著者
田川 元也 山本 勝 横山 淳一
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.78-81, 2010

介護保険制度は,開始から10 年が経ち,日本の高齢者福祉を担う制度として定着してきているといえよう。しかし,民間企業やNPOなど多様な事業者によるサービス提供により成り立つとされた制度創設時の理念とは裏腹に,安定したサービスが継続して提供されているとは言いがたい状況にある。そこで,まず,サービス提供者の立場から現行制度の問題点の整理を行う。その上で,民間のサービス提供者が顧客ニーズを的確に把握し,利用者本位のサービスを提供しながら,なおかつ事業として採算性を保つために必要なマーケティング的視点についての提言を行う。
著者
横山 英信
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
アルテス リベラレス (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
no.96, pp.93-113, 2015-06

日本の政権は,2009年8月の総選挙でそれまでの自民党・公明党連立政権から民主党・社民党・国民新党連立政権(10年5月に社民党は連立離脱)へ交代したが,12年12月の総選挙の結果,民主党政権から自公連立政権(=安倍政権)へ再び交代した。そして,この政権再交代の下で,日本農政の動向も変化している。 民主党連立政権の農政の中軸に位置づけられた「農業者戸別所得補償制度」(以下,戸別所得補償制度)は,以前の自公政権の下で07年度から開始された,農業生産に係る価格・所得補填の対象を一部の大規模経営体に限定する「品目横断的経営安定対策」(08年度から「水田・畑作経営所得安定対策」と改称)とは異なって,全農業者を対象とする価格・所得補填措置であった。09年8月の総選挙で民主党が大勝した一因も,その際の選挙公約として打ち出した戸別所得補償制度が多くの農業者の支持を得たことにあった。 この戸別所得補償制度に対して,当時野党であった自民党は「バラマキ政策」と批判しており,それゆえ,政権再交代後の農政に戸別所得補償制度を否定する色合いが見られるのは半ば当然であるが,それは以前の自公政権下の農政にそのまま戻ったものではない。 すなわち,価格・所得政策を見るならば,それは品目横断的経営安定対策に単純に復帰したわけではなく,以前とは異なった特徴を持つものになってきた。加えて注目すべきは,政権再交代後の農政には,戦後農政の基底をなしてきた米政策・農地政策の基本的枠組みを根底から再編しようとする方向が明確に打ち出されていることである。 このような農政再編は,現在,農林水産省が13年12月に公表した「4つの改革」をベースに据えて進められている。その帰趨は今後の日本農業・農村の動向に大きな影響を与えることになろう。 以上に鑑みて,本稿は,政権再交代後の農政再編の内容とその基本的な性格を,近年における日本農政の展開動向を踏まえて明らかにすることを課題とする1)。
著者
田近 英一 家 正則 石津 守康 広報誌編集委員会 合田 圭介 横山 央明
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.9-11, 2017-07-20

理学部ガイダンス2017報告/小平桂一名誉教授が2017年春の叙勲 瑞宝重光章を受章/理学部合同防災訓練を実施/理学系研究科・理学部交歓会/化学専攻の木下川さんのチームが「製品アイデアコンテストUTokyo1000k」で優勝されました/「宇宙流体力学の基礎」
著者
名倉 秀子 中川 杏奈 徳久 美歩 横山 未来 芝崎 本実 林 綾子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

<br><br>【目的】餡は豆類を加熱し,でんぷんを含んだ細胞を集めて調味したペースト状の食品であり,生餡に砂糖を加えて練餡が調製される。この甘味の練り餡は,室町時代に砂糖が輸入されたことに伴い,用いられるようになったが,それ以前は塩味の塩餡が使用されていたといわれる。また,近年では砂糖の入手が困難な戦時中に塩餡を家庭で調理する事もあったようである。一方,埼玉県の郷土料理である「塩あんびん」は塩餡を餅で包んだ餅菓子で,塩味が特徴的である。そこで,「塩あんびん」の喫食時期,喫食方法,調理法などを実態調査し,伝承するために必要な材料配合,塩餡の性状を検討することを目的とした。<br><br>【方法】地域の商工会議所等に「塩あんびん」を扱う店舗等を問い合わせ,和菓子店より喫食方法等を聞き書き調査し,さらに餅菓子を入手した。市販「塩あんびん」の特徴を得るために,大きさ(直径,厚さ),重量,餅と塩餡の割合,塩餡の食塩濃度を測定した。また,塩餡の調製を試み,色調,テクスチャー,水分等から練餡との比較を行った。<br><br>【結果】「塩あんびん」は,昭和40年頃まで北埼玉地域の農業を営む家で春祭りや秋祭りの行事,慶事や仏事に調理し,近隣や親せきに届け,喫食されていた。現在,家庭で調理する事は少なくなり,この菓子を扱う和菓子店がおよそ20件あげられた。店頭に並べられる「塩あんびん」は店により菓名(表記名)が異なり,直径5.7~8.5 cmで重量は71.4~171.8 gと様々な大きさで,食塩濃度0.7~2.0%,1個あたりの価格は130~330円と幅があった。塩餡は練餡と比較すると,色調が白く,硬さ応力が大きく,付着性が低く,まとまりにくく,やや厚めの餅皮で包むことが明らかになった。
著者
小林 弘典 藤本 三喜夫 中井 志郎 宮本 勝也 横山 雄二郎 坂下 吉弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.2517-2521, 2013-09-25
参考文献数
16

