著者
沼澤 俊 有本 久美 横山 茂樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>バスケットボール選手において足関節捻挫は頻発する傷害の一つであり,高校生の年代では多くの選手が既往歴として有している現状がある。しかしその危険因子は未だ明らかになっておらず,十分な予防の対策が行われているとは言い難い。</p><p></p><p>今回,我々は大阪府バスケットボール協会の活動の一環として,高校生バスケットボール選手の足関節捻挫に繋がる身体的特性を調査し,傷害発生との関連性を把握することを目的として,事前に身体所見を検査した上で足関節捻挫を受傷した者の特徴について検証したので報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は大阪府バスケットボール協会に登録し,2015年度夏季大阪府大会ベスト8以上に進出した男女各3チームの高校1・2年生,181名(男子106名,身長:173.4±6.9cm,体重:62.7±7.6kg,女子75名,身長:163.9±6.9cm,体重:57.5±6.4kg)とした。</p><p></p><p>調査項目は,①足関節捻挫の既往歴などのアンケート調査,②身体特性(身長・体重・体脂肪率・骨格筋量など),③下肢関節可動域,④下肢アライメント(Q-angle,Leg-Heel angleなど),⑤筋力(片脚立ち上がり能力や足趾把持筋力,体幹筋力),⑥片脚閉眼立位保持時間,⑦足・膝関節の関節位置覚,⑧片脚3段ホッピングによるパフォーマンス測定とした。</p><p></p><p>足関節捻挫受傷前にメディカルチェックによる調査を行い,その後半年間における足関節捻挫を含む傷害発生の有無を調査した。尚,傷害発生は初発・再発を含む「練習を一日でも休むに至った傷害」を判定基準とした。</p><p></p><p>足関節捻挫の発生状況と受傷前の身体的所見との関係について各項目における相関関係を調査した。統計処理にはSPSSver25を使用しSpearmanの相関係数にて,有意水準はp<0.05とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>メディカルチェックを受けた対象181名で,足関節捻挫を受傷した者は男子25名(右足受傷者15名・左足受傷者10名),女子10名(右足受傷者6名・左足受傷者4名)の計35名であった。男子では,足関節捻挫受傷の有無と荷重下での下腿前傾角度に負の相関がみられ(右:r=-0.262,p=0.007,左:r=-0.245,p=0.011),非荷重下でのQ-angleにおいて正の相関がみられた(右:r=0.285,p=0.003,左:r=0.236,p=0.015)。一方,女子では足関節捻挫受傷の有無と身体所見との間の相関関係を認めず,男子のような傾向はみられなかった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>男子高校バスケットボール選手において,足関節捻挫を受傷しやすい足では,荷重下での足関節背屈可動域が少なく,非荷重下でのQ-angleが大きい傾向が示唆された。しかし女子選手では同様の傾向がみられず,足関節捻挫の受傷要因には性差の影響を受ける可能性が示唆された。</p>
著者
豊田 裕 横山 峯介 星 冬四郎
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.152-157, 1971-06-25 (Released:2008-05-15)
参考文献数
19
被引用文献数
218 214

ICR-JCL系成熟雄マウスの精巣上体尾部から採取した精子をKrebs-Ringer-Bicarbonate液を基本とする 培養液内に懸濁させ,5%CO2,95%空気,温度37°Cの条件で3~120分の種々の時間培養した後,体外受精に供した。卵子としてはHCG注射後16~17時間の過排卵卵子を用いた。その結果,体外に培養された精子は雄から採取直後の精子よりも早く卵子に侵入することが明らかとなり,in vitroにおいてマウス精子の受精能獲得が起こることが示唆された。追記: 本報の投稿後に知ったIwAMATSU&CHANGの最近の報告(J.exp.Zool.175,271,1970)によると,1)精巣上体精子は牛の卵胞液の存在下に授精後約1時間から卵子への侵入を開始し侵入率は授精後5時間まで漸増する。2)牛の卵胞液とともに3~4時間体外培養された精子は新鮮精子よりも早く卵子へ侵入する,ことが報じられている。前報の成績17)に比し侵入時期が早くなっているのは技術的な改良によると推察している。ただし,牛の卵胞液を用いずに精子を前処理する試みはなされていない。
著者
豊田 裕 横山 峯介 星 冬四郎
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖研究會誌 (ISSN:04530551)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.147-151, 1971-06-25 (Released:2008-05-15)
参考文献数
19
被引用文献数
236 260

