著者
横山 直也 百鬼 史訓
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.18-26, 1984-02-29 (Released:2012-11-27)
参考文献数
31
被引用文献数
2

The purpose of this study is to investigate the influence of the left foot outward angle in Chudan-no-kamae on the Shomen-uchi.A force platform was used together with 16 mm cine camera to investigate synchronously the mechanics of take-off motion during the Shornen-uchi in Kendo.The records of the force components of foot pressure on the floor of the male Kendo players were obtained at the take-off motion during Shomen-uchi. Subsequently, the records were taken with the body movements shown in 16 mm film.The subjects for this study were 9 male students of the Tsukuba University,20 to 23 years of age,12 to 15 years of experience and 3 to 4 dan degree.The results obtained are as follows:1. The leftward and the backward components of foot force increase with the change of the left foot angle (from 0° to 50°). The tendency above mentioned is clearly observed over 30° and especially at 50°.2. The larger the left foot angle at Chudan-no-kamae is, the more the maximum magnitude of leftward force (Fx) increases. On the contrary, both of the backward (Fy) and vertical (Fz) forces during take-off motion at Shomen-uchi decrease.3. A larger and sharper peak in the force curve of the backward and vertical components is observed at the angle under 20° and especially usual foot position.4. The angle of forward inclination of body (∠f) decreases gradually with the increase of the left foot angle. The angle of trunk (∠a) decreases as the result of an inadequate left foot action, which causes delay of the posture recovering after striking motion.
著者
横山 幸三
出版者
筑波大学現代語現代文化学系
雑誌
言語文化論集 = Studies in languages and cultures (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
no.53, pp.97-99, 2000-03-27

平成11年度の初め、故永田康昭助教授は忽然としてこの世を去られた。文字通りの夭折と呼んでよいであろう。志半ばでの早世は、本当に惜しんでも余りある。あらゆる意味において、これからという矢先のことであった。ご承知の通り ...
著者
辻 宏樹 横山 千恵 高薮 縁
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.859-876, 2020 (Released:2020-08-25)
参考文献数
44
被引用文献数
6 35

2018年7月豪雨と2017年九州北部豪雨の降水の特徴と環境場を比較した。どちらの豪雨も、梅雨末期に、台風の通過後、上層西風ジェットの南側で、上層トラフの前面において発生した。しかし、二つの事例の降水は対照的な特徴を示していた。2018年7月豪雨では、広範囲に長時間持続する、中程度に背の高い降水システムによる雨が観測された。環境場は気候値と比較して相対的に安定かつ非常に湿潤であった。朝鮮半島に存在した深いトラフは、準地衡力学的強制によって、組織化した降水システムの形成に有利な環境場を整えていた。一方、2017年九州北部豪雨では、極端に背の高い降水システムによって狭い範囲で短時間に非常に強い雨が観測された。環境場は気候値と比較して相対的に不安定かつ湿潤であったが、2018年7月豪雨時と比較して乾燥していた。朝鮮半島に存在した浅いトラフは、トラフ自身に伴う寒気によって大気を不安定化させていた。 2018年と2017年の二つの豪雨事例における特徴の対比は、先行研究Hamada and Takayabu(2018, doi:10.1175/JCLI-D-17-0632.1)による極端降水事例と極端対流事例の統計における特徴の対比と類似している。二つの豪雨事例における気温と比湿の気候値からの偏差は、先行研究が上位0.1%の極端事例の統計であるにもかかわらず、先行研究の統計解析の結果よりも数倍大きかった。この結果は、2018年7月豪雨が極端降水事例の極端現象であったことを示唆しており、2017年九州北部豪雨は極端対流事例の極端現象に相当する事例であったことを示唆している。
著者
横山 竜海 翁 武銀 任 恵峰
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.196-203, 2020
被引用文献数
1

