著者
増田 彰正 田中 剛 朝倉 純子 清水 洋 Akimasa MASUDA Tsuyoshi TANAKA Junko ASAKURA Hiroshi SHIMIZU
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.197-203, 1977-03

やまと隕石(j),(k)および(m)の中の希土類元素(REE),Ba,Rb,Srを安定同位体希釈法によって定量した.(j)については,任意に二つの部分をとって分析した(提供された試料は,やや粗い粉末試料だった).最も代表的な希土類元素相互存在度を示すと考えられるLeedeyコンドライトの値で規格化すると,(k)は最も小さい分化を示すが,Euによく見られる異常は別として,GdとDyとの間に不連続性が見られるのが特徴である.(m)と(k)は,成因的な関連が深いと判断された.(j)の二回の定量値の間には,興味深い,系統的な差がある.(m)と(k)との関連,および(j)の内部的分化は,共に,もとの母体小惑星内での溶融と結晶分化の効果を強く示唆すると解釈できる.
著者
黒田 格 黒田 萌 清水 洋介 小川 太志 大浦 誠 小林 直子 山城 清二
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-31, 2020-03-20 (Released:2020-03-25)
参考文献数
7

筆者らは2019年6月,トロント国際家庭医療研修プログラム(Toronto International Program to Strengthen Family Medicine and Primary Care)に参加し,家庭医療の重要なエッセンスを学んだ.長い歴史を持つカナダの家庭医療を土台に,患者レベル・地域レベル・国際レベルで各層において日本の家庭医療の課題を考察する事ができた.
著者
寺澤 英夫 清水 洋孝 上原 敏志 喜多 也寸志 島 さゆり 武藤 多津郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001219, (Released:2018-12-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2

症例は48歳男性である.発熱の先行症状の後に急性脊髄炎を発症した.脊髄MRIでは,C6よりTh8レベルまで連続する長大な脊髄病変をみとめ,免疫療法に奏功して脊髄病変は消退し,神経症状も軽快した.血清抗aquaporin-4(AQP4)抗体,抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体は陰性であったが,血清と髄液の両者より抗lactosylceramide(LacCer)抗体が急性期に陽性で回復期に弱陽性に低下した.抗中性糖脂質抗体は,脳炎・脳症を欠く急性脊髄炎で陽性になる既報告はなく,急性脊髄炎の病態の鑑別に本抗体を考慮する必要があると考えられた.
著者
福島 道子 北岡 英子 大木 正隆 島内 節 森田 久美子 清水 洋子 勝田 恵子 黛 満 奥富 幸至 菅原 哲男 藤尾 静枝 山口 亜幸子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.38-46, 2004-03-25

都内某保健所において児童虐待事例として援助した家族8例,および関東圏某児童養護施設において虐待事例として入所した児童の家族17例を対象に,「家族生活力量」の概念に基づいて事例検討し,児童虐待が発生している家族の問題状況を分析した.各事例を「家族生活力量アセスメントスケール」や家族システム論を用いて分析した後,全体像を短文で記述し,それをグルーピングしたところ,「精神疾患から虐待が発生し,それに伴って生活困難が生じている」「不健全な夫婦関係が虐待問題をより解決困難にしている」「生活基盤が弱いことによってネグレクトが生じている」「家族形態が成立しないまま出産し,出産直後から育児放棄している」「世代間境界の曖昧さが虐待問題をより解決困難にしている」「未成熟な家族ゆえに虐待が発生している」の6つに類型化された.また,「家族生活力量アセスメントスケール」で家族の生活力量を測定した結果,虐待が発生している家族は家族生活力量が低値であり,特に「役割再配分・補完力」と「関係調整・統合力」が顕著に低かった.虐待事例各々についてスケールの得点をみると,同スケール9領域のいずれかが0%である事例が21例みられた.虐待支援に当たっては,家族生活力量を査定したうえで働きかけることが必要であることが考えられた.本研究の限界として,事例数が少なく,虐待重症度や対象選定機関等に偏りがある.今後は,地域保健・福祉機関からの事例を積み上げていきたい.
著者
清水 洋治
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1153, pp.116-121, 2015-03

では、内部の構造や部品を詳しく見ていこう。スマートフォンなどの場合、基本的にユーザーが分解しないことを前提にしているため、特殊なネジがよく使われる。例えば、ネジ穴が三角だったりするネジだ。
著者
馬越 孝道 清水 洋 松尾 のり道
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.223-235, 1994-11-20
被引用文献数
9

Fugendake, the main peak of Unzen Volcano of Kyushu Island in southwest Japan, started to erupt on November 17, 1990, after 198 years of dormancy, and lava extrusion has continued over three years since May 1991. Hypocenters of earthquakes which occurred before and during that eruption were precisely determined using P-wave arrival time data from five selected seismic stations near the focal region. The hypocenters in Chijiwa Bay are distributed in Chijiwa Caldera. Two linear arrangements of epicenters directed nearly from west to east emerged clearly in the western part of the Shimabara Peninsula, whose hypocentral depths became shallower toward the summit of Fugendake. The distribution of hypocenters is restricted by the fault systems which have been formed by the crustal movements of Unzen Graben. The stress which generates these earthquakes is dominated mainly by the north-south extension ; consistent with the regional tectonic stress. The directions of pressure axes are controlled by the magmatic pressure beneath the focal region. It is inferred from the hypocentral distribution and the orientations of pressure axes that the magma involved in the 1990-94 eruption is situated below an inclined boundary between seismic and aseismic regions in the western part of the Shimabara Peninsula. The magma ascent path is located at 13±2 km in depth beneath the western shore of the Shimabara Peninsula, becoming shollower eastward with an angle of elevation of 40〜50°.
著者
清水 洋 馬越 孝道 松尾 ★道
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.41, pp.13-18, 1993-06-25
被引用文献数
5

