著者
三上 泰正 高舘 正男 横山 裕正 川村 陽一 小林 渡 舘山 元春 前田 一春 工藤 龍一 中堀 登示光 小山田 善三 工藤 哲夫
出版者
青森県農林総合研究センター
雑誌
青森県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:03887650)
巻号頁・発行日
no.41, pp.45-62, 2007-03

水稲新品種'恋ほのか'は、青森県農業試験場(現青森県農林総合研究センター)において、全量炊飯型香り米の育成を目標に、'関東154号'(後の'サリークイーン')と'ハツコガネ'のF3個体を母とし、'ふ系143号'(後の'ヤマウタ')を父として人工交配を行い、その後代から育成された香り米の粳種である。2000年から'青系香144号'の系統名で「あおもり米優良品種の選定試験(水稲奨励品種決定、基本調査)」に供試され、栽培特性と利用方法の両面から検討を行った結果、従来の米と異なる新たな需要が期待されることから、2004年2月に青森県の第1種認定品種に指定された。'恋ほのか'の出穂期及び成熟期は'むつほまれ'より遅く、熟期は'つがるロマン'並の「中生の中」に属する。草型は「偏穂数型」で、稈長は「短稈」であるが、倒伏抵抗性は「中」である。障害型耐冷性及びいもち病抵抗性は「強」である。玄米の形はやや細長く、'むつほまれ'より玄米品質はまさり、玄米千粒重は軽く、収量性は低い。炊飯米はポップコーンのような香りがあり、白飯のほかに、ピラフ、パエリア、リゾット等の各種調理飯に利用できる。
著者
井上 莞志 田中 健太 田中 貴宏 松尾 薫 横山 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.931-938, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

近年、地球温暖化と都市ヒートアイランド現象による都市高温化が進んでおり、特に多くの人が利用する都心部においては、快適な屋外空間を形成するために、熱環境改善策を積極的に取り入れた都市環境デザインが求められる。またこのような取り組みを効果的に進めていくためには、都市内における熱環境改善策導入が優先度の高いエリアの抽出が必要である。そのため、広域の気温分布形成要因の分析から中心市街地周辺の気候的特徴(特に海風効果と河川効果)を把握し、さらに中心市街地の熱環境の詳細な現状把握とその形成要因分析を行った上で、中心市街地における熱環境改善策導入推進エリアを抽出することを目的とした。その結果、都心部の昼間の気温分布は河川距離、周辺緑量、周辺建物密度に影響を受けており、その中でも陸風が止み、かつ海風が十分に発達する前の時間帯で地表面被覆の影響が相対的に強くなる。これらの気温形成要因と猛暑日の定義から熱環境改善策導入推進エリアの抽出し、建物密度を減らしつつ、緑化を推進することが効果的であることを示唆した。
著者
山田 岳史 菅 隼人 松本 智司 小泉 岐博 進士 誠一 松田 明久 山岸 杏彌 横山 康行 高橋 吾郎 岩井 琢磨 青木 悠人 町田 幹 内田 英二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.403-407, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
11

【背景】絞扼性イレウスの本態は消化管の虚血であるため,診断には造影CTが重要であるが,どのような所見が有用であるか明らかではない。【方法】術前に造影CTが施行された壊死性絞扼性イレウス15例と非壊死性絞扼性イレウス25例を対象に造影CT所見を検討した。【結果】70%以上の頻度で認められたものは腸間膜血管の拡張(70.0%),腸管壁の肥厚(72.5%),腸間膜浮腫(80.0%)であった。腹水,腸管壁の造影欠損,Kerckringの不明瞭化,腸間膜混濁は壊死群で有意に高率に認めた。【考察】絞扼性イレウスを造影CTで早期に診断するには,壊死性絞扼性イレウスで多く認められる,腹水や造影欠損よりも腸間膜血管の拡張,腸管壁の肥厚,腸間膜浮腫等の変化を見逃さないことが重要である。
著者
横山 茂樹 千住 秀明 管原 正志 田井村 明博
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 = Bulletin of Nagasaki University School of Health Sciences (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.63-68, 2002-12

