著者
鈴木 陽一 橋本 明記 田中 祥次 木村 武史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.179, pp.27-32, 2011-08-18

筆者らは21GHz帯放送衛星によるスーパーハイビジョン放送システム実現を目指し,衛星放送を利用したスーパーハイジョン伝送方式の検討に取り組んでいる.本稿では,これまで取り組んできた衛星を利用したスーパーハイビジョン伝送実験を紹介するとともに,誤り訂正符号としてLDPC符号を適用した300MHz級広帯域変復調器の開発について述べる.本装置は,変調方式2種類(Q/8PSK),符号化率8種類(1/2〜9/10)利用可能であり,シンボルレート250Mbaudにおいて251〜677Mbpsの伝送能力を有する.また,LDPC符号はシャノン限界に迫る性能を有するため,復調器の要求条件として訂正限界C/N下でも十分な同期性能を維持する必要がある.今回,π/2シフトBPSK位相基準バースト信号を,主信号に対して間欠的および周期的に挿入する手法を導入し,同期性能の向上を確認した.本報告ではモデムの基本性能であるIF折返しによるC/N-BER特性および位相基準バースト信号の挿入による同期性能向上効果について述べるとともに,WINDS衛星を利用した衛星折返しによる伝送性能についても報告する.
著者
吉山 直樹 橋本 明浩
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
看護研究交流センター年報
巻号頁・発行日
vol.17, pp.14-20, 2006-07

■背景: Fake Complianceの少ない情報共有化の手段(Ecological Momentary Communication Tool, EMCTと称することとした)として携帯電話を使用し, 2005年度は, EMCTを想定する携帯電話の機種による相手とのコミュニケーション可能性と,この機種と現行の動画撮影機能を有するデジタルカメラの画像品質の比較をおこなった.■方法:最新のブロードバンド(3G)対応機種による静止画・動画の通信による送付,リアルタイム画像送付機能(TVコール)に関して一定の通信プロトコルに従って実験をおこなった.画像品質の比較には,画素数,画像フォーマット等の条件を揃えて市販のコンパクトタイプのデジカメと比較した.■結果:厳しい通信環境ではないか,と危倶していたが,試用の結果は予想よりも良好であり,ブロードバンド対応の中継器の設置が着々と進んでいることが実感された.静止画の機能は充分であるが,動画機能は末だ極めて貧弱である.通信可能なフォーマットに限って評価してみると,さらに不満足な結果であった.■結論:ブロードバンド(3G)対応機種に期待したが画質的にはまだ不十分である.携帯電話をEMCTとして在宅ケアの現場で使用するには,地域を選び機能を限定して使用することが必要である.今後の展開には,携帯電話そのものの機能向上が本筋であるが,ホームページ利用による携帯用ネットサーバ利用によって解決可能と思われる.
著者
鈴木 陽一 橋本 明記 小島 政明 田中 祥次 木村 武史 斉藤 知弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.212, pp.19-24, 2009-09-22

今後の放送の大容量化や通信との親和性を考慮した方式として,高度衛星デジタル放送伝送方式がARIB STD-B44として国内標準規格となっている.本方式では,誤り訂正符号としてLDPC符号を採用するとともに,ロールオフ率0.1の採用により現行BSデジタル放送方式と同じサービス時間率を確保しつつ,伝送容量が約30%増加した.本方式には,「今後の周辺技術の進展により利用可能となる方式」として,さらなる大容量伝送が可能な振幅位相変調方式も採用されている.本方式ではπ/2シフトBPSK,QPSK,8PSKに加え,16APSK,32APSKの5種類の変調方式が選択可能である.本方式で用いるLDPC符号の検査行列は符号長44880ビットのLDGMタイプであり,11種類の符号化率が利用可能である.本報告では,まず初めに,高度衛星デジタル放送伝送方式に適用する誤り訂正符号の要求条件を述べる.次に,高度衛星デジタル放送伝送方式の構成について述べ,LDPC符号を設計する上で必要な伝送フレーム構成を示す.続いて,高度衛星デジタル放送伝送方式用LDPC符号に用いる検査行列の設計指針として,サイクル4,6の除去方法について述べ,11種類の符号化率に対する検査行列パラメータを明らかにする.また,計算機シミュレーションによるBPSK,QPSK,8PSK変調を用いた場合の白色雑音下での伝送特性結果を示す.次に,16APSK,32APSKについて,LDPC符号を用いた場合に白色雑音一定の元で最小BERを満たす最適半径比の設計指針を示し,最適半径比を16APSK,32APSKに適用した場合の伝送特性結果を示す.
著者
橋本 明記 井上 康夫 松本 英之 方田 勲 上田 和也 市川 鋼一 佐藤 彰 柴田 豊 石原 友和 太田 陽介 野崎 秀人 北之園 展 斉藤 知弘 筋誡 久 小島 政明 鈴木 陽一 田中 祥次
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.957-966, 2009-07-01
被引用文献数
9 1

