著者
横山 千枝子
出版者
英米文化学会
雑誌
英米文化 (ISSN:09173536)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.47-56, 1995

Murdoch thinks that love is to recognize others and to regard them as independent from and equal to oneself as well as to respect them. Moreover, she thinks that love can be acquired by being attentive to God. She says that both God and Good are the concordant point of everything which is located far from ourselves. In Unicorn, Hannah, who lives in Gaze Castle and is the heroine of this novel, finds comfort in agony. She is captured by the illusion that others and even she herself regards her as God, until she dies. Max, who is a scholar studying Plato, knows Good through books but cannot enter the situation of Good. He, who becomes Hannah's heir after her death, is captured by age and books. Through their attitudes to God and Good, Murdoch develops her idea about God and Good in her work. First, I will examine how the idea of Murdoch about God and Good is treated and then examine Murdoch's idea that God is identified with Good.
著者
坂本 淳哉 後藤 響 近藤 康隆 本田 祐一郎 片岡 英樹 濱上 陽平 横山 真吾 中野 治郎 沖田 実
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AcOF2005, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 先行研究によれば,関節包に由来した拘縮の発生メカニズムとして線維化の発生が指摘されている.ただ,この線維化の発生状況を詳細に検討した報告はなく,その発生メカニズムも明らかになっていない.一方,手掌腱膜の線維増生によって生じるDupuytren拘縮は,コラーゲン合成に関わるサイトカインを産生する筋線維芽細胞の著しい増加がその発生メカニズムに強く関与しているとされ,肺や肝臓などといった内蔵器の線維化にも筋線維芽細胞の増加が関与していることが近年報告されている.つまり,不動による関節包の線維化に対しても筋線維芽細胞の増加が関与しているのではないかと仮説できる.そこで,本研究では,膝関節不動モデルラットの関節包における線維化の発生状況と筋線維芽細胞の変化を組織学的・免疫組織化学的手法を用いて検討した.【方法】 実験動物には12週齢のWistar系雄性ラット12匹を用い,無作為に無処置の対照群(n=5)と両側後肢を股・膝関節最大屈曲位,足関節最大底屈位にてギプス包帯で4週間不動化する不動群(n=7)に振り分けた.実験開始時は,各群すべてのラットを麻酔し,0.3Nの張力で膝関節を伸展させた際の可動域(ROM)を測定した.そして,実験終了時は,不動群においては前述の方法でROMを測定した後,両側後肢後面の皮膚を縦切開し,膝関節屈筋群を切除した後に,再度,ROMを測定した.なお,対照群においては皮膚の切開や筋の切除は行わず,麻酔下でROMを測定した.その後は,両側膝関節を摘出し,最大伸展位の状態で組織固定を行い,脱灰処理の後,矢状断にて2分割し通法のパラフィン包埋処理を行った.そして,右膝関節の各試料から5μm厚の連続切片を作製し,105μm厚(連続切片21枚)につき1枚,のべ3枚の切片を抜粋し,コラーゲン線維の可視化のためにPicrosirius Red染色を施した.次に,各試料の染色像における後部関節包を40倍の拡大像でコンピューターに取り込み,画像処理ソフトを用いて画像上に縦,横50μm間隔に格子線を描いた.そして,後部関節包のコラーゲン線維束上に存在する格子線の交点の総数を計数し,対照群の平均値を基準に不動群のそれを百分率で算出した.また,筋線維芽細胞のマーカーとして使用されている抗alpha-smooth muscle actin(alpha-SMA)抗体を用いて免疫組織化学的染色を施した後,後部関節包におけるalpha-SMA陽性細胞の出現率を計測し,各群で比較した.なお,統計手法にはMann-WhitneyのU検定を適用し,5%未満をもって有意差を判定した.【説明と同意】 本実験は,長崎大学動物実験指針に基づき長崎大学先導生命科学研究支援センター・動物実験施設で実施した.【結果】 実験終了時の不動群のROMは,対照群のそれに比べ有意に低値を示し,不動群のすべてのラットは皮膚の切開と筋の切除後もROM制限が残存していた.次に,Picrosirius Red染色像を検鏡すると,不動群では後部関節包の肥厚や線維増生が認められた.そして,前述の方法で画像解析を行った結果,対照群の平均値に対する不動群の百分率は有意に高値を示した.