この研究の目的は,運動中において腹式呼吸による呼吸コントロールの有効性を明らかにすることである.対象は12名の健常男性とし,運動負荷は自転車エルゴメーターを用いて,Ramp負荷法によって最大酸素摂取量(maximum oxygen intake:Vo2max)の80%(80%Vo2max)まで施行した.実験条件は呼吸コントロールを行わない場合と,運動開始時から腹式呼吸を用いて呼吸コントロールを行った場合の2条件とした.呼吸代謝測定は呼気ガス分析器を用いて分時換気量(minute ventilation:VE)や体重あたりの酸素摂取量(oxygen intake/body weight:Vo2/BW),一回換気量(tidal volume:TV),呼吸数(respiratory rate:RR),心拍数(heart rate:HR)などの換気パラメータを測定した.その結果,運動中における腹式呼吸の効果としてVE減少やTV増加,RR減少が確認できた.また80%Vo2maxの運動負荷中において,運動初期にVEをはじめRR,HRの項目にCentral command説によると考えられる一時的な変化がみられた.運動時間70%以降の運動後半において,腹式呼吸によってVo2/BW増加とVE/Vo2減少という影響が出現していた.またV-slope法による無酸素性作業閾値(anaerobic threshold:AT)ポイントも,腹式呼吸により有意に高値を示しており,有酸素系エネルギーの供給が高められると考えらえた.
著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝 石川 行弘
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.156, 2006

【目的】鳥取県のカニ類の平成17年度漁獲量は6,800tで全国1位を誇り、全国シェアの約20%を占める。カニの1世帯当たり年間購入量は鳥取市で全国平均の約6倍の6,141g(16年度)であり、カニ消費量は全国1位である。今回、日本調理科学会特別研究_-_魚介類の調査_-_より鳥取県におけるカニの調理実態を明らかにすることを目的とし、カニの種類、入手方法、料理出現率、調理方法、日常食・行事食への利用などを中心に検討した。<BR>【方法】調査地域として日本海沿岸地域の県東部岩美町、県中部赤碕町、県西部境港市および県東部山間地域の智頭町の4地域を選定した。平成15年11月から平成16年4月にかけて、総数63世帯の30歳代から70歳代の調理担当者を対象に、日常食・行事食に用いる魚介類について、その摂食状況をアンケートならびに聞き取りにより調査した。<BR>【結果】鳥取県で食されるカニは、ズワイガニ(松葉ガニ、親ガニ、若松葉の総称)、ガザミ(ワタリガニ)などが主であった。入手方法は「購入」が約60%を占め、「自給・その他」が20%程度認められた。出現率の高い料理としては「ゆでガニ」「カニ汁」「カニすき」「カニ飯」などがあり、これらは全調査地域に共通して認められた。調理法については、岩美町、境港市では「ゆで物」が全料理件数の30%から50%と高く、「ゆで物」の他にも様々な調理法が用いられていた。年代別にみると40、50、60歳代は調理法の幅が広いのに対し、30、70歳代では調理法の限定化傾向が認められた。正月・冠婚葬祭などの行事食における利用は少なく、親ガニのみそ汁・鍋物・ご飯物など日常食として約90%が利用されており、秋季から冬季の味覚として県民に親しまれていることが確認された。
著者
峯田 真悠子 新井 康弘 野本 真広 横山 敦子 稲葉 晶子 木村 泰 橋元 崇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-212_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【目的】椎体骨折は高齢者の代表的な骨折であるが、明確な安静臥床期間が定まっておらず、安静にて椎体変化や偽関節の予防が困難と報告されている。そのため、早期離床による活動量の確保が重要であるが、体動痛のために身体機能の詳細な評価が困難な場合が多い。椎体骨折の予後不良因子として、椎体の後壁損傷や骨密度低下といった骨要因による報告は多いが、骨要因以外の報告は少ない。近年、椎体骨折を始めとする骨折患者のサルコペニアの有病率が高く、骨折の危険因子であると報告されている。サルコペニアの評価はCTの大腰筋面積から診断する研究が散見されるが、対象は消化器や循環器疾患であり、椎体骨折患者の大腰筋面積とリハビリテーションの関連は明らかになっていない。大腰筋は、歩行能力と密接に関係することが明らかとなっており、大腰筋面積は椎体骨折患者の身体機能を予測する一助になると考える。そこで本研究では、椎体骨折患者の大腰筋面積を基にしたサルコペニアとリハビリテーションの関連性を検討することを目的とした。【方法】当院に入院した椎体骨折患者233名のうち、死亡と入院前歩行不能例、骨折合併例、転移性骨腫瘍による骨折例、陳旧性骨折例、手術施行例、データ欠損例を除いた130名(平均年齢79.7±9.6歳、男性42名、女性88名)を対象とした。サルコペニアの指標はCTの第3腰椎レベル横断像で大腰筋面積を算出し、身長の2乗で除した値をPsoas muscle index(以下PMI)として用いた。PMIを各性別における下位1/4をサルコペニア群と定義し、2群に分類した。調査項目は基本情報(年齢、Body Mass Indexなど)、医学的情報(既往、椎体骨折数、椎体圧潰率、血液データ、geriatric nutritional risk index(以下GNRI)など)、リハビリ経過(入院から離床開始までの日数、各歩行補助器具による歩行練習開始まで日数、入退院時歩行様式、Functuonal independence measure(以下FIM)など)とし、2群間で比較検討した。また、PMIと各調査項目の相関関係を検討し、そこで有意な相関関係を認めた項目を独立変数、従属変数を退院時歩行FIMとする重回帰分析を実施した。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】非サルコペニア群(年齢:81.7±9.8歳、男/女:11/21名、PMI:6.20±1.54cm2/m2)は、サルコペニア群(年齢:79.1±9.5歳、男/女:31/66名、PMI:3.49±0.62cm2/m2)と比較してBMI、GNRI、退院時独歩の割合、退院時歩行FIMは有意に高値を示し、椎体骨折数と椎体圧潰率は有意に低値を示した(それぞれp<0.05)。またPMIと年齢、GNRI、椎体圧潰率、退院時独歩の割合、退院時歩行FIMは有意な相関関係を示した(p<0.05)。さらに重回帰分析の結果、抽出された因子は年齢、入院時独歩の割合、大腰筋面積を基としたサルコペニアの有無であった(p<0.05、R2=0.31)。【結論】椎体骨折患者の大腰筋面積は退院時の歩行能力に関連することが示唆された。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、調査から得られたデータは個人が特定されないよう統計処理を行った。
著者
重松ロカテッリ 万里恵 河野 崇 山中 大樹 立岩 浩規 北岡 智子 横山 正尚
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.29-32, 2017

