著者
榊原 良太
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.46-58, 2015-09-30 (Released:2015-10-08)
参考文献数
34
被引用文献数
6 13

Emotion regulation is necessary for psychological health. In recent years, especially, cognitive emotion regulation has attracted considerable attentions. The purpose of the present study was to develop a Japanese version of Cognitive Emotion Regulation Questionnaire (CERQ), and to investigate whether the usage tendency of and the relation with psychological health of cognitive emotion regulation is determined by the intensity of negative emotion. In Study 1, Japanese-version CERQ was developed and examined its reliability and validity. In Study 2, first, it was revealed that all strategies except positive refocusing were significantly different in the use tendency. Under the low negative emotion condition, positive reappraisal, put into perspective, self-blame, and refocus on planning were frequently used. And then, multiple regression analysis showed that under the low negative emotion condition, positive reappraisal predicted lower anxiety and depression, but catastrophizing predicted higher anxiety and depression. In contrast, under the high negative emotion condition, rumination and catastrophizing predicted higher anxiety, and self-blame predicted higher depression. These indicated that the usage tendency of and the relation with psychological health of cognitive emotion regulation is determined by the intensity of negative emotion.
著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011-03-25
被引用文献数
1

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.<BR>当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
著者
長谷川 元洋 上野 顕子 新谷 洋介 清水 克博 榊原 博美
出版者
日本消費者教育学会
雑誌
消費者教育 (ISSN:13451855)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.137-147, 2022 (Released:2022-10-13)
参考文献数
10

The purpose of this study is to examine if the participant students' learning was accomplished as teacher training as well as consumer education when the consumer education lessons with the Question Formulation Technique (QFT), which is a type of active learning method with which students use questions that they formulate on their own, was practiced as a part of their teacher training course. The authors implemented those consumer education lessons with QFT into five student-teacher classes at the university level. By analyzing the data from the post-class questionnaires and the textual data of the students' impressions of the lessons, it was confirmed that the students were able to learn both teaching skills and consumer education skills.
著者
榊原 清則
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.26-33, 2010-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
24

組織研究の柱のひとつはイノベーション研究である.サイモンの『人工物の科学』は,組織論を科学として確立するためのアジェンダを示した重要な業績であるが,組織とイノベーションに関心を持つ研究者の立場で言えば,別種のアジェンダもあり得る.本稿では,「意味や価値を論じる人工物の科学」という方向で組織研究の将来を展望する.
著者
倉岡 紗樹子 高橋 索真 豊澤 惇希 石田 正也 香川 朋 榊原 一郎 泉川 孝一 石川 茂直 和唐 正樹 稲葉 知己
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.237-242, 2018 (Released:2018-03-20)
参考文献数
16

症例は87歳の女性.大腸内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎が疑われ,プレドニゾロン40mg/dayの投与が開始され,1週間後より大量の暗赤色便を繰り返すようになった.上部消化管内視鏡検査にて,胃十二指腸粘膜は粗造で浮腫状,広範囲に白苔を伴い,極めて易出血性であった.胃十二指腸からの生検病理組織にて多数の線虫様虫体を認め,便検査にて多量の糞線虫を確認し,糞線虫症と診断した.イベルメクチン9mg/dayの2週間連日投与を行い,全身状態は改善を認めた.免疫抑制療法に伴う消化管出血では,腸管寄生虫症は留意されるべき病態と考える.特に,広範囲の粘膜表層に炎症を認めた場合は,粘膜生検が寄生虫疾患の診断に有用である.
著者
榊原 隆次
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.412-417, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
24

Parkinson's disease (PD) is a common neurodegenerative disorder, and lower urinary tract (LUT) dysfunction is one of the most common autonomic disorders, and nocturia is the major LUTS in PD with an estimated incidence rate of 70%. We review the pathophysiology of bladder dysfunction in PD, lower urinary tract symptoms (LUTS), objective assessment, and treatment options. In patients with PD, disruption of the dopamine D1–GABAergic direct pathway may lead to LUTS. Overactive bladder (OAB) is the most common LUT symptom in PD patients, and an objective assessment using urodynamics commonly shows detrusor overactivity (DO) in these patients. The post–void residual (PVR) volume is minimal in PD, which differs significantly from multiple system atrophy (MSA) patients who have a more progressive disease that leads to urinary retention. However, subclinical detrusor weakness during voiding may also occur in PD. Regarding bladder management, there are no large, double–blind, prospective studies in this area. It is well recognised that dopaminergic drugs can improve or worsen LUTS in PD patients. Therefore, an add–on therapy with anticholinergics is required. Beta–3 adrenergic agonists are a potential treatment option because there are little to no central cognitive events. Newer interventions, such as deep brain stimulation (DBS), are expected to improve bladder dysfunction in PD. Botulinum toxin injections can be used to treat intractable urinary incontinence in PD. Transurethral resection of the prostate gland (TURP) for comorbid BPH in PD is now recognised to be not contraindicated if MSA is excluded. Collaboration of urologists with neurologists is highly recommended to maximise a patients' bladder–associated QOL.
著者
榊原 弘之 高木 将志
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-97, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
15