ICR-JCL系成熟雄マウスの精巣上体尾部から採取した精子と,HCG注射後16~17時間の成熟雌マウスの卵管膨大部から採取した過排卵卵子を用いて体外受精を試み受精の初期の過程を観察した。培養液としてはKrebs-Ringer-Bicarbonate液を基本としたものを用い,5%の割合で炭酸ガスを混じた空気の下に37°Cで1/2~5時間培養した。その結果,培養開始後30分では卵子への精子侵入(透明帯通過)は認められなかったが,1時間後には約23%の卵子に侵入がみられ2~5時間後に検査された331個の卵子の約94%に精子侵入がみられた。このうち卵細胞内に明らかに精子が認められ受精の初期の過程にあると認められたものは294個(88.8%)であった。
著者
横山 勝三 Shozo YOKOYAMA
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 = Transactions, Japanese Geomorphological Union (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.303-311, 2013-10-25

阿蘇カルデラの外輪山には多数の安山岩質岩塔(トア)が見られる.その多くは,きわめて強く帯磁しており,その強い磁性はクリノメーターを使って容易に捉えられる.この強く帯磁した岩石すなわち磁石石は,落雷の影響で生じたと思われる.これらの磁石石(トア)の上面には風化穴(weathering pit,ナマ)がみられるものがある.一方,落雷の近年の報道には,花崗岩やコンクリートなどの建造物に損傷を与えた事例がある.また,いくつかの空港の滑走路上に落雷で小孔が生じた事例も報告されている.このような落雷の破壊力から判断すると,落雷で岩石表面に孔が生じる可能性はきわめて高い.これらのことから,磁石石上の風化穴は,落雷による最初の小孔(initial depression)の形成から始まったと考えられる.Numerous tors of andesite are found on the somma of Aso caldera, Kyushu, Japan. Many of them are very strongly magnetized as can be detected easily by a geologic compass. Such strongly magnetized rocks, namely lodestones, are presumed to have been formed by the effect of lightning strike. Weathering pits are found on some of the top surfaces of the lodestone tors. According to the recent reports, there are examples of lightning strikes which damaged constructions of granite and concrete. Also, pits on runways formed by lightning strikes have been reported from some airports. Judging from the destructive power of lightning strikes, it is highly probable that pits are formed on rock surfaces by lightning strikes. Thus, it is interpreted, from these, that the weathering pits on the lodestones started from initial depressions formed by lightning strikes.
著者
横山 徳爾
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.5-54, 2001-12

ヨーク朝最後の国王であるリチャード三世(Richard III, 1452-85, 在1483-85)は, 在位わずか2年2か月弱ののちに, 1485年8月22日にレスターシャーのボズワース・フィールドにおいて, リッチモンド伯ヘンリー・チューダー(Henry Tudor, Earl of Richmond)に敗れ, 32歳にして落命した。リチャードの死によってヨーク朝は滅亡し, 28歳のヘンリー・チューダーがヘンリー七世(Henry VII, 1457-1509, 在1485-1509)として即位し, チューダー朝が成立した。……
著者
横山 一博 尾中 俊之 鈴木 善晴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_499-I_504, 2015 (Released:2016-01-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The current study conducted numerical experiments using nonhydrostatic mesoscale meteorological model to examine the mitigating effect of weather modification in the early stage of cloud development by cloud seeding on torrential rains. Based on simulated two heavy rain events in the Kitakyushu and Tokai regions of Japan, sensitivity analysis was performed by manipulating some conditions of cloud seeding implementation, i.e., area, height, time, duration time etc., in incremental steps. As a result, by carrying out cloud seeding in the early stages of cloud development, the mitigating effect was acquired from two or more viewpoints, and the mitigating effect appeared compared with the stage of cloud development. Results show that rainfall area and hourly rainfall, as well as maximum areal rainfall, can be decreased by cloud seeding, depending on the condition of its implementation, and that the number of cases with rainfall mitigation tends to be greater than that with rainfall promotion. It was also clarified that in the case of rainfall mitigation by cloud seeding the vertical updrafts at peak hour can become weak and the supplementary process can be supressed with increase of ice crystals after cloud seeding.
著者
有馬 和代 横山 美江
出版者
大阪市立大学大学院看護学研究科
雑誌
大阪市立大学看護学雑誌 (ISSN:1349953X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-9, 2018-03