また,不動群におけるalpha-SMA陽性細胞の出現率は対照群のそれに比べ有意に高値を示した.【考察】 今回の結果,実験終了時の不動群のROMが対照群のそれに比べ有意に低値であったことから,拘縮の発生は明らかである.そして,不動群では皮膚の切開と筋の切除後もROM制限が残存しており,これは関節構成体にも拘縮の責任病巣が存在することを示唆している.先行研究によれば,正常関節の運動時の組織抵抗寄与率は関節構成体の中でも関節包が最も大きいといわれており,この残存したROM制限は関節包に由来するところが大きいと考えられる.そして,Picrosirius Red染色像の画像解析の結果は,不動群の後部関節包におけるコラーゲン増生を示しており,不動によって線維化が発生しているといえよう.そして,不動群に認められたalpha-SMA陽性細胞の出現率の増加は,筋線維芽細胞の増加を意味しており,これは不動によって惹起された後部関節包の線維化の発生に関与していると推察される.ただ,線維化の発生時期やその分子メカニズムは不明であり,今後の検討課題と考える.【理学療法学研究としての意義】 今回の結果は,ラット膝関節を屈曲位で4週間不動化すると後部関節包に線維化が惹起され,この変化には筋線維芽細胞の増加が関与する可能性が見出された.つまり,これらの結果は,関節包由来の拘縮の発生メカニズムの解明の一助になる成果と考える.
著者
横山 順一
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.1, pp.163-179, 2011-03

2000年代に入り大都市、特に東京都心の空間は、大資本や行政が牽引する力によってその姿を大きく変えてきている。そこでは超高層マンションや大型複合施設によって形成される開発空間が誕生しているが、同時にその袂に隙間的、裏道的と呼べるような空間もまた生成、もしくは発見されてきている現実がある。本論はこのような東京都心部の空間再編成過程においてたち現れてきている隙間空間としての「裏道」に注目し、その形成過程の把握とそれが今日の都市空間に対して有する意味の検討を目的とする。またその際、生活や経済活動の舞台として「裏道」を選んだ人々にとってそこがどのように生きられているのかという点に特に注目する。本論の構成は以下の通りである。はじめに問題の所在を述べ、次に方法論の検討として、都市サブカルチャー研究と消費社会論的都市研究、場所論、社会学的意味論という3つの領域の諸研究を検討する。第3に本論が対象とする港区元麻布エリアにある「裏道」を地理的特徴と物質的特徴から捉え、第4に、2000年代に入り「裏道」に付与された意味の検討を通し、そこを生活や経済活動の舞台として選んだ人々の活動実践を捉えていく。そして最後に、ニッチ産業を生きる人々による濃密なコミュニケーションへの注目から「裏道」の今日的な意義を論じる。
著者
倉前 正志 豊島 悠輝 前田 享史 横山 真太郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.260-267, 2008-10-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
14

CELSS (閉鎖生態系生命維持システム) とは系外と物質の授受を行わない閉鎖空間内を, 系内での物質循環により人間が生活できる環境に保つシステムである。本研究ではCELSSの物質循環を解析する第一段階として, (財) 環境科学技術研究所・閉鎖型生態系実験施設 (CEEF) の実際の設定を参考に, CELSSの数理モデル化に必要な構成要素の検討とそれに基づくモデル化を行った。今回の検討ではO2およびCO2に着目し, 食物生産は植物栽培により賄うこととした。居住区, 植物区, O2タンク, CO2タンク, 湿式酸化装置, 酸素再生装置の6要素でモデルを構成し検討を行った結果, 適切に属性値を設定することで各区画のO2・CO2濃度が長期間で安定し, 閉鎖系内で安定した物質循環を行ううえで少なくともこの6要素が有効であると示唆された。また, CEEFの属性値を用いて検討を行った結果, 時刻により変動する人間および植物の代謝量にも, 設定を変更することで応用可能性があることが示された。
著者
海老原 章郎 新海 暁男 中川 紀子 増井 良治 三木 邦夫 横山 茂之 倉光 成紀
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.403-410, 2006-12-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
29

The final goal of this research project is the understanding of all fundamental biological phenomena in terms of physical chemistry. As a model organism for the structural and functional studies, an extremely thermophilic bacterium, Thermus thermophilus HB8, is very promising because of the small genome size, the availability of genetic tools for functional analysis, and the thermostability of its proteins (http: //www.thermus.org/) . In this report, we summarize the recent progress of this research project toward the systems biology.
