著者
渡辺 秀樹 大森 文子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英語の動物名で人間比喩義を持つものを類ごとに全て収集・リスト化し、イヌ科、ネコ、鳥類、昆虫の人間比喩用法、代表的詩人の動物名使用の特徴について研究論文を発表した。本研究では動物名の縁語も含めて人間比喩用法における動物名の類義・対義のグループや複雑な構造性を明らかにしたが、このメタファーの構造性の提示が本研究の成果であり学界でも注目された。その成果は既に日本英語学会全国大会シンポジウム「これからのコロケーション研究」の講師として口頭発表し、今後『英語動物名メタファーの構造と歴史』(仮題)という学術書に記す。
著者
望月 由妃子 田中 笑子 篠原 亮次 杉澤 悠圭 冨崎 悦子 渡辺 多恵子 徳竹 健太郎 松本 美佐子 杉田 千尋 安梅 勅江
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.263-274, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
30

目的 児童虐待件数は毎年増加しており,虐待の予防,早期発見,早期支援に関し,実態に基づく適切かつ具体的な取り組みが求められる。本研究の目的は,保育園の園長および保育士が「虐待疑い」と評価し,市と情報交換しながら見守りをしている子どもの養育者の育児不安および育児環境と虐待との関連を明らかにし,虐待の予防,早期発見・早期支援の一助とすることである。方法 A 市の全公立保育園に在園する子どもの全養育者1,801人に育児支援質問紙および育児環境指標(ICCE)への記入を依頼した。育児支援質問紙は養育者の育児困難感や不安・抑うつ傾向を,育児環境指標は子どもと環境とのかかわりの質や頻度などを測定する。専門職が「虐待疑い」と評価した子どもの養育者を「虐待群」,それ以外を「非虐待群」とした。育児困難感,不安・抑うつ傾向および育児環境と虐待との関連を検討するため,両質問紙の回答をリスク群,非リスク群の 2 群に分類し,各リスク項目の有無の独立性について,Fisher の正確検定により検定した。さらに虐待と有意に関連する要因を他の項目の影響を互いに調整した上で検討するため,「虐待」を目的変数,育児不安と養育環境で有意な関連のみられた項目を説明変数,性別と年齢を調整変数とし,多重ロジスティック回帰分析によりオッズ比を算出した。結果 多重ロジスティック回帰分析の結果,「虐待群」は「非虐待群」と比較して,育児不安では,「不安や恐怖感におそわれる」が4.9倍,育児環境では,「保育園以外に子どもの面倒をみてくれる人がいない」が4.7倍であり高い値を示した。調整変数(性別,年齢)では有意な関連はみられなかった。結論 育児困難感や不安・抑うつ傾向および育児環境と虐待との関連より,保育園等の専門職が養育者への具体的かつ活用可能な支援の方策が得られ,虐待の予防,早期発見,早期支援の一助となることが示唆された。
著者
八月朔日 泰和 後藤 薫 渡辺 雅彦
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中枢神経系において、野生型と比べDGKbノックアウト(KO)マウスの線条体投射ニューロン樹状突起における棘突起数が減少していた。また、DGKbとAMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットの1つであるGluA2は、DGKbのカルボキシル端で結合していた。さらにDGKb-KOマウスの線条体において野生型に比して減少する分子が認められ、DGKbはGluA2を介して棘突起形成に関与する可能性が示唆された。次に、中枢神経系におけるDGKeの機能解析を行い、DGKeがプルキンエ細胞の樹状突起形質膜直下の滑面小胞体であるsubsurface cisterns(表面下槽)に局在することを明らかにした。
著者
篠田 浩一 渡辺 隆夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLP, 音声言語情報処理 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.75-81, 1996-12-12
参考文献数
10
被引用文献数
4

近年,隠れマルコフモデル(HMM)を用いた大語葉音声認識システムにおいて,コンテキスト依存サブワード単位がしばしば用いられてきた.その場合すべての認識単位のパラメータを十分な精度で学習するためには,一般に学習データ量が不足しているため,これらのシステムのほとんどは,モデルの自由度を下げるために様々な方法でパラメータのクラスタリングを行なっている.しかしながら,これらのクラスタリングの手法は停止基準を内包していなかった.本稿では,情報量基準の1つであるMDL基準を停止基準として用いる方法を提案する.評価実験の結果,提案法は少ない計算量で従来の発見的な方法と同等以上の性能をもつことが明らかになった.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
渡辺 浩一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-106, 2013-03