九州中・西部の地殻内地震活動およびそれらの発震機構から推定される地殻応力場の特徴を調べた。その結果, 地震活動については, 別府-島原地溝帯や日奈久断層系など当該地域の顕著な地質構造に対応した帯状または線状の分布が明かになった。また, 天草灘では, 地溝の両側の縁に沿って2重の地震活動帯が明瞭に認められた。発震機構については横ずれ型が卓越している。張力軸はおおよそ南北であり, 地殻変動から推定される広域地殻応力場と矛盾しないが, 起震応力としては東西圧縮力が無視できない。さらに, 深発地震を用いて最上部マントルのS波偏光異方性を調べた結果, 先行S波の偏光は, 別府-島原地溝帯を境にその北側と南側でそれぞれ北西-南東方向と北東-南西方向に卓越する可能性が示された。
著者
宮町 宏樹 泊 知里 八木原 寛 井口 正人 為栗 健 山本 圭吾 大倉 敬宏 安藤 隆志 尾西 恭亮 清水 洋 山下 裕亮 中道 治久 山脇 輝夫 及川 純 植木 貞人 筒井 智樹 森 済 西田 誠 平松 秀行 小枝 智幸 増田 与志郎 加藤 幸司 畠山 謙吾 小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.227-237, 2013-03-29

2008年に実施された屈折法地震探査によって得られたP波初動走時により,姶良カルデラおよび桜島火山の深さ3kmまでの速度構造を推定した.本研究地域の基盤層である四万十層群は4.6-5.0km/sのP波速度を持ち,姶良カルデラの中央部に向け傾斜している.姶良カルデラの中央部には,4.2-4.4km/sの低速度域が深さ1.5-3kmに存在している.そして,この低速度域はカルデラ下に存在する深部マグマ溜まりからのマグマ供給系が活発であることを示唆している.また,基盤層は鹿児島地溝帯の北西域の境界に沿って深さ1kmから2.5kmに急激に落ち込んでいることがわかった.桜島火山の速度構造は3.6-3.7km/sの領域が存在することで特徴づけられる.桜島火山の山頂直下で発生している火山性地震の震源域と速度構造の比較から,地下構造が種々の火山性地震の震源域の広がりに強い影響を与えていることを示した.
著者
林田 健一郎 金子 俊朗 竹内 崇 清水 洋彦 安藤 邦雄 原田 悦守
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.149-154, 2004-02-25

ラクトフェリン(LF)は,ミルク,血液など体液中に広く存在する鉄結合性タンパク質で,多様な生理機能を待つことが知られている.本実験では,経口投与したLFが,リウマチ性関節炎のモデルであるラットアジュバント関節炎モデルにおいて,抗炎症及び鎮痛効果を示すか否か検討した.加えて,LFの免疫調節機能の特徴を調べる目的で,同モデルにおいて,LPS刺激によるTNF-α及びIL-10産生に対するLFの効果も検討した.LFを関節炎惹起3時間前から1日1回予防的に投与した場合,あるいは関節炎惹起後19日目から7日間治療的に投与した場合のいずれにおいても,LFは関節の腫脹と疼痛を抑制した.関節炎惹起25日目のラットに,LFを単回投与したところ,用量依存的に鎮痛効果が観察され,この効果はナロキソンによって消失した.また,LFは,連続投与した場合だけでなく,単回投与でも,LPS刺激によるTNF-αの産生を抑制しIL-10の産生を増加させた.以上の結果から,経口投与したLFは,関節炎の炎症と疼痛に対し予防的及び治療的効果を待つことが明らかとなった.更に,LFは,TNF-αの産生を抑制しIL-10の産生を増加させるという性質の免疫調節機能を待つことが示唆された.これらのことから,LFが関節炎に対する天然の治療薬になることが期待される.
著者
清水 洋平 舟橋 智哉
出版者
大谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

従前の科研プロジェクト「タイ国中部地域の王室寺院が所蔵する東南アジア撰述仏教説話写本の研究」を承け、その研究課題の中で作成した同地域の寺院が所蔵する貝葉写本の文献タイトルのみを記した所在目録を改善した。個々の文献の写本資料としての資質が整理され、文献ごとに様々な既出の所在目録との横断的な整理がなされた一次資料の所在目録及びデータベースを構築した。これらを活用し、仏教説話文献をより深く探究する手段として、その鍵となる「アーニサンサ(anisamsa)」と呼ばれる、一群の積徳行に関わる未開拓の釈義文献の文献学的研究をスタートさせることができた。
著者
藤井 敦史 原田 晃樹 北島 健一 佐々木 伯朗 清水 洋行 中村 陽一 北島 健一 清水 洋行 佐々木 伯朗 中村 陽一
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本では、社会的企業が、企業の社会貢献との延長線上で捉えられ、制度的・社会的基盤条件を無視した研究が行われてきた。それに対し、我々は、EMESネットワークの社会的企業論を分析枠組の基礎に据え、英国イースト・ロンドンの社会的企業、並びに、障害者雇用領域で活動する日本の社会的企業について調査研究を行った。これらの比較調査から、社会的企業の発展にとっては、(1)委託事業を含む政府(行政)との協働のあり方や(2)地域でセクターを形成しうるインフラストラクチャー組織の存在が極めて重要であることが理解できた。