著者
江玉 睦明 久保 雅義 大西 秀明 稲井 卓真 高林 知也 横山 絵里花 渡邉 博史 梨本 智史 影山 幾男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0563, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】アキレス腱(AT)障害の発生メカニズムとしては,これまで踵骨の過回内による「whipping action(ムチ打ち)」が要因であると考えられてきた。しかし,近年では,踵骨の回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として重要視されてきている。この原因としては,ATの捻れ構造が関与している可能性が示唆されていが,ATの捻れの程度の違いを考慮して検討した報告はない。従って,本研究は,踵骨を回内・回外方向に動かした際にATを構成する各腱線維束に加わる伸張度(%)を捻れのタイプ別に検討することを目的とした。【方法】対象は,我々が先行研究(Edama,2014)で分類したATの3つの捻れのタイプ(I:軽度,II:中等度,III:重度の捻れ)を1側ずつ(日本人遺体3側,全て男性,平均年齢:83±18歳)使用した。方法は,下腿部から踵骨の一部と共に下腿三頭筋を採取し,腓腹筋の筋腹が付着するAT線維束とヒラメ筋の筋腹が付着するAT線維束(以下,Sol)を分離し,腓腹筋内側頭が付着するAT線維束(以下,MG)と外側頭の筋腹が付着するAT線維束(以下,LG)とに分離した。そして,各腱線維束の踵骨付着部の配列を分析して3つの捻れのタイプに分類し,各線維束を3-4mm程度にまで細かく分離を行った(MG:4~9線維,LG:3~9線維,Sol:10~14線維)。次に,下腿三頭筋を台上に動かないように十分に固定し,Microscribe装置(G2X-SYS,Revware社)を使用して,各腱線維の筋腱移行部と踵骨隆起付着部の2点,踵骨隆起の外側の4点をデジタイズして3次元構築した。最後に,任意に規定した踵骨隆起の回転中心を基準に作成した絶対座標系上で踵骨を回内(20°)・回外(20°)方向に動かした際の各腱線維の伸張度(%)をシミュレーションして算出した。解析には,SCILAB-5.5.0を使用した。統計学的検討は,Microscribe装置測定の検者内信頼性については,級内相関係数(ICC;1,1)を用いて行った。【結果】級内相関係数(ICC;1,1)は,0.98であり高い信頼性・再現性が確認できた。タイプ毎の伸張度(%)は,タイプIでは,回内(MG:-1.6±0.9%,LG:-2.2±0.2%,Sol:1.7±3.4%),回外(MG:1.3±0.7%,LG:2.0±0.3%,Sol:-1.4±3.3%),タイプIIでは,回内(MG:-1.2±0.7%,LG:-0.4±0.6%,Sol:2.4±1.4%),回外(MG:0.8±0.7%,LG:0.4±0.5%,Sol:-3.2±1.5%),タイプIIIでは回内(MG:-1.7±0.4%,LG:-0.4±1.4%,Sol:3.7±6.0%),回外(MG:1.3±0.4%,LG:0.4±1.3%,Sol:-5.4±6.2%)であった。【考察】AT障害の発生メカニズムとして,踵骨の回内時にAT内の歪みが不均一であることが要因として報告されている。また,好発部位は,踵骨隆起から近位2-6cmであり,外側よりも内側に多いことが報告されている。今回,踵骨を回内すると3つの捻れのタイプ全てにおいて,MG・LGは短縮し,Solは伸張された。特にタイプIII(重度の捻れ)では,回内時のSolの伸張度が他のタイプに比べて最も大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度のばらつきが多い結果であった。従って,タイプIII(重度の捻れ)では,踵骨回内時には,ATを構成するMG,LG,Solの伸張度が異なるだけでなく,他のタイプに比べてSolの伸張度が大きく,更にSolを構成する各腱線維の伸張度も異なるため,AT障害の発生リスクが高まる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】AT障害は,重症化するケースは少ないが再発率が高く,管理の難しい疾患の一つとされている。近年,有効な治療法はいくつか報告されているが,予防法に関しては有効なものが存在していない。その原因として,発生メカニズムが十分に解明されていないことが懸念されている。本研究結果は,AT障害の発生メカニズムの解明に繋がり,有効な予防法や治療法の考案,更には捻れ構造の機能解明に繋がると考える。
著者
佐野 亘 藤田 和彦 平林 頌子 横山 祐典 宮入 陽介 ローレン トス リチャード アロンソン 菅 浩伸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2021, 2021