<p> 低利用資源であるかつお節出汁殻を高付加価値利用するため,出汁殻を異なる濃度の塩酸で分解し,塩酸濃度が粗タンパク質回収率,分解液の栄養性・呈味性・機能性に及ぼす影響を分析した。粗タンパク質回収率とアミノ酸量は4.0-6.0 mol/L塩酸で最大,分子量180-500の含有量とDPPHラジカル消去活性は4.0 mol/L塩酸で最大,ペプチド量と抗変異原性は1.0-6.0 mol/L間で有意差はなかった。低分子ペプチドを最も多く含有すると思われる4.0 mol/L塩酸による分解が至適であると示された。</p>
著者
帖佐 梨菜 早崎 奈央 永田 直樹 吉留 直希 鮫島 啓太郎 高田 和真 田口 光 川元 大輔 横山 尚宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】ヒトの運動機能を定量的に評価することは,臨床において効果判定やプログラム立案に極めて重要となる。多用途筋機能運動評価装置バイオデックスシステム3(以下:BIODEX)はヒトの筋力を正確に測定し,数値が可視化できるため数多くの研究機関で使用されている。ただし,場所が制限される事や高価であるため,使用する施設は限られている。一方,Hand Held Dynamometer(以下:HHD)は,測定方法が簡便であるため,理学療法領域において幅広く使用されている。一方,体重計はどの家庭にも存在する。体重計はBIODEXやHHDと比較し,鉛直方向にしか計測ができない。しかし,測定方法を工夫することで,等尺性収縮を定量的に評価することが可能ではないかと考える。本研究は,BIODEXで表された数値がHHDや体重計と相関関係があるかを三角筋とハムストリングスで実施し,自宅で簡便に筋力測定が可視化できるかを検討することを目的とした。【方法】対象者は本校に在籍する学生20名で,整形外科的,神経学的に既往のない学生を選出した。平均年齢は20±1.92歳,平均身長は166.5±8.7cm,平均体重は61.2±8.9kgであった。測定肢は三角筋,ハムストリングスともに右上下肢で統一した。三角筋・ハムストリングスの計測課題はBIODEX上で端座位とし,大腿部・骨盤部・体幹をベルトにて固定,両上肢は胸の前で交差して手掌面を胸郭上部で固定するように指示した。膝関節90°屈曲位でアーム回転軸と膝外側裂隙中心部が一致するようにシートの高さ・前後長を調整した。筋力はisometricで測定し,最大筋力を5秒間保持,3セット実施した。各セット間のインターバルは30秒とした。HDDと体重計による測定課題として,三角筋はベッド上端座位の肢位で肩関節屈曲90°,肘関節伸展位とした。前腕遠位部に抵抗を加え,5秒間保持するように指示した。被験者が代償動作を起こさないように最大限留意した。ハムストリングスの測定肢位はベッド上腹臥位とし,体重はベッドに預け,股関節45°屈曲位,両下肢は下垂させ,足底が接地しないように指示した。HDD,体重計の計測ともに,被験者は両下腿を地面と平行に保持し,検者は下腿遠位部に鉛直方向へ抵抗を加えた。HHDと体重計の筋力測定は検者が体重計に乗り,被験者に重力方向に抵抗を加えた時の体重と,抵抗を加える前の体重との差を重力(9.8N)で除して算出した。統計学的解析は相関係数を用いてBIODEX,HHD,体重計で測定した筋力の一致度を分析した。また,3者の関係については回帰分析を用い,回帰式を算出した。有意水準は5%未満とした。【結果】三角筋の最大収縮はBIODEXで31.9±14.9N,体重計は81.3N±30.9N,HHDは79.9±27.4Nであった。ハムストリングスの最大収縮はBIODEXで60.6±22.9N,HHDで221.5±80.3N,体重計は217.6±76.8Nであった。三角筋の相関係数はHHDと体重計(r=0.99;P<0.01),BIODEXとHHD(r=0.98;P<0.01),BIODEXと体重計(r=0.97;P<0.01)すべてに有意な相関関係が示唆された。ハムストリングスの相関係数はHHDと体重計(r=0.98;P<0.01),BIODEXとHHD(r=0.85;P<0.01),BIODEXと体重計(r=0.91;P<0.01)と,すべて有意な相関関係が示唆された。回帰式において,三角筋のBIODEXとHHDの関係はy=2.382x-9.752,BIODEXと体重計の関係はy=0.251x-5.956を示した。ハムストリングスのBIODEXとHHDの関係はy=3.572x+7.184,BIODEXと体重計の関係はy=3.526x+1.576となった。【考察】本研究の結果,全ての項目において有意な相関関係を示唆した。先行研究において,HHDと体重計は相関関係があるという報告がある。本研究は先行研究を支持する結果となり,HHDと体重計の相関関係があることを証明した。BIODEXは筋力測定において正確な数値を表す装置として認知されている。臨床で広く使われるHHDと一般家庭にも存在する体重計が,BIODEXと相関関係を示唆した。今後は症例の自宅においても,体重計を使用することによって,工夫次第で筋力を数値化し正確に測定できると考える。筋力の数値化はMMTのような主観的な筋力評価と違い,治療の効果判定や症例の目標設定など,臨床で有用な客観的評価となるのではないだろうか。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,BIODEXとHHD,BIODEXと体重計ともに高い相関関係がみられた。HHDは施設に,体重計は施設や自宅にほぼ存在する。筋力の可視化が可能となれば症例自身が筋力向上を確認でき,目標を持ちやすく,心理面にも好影響を与えるのではないかと考える。
著者
滝本 雅祥 横山 忠夫 沢田 昌 山下 素治
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.793-797, 1963
被引用文献数
6