本稿は、災害史研究の基礎としての史料学的研究である。「出水一件」(旧幕府引継書)という江戸の水害記録シリーズの一部を対象とした。ここでは、水害対処という行政課題に対して、どのような文書がどのような経緯で作成・利用されたか、という問題に限定した。検討の結果、先例の蓄積およびマニュアルの策定という文書上の水害対処が行われていたことが判明した。本稿の検討の限りでは、その過程は先例集の質的向上というよりも、マニュアル策定の方向に向かったという特徴を指摘できそうである。それは、この記録が日常的行政ではなく災害対処を内容とするため、緊急性を要したからではないだろうか。マニュアルが策定されれば、蓄積され続ける先例はそのバックデータという位置づけになるのであろう。This study offers a basic research for the history of disasters from the perspective of study on historical sources. It mainly analyses documents called demizu ikken, a set of records on disasters brought by floods in early modern Japanese metropolis, Edo. It limits its scope to the enquiry of what kind of documents were created and how they were used in relation to the administrative problem of devising measures against floods. Analysis is of these documents highlights a shift in focus from accumulating the records of precedents to compiling a reference manual for flood disasters. Such a shift occurred probably because this particular set of records concerned not so much ordinary administrative routines as emergency measures against disasters which required swift responses. In this framework, the records of precedents that continued to be accumulated can be understood as back data to the reference manual.
著者
木方 正 永井 勝幸 宮本 郁夫 渡辺 利明 鵜飼 茂夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.286-288, 1990-04-25
被引用文献数
4

Biological activities of two galactomannans (CI-P and CI-A) isolated from the insectbody portion of Chan hua (fungus : Cordyceps cicadae) were studied. CI-P having low affinity for concanavalin A (Con A) exhibited potent carbon-clearance activity in mouse, although both polysaccharides had little antitumor activity against sarcoma 180 in mice. Furthermore, CI-P and CI-A was found to have potent hypoglycemic activity in normal mice, and CI-A having high affinity for Con A showed slightly higher activity than CI-P.
著者
渡辺 良次郎
出版者
國學院大學綜合企画部
雑誌
國學院雜誌 (ISSN:02882051)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.69-81, 1959-12
著者
渡辺 幸一 石坂 隆 田中 浩
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1153-1160, 1995-12-25
被引用文献数
6

大気中における過酸化物や他の微量気体(O_3,SO_2)の濃度の測定を夏から初秋にかけて、中部日本に位置する乗鞍岳の山頂付近(標高2770m)で行った。過酸化水素(H_2O_2)やオゾンは真夜中に濃度が最も高くなり、真昼に最も低くなった。深夜にH_2O_2やO_3濃度が高くなるのは上層大気の沈降によるものと考えられ、このような日変化は低地での変動とまったく逆である。また、夏の乗鞍岳では、SO_2(S(IV))をH_2SO_4(S(VI))へと酸化させる能力の指標とされている[H_2O_2]/[SO_2]の比がほとんどの期間で1より大きく、SO_2の酸化剤が十分に存在していることがわかった。すなわち、夏期においては、水滴中でのSO_2の不均質酸化が非常に速いものと考えられる。
著者
太田 賢 増田 彰久 渡辺 尚 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.117, pp.69-74, 1997-12-04
被引用文献数
2

PHS、携帯電話のワイヤレスデータ通信機能を利用してマルチメディア通信を行いたいという要求がある。しかし、ワイヤレス通信には帯域幅が狭く、バースト誤りにより転送が途切れる、帯域幅、誤り率などの品質が頻繁に変化するといった問題があり、比較的大容量の帯域幅とスムーズな転送を必要とするマルチメディア通信の扱いは難しい。我々はこれまで、コンテンツ内の重要な情報を優先して受信者に提供する選択的マルチメディア通信方式SMAPを提案してきた。SMAPは、マルチメディア情報の各映像フレーム、音声ブロックに対して、その意味的な重要度に基づき優先度を4段階で与える。帯域幅が不足している状態においても、優先度に基づく選択的転送により、重要な部分は比較的高い時間的解像度で提供することができる。本稿ではさらに優先度に基づいた空間的解像度の制御を加えることで、帯域幅が狭く品質が頻繁に変化するワイヤレス通信環境においても、重要なフレームをより確実に、かつ高品質で受信者に提供することを可能にする。Users desire to use multimedia applications such as browsing WWW and VoD in not only desktop computing environment but also wireless or mobile computing environment. A wireless link, however, is generally poor in quality to accommodate multimedia communication. We have proposed a content-based multimedia access protocol SMAP for wireless environment. It adopts the selective transport service according to content-based priority, assigned to each video frame and audio block of multimedia data, so that a user can get important information even if available bandwidth is insufficient for the multimedia data. This paper introduces the spatial resolution control for video into SMAP. When available bandwidth is so poor, degrading spatial resolution of video frames allows the selective transport to choose more high-priority frames to deliver. Since the spatial resolution control delivers high-priority frames in higher spatial resolution, a user can perceive important frames in higher quality.
著者
渡辺 邦洋 背戸 文子 堤 あかね
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.37-42, 1992-01-05
被引用文献数
8 3 3