本研究は、これまでの結核におけるDOTS対策に関する文献学的考察を行い、今後のDOTS対策推進に寄与することを目的とした。引用文献の検索には、医学中央雑誌web版を用いて原著論文の検索を行った。検索された54件の文献を、日本版DOTS戦略に基づき4つの視点で整理し、法的改正等の動向も交えた。結果、院内DOTSは、患者教育、服薬支援、保健所との連携が重要であり、医療連携は、結核専門機関から一般医療機関へ、医療と服薬支援が的確に繋がるしくみの必要性が指摘されていた。地域DOTSは、患者をアセスメントし、中断リスクや患者のニーズから患者に合うDOTS実施が重要であり、かつ、これらの活動には、患者と信頼関係を築きながら服薬支援する重要性が報告されていた。DOTS推進のためのツールやしくみは構築されつつあるが、一方で支援者に必要とされてきた姿勢を蔑ろにする状況も報告されていた。今後DOTS実施者が、患者中心の服薬支援を行う重要性を的確に継承するための研究が求められる。
著者
菅原 喜行 斉藤 禎二 矢作 孔一 横山 淳一 青木 庸好 甘利 徳邦
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.80, 2002

埼玉スタジアム2002は、アジア最大級のサッカー専用スタジアムである。それにふさわしいピッチ照明として(1)建築意匠との調和(2)FIFAの基準を満足する照度&middot;均斉度(3)ハイビジョン画像として優れた色再現を得る光源の採用(4)緊急時における試合続行可能な照度の確保を照明計画の要点とした。光源の選定にはユニフォーム着用の被写体をスチール&middot;TVカメラでの撮影による客観的評価とアンケートによる主観的評価を行ない最も評価の高い組み合わせを採用した。実際の設備では大屋根最前列と客席上部の2列に配置した2kW高演色ショートアークメタルハライドランプ152灯と同ロングアークランプ204灯により、水平面維持照度2000lxを確保している。相関色温度は5550ケルビン&middot;Ra89となっている。また、ショートアーク器具は全数瞬時再点灯形とし、選手&middot;観客に対して安全性を考慮している。
著者
横山 秀司 中村 直史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.98, 2007