メラミンの脱アンモニア縮合物であるメラム,メレムを種々の原料から分離確認することが,イオン交換クロマトグラフィーと紫外吸収スペクトルの測定から容易となったので(既報),この方法を用いながらこれらの単離をはかった。メラムはジシアンジアミドの溶融物からアルカリと水を用いて精製再結晶して, またメレムはメラミンの密閉器中における溶融分解物を水から再結晶して得られた。水から再結晶したメラム,メレムは,それぞれ2および1分子の結晶水を含有する。<BR>メラム, メレムの水に対する溶解度は極めて小さく25℃ではそれぞれ約0.05および0.003g/lであった。酸, アルカリにはメラミン, メラム, メレムの順に加水分解され易い。メラムは加水分解されてメラミンとアンメリンを生成し,メレム(シアメルリル環を有する)は, シアメルル酸になるが, さらにその中間過程に生成されるジアミノ- モノヒドロキシ化合物, モノアミノ-ジヒドロキシ化合物を見出した。紫外の吸収を利用してメラム, メレムの解離定数を測定し,<I>K</I>b<SUB>1</SUB>としてそれぞれ7.50×10<SUP>-2</SUP>,1.79×10<SUP>-12</SUP>を得た。また紫外,赤外吸収スペクトルの測定も行なった。
著者
伊藤 良剛 森 章浩 横山 栄作 寺澤 実
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.620, 2019 (Released:2019-02-23)
参考文献数
3

MRI室における金属類の吸着・持ち込み事故は,全国で多発している。日本医療機能評価機構からMRI検査室への磁性体持ち込みについて,医療安全情報が出されており,いかに重要な案件かが窺える。当院でも,2012年4月から2016年3月の間にMRI室における金属類の吸着・持ち込み事故が4件あった。その中でも看護師によるハサミのMRI吸着事故を重大なインシデントと捉えて,新たな防止対策として,イメージカラーの選定,専用ユニフォームの採用,イメージカラーと同色のテープ等を用いてMRI専用物品の区別化を行ない,事故防止に効果を認めたので報告する。
著者
倉重 恵子 曽我 俊博 横山 和仁
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
pp.202142G04, (Released:2020-11-24)
参考文献数
39