置換基を変えた3種の1-アミノ-8-ナフトール-3,6-ジスルホン酸(H酸)モノアゾ色素を合成し, これらの試薬のマンガン-過酸化水素による退色反応を利用した極微量マンガンの接触分析法を検討した.いずれの色素を用いた方法でもマンガンの定量が可能であり, 活性化剤としてはo-フェナントロリン及びタイロンが有効であった.3種の色素の中で最も感度が優れていたのは1-アミノ-8-ヒドロキシ-7-(p-ヒドロキシフェニルアゾ)-3,6-ナフタレンジスルホン酸であり, この色素を用いて0.04〜1.0ppbのマンガンの定量が可能であった.本法を水道水中のマンガン定量に適用した結果, 特別な前処理なしで直接定量することができた.
著者
小林 淑恵 渡辺 その子
出版者
科学技術・学術政策研究所
巻号頁・発行日
2014-05 (Released:2014-06-30)

研究機関に在籍している「狭義」のポストドクターの場合、将来のキャリアパスが不透明であり、任期を繰り返しつつ不安定な雇用のままで高齢化することが問題視されている。この現状と要因について明らかにするために、本研究では文部科学省 科学技術・学術政策局 基盤政策課で実施した『ポストドクター等の雇用・進路に関する調査-大学・公的研究機関への全数調査(2009年度実績)』の個票データを用い、正規職(常勤、任期なし)への移行に関する分析を行った。ポストドクターは30-34 歳で最も多く、博士課程修了後の年数は平均4~5年である。正規職への移行率は博士修了後5~7年程度でもっとも高く、ポストドクターというトレーニング期間を経て、任期の変わり目で移行するケースが多いことが明らかになった。しかし平均移行率は6.3%と、一般大卒者の非正規職から正規職への移行率よりも著しく低い状況にある。特に女性、理学・医学系、競争的資金で雇用されている者の移行率が有意に低いことから、これらの状況を踏まえた上で、任期の変わり目である5年目辺りまでに、安定した職へ移行できるような支援が必要であることを指摘している。また今後の課題として、本データでは捕捉されていない有期の特任助教から正規職への移行についても検討する必要がある。
著者
武元 英夫 BRESSOUD Dav 竹内 洋 瓜生 等 降矢 美彌子 安江 正治 前田 順一 渡辺 徹 花島 政三郎 LAINE James KURTHーSCHAI ルサン LANEGRAN Dav PARSON Kathl WEATHERFORD ジャック SUTHERLAND A 石黒 広昭 川上 郁雄 本間 明信 猪平 真理 森田 稔
出版者
宮城教育大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

マカレスター大学において研究協議を行い、意見交流を行った。協議では学内のカリキュラム担当者、学外における教育プログラム担当者等と話し合いが行われた。また、カリキュラムに関する資料や学外の教育プログラムに関する資料が収集された。広域情報教育について、発達しているアメリカのその実態をマカレスター大学との研究討議で、教育センターを訪れることによって見ることができ、いくつかの資料を得た。音楽についてはアジアの音楽での楽器の使用での大学でのカリキュラムの討議、数学のカリキュラムについても解析学や数学科教育の分野での討議したり、実際に講義に参加しアメリカ合衆国での現在の大学でのカリキュラムの見直しの実態に触れ、これからの日本の大学におけるカリキュラムの検討課題が得られた。また、環境教育のカリキュラムについても討議を行った。当初の予想以上の成果があったと言えよう。マカレスター大学は今後の国際化教育を進める上で日本を含むアジア・アフリカ等との交流を重視していくというのは、21世紀に向けた日本の大学教育を考える上で極めて示唆に富む点である。今後の研究を進める上で、どのように共同の視点に立って協議を進めて行くかが課題となろう。経済学教育の面で、特に、アメリカ側から眺めた日本の経済体制についての討議が行われ、金融状勢についての両国の見方、大学でのカリキュラムの導入の方法等において有意義な研究が行われた。コンピュータネットワークは予想どおり、我が大学よりもはるかに進んでいて、数年後の本大学の期待する姿をみたような気がする。
著者
奥村 彰久 早川 文雄 久野 邦義 夏目 淳 渡辺 一功
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.475-479, 1994-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
8

脳室周囲白質軟化症 (PVL) 17例の出生予定日の頭部CT所見を, 正常発達を確認した児50例と比較した.脳室周囲白質の域性低吸収域は正常発達児の40%に認められ, 必ずしも病的な所見とはいえなかった.それに対し, 脳室周囲白質の孤立性低吸収域・脳室壁の不整・半卵円中心の著明な低吸収域はPVLに特徴的であった.新生児期CT所見が軽度・中等度異常の例では, 年長に達した時点のMRI所見とは55%で, 運動発達予後とは50%で, 異常の程度が一致した.CT所見が重度異常の児はMRI所見・予後とも重篤であった.重症のPVLでは半卵円中心の著明な低吸収域が特徴的で, その範囲はMRI所見・予後と関連が認められた.