近年,特に地方部において,地域活性化における大学生の貢献が期待されている.一方,多くの地方大学が大学所在地域に関する学習プログラムを導入しつつある.本研究では,中国・四国・九州地方の大学生を対象としたウェブアンケート調査を実施し,地域に関する学習プログラムが学生のまちづくり参加意識に及ぼす影響を定量的に評価した.調査の結果,学所在地に関する学習経験を有する学生は,そのような経験のない学生と比較して,WS,インターンシップ,イベント運営への参加意欲がいずれも有意に高いことが示された.特に,他大学との交流が少ない学生や地方部の学生など,社会ネットワークの形成において相対的に不利な立場にあると考えられる学生ほど,学習プログラムが参加意識の向上に与える効果が高いことが示唆された.
著者
須磨 幸蔵 円治 康浩 堀 原一 種谷 節郎 堺 裕 小笠原 長康 谷口 堯 榊原 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.59-64, 1974-01-15

植込式心臓ペースメーカーが諸外国6)10),わが国28)で用いられるようになってから約10年を経過する。この間,以前カエルやイヌなどの動物において認められていた電気生理学上の諸現象,たとえば絶対不応期,相対不応期,細動受攻期(vulnerable period),過常期1),Wedensky現象17)32)などが,ヒトの心臓でも実際に確められるようになってきた。 過常期(supernormal phase)は相対不応期の終りにおける一過性に興奮性の高まる時期をさす。興奮性にはexcitability (被刺激性)とconductivity (伝導性)の2つの面がある。より弱い刺激で反応が起これば被刺激性が高いとされる。より容易に,またはより早く興奮が伝導されれば伝導性がよいとされる。両者とも興奮性が高まった状態である。過常期にも,この両者に相当する場合があり,この時期においてその前後の時期にくらべて弱い刺激で反応する過常期興奮(supernormal excita—bility)の場合と興奮の伝導が速く容易になる過常期伝導(supernormal conductivity)の場合とがあり,両者を含めて過常性(supernormality)と呼ぶこともできる。
著者
石井 カルロス寿憲 榊原 健一 石黒 浩 萩田 紀博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2679-2687, 2006-12-01
参考文献数
20

Vocal fry(フライ)は,声帯振動の様式に起因する声質の一種であり,気分的にテンションが低くリラックスしている場合や,強い感情や態度の表現の際に喉頭を力んだ場合に生じ,バラ言語や非言語情報を伝達する役割をもっている.本論文は,音声信号からフライ区間を自動的に検出することを目的としている.フライは通常発声よりも低い基本周波数の範囲で生じやすい.ゆえに,典型的な固定フレーム長の短時間処理が問題となるが,その解決策として,本論文では声帯パルスに同期した手法を提案した.具体的には,フライの声帯パルスのインパルス的な特性とダンピング特性を考慮し,超短時間処理で求めたパワー軌道から声帯パルスの候補となるパワーピークを検出する.検出されたパワーピークにおいて,周期性とパルス間類似度を用いて,フライであるか,それともインパルス的な雑音であるかを判定する.評価実験として,パワーピーク検出・周期性・パルス間類似度に関連するしきい値パラメータを様々な条件で分析した.その結果,73%の高い検出率と4%の低い挿入誤り率により,自動的にフライ区間が検出可能であることが示された.
著者
塩原 みゆき 榊原 沙耶 川端 博子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.148-154, 2015-02-20 (Released:2017-11-28)
参考文献数
7

UV加工を施したストッキング類が市販されているが,これら伸縮性のある商品の着用時の効果については明らかではない.本研究では,伸縮性のあるアイテムのうち,ストッキングとタイツについて,着用時のUV防御能を持つ条件を調べた.試料を脚部ボディに履かせ,「足首」「ふくらはぎ」「大腿部」の3か所から直接,着用時のサンプルを採取し,透過率,UPF,空隙率を測定した.着用時に伸張するストッキングやタイツ類のUV防御能には空隙率が大きく影響し,空隙率が大きいほどUV防御能は低下した.ストッキングでは糸が細く空隙率が大きいため,UV防御能を有せず,UV加工を施しても効果が認められないことが分かった.タイツでは,空隙率が大きくなると色相よりも明度の影響を受け,明度が低いほどUV防御能が高い.黒色の場合は,空隙率が10%以下であればUV防御能を有することが分かった.また,タイツのUV防御能はデニールではなく重さと相関があることが確認された.
著者
榊原 章一 中野 崇 加藤 一夫 中垣 晴男 福田 理
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.459-464, 2011-12-25 (Released:2015-03-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1