背景・目的 集中力は、知的労働生産性や運動パフォーマンスに深く関与すると言われている。“集中”とは「一つの事柄に“注意”を向けて物事に取り組むこと」である。近年、カシスポリフェノールによる脳血流改善効果が、ヒト大脳動脈血管を用いたex vivo試験で報告されている。本研究では、カシスポリフェノール摂取による認知機能(注意・集中力)への影響を検証することを目的とした。方法 健康成人女性7名を対象とし、カシスポリフェノール(アントシアニン50mg含有)の8日間連続摂取による認知機能(注意・集中力)への影響について、同一被験者内比較単群介入試験により検証した。聴覚オドボール課題中の脳波および心電図を客観的指標として測定した。対象の体調面を視覚的評価スケール(VAS)で、精神面を気分プロフィール検査(POMS)で主観的に評価した。得られた値の平均をpaired-t検定で比較した。結果 カシスポリフェノール摂取により、課題中のP300潜時が有意に短縮された一方、振幅に変化はなかった。Fzθ波の平均パワー積分比率は有意に増加し、心拍変動周波数成分のパワー比LF/HFは有意に減少した。VASの「頭の覚醒(集中度)」上昇、POMSの「緊張~不安」減少など自覚においても有意差が得られた。考察 カシスポリフェノールの連続摂取(8日間)により、認知機能(注意・集中力)が高まる可能性が示唆された。
著者
谷脇 聡 榊原 堅式 山下 年成 横山 智輝 寺下 幸夫 伊藤 寛
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.2189-2193, 2005
被引用文献数
2

腸回転異常や器質的な異常を伴わない小児の原発性小腸軸捻転症(以下,本症)は稀であり,術前診断は困難である.今回,われわれは新生児の本症3例を経験した. 3例とも男児で,日齢2以内に発症し,出生体重は1,500から2,286grと全例,低出生体重児であった.症状は全例腹部膨満を認め, 2例で,各々,コーヒー残渣様嘔吐と呼吸障害を伴った.注腸造影で大腸の位置異常は認めなかった.開腹手術時,症例1,2では遠位回腸が時計方向に360&deg;.捻転していたが,整復により腸管の色調が回復し腸切除を行わなかった.症例3では近位空腸が, 720&deg;.反時計方向に絞扼し,一部腸管壊死が認められ,腸切除を行っている. 3例とも,術前に確定診断はできなかったが,著明な小腸拡張を伴い,保存的治療では解除困難なイレウスであることから,早期に開腹手術を行い救命している.
著者
及川 一摩 物部 浩達 中山 健一 木許 崇寿 土屋 和彦 ハインリッヒ べノア ギヨン ダニエル 清水 洋 横山 正明
出版者
THE JAPANESE LIQUID CRYSTAL SOCIETY
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.223-223, 2006

液晶相、あるいはその異方的な高次の秩序構造を反映した固体結晶相を含有する液晶性半導体は、電子材料として有望と期待される。我々は、カラミティック液晶の液晶相、およびその固体結晶相に着目し、チオフェンをベースとした高移動度液晶系の構築を行っている。今回高いドリフト移動度を示す8-TNAT-8の結晶性薄膜を用いて電界効果トランジスタの試作と測定、そして薄膜の分析を行い、FET特性と薄膜の秩序構造について考察した。
著者
横山 智
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.38, 2010