<p>鎮痛薬の有効性はプラセボ・ノセボ効果の影響を強く受ける.特に,鎮痛薬への期待と不安は,それらの発現に重要と考えられる.今回,臨床実習前の医学生を対象として新規に説明を受けた鎮痛薬の期待と不安の関係についてアンケートを用いた予備調査を行った.医学部4年生(108名)に対し,弱オピオイド鎮痛薬のトラマドールの説明を通常臨床と同様に行った.その後,トラマドールの鎮痛効果への期待と副作用の不安について11段階で評価した.その結果,トラマドールの鎮痛効果への期待度と副作用の不安度には有意な正の相関が見られた(Spearmanの順位相関係数:0.392).鎮痛薬のプラセボ効果を最大限にして,ノセボ効果を最小限にすることは医療従事者にとって永遠の課題といえるが,その達成のため今後もさらなる検討が必要と考えられる.</p>
著者
横山 俊一郎
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
文化交渉 : Journal of the Graduate School of East Asian Cultures : 東アジア文化研究科院生論集 (ISSN:21874395)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.125-139, 2014-09-30

Yamada Kodo was a graduate of Kaitokudo, a private educational academy in Osaka, Japan. As a politician he became involved in the educational administration of Shikama prefecture during the Meiji Restoration, and as a manager, he made eff orts to promote the local sericulture industry. This paper will focus on the relationship between Kodo and Hakuen-juku, another private educational institution based in Osaka.
著者
横山 真哉 寺田 裕樹 猿田 和樹 陳 国躍 張 興国
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.89-90, 2019-02-28