症例は11歳の男児で,下腹部痛を主訴に受診した.腹部造影CTでSMV rotation signを認め,小腸は右側,結腸は左側に偏在しており,下腹部正中に腫大した虫垂を認めたため,腸回転異常症併存急性虫垂炎と診断し緊急手術を行った.全身麻酔下に臍切開単孔式手術を行い,マルチプルトロカール法にて5mmトロカールを2本穿刺した.腹腔内を観察しnonrotation typeの腸回転異常症であることおよびLadd靱帯やpedicleなどの異常膜状構造物がないことを確認した.虫垂の同定は容易であり,トロカール穿刺間の筋膜を小切開し虫垂を引き出し直視下に虫垂切除を行った.腸回転異常症併存急性虫垂炎に対して腹腔鏡手術を施行した症例の報告はまれであり,腸回転異常症併存急性虫垂炎に対する単孔式腹腔鏡補助下手術の有用性を若干の文献的考察を加え報告する.
著者
白井 康之 横山 彰一
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.210-217, 2018-07-20 (Released:2018-08-03)
参考文献数
34

We have been developing a conduction cooled HTS-MRI that is driven by a power supply in order to solve the long-lasting attenuation of the screening current induced on superconducting tapes at the time of initial excitation and the difficulty with REBCO tape superconducting junctions, as well as a superconducting switch for persistent current operation. A power supply system consisting of two exciters, one for charging and discharging and the other for holding the magnet current, is proposed and developed. The supply system is equipped with a control block to compensate the magnetic field deviation caused by the screening current. We carried out a magnetic field stability experiment using a 32-H HTS-MRI magnet excited by the power supply system proposed which was equipped with specially designed micro-current control.
著者
横山 豊治
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.89-98, 2003

ソーシャルワーカーに焦点を当てて創作され、放映された連続テレビドラマである「天使のように生きてみたい」(1992年)の第1回放送分について、そこでのソーシャルワーカー像の描写の仕方をソーシャルワークの専門的視点から検討した。映像作品で一般に紹介されることが稀なソーシャルワーカーを主人公が目指す職種に設定し、この職種への関心を喚起している上に、厳しい経営環境の中でも患者サービスの向上を図る目的からソーシャルワーカーを新たに雇用し、専門の相談室を開設するという病院の取り組みを描くことで、医療機関におけるこの職種の有用性も示唆していた。しかし、養成教育のプロセスが簡略化されており、志望者に求められる専門知識・技術とその習得に要する努力が極めて軽く扱われている上、ソーシャルワーカーと他の医療職が立脚する根本的な価値観・基本的理論に関して大きな誤解を招くセリフが主人公によって明言されており、適切さを欠いていた。
著者
土石流研究グループ 奥西 一夫 横山 康二 諏訪 浩 矢野 勝正 大同 淳之 奥村 武信 中島 暢太郎 枝川 尚資
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.691-705, 1971-09
被引用文献数
1

A new observation system for rocky mudflow was designed by the Mudflow Research Group.The system consists of a detector on mudliow arrival and automatic switch circuit for VTR, 35mmcamera and firing of flare tube in order to record the state of moving mudflow. In addition to thissystem, rain gauges and water level recorder are necessary for the survey of hydrological characterin a small mountaineous basin. During last summer in 1970, the observation system and hydrolo-gical survey instruments had been set along Kamikamihori valley at eastern slope of Mt. Yake andtested in regard to the practical effectiveness. The front velocity (1-5 m/see) of mudflow wasmeasured correctly from the record obtained by the new system.
著者
武藤 剛 横山 和仁 遠藤 源樹
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.200-209, 2018 (Released:2018-05-31)
参考文献数
82
被引用文献数
5 8