<B>1.はじめに</B><BR><BR> 発表者は、東南アジアのナットウに興味を持ち、これまで研究報告が存在しなかったラオスのナットウを調査し、中国雲南省からの伝播ルートとタイからの伝播ルートが混在していることを明らかにした。しかし、先行研究では、タイのナットウ(トゥア・ナオ)は、ミャンマーのナットウ(ペポ)と同じグループと論じられている。<BR> そこで本研究では、2009年に実施した北タイとミャンマーの市場調査とナットウ製法調査をもとに、発酵の際に菌を供給する植物に着目して、ミャンマーおよび北タイのナットウの類似点と相違点を解明することを目的とする。<BR><BR><B>2.販売されているナットウの種類</B><BR> 北タイで製造されるナットウは、(1)粒状、(2)ひき割り状、(3)乾燥センベイ状の3種類に大別することができる。ただし、日本の「納豆」と同じ「粒状」ナットウは、現地の市場で見かけることはほとんどない。北タイでは、タイ・ヤーイと称されるシャン人(ミャンマーのシャン州出身)の村では見ることができるが、それ以外の市場では、「ひき割り状」か「乾燥センベイ状」しか売られていない。<BR> 一方、ミャンマーで製造されているナットウは、多様性に富んでいる。北タイに多い「ひき割り状」と「乾燥センベイ状」以外に、シャン州のムセーの市場では、油で揚げて甘い味付けをしたもの、豆板醤のようなソースをからめたもの、そして乾燥したものなど、「粒状」を加工したナットウが多く売られていた。さらに「ひき割り状」を一度乾燥させた後に蒸かして円筒状に形を整えた珍しいナットウも売られていた。しかし、日本の「納豆」のような糸引きナットウは、2009年の調査で訪れたシャン州内の市場では少なかった。ところが、バモーより北のカチン州に入ると、シャン州で見られたような加工された「粒状」ナットウよりも、糸が引く日本の「納豆」と同じ「粒状」ナットウの比率が高くなり、カチン州都のミッチーナ市場では、強い糸が引く「粒状」ナットウがほとんどであった。<BR><BR><B>3.ナットウの製法と地域的特徴</B><BR> 北タイとミャンマーのナットウの製法は基本的に同じである。大豆を水に浸した後、柔らかくなるまで煮て、その後、プラスチックバックや竹カゴに入れて数日間発酵させれば、「粒上」のナットウができあがる。なお、どの地域でも発酵のために種菌を入れることはない。その後、粒を崩し、塩や唐辛子などの香辛料を混ぜて「ひき割り状」のナットウとし、さらに「乾燥センベイ状」の場合は、形を整えて天日干しする。この製造工程のなかで、地域的な差異が見られるのが、菌の供給源となる植物の利用である。<BR> シダ類(未同定)とクワ科イチジク属は、ヒマラヤ地域で製造されているナットウの「キネマ」でも利用されていることが報告されており、カチン州との類似性が見られた。またシダ類は、シャン州でも利用されているため、ヒマラヤ地域の「キネマ」とミャンマー全域の「ペポ」との類似性も見いだすことができよう。そして、チークの葉およびフタバガキ科ショレア属の利用という視点からは、シャン州と北タイに類似性があることが判明した。<BR> 本研究の結果は、以下のようにまとめることができる。北タイとミャンマーのシャン州で大規模に「乾燥センベイ状」ナットウを生産している世帯では、発酵容器に竹カゴは用いられず、肥料袋のようなプラスチックバックに煮た大豆を数日間保存するだけであり、菌の供給源となる植物も入れない。<BR> 形状と糸引きの強弱に関しては、シダ類やイチジク属を用いているヒマラヤ地域とカチン州は「粒状」が多く、糸引きも強い傾向がある。チークやショレア属の葉を用いるシャン州や北タイは、多くが「乾燥センベイ状」で、粒状の場合でも糸引きが弱いことが明らかになった。<BR><BR><B>4.おわりに</B><BR> 本研究では、これまでの議論とは視点を変えて、菌を供給する植物に焦点をあて、植物利用からナットウ製法の地域区分を実施することを試みた。それの結果、これまで全く議論されていなかった、ミャンマーとタイでの類似点と相違点、そしてミャンマー内での類似点と相違点を解明できた。これらの結果をもとに、未だ達成できていない中国側での植物利用調査を進めることが出来れば、東南アジアのナットウが中国からの伝播かどうかを議論する際の重要な手がかりになると思われる。<BR>
著者
江木 啓訓 横山 裕紀 今村 瑠一郎 則常 一輝
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.135-145, 2021-06-10 (Released:2021-06-18)
参考文献数
27