<BR>1.はじめに<BR> 本研究は,福岡県の御笠川流域を例として,高度経済成長期以前の都市から山地までの景観構造を景観生態学的に明らかにし,現在との比較を試みたものである。まず,大正期に測図された1:25,000旧判地形図の土地利用をデジタル化し,それにデジタル化されたゲオトープ図(地形と地質)上に重ね合わせて,大正期の景観生態学図を作製した。そこで出現したポリゴンをエコトープとして判断した。それを,同様に平成10年測図の地形図から作製したエコトープと比較・検討する。<BR><BR>2.景観変遷<BR>2-1 大正時代の景観生態学図<BR> まず,前回作製した「福岡圏域の景観生態学図」から御笠川流域の地形・地質分類図を抜き出した。これをベースにして,大正時代の土地利用図をオーバーレイした。ただし,地形・地質分類図は平成時代のものであるので,人工改変地はすべて周囲の地形に合わせて,山地・丘陵,ないしは台地・段丘に修正した。「大正時代の景観生態学図」とも称すべきこの図では,11のエコトープに分類することができる。<BR> エコトープ1:流域の花崗岩からなる山地・丘陵部であり,森林で被われている。御笠川最上流部の宝満山周辺,牛頸川上流部の牛頸山地などに分布する。<BR> エコトープ2:花崗岩からなる山地・丘陵部であり,草地(茅場)として利用されていた。四王寺山地,三郡山地,高尾丘陵などでかなり広い面積を占めていた。<BR> エコトープ3:Aso-4火砕流堆積物に被われ山地・丘陵で,森林であるもの。二日市市街地から石崎付近までの西鉄大牟田線東側の丘陵部分に典型的に現れている。<BR> エコトープ4:Aso-4火砕流堆積物や段丘堆積物で形成された台地・丘陵上に立地した集落がのる。御笠川上流部の北谷集落,太宰府天満宮とその周辺,中流部の白木原,筒井,雑餉隈,井相田,上麦野・下麦野,諸岡,板付などの集落がこれに該当する。<BR> エコトープ5:Aso-4火砕流堆積物や段丘堆積物で形成された台地・丘陵上を森林が被う。御笠川上流部の北谷,水城の近くに位置する国分集落南に広がる緩斜面,二日市市街地の西などに見られていた。<BR> エコトープ6:台地・丘陵上の畑・桑畑である。エコトープ4の周辺や混在して島状に分布する。<BR> エコトープ7:台地・丘陵上の森林。春日原から雑餉隈付近,諸岡・牟田付近に島状に分布していた。<BR> エコトープ8:沖積平野上の集落域であり,御笠川の下流域に点在していた。特に,現在は福岡空港の敷地になっている地域に見られた。<BR> エコトープ9: 沖積平野の水田。御笠川とその支流の沖積低地および谷底平野に広く分布していた。<BR> エコトープ10:沖積平野の畑・桑畑。下流部の野入付近などに若干分布していた。<BR> エコトープ11:海浜・砂丘上の集落・市街地であり,博多の旧市街地はここに形成されていた。<BR> 2-2 現在の景観生態学図<BR> 大正時代のエコトープは現在どのように変化したであろうか。平成10年の景観生態学図からエコトープ毎に見てみたい。<BR> エコトープ1:御笠川最上流部の宝満山周辺,牛頸川上流部の牛頸山地などに残存する。<BR> エコトープ2,3,4,6,7,10:消滅ないしはほとんど消滅した。<BR> エコトープ5:御笠川上流部の北谷,水城の近くに位置する国分集落南に広がる緩斜面,二日市市街地の西などにわずかに残存。<BR> エコトープ8:大規模に拡大。<BR> エコトープ9: わずかに点在するのみとなった。<BR> エコトープ11:ほとんど変化なし。<BR> 以上のように,農業的土地利用はわずかに残存するのみとなり,森林も半減した。減少した部分は市街地に変化した。また,大正期にはなかったエコトープとして次のエコトープが新たに生じた。<BR> エコトープ12:火成岩地の人工改変地の市街地。春日市や大野城市の牛頸川上流山地・丘陵地のうち標高約150mまでの地域,および太宰府南の高尾山付近はほとんどが人工改変され市街地となった。<BR> エコトープ13火成岩地の人工改変地のゴルフ場・その他。12とほぼ同じ山地・丘陵域が人工改変され,ゴルフ場や霊園として造成されたエコトープである。<BR> その他,山地地域にはダム湖が造られ,河口には埋立地に市街地・工場等ができた。<BR><BR> 今後は,この景観生態学図の精度を高めることと,現地での景観生態学的調査を実施して,景観の構造と機能を詳細に明らかにしていきたい。
著者
國光 洋二 片岡 剛士 横山 重宏 今井 一雄
出版者
THE ASSOCIATION OF RURAL PLANNING
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.204-214, 1999-12-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
5

Effective demand creation due to the public investment is important factor for the activation of regional economy. This effect is called the flow effect of the project. The purpose of this paper is in analyzing how much effective demand can be created by the public investment project in the region. For this purpose, I improve the regional I/O model classified by road construction project, sewer and park construction project and agricultural and forestry development project. And I calculate the amount of production and the number of workers caused by the execution of each project. The results are as follows.At first, as shown in the inverse matrix coefficients, if we ignored the land and compensation fee rate and the regional distributive conditions of the budget, the effect of each public investment project becomes almost same level. But by the kind of project, there are some differences in land and compensation fee rate, and in regional distributive conditions of the budget. Due to these differences, the flow effect varies in the kind of project and the region. For example, this effect of sewer and park construction project is remarkable in the urban prefecture, and this effect of agricultural and forestry development project is biggest in the rural prefecture. The road construction project has little effect in both of the urban and the rural prefecture, compared with other projects.Secondly, in all kinds of public investment project, not only the local project induces the production inthe rural prefecture but also it induces the production in the urban prefecture, through out the industrial structure. In agricultural and forestry development project, the amount of production that flows from the rural prefecture to the urban prefecture is more about 10% of the whole. Other most parts influence the rural economy.
著者
横山 昌平 石川 博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.56-67, 2011-01-15