Japan is currently facing serious social problems related to low birth rates and aging. We propose two possible solutions from the perspective of occupational health. First, companies should establish support systems to help working women with pregnancy and childbirth. Such systems would require the cooperation and understanding of coworkers, including men, and the introduction of flexible work schedules that are also designed to allow workers to care for family members with disabilities. Additionally, with regard to the protection and promotion of the fertility of working women, occupational health staff members should provide education to working women regarding appropriate lifestyle choices in areas such as diet, prevention of work-related health problems, and mental health before and after childbirth. Moreover, workers undergoing assisted reproductive technology procedures should be supported as they experience physical, mental, and economic burdens associated with this process. Second, companies should guarantee the right of workers to take a sick leave and then return to work so they can balance work and the need to treat chronic conditions. Occupational staff members should follow up employees who return to work, by offering, for example, mental health care to cancer survivors. They should also play important roles in preventing the exacerbation of disease and empowering workers to continue their visits to medical institutions. Collaborative study bridges between companies and medical institutions are necessary for the promotion of these harmonization schemes.
著者
横山 泰
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.175-179,A12, 1962

β一オキシーα,α一ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(I)はベンゼン中五酸化リンにより,エトキシカルボニル基の1・2一転位したジメチルアトロバ酸エチル(II)を生成するD。これが脱水試剤の特殊性によるか否かを確かめる目的で種々の脱水剤を用いた結果,1はきわめて脱水され難いが多量の濃硫酸と処理するとジメチルアトロバ酸と若干のメチル基の転位し元生成物が得られることを見いだした。またこのカルボキシル基の転位が一酸化炭素の脱離と再付加による分子間転位でないことを確かめた。Iのρ-メチル,ρ一クロル置換体も同様の転位を起すことを見いだした。これら脱水反応に関連して脱臭化水素反応を検討する目的で,β一プロムーα,飴ジメチルーβ一フェニルプロピオン酸エチル(II)の液体アンモニア中カリウムアミドとの反応を行なった結果,カルボキシル基の1,2一転位したジメチルアトロバ酸アミドが得られることを見いだした。IIの硝酸銀との反応では置換隼成物のみが得られた。
著者
横山 尊
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.139-160, 2021

<p>This paper tries to provide precise understanding of the historical background and current status of prenatal diagnosis from the standpoint of historical studies of Japanese eugenics. SectionⅠargues that the prototype of the prenatal diagnosis and genetic counseling in the modern era were not sterilization laws such as the 1940 National Eugenic Law and the 1948 Eugenic Protection Law, but rather eugenic marriage and genetic counseling in the prewar era. SectionⅡdiscusses the status of the argument about abortion for fetal abnormality, amniotic diagnosis, and genetic counseling. Especially, this paper relativizes the stereotypes generated by the disability rights and women's liberation movements, and tries to understand trends in prenatal diagnosis by utilizing oral histories from the Fukuoka area. Moreover, this paper stresses that the existence of voluntary eugenics has been wrongfully neglected in the historical studies of eugenics in Japan, and that the introduction of amniotic diagnosis in the 1970s should be included in that consideration. Taking cognizance of the above factors, this paper tries to situate prenatal diagnosis and genetic counseling within the history of eugenics, while at the same time looking ahead to a better understanding of the history and current state of prenatal diagnosis and eugenics.</p>
著者
横山 詔一 笹原 宏之 當山 日出夫
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.16-26, 2006
被引用文献数
2

文字コミュニケーションのメカニズムを解明するため,異体学の選好に関する実験を行った.異体字とは,「桧-檜」のように読みと意味は同じで字体だけが異なる文字の集合を指す.IT機器で漢字を書いている場面を実験参加者にイメージさせ,異体学263ペアについての選好判断を2肢強制選択法で求めた(選好課題).同じ実験参加者グループに対して半年後に同じ課題を与え,旧字体選好率の積率相関係数を求めたところ,r=0.96ときわめて強い正の相関がみられた.これから,選好課題の結果は高い信頼性を有することが明らかになった.さらに,別の実験参加者グループを用いて異体学ペアのいずれの親近度が高いかを2肢強制選択法で判断させ(親近度比較課題),選好課題との相関を分析した.その結果,親近度比較課題と選好課題の間にはr=0.95ときわめて強い正の相関関係がみられた.ある異体学が社会でよく使われている場合は人間がその異体学に接触する頻度が高くなり,接触頻度が高くなると単純接触効果によってその異体学に対する親近性が増加するとともに好意度も高くなると考えられる.選好課題と親近度比較課題の間に見られる強い相関関係は,単純接触効果の影響を色濃く反映した結果であると説明できる.