Three channels, which will cease to be used for analog satellite broadcasting in July 2011 and 4 channels of the BS-17 19, 21, and 23ch, which were assigned to Japan at the WRC-2000, will be used for new digital broadcasting services after 2011. In these channels, a new broadcasting system called "Advanced Digital Satellite Broadcasting System" will be available as well as the current ISDB-S one. The new system can increase transmission bit rate by 30%compared with the current ISDB-S system by using LDPC codes and a roll-off factor of 0.1. The Association of Radio Industries and Businesses (ARIB) conducted evaluation tests to acquire its C/N-BER and synchronous performance as well as confirm how well the TMCC signal functions. Demonstrative tests to transmit Super Hi-Vision were also performed. The tests were done using a satellite simulator and a real satellite transponder. The tests showed that the system performed very well, and the details are reported here.
著者
鈴木 晃仁 脇村 孝平 杉田 聡 橋本 明 飯島 渉 杉田 米行 加藤 茂生 廣川 和花 渡部 幹夫 山下 麻衣 永島 剛 慎 蒼健 ヨング ジュリア 香西 豊子 逢見 憲一 田中 誠二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

疾病・病者・医者の三つのエージェントが会して構成される「医療」という動的な場は、どのような歴史的な構造を持つのか。疾病環境の変化、人々の病気行動の変化、そして医療者の科学と技術の変化の三つの相からなる医療の構造変化は、近現代の日本の変化とどのような関係があり、世界の中の変化とどう連関したのか。これらの問いが、急性感染症、スティグマ化された疾患、帝国医療の主題の中でとらえられた。
著者
新堀 敏基 相川 百合 福井 敬一 橋本 明弘 清野 直子 山里 平
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.13-29, 2010 (Released:2010-12-28)
参考文献数
60
被引用文献数
6 10 1

気象庁では、火山現象予報の一つとして、2008年3月31日から降灰予報の業務を開始した。この論文では、降灰予報を高度化するために気象庁・気象研究所で開発している降灰予測システムを用いて、降灰量の量的予測を行う方法について論じる。降灰予測の方法は、まず初期値となる噴煙柱モデルを、仮想質量をもつ火山灰トレーサーで構成する。次に、トレーサーの時間発展を移流拡散モデルにより計算する。火山灰移流拡散モデルは、気象場に気象庁メソ数値予報モデル(MSM)を用いたラグランジュ記述のモデルであり、移流・拡散・降下・沈着の各過程を考慮している。そして沈着したトレーサーの仮想質量から、単位面積あたりの重量(面密度)として降灰量を算出する。噴煙柱モデルに気象レーダーで観測された噴煙エコー頂高度を用い、降灰量の算出にMSMより細かい水平格子間隔を用いて、本方法を2009年2月2日浅間山噴火の事例に適用した。観測値と比較して、降灰域の定性的な特徴は概ね予測でき、分布主軸上の降灰量も同じオーダーで予測可能であることが示された。
著者
橋本 明記 井上 康夫 松本 英之 方田 勲 上田 和也 市川 鋼一 佐藤 彰 柴田 豊 石原 友和 太田 陽介 野崎 秀人 北之園 展 斉藤 知弘 筋誡 久 小島 政明 鈴木 陽一 田中 祥次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.357, pp.1-6, 2008-12-11
参考文献数
8
被引用文献数
5