本研究では,視野映像を用いてTA(Teaching Assistant)が自らの学習支援行動を振り返るための行動記録システムを提案する.学習者に対して臨機応変に支援を行うために,TA には自ら考えて行動する主体性が求められる.視野映像を記録する方法で自らの行動を振り返ることにより,主体性を伸ばすための気づきを喚起することが期待できる.しかし,TA が従事する全ての時間の視野映像を確認することは負担が大きい.この問題に対して,TA が身につけた加速度センサのデータから行動を推定し,振り返り時の手掛かりとして提示する行動記録システムを開発した.複数のTA が本システムを用いた振り返りを行った実験の結果から,加速度センサでTAの学習支援行動を識別することが可能であった.また,手掛かりの提示によって,いずれのTAも振り返りのための視野映像の確認時間が短くなった.本システムを用いることで,TA が学習支援行動を効率的に振り返ることの可能性が示唆された.
著者
船津 和夫 山下 毅 本間 優 栗原 浩次 斗米 馨 横山 雅子 細合 浩司 近藤 修二 中村 治雄
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.32-37, 2005-06-30 (Released:2012-08-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的・方法:近年,男性において,肥満者の増加に伴い生活習慣病の1つである脂肪肝罹患者数の増加が著しい.最近,非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)やC型肝炎において瀉血療法により血中ヘモグロビン(Hb)を低下さることにより,肝細胞障害の改善とともに,肝細胞内の脂肪滴貯留が改善することが報告され,肝炎や脂肪肝において肝臓に蓄積した鉄がこれらの病態に関与していることが明らかにされてきた.しかし,脂肪肝と血中ヘモグロビンとの関係についてはこれまで検討されていない.そこで,中年男性を対象として,血中ヘモグロビン値と脂肪肝との関連について調査した.結果:非肥満者,肥満者ともに脂肪肝を有する群が無い群に比べ,血中ヘモグロビン値は有意に高値であった.また,血中ヘモグロビンの高値は肥満の有無にかかわらず,脂肪肝における肝機能検査値の異常にも関係していることが示された.さらに,ロジスティック回帰分析より,血中ヘモグロビンは飲酒量,肥満度とともに,独立した脂肪肝の関連因子であることが明らかにされた.結論:以上より,血中ヘモグロビンに含まれている鉄が間接的に脂肪肝の発症とそれに伴う肝機能障害に関連していることが示唆された.
著者
横山 幸三 Yokoyama Kozo
出版者
筑波大学現代語・現代文化学系英語学・英文学グループ
雑誌
筑波英学展望 (ISSN:02886383)
巻号頁・発行日
no.22, pp.3-13, 2003

1 マルカム・ブラッドベリーによれば、「アンガス・ウィルソンは、イギリスの戦後における最も重要な小説家であった。」という。この発言は、作家の死の直後になされたものであるから、先輩に対する愛惜の念を割り引いて考えねばなるまいが、 ...
著者
一杉 正仁 木戸 雅人 川戸 仁 横山 朋子 黒須 明 長井 敏明 徳留 省悟
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.135-138, 2004-09-17 (Released:2017-04-27)
参考文献数
7

異状死体からの眼球摘出例をもとに、法的および倫理的問題を検討した。角膜移植実施のためには、眼球提供者の死体血を採取して、適応基準検査を実施することが必要となる。異状死体では、法医解剖終了後の採血が困難であるため、事前の血液採取が必要である。そのためには、死因究明の目的で採取した血液を使用するか、あるいは解剖時に採血をする必要がある。異状死体からの眼球摘出および諸検査をすみやかに行うために、本問題について幅広い理解が必要であり、かつ、司法当局、一般臨床医、異状死体の検案や解剖に携わる医師が密接に連絡を取り合うことが重要である。
著者
木村 裕毅 竹山 豊 横山 隆 福井 理雄 伊東 明彦 磯野 道夫 細井 裕司 村田 清高
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.391-397, 1996-08-10 (Released:2010-10-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3 7