<p><b>はじめに</b></p><p> サンゴ礁の海浜沖には海草帯と呼ばれる生物・地形分帯がある.海草帯は海草類の群落であり,底質は砂礫質の堆積物で構成され,低潮位でも干出しない汀線付近から水深4mを超える場所にも形成されることがある.また海草帯は魚類や底生生物の生息・産卵の場,ウミガメやジュゴンなどの海草を摂食する貴重な生物種を支える場であるとともに,沿岸浅海域における炭素循環に大きな役割を担っていることも報告されている(Unsworth et al., 2019;Fourqurean et al., 2012;Nellemann et al., 2009).このようなサンゴ礁における海草帯の役割が注目される一方,サンゴ礁に現成のような海草帯が具体的にいつから形成されていたのかという時間的な検証が行われた研究例は少ない.</p><p></p><p>研究対象地域の一つである久米島のサンゴ礁地形は約8300年前から発達し始め,約5700年前に礁嶺が海面に到達.さらに礁嶺の海面到達後,外洋と分断されたラグーンが未固結堆積物で埋積されるということが明らかになっている(Kan et al., 1991).しかし、これらの先行研究は主に固結した礁石灰岩コアを用いて礁嶺の形成過程に焦点が当てられものであり,海草帯に代表される未固結堆積物で構成された沿岸域に関しては,その地形発達プロセスに関する科学的知見が少ない状況である.</p><p></p><p>そこで本研究では現成海草帯において採取された未固結堆積物コア試料を用いてその堆積物と年代を検討するとともに,現成海草帯の現地調査を行い,海草帯の地形発達過程とそれに伴う海草帯の形成時期を明らかにした.</p><p><b>現地調査と分析手法</b></p><p> 本研究では,琉球列島久米島の東部と沖縄島の備瀬崎の2地域において採取した海草帯の未固結堆積物コア試料(最大掘削深度4.2 m)を用いた.コア採取地点の底質は枝サンゴ礫を多く含む砂泥質の堆積物であり,リュウキュウアマモ(<i>Cymodocea serrulata</i>),リュウキュウスガモ(<i>Thalassia hemprichii</i>),またウミジグサ(<i>Halodule uninervis</i>)や,ウミヒルモ(<i>Halophila ovalis</i>)などの海草類が卓越した場所である.またコア試料採取地点および周辺地域における現地調査を行い,<i>Amphisorus hemprichii</i>,<i>Calcarina calcarinoides</i>などの大型底生有孔虫が現生の海草葉上に生息していることを確認した.コア試料は九州大学にてサブサンプリングを行い,東京大学大気海洋研究所にてサンゴ礫や有孔虫化石の放射性炭素年代測定を行った.さらに堆積物中の大型底生有孔虫の群集解析を行い,現生有孔虫の生息分布との比較から海草帯の堆積環境の復元を行った.</p><p><b>海草帯の堆積過程と形成年代</b></p><p> 久米島東部の海草帯における現地調査では,現生の海草葉上に優占的に生息する大型底生有孔虫(<i>Calcarina calcarinoides</i>)を発見した.<i>Calcarina calcarinoides</i>は先行研究においても海草葉上において優占的に生息することが明らかにされている(藤田他, 1999)ことから,この有孔虫化石を海草帯形成の指標として堆積物中に含まれる有孔虫の群集解析を行った結果,3.9 Ka BP以降(水深3m以浅)に海草帯形成を指示する結果が得られた.また沖縄島備瀬崎においては現地調査と堆積物試料の分析の結果,大型底生有孔虫である<i>Amphisorus hemprichii</i>(通称;ゼニ石)が古海草帯指標となることが示唆された.</p><p></p><p><b>謝辞:</b>本研究はH28〜32年度科研費 基盤研究(S) 16H06309「浅海底地形学を基にした沿岸域の先進的学際研究 −三次元海底地形で開くパラダイム−」(代表者:菅 浩伸)の成果の一部です.</p><p></p><p><b>参考文献</b></p><p></p><p>Fourqurean et al. (2012). <i>Nature Geoscience</i>, Vol. 5, pp.505-509</p><p></p><p>藤田和彦 他 (1999). 化石, No. 66, pp.16-33</p><p></p><p>Kan et al. (1991). <i>Geographical Review of Japan</i>, 64, 2, 114-131</p><p></p><p>Nellemann et al. (2009). Blue carbon: the role of healthy oceans in binding carbon, pp.35-44</p><p></p><p>Unsworth et al. (2018b). <i>Conservation Letters</i>, Vol. 12. pp.1-8</p>