2011年7月のBSアナログ放送の終了により解放される3チャンネルと2000年の世界無線会議(WRC-2000)で新たに追加割り当てされた4チャンネルが新たなデジタル放送に利用可能となる。これらのチャンネルでは従来のISDB-Sに加え、2008年7,月に情報通信審議会から答申された高度衛星デジタル放送方式も利用可能となる。本方式では、LDPC符号と低ロールオフ率0.1を採用し、伝送容量をISDB-Sに比べ30%以上拡大できる。ARIBでは本方式の審議の過程で機能と性能を確認するため、擬似中継器と放送衛星を用いた実証実験を行った。本稿ではこの実証実験の詳細について報告する。
著者
北郷 悟 木戸 修 橋本 明夫
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究目的芸術分野における立体表現の研究として、アナログ的な造形表現とデジタル造形表現の違いについて。またその両面における可能性について探り、教育研究としての新しい芸術表現の獲得を目的とした基礎研究を行う。研究方法15年度研究 仮想空間による立体造形表現と教育研究のためのデータ収集と考察。(1)レンジファインダー型立体スキャナーによるデータ収集として、人間の頭部及び人体のデータ収集。・JAXA宇宙航空研究開発機構との大学共同研究に研究参加した際の航空機無重力実験において本研究を実施。人間頭部の立体フォルムデータ取得、また地上データとしての頭部フォルム・人体フォルムデータを比較検討することにより形状変化について研究をした。・人の歩く姿を立体データとして取得。人体のバランスとフォルムの美についての彫刻における研究題材とした。(2)コンピュータ造形システムを使用した立体造形の研究・東京大学情報工学部の協力により出力造型機を使用し、(1)における収集データを立体に置き換え20cmサイズのワックスの彫刻としての可能性を研究した。16年度研究 コンピュータ造形システムを使用した立体造形の研究(1)立体スキャナーの実写データとコンピュータ造形によるフォルムを組み合わせた研究。造形制作の比較による新しい制作方法と表現関係を見出し、彫刻におけるデジタル表現の可能性を研究。また古美術品のデジタルデータ化における応用研究も行った。(2)セラミック鋳造研究としてデジタルデータからブロンズ彫刻として新しい鋳造法の研究を行った。研究成果としての仮想空間環境のデジタル制作と実素材によるアナログ的制作の比較による新しい制作方法と表現関係は、彫刻表現におけるデータとしての記録の有効性と生産性、表現性に多岐に可能性が拡散し今後の研究重要性を認識した。
著者
村上 正隆 折笠 成宏 斎藤 篤思 田尻 拓也 橋本 明弘 財前 裕二 牧 輝弥 荒木 健太郎 松木 篤 久芳 奈遠美
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

つくばサイトに於いて、各種エアロゾル測定・採取装置、雲核計、氷晶核計を用いて通年観測を継続実施した。エアロゾルの物理化学生物特性および雲核・氷晶核活性化スペクトルの季節変化について明らかにした。大気エアロゾルの主要構成要素である、黄砂粒子・バイオエアロゾル・種々の人為起源エアロゾル(標準粒子)を対象とした雲生成チェンバー実験や雲核計・氷晶核計を用いた測定結果と詳細雲微物理モデルの結果に基づき、その雲核能・氷晶核能を種々の気象条件下で調べ定式化した。その結果を用いて非静力学モデルなどに用いるエアロゾル(雲核・氷晶核)・雲・降水を統一的に取扱う新機軸のパラメタリゼーションを開発した。
著者
藤田 博仁 橋本 明 加美 嘉史 山田 壮史郎
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究はホームレスの自立支援を目的とする、ホームレス自立支援センターの業務統計を定量分析し、自立の効果測定と就労自立の実態を明らかにすることを試みた。ホームレス自立支援事業は、2000年以降国がホームレスの自立についての支援モデルを提示し、自立支援センターを拠点に実施している。調査研究の対象となった名古屋市は事業開始後3年が経過しており、就労による退所者は221人であったが、そのうち171人を分析の対象とした。その結果、以下のことが明らかになった。(1)3年間に国が効果的と主張する就労による自立は、自立支援センター退所者全体の34%に過ぎなかった(この割合は東京・大阪でもほぼ同様であった)。(2)退所後の追跡調査では時間の経過と伴に自立生活継続者の割合が低下し、「失踪」者の割合が増加し、経済的自立が「就労」から「生活保護」に移行する割合も増加していることが明らかになった。(3)ホームレスの自立を就労に求め、就労先を雇用市場に求めるだけでは、経済的自立に結びつかないことが明らかになり、自立支援モデルの再考が必要になった。(4)就労、住宅確保による自立支援センター退所は、自立のきっかけを掴んだに過ぎず、真の自立支援は退所後の地域生活を持続可能な状態にすることである。生活保護制度下では自立助長に関するケースワークは法外の事実行為とされ、生活保護による効果より最低生活の保障により重点が置かれていた。しかし、自立支援事業は自立支援を目的にしているため、効果はデーターで明確に示されるようになった。このことによって、事業効果の低さに関心が向くことは当然であるが、併せて自立の理念や内容について問われることになる。本研究によってもたらされた成果の範囲は事業効果の測定までで、持続可能な地域生活のあり方についての実証的研究にまでは至らなかった。この点については次回の機会に委ねたい。
著者
渡辺 和宏 全 炳東 橋本 明将
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.454, pp.27-32, 2008-01-17

屋外で撮影した建物の情報を景観画像に重畳表示するアノテーションシステムの性能を改善した,GPS,ジャイロ,電子コンパスから得られた観測者の初期位置をカメラから得られた画像特徴量を用いて補正することでアノテーションの際に違和感を与える原因となる幾何学的ずれを解消する.本論文では高精度化と高速化を実現するための手法を物理センサ,ビジョンセンサの両面からそれぞれ提案する.また,従来手法では正確な位置姿勢が一意に推定できなかった特徴に乏しい地点に対する対応についても述べる.