齲蝕は歯垢中の細菌が産生する酸が歯質を脱灰することによって起こる。一方フッ化物は齲蝕予防効果があり,歯垢中に低濃度で常時存在することでそれを発揮する。フッ化物による齲蝕予防効果の1 つに歯垢細菌の糖代謝に対する抗酵素作用があり,菌体外への乳酸などの有機酸の生成を抑制する。本論文ではフッ化物の具体的な効果を解明するため,250 ppmF NaF 溶液を用いた際の,歯垢細菌へのフッ化物の影響を調査した。NaF 溶液で洗口した群を実験群,蒸留水で洗口した群を対照群とし,各群の洗口後,10 分後に10%グルコース溶液にて洗口を行い,更にその後5 分後に歯垢採取を行い,採取した歯垢のフッ化物,乳酸及びグルコースの濃度を測定した。本実験より以下の結果を得た。・実験群では,フッ化物濃度は有意に上昇した・実験群ではグルコース洗口後の乳酸の産生濃度が有意に減少した・実験群ではグルコースの残留量が多い傾向にあった本実験の結果より,フッ化物洗口によってフッ化物イオンが歯垢中に取り込まれ,歯垢細菌の乳酸産生を抑制したことが明らかとなった。しかしながら,NaF 溶液による歯垢中フッ化物濃度の上昇は一時的であるため,今後は歯垢中フッ化物濃度を長時間高濃度に維持する方法について検討が必要である。
著者
成田 徹男 榊原 浩之
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-01-10

現代日本語の表記原則では、およそ次の3つの規則がある。規則1:漢語は「漢字」で書け。規則2:和語は「漢字」または「ひらがな」または「両者の交ぜ書き」で書け。規則3:外来語は「カタカナ」で書け。つまり、当該語の、語種の認定が前提となっているのである。 しかし、最近ではこの規則に合致しない、和語や漢語のカタカナ表記例が多くなっている。それをインターネット上の新聞・雑誌などのサイトに見られる実例について調査して、延べで2119語、異なりで855語の例を得た。そのような表記がさかんになされる背景には、語種以外の、語の分類を、表記文字の使い分けの基準とするような意識があると考えられる。そこで、上記のような規則とは別に、次のような表記戦略を仮説として提示する。語種を基準にしてカタカナを使うのは明らかな外来語についてだけ。それ以外については、たとえば動物名かどうか、などの語の分類が基準として優先される。日本語の、文字の使い分けの習慣は、この方向へ変化しつつあると思われる。
著者
榊原 志代
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.59-75, 2008-12-30

This paper examined how interpersonal relationships can be expressed prosodically in the Italian greeting "Buongiorno". A factor analysis of the perceptual ratings of natural utterances yielded two factors: (1) psychological distance based on intimacy, and (2) power relationship. Correlation analyses showed that the level of intimacy can be reflected in the rise of F0 in the first syllable and/or in the fall of F0 in the final syllable. Moreover, not only the direction of F0 movement but also its range and the syllable duration seemed to reflect psychological and power relationships.
著者
及川 欧 榊原 雅人
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.33-38, 2021 (Released:2021-05-19)
参考文献数
12

コロナ禍の臨床現場では今 「直接触れ合う」 ことを避ける傾向にある. 今まで通りバイオフィードバック治療/施術を行えるように, 著者らは日本バイオフィードバック学会独自の医学系・工学系・心理学系の連携を背景に, 最近日本でよく用いられるようになった遠隔webビデオ会議システムを用いた新しい形の治療法を試案した. 具体的な治療法は, 1990年代から一貫して用いている, 自律訓練法, バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせた方法である. 今回, 5例の冷え症の女性に遠隔治療を試みて症状改善が得られ, その結果をNHKの全国放送で発表した. 時代に応じ, 治療法にICT (Information and Communication Technology) を駆使した新しい試みだが, 治療する/される側, 発信する側/視聴する側それぞれには, 今まで以上にICTを 「適切に」 使いこなすための 「リテラシー」 が要求される. 本稿では, 「リテラシー」 に関する著者らなりの見解を示す.
著者
榊原 哲也
出版者
医学書院
雑誌
看護教育 (ISSN:00471895)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.398-403, 2018-05-25

近くて遠いベナー パトリシア・ベナー(Patricia Benner, 1943─)。おそらく読者のみなさん誰もがご存知の看護理論,看護教育理論の世界的権威です。多くの著作が日本語に翻訳され,読者の関心も高く,みなさんの多くは,おそらく書棚に『ベナー看護論』をはじめ何冊かの著作を備え,多少なりともその理論にふれておられることと思います。また,たびたび来日して講演会や講習会が開かれていますので,みなさんのなかには,書物を通じてだけでなく,講演会や講習会に参加してベナーの話に直接耳を傾けた方もおられるかもしれません。さらに,ベナーによる5段階の技能習得モデルがご自身の臨床現場で教育プログラムやキャリアラダーに採用されていて,とても身近だという方もいらっしゃるのではないかと察します。 このように,おそらくは,多くのみなさんがベナーに関心を持ったり,身近に感じたりしているにもかかわらず,他方では,実際にベナーの著作を読んでみると,難しい,そもそも理論はよくわからないという方も,決して少なくないと聞き及びます。