交通事故における状態別死者数は歩行者が最も多く、その中でも高齢歩行者が犠牲になるケースが多い。また、歩行者事故のうち約7割が道路横断中に発生することも明らかになっている。そこで、我々は高齢歩行者の車道横断能力を教育することによって、交通事故の低減に貢献することを考えた。過去に様々な横断体験シミュレータ―が開発されているが、交通環境を3DCG、歩行を足踏みや手動ボタン等で再現する場合が多く、現実感が失われ、完全に横断を再現できていない。したがって、本研究では実在の車道に仮想の車両を重畳する拡張現実を用いた車道横断能力教育システムを開発し、若年者及び高齢者に対するシステムの有効性を評価したので、その結果を報告する。
著者
山根 雅子 横山 祐典 三浦 英樹 前杢 英明 岩崎 正吾 松崎 浩之
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.329, 2008

近年開発された表面照射年代測定法は、二次宇宙線の作用により岩石の石英中に生成される宇宙線照射生成核種 (TCN) の濃度から、地表面が宇宙線に被爆した期間を直接求める手法である。この手法によって、これまで不確定性が高かった、南極氷床の最終退氷の時期が明らかになりつつある。発表者の研究グループは、東南極リュツォ・ホルム湾の露岩域から採取された岩石試料の石英に含まれる<SUP>10</SUP>Beと<SUP>26</SUP>Alの定量を行ない、この地域における氷床変動の研究を進めている。東南極のマック・ロバートソンランド、西南極のマリー・バードランド、南極半島においても、この手法を用いた最終退氷の時期に関する研究が行われている。TCNを用いたこれらの研究結果から、(1) 南極のどの地域も最終退氷の時期は完新世であること、(2) 東南極氷床は西南極氷床や南極半島氷床より気温の変化など、氷期の終焉によりもたらされた環境変化に対して、相対的に安定していたことが示唆された。
著者
横山 浩
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.21, pp.36, 2005

(目的)飼育下のニホンザルを適正に飼育管理するためには個体数調整が不可欠である。しかしその方策としての余剰個体の搬出は最小限に留めるべきである。千葉市動物公園ではオトナメス(飼育頭数10&sim;20頭)へのホルモン剤のインプラントなどの避妊措置を実施してきたが、インプラントを行うヒトにもされるサルにも負担が重く、確実で負担が軽い方法として、ニホンザルの季節繁殖性に着目した、オスメス別居飼育による繁殖制限を中心に個体数調整を行ってきた。<br> (方法)1998年から完全繁殖制限のため、交尾期の始まる10月中旬からオトナオス(1&sim;2頭)を群れからはずし、室内ケージで別居飼育した。交尾期終了と共に、ふたたび群れに戻した。この方法で2001年まで行った。2002年は繁殖制限しなかった。2003年からは少数繁殖を目的として2&sim;3頭のオトナメスを選抜し、室内ケージでオトナオスと同居させて交配を試みた。<br> (結果)上記の方法により、1999年から2004年までの総繁殖頭数を9頭、年平均1.5頭に抑えることができた。(これ以前の年平均繁殖頭数は6頭)。また室内ケージにおいて少数繁殖が可能なことが確認できた。当初懸念されたオトナオス不在による群れの乱れや、移動に伴う激しい攻撃的行動も発生しなかった。一方で交尾期が長引き(別居飼育終了後の3月に交尾例あり)、別居飼育の期間を4月過ぎまで延長する必要があった。<br> (考察)上記の方法は単純、確実ではあるが、オトナオスが多数である場合、多くの飼育スペースが必要になりまた、別居飼育期間が半年近くに及ぶなどの難点がある。一方、個体選抜による交配を行うことで、近親交配を避け、計画的繁殖に基づいた個体数調整を行うことも可能である。しかしながら個体数調整を単一の方法で行うには限界がありいくつかの方法と併せて行う必要があると考えられる。
著者
横山 俊治 水口 真一 藤田 勝代 嘉茂 美佐子 菊山 浩喜
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.30-39, 2002-06-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

