枚の時系列粒子画像が瞬時に取得され,連続する2枚の粒子画像から流れ場の粒子速度ベクトルと渦度が計算された. スカーリング動作アウトスカル局面において泳者小指近傍に前縁渦が観察され,手部の移動方向が変化するアウトスカルからインスカルへの遷移局面において,その渦が手部から放出されているようであった.また,遷移局面後には手部周り循環の回転方向の変化が観られた.本研究の結果から,スカーリング動作を行っている泳者は,手部周りの循環と放出された渦による運動量変化によって推進力を生み出していることが示唆された.
著者
榊原 範久 水落 芳明 八代 一浩 水越 一貴
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.27-30, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

学習者の自由なコミュニケーションを軸とした主体的・協同的な学びを展開するアクティブ・ラーニングの授業において,教師と学習者が一人一台タブレット型端末を持ち,同期型 CSCL の edutabを用いて学習状況を可視化した.結果,教師の言動の傾向性として,授業時間内の発話時間が減り,有益な情報を伝える可視化に関する発話割合が増加することが明らかになった.
著者
榊原悟著
出版者
角川書店
巻号頁・発行日
2004
著者
永峰 康一郎 榊原 淳一 杉崎 隆一
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.211-217, 1989-06-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

A computer-based system for automatic seismo-geochemical observations has been developed. At Hoshina hot spring, Nagano city, as a monitoring station, a personal computer regulates observation instruments such as gas chromatograph and water flow-meter, and it records the data on its floppy disks. In this study, the data transmission with a simplified telemetry system was improved. Through a public communication line and MNP modems, the data are sent to a personal computer in our laboratory. The modem enables us to transfer the data reliably without troubles caused by noise and phase delay, because it contains the function for correcting the error during correspondence. The simple BASIC program can be easily revised for expansion of measurement instruments. In view of cost, size and simplicity, this processing system is applicable for continuous on-site measurements for seismo-geochemistry.
著者
榊原 唯雄
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.79-82, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
4

臨床症状および病理組織学所見が角層下膿疱症と合致した犬を経験したので報告する。全身性に丘疹・膿疱を形成した。細菌培養検査により,無菌性膿疱と診断した。病理組織学検査では,角層下に形成された膿疱が観察された。膿疱形成に先行してノミ刺咬症及び熱中症に罹患しその治療中及び治療終了直後には膿疱は確認されなかった。これより今回観察された病変は発生初期段階であったと認識された。病態初期では痒みを伴わない症例が存在する可能性が有ると思われる。ダプソンを用いた治療を行った結果,早期に治療改善を認めた。