Two cases of fish-bone foreign body were reported. Case 1 was a 75-year-old female who suffered from cervical pains after eating bonito. No foreign bodies were found by indirect laryngoscopical nor esophagoscopical examination. The foreign body was found embedded in the posterior wall of the pharyx on X-ray and CT scan. Case 2 was a 77-year-old female who had pains after eating bonito. Neither indirect laryngoscopical nor esophagoscopical examination revealed any foreign bodies in the pharyngoesophageal space. X-ray and CT scan revealed an extra-esophageal foreign body with a surrounding periesophageal abscess and cervical subcutaneous emphysema. By an extra cervical incision, the foreign body was found penetrating the esophagus and reaching carotid artery. These two cases suggest the importance of conducting X-rays and CT scans even if no foreign bodies are found under laryngo-esophagoscopical examination.
著者
横山 孝一
雑誌
群馬高専レビュー (ISSN:24339776)
巻号頁・発行日
no.37, pp.21-32, 2019-04-26

Paula Hawkins's sensational world bestseller A Girl on the Train (2015) was accepted as a psychological thriller as soon as it appeared. Her eagerly-awaited second novel Into the Water (2017), however, seems to have disappointed most of her fans who expected a still more exciting and mysterious thriller than her first one. In fact, one crime novel critic did not conceal his utter disappointment, mentioning it would not be the best choice for crime readers because "the mystery and suspense elements of this story take a backseat." Interestingly enough, he could not help admitting that the novel in question is beautifully written, and he even recommended this book he disliked to those who love literary fiction or women's fiction. After all, he is a good critic, correctly pointing out Into the Water is a novel which satisfies academic readers much more than crime fiction lovers. Despite the fact that many readers undoubtedly regard Ms. Hawkins as a crime writer, it is doubtful that she thinks of herself as one. Reportedly she has no interest in Sherlock Holmes, and her editor of Riverhead usually avoids such genre. Which shows that Paula Hawkins is a serious writer who, I imagine, likes great authors of English and American literature such as Henry James, Virginia Woolf, and even Herman Melville. Her notorious techniques in the new novel, like the frequent changes of more than ten point-of-view characters, appear to derive from the l9th-20th centuries' literary experiments. Perhaps a large number of people who want just an entertainment for a weekend night will be unexpectedly at a loss to find the book they bought so complicated that they can hardly understand what is going on and cannot afford to reason who killed Nel Abbot, although Ms. Hawkins prepares a lot of hints. If you want to enjoy Into the Water to your heart's content, you should read it at least twice. Contrary to your first impression, the novel is quite similar to A Girl on the Train: Libby (the same name of the unfortunate baby drowned in the bathtub) is drowned again by a mob of hateful men this time at the opening of the new book. Paula Hawkins's common theme becomes clear due to this repetition. The death of the first Libby was brought by Mac, the irresponsible man who left the young Megan when she most needed him. Tom, another egoistic man, killed Megan when he knew she was pregnant. The heroines Rachel and Anna, though they were ex-enemies, took revenge on him with a corkscrew. Into the Water is a double–plot novel consisting of Nel's mysterious death and Katie's pathetic suicide. The former is a real whodunit which reminds me of Agatha Christie's The Murder of Roger Ackroyd (1926), but Ms. Hawkins prefers the latter with a strong, feministic massage somewhat related to #MeToo trend. Katie's story is not a mystery at all. She loved secretly Mark Henderson, a good-looking teacher very popular among female students. Since Katie was still a fifteen-year-old girl, Henderson was afraid of being arrested and put into jail where he would probably be the target of manly convicts. Katie drowned herself, trying to prevent their forbidden relation from being known to the public. Lena, her best friend who loved her, exacted revenge on Henderson, stabbing him with a "nail" (a variation of the corkscrew in the first novel) and pushing him off a cliff. This bloody killing is not narrated, the scene intentionally omitted but alluded with enough hints. Seemingly, Paula Hawkins is disappointed in men completely in Into the Water, where there is no Kamal. Again she succeeds in letting her heroine kill unpunished another handsome man as the scapegoat for the violent men who have abused women for many years.