著者
大島 英子 樋上 純子 山口 美代子 殿畑 操子 山本 悦子 石村 哲代 大喜多 祥子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 中山 伊紗子 福本 タミ子 安田 直子 米田 泰子 渡辺 豊子 山田 光江 堀越 フサエ 木咲 弘
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.338-345, 1999-11-20
被引用文献数
9

本実験では,焼成条件の違いがハンバーグの内部温度に及ぼす影響について検討し,次の結果を得た。 1.ハンバーグ内部の最低温度を示す点は,焼き始めはオーブン皿に接している底面の近くにあるが,生地の焼成とともに,底面から上の方に移動し,約10分経過の後からは厚さのほぼ中心付近にあることが明らかとなった。2. ガスオーブンの庫内温度を180℃,200C,230℃と変えてハンバーグを焼成した場合,焼成温度の違いは75℃到達時間の違いにあらわれるだけでなく,余熱にも影響を及ぼした。焼成温度が230℃の場合では,75℃到達後すぐに取りだしてもなお内部温度上昇が顕著に起こるので,75℃以上1分の条件を満たすことは十分可能であり,焼成時間の短縮も期待できる。 3.焼成開始時のハンバーグ生地品温が0℃,10℃,20℃と異なる場合,75℃到達時間は0℃では22分,10℃と20℃では16分となり,有意差が認められた。このことから,チルドなどの0℃付近の品温のハンバーグは,焼成の時間設定を長めにする必要があるが,焼成後オーブンから取りだしてからの内部温度の推移に差はなかった。 4.電気オーブンとガスオーブンでの焼成を比較すると,庫内を230℃に予熱して焼成した場合,ガスオーブンの方が75℃到達時間は0.9分早く,余熱最高温度も6.5℃高くなり,75℃以上保持時間も5.7分長かった。これらの差はガスと電気の熱量の違いによるものと思われる。 5.70℃まで焼成したハンバーグと,75℃まで焼成したハンバーグとを官能検査したところ,両者の間に有意差は認められず,75℃まで焼成しても焼き過ぎとは判定されなかった。厚生省指導による75℃以上1分間加熱は,ハンバーグの焼き色,香り,触感,味などの点で十分賞味できるものであることが認められた。
著者
渡辺 公三
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.492-504, 2000-03-30

近代人類学の始まりとして1859年におけるパリおよびロンドンでの学会創立の日付がしばしばあげられる。パリ人類学会の中心的な創立者ポール・ブロカは創立直後におこなった「フランスの民族学的研究」という基調報告をケルトやキムリスなどのraceがフランスのnationを構成することの論証にあてている。国民の人種構成を論証するために使われたデータは, 当時ほぼ唯一の全国的な統計資料だった徴兵検査資料, とりわけ身長統計である。身長という粗雑な特徴に満足していたわけではないブロカは, この報告の後, 晩年まで人種的差異の実証的根拠づけに多くの力を注ぐことになった。その後ブロカの洗練した身体計測技法は, ブロカの不肖の弟子でもあったパリ警視庁に勤務するベルティヨンによって意外な用途を発見された。身体の各部分のサイズが全く同じ成人は稀であり, 身体各部の正確な計測値を一定のしかたで分類のエントリーとして使うことで, 名前にも顔にも頼る事なく個体を個体として同定できるというわけである。この着想は軽犯罪の急増に悩む世紀末フランス市民社会にきわめて有効な身元確認技術を提供することになった。ここには国民国家の根幹をなす軍隊の人員管理技術の整備とともに, 人類学的な国民の人種的同一性確定手法が洗練されてゆき, その手法が警察の犯罪者同定技術として利用されていったという過程があったことが示されている。統治技術から人類学へ, そしてまた人類学から統治技術へという人目にはつきにくい知の技法の往還が見出されるといえよう。この小論ではフランスにおける, 今世紀初頭までのパリ人類学会の動向を, 軍および徴兵制との関係を中心に簡単に検討し, とりわけ徴兵制の変化が, 人類学会で一定の学問的な言説としてどのように議論されていたかについて検討する。それがどのような問題構成の枠のなかでおこなわれ, 人類学固有の問題としてどう受け止められていたのか, そしてそこにわれわれは19世紀人類学のどのような存立条件を見極められるのかを見ていくことにしたい。
著者
渡辺 政俊 大畠 誠一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.9-16, 1980-01-25
被引用文献数
3