著者
小山 彰子 横山 弥枝
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.151-161, 2021-06-01 (Released:2021-07-09)
参考文献数
54

【目的】特別養護老人ホームにて経腸栄養製品を摂取している高齢者における自然排便の促しを検索した。【方法】胃瘻から経腸栄養製品を摂取している高齢者12名(男性1名,女性11名,平均年齢84.3歳)を対象に,シンバイオティクスによる排便状況や医療処置等の調査を行った。調査前の排便回数によって,低群(<3回),中群(≥3~<8回),高群(≥8回)に分類し,一般線形モデルの分散分析を用いて,排便回数,排便日数,便性状,排便量,医療処置回数の経時変化の分析を行った。また,対象者特性の便秘への影響度を数量化Ⅱ類により算出した。【結果】低群の排便回数は2.22回から4.08回(p=0.041 for trend),排便日数は1.98日から3.62日(p=0.015 for trend),医療処置回数は8.50回から0.50回(p=0.007 for trend),高群の排便回数は9.04回から6.88回(p=0.032 for trend),排便日数は6.24日から4.67日(p=0.009 for trend)となった。高群では排便回数は9.04回から6.88回(p=0.032 for trend),排便日数は6.24日から4.67日(p=0.009 for trend)となった。便性状と排便量に変化はなかった。対象者特性である胃瘻期間および食物繊維摂取量と便秘との関連は認められなかった。【結論】胃瘻から経腸栄養製品を摂取している高齢者の自然排便におけるシンバイオティクスの作用傾向は確認されたが,本調査は実践活動報告であることから,今後は無作為化比較試験等での検証が求められる。
著者
本多 淳也 小宮山 純平 前原 貴憲 横山 大作
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.3A25, 2017 (Released:2018-07-30)

人間の嗜好や競技の優劣といったものを評価する場合、個々の候補の良さや強さを絶対評価をすることは困難で相対比較のみが可能である場合が多く存在する,このような相対比較に基づいてK個の候補のうちランキングを誤り確率p以内で推定する問題に対し、本研究では新たに O(K log K/p)の平均比較回数を達成するアルゴリズムを提案する.
著者
松島 文子 板倉 一枝 横山 弥枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.134, 2011

【<B>目的</B>】平成21・22年度日本調理科学会特別研究として、「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」についての調査研究が全国規模で実施された。この調査の一環として、鳥取県における年中行事や通過儀礼の際の行事食について認知や喫食の状況を調べ、行事食の伝承や地域特性などを明らかにすることを目的として実態調査を行った。<BR>【方法】鳥取県内にあるT短期大学の学生194名およびその親族を調査対象(総数342名)として、平成21年12月から平成22年1月にかけて、特別研究全国統一様式の調査票により、年中行事や通過儀礼で供される食べ物の認知、喫食状況、調理状況や食べ方、変容した時期などの調査項目についてアンケート調査を実施した。<BR>【結果】調査対象学生の現在の居住地域は鳥取県が92.3%を占め、そのうちの62%が鳥取県に10年以上居住していた。学生の喫食経験の頻度が高い行事食は正月、彼岸などであり、次いで七草、節分、土用の丑、クリスマス、大みそかなどであった。一方、盂蘭盆、七夕、祭りなどは喫食経験が少なかった。通過儀礼について認知度が高かったのは、学生では出産祝い、初誕生、七五三、成人式、結納、婚礼、長寿、葬儀であり、お七夜、百日祝い、厄払いは低かった。親族ではすべての儀礼に対する認知度が高かった。行事食の影響を受けた相手として、母方が49.4%と約半数を占め、父方は14.9%であった。正月に小豆雑煮を喫食する食文化が鳥取県全域において認められた。小豆雑煮が雑煮全体の60%前後を占め、次いですまし仕立てであり、味噌仕立ては少なかった。また雑煮の餅は丸餅が多く、ほとんどが茹でて供されていることが確認された。