本論文では, 花崗岩地域において水平地震動によって引き起こされる落石の発生場所や, 落下方向, 落下距離を予測する方法を考察した。多くの落石は, 地震動がおそらく増幅したと思われる尾根や遷急線近傍で発生した。地震被害は風化した岩石や割れ目の多い岩石よりも比較的新鮮で割れ目の乏しい岩石で大きかった。それで地震時落石の卓越する運動タイプは, 尾根上にあった花崗岩巨礫の転倒・転落と, 遷急線近傍に位置する新鮮な岩石が露出している崖で発生する節理で囲まれた岩塊の横跳び, 道路切土法面の頂部付近で発生する強風化花崗岩中の弱風化岩塊の横跳びであった。落下方向は震源断層に直交する傾向がある。道路切土法面から自由落下した落石の到達距離は落石発生場所の高さとほぼ等しくなる傾向がある。これらの特徴に基づいて, 花崗岩地域の地震時落石発生場所の選定ツールを提案した。
著者
石川 幹子 カビリジャン ウメル 黎 秋杉 横山 紗英
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.753-760, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は、2008年5月に発生した四川汶川大地震における都江堰市の復興緑地計画の考え方と10年間の復興のプロセスを検証し、巨大災害の復興における自然環境を生かした社会的共通資本(グリーン・インフラストラクチャー)の特質を明らかにしたものである。第一に復興の目標は、2300年の歴史を有する古代水利工により網の目のように発達した水路網を基盤として、世界遺産生態都市の再構築をめざしたものであり、生態系の回廊が創り出された。農村地域の再生は途上であるが、文化的景観として、継承されてきた「林盤」の保全・再生が大きな課題となっており、本研究では、詳細なフィールド調査に基づく、データベースを作成し、現地調査を踏まえて、林盤の構造と特色を明らかにし、これを踏まえて、保全・再生に向けた基本的視座の提示を行った。
著者
嶋根 章 岡嶋 克則 木内 邦彦 横井 公宣 寺西 仁 青木 恒介 千村 美里 津端 英雄 斎田 天 宮田 大嗣 高橋 八大 鳥羽 敬義 大石 醒悟 三好 直貴 月城 泰栄 高谷 具史 小林 征一 山田 愼一郎 谷口 泰代 矢坂 義則 林 孝俊 横山 光宏
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.421-428, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
15

植込み型除細動器(ICD)の心臓突然死予防効果は,多くの大規模臨床試験で実証されてきた.しかしながら,ICDのショック作動は不適切作動でさえも,予後の悪化と関連すると報告されている.ICDのショック作動の予後に対する影響を明らかにするため,器質的心疾患を有するICD症例253例〔男性79%,平均年齢63±11歳,1次予防36%,平均左室駆出率(LVEF)38±14%〕につき検討した.追跡期間(中央値1,428日)中,適切,不適切ショック作動ともに62例(24.5%)の症例で認め,55例が死亡した(心臓死31例).多変量解析で年齢(ハザード比1.044,p=0.007),LVEF(ハザード比0.969,p=0.011),血清クレアチニン値(ハザード比1.867,p<0.001),心房細動あるいは心房頻拍の既往(ハザード比2.093,p=0.012),適切ショック作動(ハザード比2.777,p=0.001)が全死亡の独立した予測因子であった.一方で,不適切ショック作動は全死亡と関連しなかった.ICDのショック作動が直接生命予後に与える影響は,少ないと考えられる.適切ショック作動は,心室不整脈の再発や新規発症を示す,生命予後不良のマーカーと考えられる.
著者
我妻 康平 横山 佳浩 仲瀬 裕志
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.414-421, 2018-11-25 (Released:2019-02-25)
参考文献数
33

炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は、若年者に好発し、本邦においてその患者数は増加の一途をたどっている。IBDの治療には異常な免疫の制御を目的に、グルココルチコステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤などが使用されている。その治療効果は確立されているが、全身投与のため長期使用により有害事象が懸念される。また、抗炎症性サイトカインの投与による治療が期待されてきたが、半減期が短く全身投与では必ずしも効果は期待できない。全身への副作用を軽減し、腸管特異的な治療効果が期待できる方法としてDrug delivery system(DDS)がある。現在までは、抗炎症物質を産生するよう遺伝的改変された腸内細菌によるDDSを用いたIBDモデルに対する治療効果のさまざまな報告がなされている。Interleukin(IL)-10を産生する腸内細菌の報告が多いが、近年その他の抗炎症物質での報告も増えている。一方、用いる腸内細菌や抗炎症物質による効果の比較や、安全性の評価、環境への広がりのリスク評価など、今後の検討を積み重ねていく必要がある。