地上部の樹形に関する理論的研究は, パイプ・モデル理論, 靜力学モデル, 吉良・小川の理論によって, 一連の定量的解析がなされた。竹稈は中空部分を内在し, しかも肥大生長を伴わない。このため, 竹稈には特有の形態的特徴が存在する。この特徴を明らかにするため, 竹稈の形と上記のモデルとを比較検討した。厳密な意味では, パイプ・モデル理論によりマダケ竹稈の形の説明はできない。しかし, 使いふるされたパイプが蓄積してできあがる直稈部分, 根株部分の形は, 静力学モデルと吉良・小川の理論にみごとにあてはまる。肥大生長をしない竹稈は古いパイプの蓄積を伴わないにもかかわらず, 両モデルがあてはまる事実は, 竹類の生長の重要な性質を示している。竹類では, 葉と連結すべきパイプが, 新竹の完成時点ですでに準備されていると考えると, パイプ・モデル理論に対するマダケ竹稈の形が示した矛盾は消える。竹類の生長の特徴から, 中空部分を除いたマダケ竹稈の形は常に相似形になる。
著者
石原 勝也 菅沼 保治 渡辺 幸男
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.149-157, 1977-04-25

The present studies were undertaken to obtain data on serum lipoprotein analysis which would serve as normal references for studies on serum lipoproteins in diseased dogs, especially those with canine dirofilariasis. Serum samples were collected from 35 normal dogs of various ages proved to be free from Dirofilaria immitis (filaria) by the routine physical checkup and laboratory examination. They were analyzed for lipoproteins by cellulose acetate electrophoresis (electrophoresis). The serum lipoproteins were obtained basically as four distinct fractions, i.e., α-, pre-β-, β-lipoprotein and chylomicron fractions. The last-named fraction was only in trace quantities. It was presumed that the four fractions might have a density of 1.063<1.210, 1.006<1.019, 1.019<1.063 and <1.006, resptctively, as estimated from the electromigration velocities (mobilities) of other samples which had been separated ultracentrifugally. The mobility of the pre-β-lipoprotein fraction, however, varied with the serum sample, possibly due to the difference in the quantity of lipids bound to this fraction of serum lipoproteins. On the basis of analytical data on the 35 normal dogs, the normal percentage composition (relative proportion) of the serum lipoprotein fractions was investigated in dogs. Furthermore, the concentrations of these fractions in the serum were calculated from data on the total serum lipid content, the percentage composition of the serum lipoprotein fractions, and the amounts of lipids bound to the lipoprotein fractions obtained from 25 of the 35 dogs in order to clarify the normal ranges.
著者
菊池 義浩 渡辺 敏明 駄竹 健志 中條 健 永井 剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

現在、ISO・MPEG4、ITU-TLBCにおいて、超低ビットレートでも高い符号化品質が得られ、伝送路誤りに対して高い耐性を有する動画像符号化方式が検討されている。誤りを考慮しない従来の動画像符号化方式では、可変長符号の同期はずれにより多くの情報が失われる問題点があった。特に、モード情報や動きベクトル情報が失われると大きな画質劣化につながる。ここでは、動きベクトル情報の符号化にベクトル量子化を用い、VQインデックスを固定長符号化することによりこの問題を解決する方式を提案する。さらに、領域形状と動きベクトルをまとめてVQする領域分割動き補償を行うことにより符号化品質の改善をはかる。
著者
山口 留美子 渡辺 昭則 佐藤 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.137, pp.57-62, 1999-06-24

ポリ酢酸ビニル(PVAC)をケン化反応させることによって得られるポリビニルアルコール(PVA)において、そのケン化度と液晶配向特性の関係について実験、測定を行った。すなわち、PVAC膜または種々のケン化度のPVA膜を用いて流動配向、またはラビング処理によるホモジニアスセルおよびTNセルを作製し、配向状態の観察と方位角アンカリング力の測定を行った。ホモジニアスセルでは、方位角アンカリングがケン化度の増加とともに増加すること、PVACや低ケン化度PVAでは時間経過とともに配向が液晶の相転移に対して安定し、アンカリング力が増加することが確認された。TNセルでは、PVACや低ケン化度PVA配向膜では、液晶注入から時間とともにねじれ角が減少することが確認された。このため、ホモジニアス配列とTN配列では異なるアンカリング力が現れる結果となり、高ケン化度PVAにおいても、TNセルではホモジニアスセルと比較し,低いアンカリング力が得られた。以上の結果から、液晶の配列が配向界面に及ぼす影響を議論した。
著者
渡辺元嗣
雑誌
臨床精神医学
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1165-1171, 2000
被引用文献数
1
著者
渡辺 功
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.955-973, 1992-11-25
被引用文献数
21