近年,人類の創出する情報量は急速に増大しており,さらにセンサネットワーク等,莫大な情報を創出する新技術の普及が迫っている.そのような増大し続ける情報の「見える化」には,情報を閲覧するデバイスの高解像度・高精細化が重要である.本論文では複数のモニタを並べて仮想的な高解像度表示領域を得るTiled Display Wallという手法による,高精細な「見える化」基盤技術を提案する.Tiled Display Wallの従来手法ではOSレベルでの簡易な仮想デスクトップか,あるいは高度な分散レンダリングをともなう実装が必要であり,実際的なアプリケーションにおける開発・運用が容易ではなかった.その問題に対し,我々は,Tiled Display Wallのアプリケーションを軽量なWeb技術に基づいて容易に開発する基盤技術を提案する.Web技術は開発者人口も多く,またすでに多数のサービスが提供されている.本論文では提案手法を用いた応用の例示として,Google Maps API等既存のWeb APIを利用したマッシュアップによる超高解像度Webアプリケーションの実例を紹介する.
著者
清水 康敬 山本 朋弘 堀田 龍也 小泉 力一 横山 隆光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.293-303, 2008
参考文献数
4
被引用文献数
13

授業でのICT活用による学力向上を実証するために,全国の教員に依頼して,ICTを活用した授業と活用しない授業を実施した結果を報告してもらい,それらを総合的に分析評価した.まず,授業を実施した教員が決めた評価の観点に基づいて分析し,ICTを活用した授業を実施した教員は,ICT活用によって児童生徒の学力が向上すると実感していることを示した.また,授業後に,児童生徒の意識調査に関するアンケートを実施してもらい,因子分析を用いて因子を抽出し,因子ごとにICT活用の有無による差を調べたところ,授業にICTを活用した場合の方がいずれの因子においても有意に高い効果が得られることを示した.さらに,授業後に実施した児童生徒に対する同一の客観テストの結果を総合的に分析評価し,ICTを活用した授業の方が,活用しない授業よりテストの成績が有意に高いことを示した.
著者
横山 麻季子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.59-71, 2006-09-28 (Released:2010-06-15)
参考文献数
43
被引用文献数
1

行政評価を実施する地方自治体が増加するなか、評価を導入あるいは試行することが行政サービスの向上に影響を与える要因となるのか否かについての実証的な研究は、まだ不足している段階である。よって本稿では、行政評価システムと行政サービスとの関係について、計量的手法による検証を試みた。2000年度、2002年度、2004年度の全国市区のクロスセクション・データを使用し、被説明変数に「行政サービス度」を、説明変数に評価システムの導入・試行に関するダミー変数を投入して、最小二乗法による回帰分析を行ったところ、行政評価を実施すること、なかでも評価を導入すること、また導入年数が長いことが、行政サービスの向上に寄与するという結果が得られた。
著者
加納 和雄 Jowita Kramer 横山 剛 田中 裕成 Sebastian Nehrdich 中山 慧輝 小南 薫
出版者
対法雑誌刊行会
雑誌
対法雑誌 (ISSN:24355674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.63-98, 2021 (Released:2021-08-01)

The present paper is the first of a series of textual studies on Sthiramati’s Tattvārthā on Abhidharmakośa(bhāṣya) 4.35–44. The series will provide a Sanskrit text and an annotated Japanese translation of the Tattvārthā together with texts and translations of Vasubandhu's Abhidharmakośabhāṣya and Saṃghabhadra’s *Nyāyānusāriṇī 順正理論 . The *Nyāyānusāriṇī, the earliest available commentary on the Abhidharmakośabhāṣya, is frequently quoted by Sthiramati explicitly and silently. Therefore it is one of the most important witnesses for understanding the Tattvārthā. Abhidharmakośa 4.35–44 deals with the attainment and the abandonment of the three kinds of the unmanifest (avijñapti), i.e., restraint (saṃvara), non-restraint (asaṃvara), and neither-restraint-nor-non-restraint (naiva-saṃvara-nāsaṃvara). This paper focusses on Abhidharmakośa 4.35 and its commentaries, which mainly discuss the scope of the three kinds of restraint (i.e. prātimokṣasaṃvara, dhyānasaṃvara and anāsravasaṃvara).