スメアー層が付着したままの研削象牙質への光重合型レジンの接着を目的として研究を行ってきた.拡散力の高いPhenyl-Pを含むボンディング剤を用いると6MPaの接着強さが得られた.しかし長期水中浸漬すると1年後に接着強さは3MPaに低下し長期接着安定性に欠けることが解った.これは十分量のモノマーが拡散できなかったためにスメアー層との樹脂含浸層が弱くなったためである.より多くのモノマーを拡散させるために研削象牙質の物質透過性を向上させる方法を検討したところ, 5, 10%Phenyl-Pと30%HEMAを溶解した水溶液で処理しても1μm以下の樹脂含浸層は形成されるが, 接着強さは向上しなかった.しかし20, 30, 40%Phenyl-Pと30%HEMAを溶解した水溶液で研削面を処理すると, 接着強さは1.5倍の10MPaに向上し, SEM, TME観察により2μmの樹脂含浸層の生成を確認することができた.研削象牙質に強固な接着強さを得るためには, 健全象牙質まで十分にモノマーを拡散させなければならないことが解った.
著者
中西 透 渡辺 創 藤原 融 嵩 忠雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.94, no.56, pp.19-26, 1994-05-20
被引用文献数
1

入札プロトコルでは,応札者とその応札価格の対応関係が他人に知られないという意味で,匿名性をもつことが望ましい.しかし,これまでに提案された匿名入札プロトコルでは,結託により匿名性が破られたり,落札価格が決定したときにその価格で応札した者が名乗りでない場合,落札者を発見できなくなり公平さが損なわれるなどの問題点がある.本稿では,このような問題を解消した否認不可電子匿名入札プロトコルを提案する.否認不可署名方式の一つについて,署名だけでは誰が署名したか他人に解らないという性質があることを示し,それをもとに入札プロトコルを構成する.
著者
下村 道子 高橋 ユリア 渡辺 雄二 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.87-94, 1988-06-20
被引用文献数
1

郷土料理,行事食の中の汁物の特徴を検討するひとつの方法として,クラスター分析を行った。汁物は「週刊朝日百科・世界の食べもの」日本編から選びだし,だし汁の主な材料,実の主な材料,主な調味料,汁の実の量の各項目について,地域別の類型化を試みた。分析過程において,非類似度の定義および距離の更新によってクラスターの形態は変化するが,それぞれのクラスターの融合過程を検討し,各要因と関連づけていく方法をとった。それによって以下の結果が得られた。だし汁の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部,関西〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,九州〕は,さまざまなだし汁の材料を使用しており,かつ,だし汁を使用しないものも多かった。〔関東,中国,四国〕は,だし汁を使用しないものが多かった。〔北陸,中部,関西〕は,昆布だしが多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。実の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,関西,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関西,九州〕は,魚介類と野菜類が多かった。〔関東,中国,四国〕は,魚介類が多かった。〔北陸,中部〕は,魚介類と豆類が多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。主な調味料については,クラスター〔北海道・東北,関東,中部〕,〔中国,九州〕,〔北陸,関西,四国〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関東,中部〕はみそと塩が多かった。〔中国,九州〕は,みそとしょうゆが多かった。〔北陸,関西,四国〕は,みそが多かった。〔沖縄〕は,塩が多かった。汁の実の量については,クラスター〔北海道・東北,沖縄〕,〔四国,九州〕,〔北陸〕,〔関東,中国〕,〔関西〕,〔中部〕に類型化できた。〔北海道・東北,沖縄〕は,量が多かった。〔四国,九州〕は,量の多い汁と少ない汁の割合が高かった。〔北陸〕は,量の中位の汁が多かった。〔関東,中国〕は,量の中位の汁と多い汁の割合が高かった。〔関西〕は,量の中位の汁と少ない汁の割合が高かった。〔中部〕は量が少なかった。総合的にみると,関西,中部,北陸地域の汁物は,昆布だしが多く,汁の実の量が少ない。これらの地域から遠くなるに従い,汁の実の旨味を利用したり,さまざまなだしの材料を使った汁物が増す傾向にあり,汁の実の量も多くなった。全国的に汁の実は魚介類が多かった。調味料は全国的にみそが多いが,関西,北陸地域を境にして,みそとしょうゆが多い中国,九州地域と,みそと塩の多い中部,関東,北海道・東北地域に区別された。ただし,沖縄は独特であり,だし汁および実の材料に獣鳥肉類が多く,調味料には塩が多かった。
著者
太田 昭彦 渡辺 修 松岡 一祥 志賀 千晃 西島 敏 前田 芳夫 鈴木 直之 久保 高宏
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 : quarterly journal of the Japan Welding Society (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.141-145, 2000-02-05
参考文献数
18
被引用文献数
22

The fatigue strength of developed box welds was improved about two times of the conventional box welds. The improved welds used the low transformation temperature welding material which contains 10% Cr and 10% Ni. The expansion of the developed welding material was 0.55% due to the transformation from austenite to martensite. This expansion induced the compressive residual stress around welds. On low stress range condition, the stress ratio effect by this compressive residual stress avoids the fatigue crack initiation at the weld toe. On high stress range condition, the fatigue crack initiated from weld toe and the fretting was observed on the fractured surface. While in the conventional welds, no trace of fretting was observed.