著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20
被引用文献数
1

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を、9種の主要な増養殖対象種(ブリ、マダイ、マアジ、カンパチ、シマアジ、ヒラメ、トラフグ、メバル、クロソイ)について、水産用医薬品であるFA100と比較、検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り、麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は、おおむね200~1,000μl/l であった。一方、FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/l であり、2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると、FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く、麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに、2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから、2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。
著者
渡辺 葵 高久 雅生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.172-179, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
21

現在,うろ覚えのマンガを探す手段には,図書館でのレファレンス質問や質問応答サイト(2ch,Yahoo!知恵袋等)を使う方法がある.そこで,本研究では,それらの質問応答サイトにおける,うろ覚えマンガの質問を調査した.分析には2ちゃんねるおよびYahoo!知恵袋から計300件の質問を抽出し,使用した.分析にあたっては11カテゴリを定義し,各質問にカテゴリ付与を行った.さらに,その質問に対して解答を提供するための情報源となる10の書籍,Webサイトについて11カテゴリに対応する情報源の有無を判断した.調査の結果,検索支援の需要が高いカテゴリとして,マンガのジャンルと登場人物の行動,特徴についての記述の3つが導き出された.
著者
渡辺 敞 徳山 久仁夫 中山 政一 二宮 寿男 大八 木俊治
出版者
社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.22-30, 1979
被引用文献数
2

土石流災害から人命を守るための防災体制づくりの一環として,昭和50年台風5号時の仁淀川流域を調査し,警戒・避難基準雨量を設定する手法を検討した。<br>土石流発生時刻を現地で聞き取り調査し,降雨データと併せて発生時の目安雨量を定めた。豪雨時のモデル降雨をハイエトグラフを用いて設定し,土石流発生目安雨量に達する2時間前と1時間前の累加雨量をそれぞれ警戒と避難の警報を発する基準雨量とした。<br>その値を既往の豪雨に適用した場合の適合度を検討した。
著者
久田 友治 山城 清人 梅谷 一公 渡辺 幸 田村 剛三
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.143-147, 2018-12-20 (Released:2018-12-27)
参考文献数
16

目的:ハブ咬傷患者による応急処置(緊縛,切開,吸引)の妥当性,及び患者への乾燥はぶウマ抗毒素(抗毒素)の適応は明確でない.症状(疼痛,腫脹,出血)と抗毒素投与の関連,及びハブ咬傷患者による応急処置と予後の関連を明らかにする.方法:ハブ咬傷患者調査票が提出され予後が判明した65名を対象者として後ろ向きコホート研究を行った.リハビリの有無に係わらず治癒した患者を予後良好,機能障害を来した患者を予後不良としてFisherの正確検定を行った.結果:抗毒素投与は疼痛と有意な関連を認めたが,腫脹,出血との有意な関連は認めなかった.応急処置と予後,および局所症状と予後には関連が認められなかった.結論:医師が抗毒素投与を決める際に,疼痛を最も重視する事が示唆された.患者による応急処置の必要性は少ないと考えられたが,抗毒素投与の適応,及びハブ咬傷患者による応急処置の妥当性について,更なる研究が期待される.
著者
岡部 繁男 橋本 浩一 渡辺 雅彦
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

学習や経験依存的な脳機能は、生後の臨界期に獲得され、この時期に脳回路はシナプスリモデリング・刈り込みを受ける。イメージングと電気生理学により、臨界期の回路改変へのグリアの影響を解析した。大脳皮質ではミクログリアが組織体積を複数の領域に区切り、それによって錐体細胞樹状突起をシナプス動態の異なる領域に分節することが明らかになった。一方で小脳の登上線維の刈り込みにおいてミクログリアが重要な役割を果たすことがミクログリア特異的なCsf1r-cKOマウスの関与により明らかとなった。ミクログリアによる制御は貪食以外の機序による可能性が高く、抑制性シナプスの機能を介して影響を与える可能性を示唆した。
著者
清水 康敬 田中 正文 渡辺 隆彌
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.921-928, 1987
被引用文献数
4

水晶基板を伝搬する漏洩弾性表面波は温度特性が格段に優れているので注目されている。そこで、本論文ではオイラー角を変化させて、任意のカット、伝搬方向に対する漏洩弾性表面波の位相速度、電気機械結合係数、遅延時間温度係数、伝搬損失、及びパワーフロー角のすべてを計算した。そしてまず代表的なカットに対する諸特性を述べ、その中から伝搬速度が約5、000m/sという非常に速い基板の特性を理論的、実験的に示した。これは高周波用狭帯域形デバイスに極めて有利である。次に全カットに対する漏洩弾性表面波の諸特性を等値線マップの形で表現した。更に漏洩表面波を用いる場合の新基板選定に関する考察を述べた。
著者
渡辺,仁
出版者
日本アフェレシス学会
雑誌
日本アフェレシス学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2005-02-28

近年, 医療の面においてquality of life(以下QOL)が重要視されている.特に関節リウマチ(rheumatoid arthritis : RA)は, 慢性かつ進行性で激しい疼痛と肢体機能低下を伴う難治性の疾患であり, 関節の痛みだけでなく著しく関節の機能が障害されるため, 長期間の療養を必要とし患者のQOLは著しく低下しており, QOLの向上を目指した治療が最も重要視されている.現在, RAの治療は非ステロイド抗炎症剤, 抗リウマチ剤, 免疫抑制剤, ステロイド剤, また最近では生物学的製剤など複数の薬剤が組み合わせて使用されている.これら薬物療法に抵抗性を示す患者に対しては血漿交換療法(plasmapheresis : PP)も行われている.今回我々は, RAの治療法の一つであるPPがQOLに及ぼす影響について検討した.薬物療法に抵抗性であり1年以上継続的にPPを施行しているRA患者11名とし, Health Assessment Questionnaire(以下HAQ), Arthritis Impact Measurement Scale, ver.2(以下AIMS 2), 厚生省リウマチ調査研究事業のQOL研究班の評価案(NIH案)を参考に作成した調査票を用いて行った.今回の調査で長期間継続したPPによりRA患者のactivity of daily life (ADL), 快適度, 満足度だけでなく精神及び社会面などにおいても改善が認められた.長期間継続したPPはRA患者のQOLを高められると考えられた.
著者
渡辺 由加利
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU Journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-36, 2013-03-31

本研究の目的は,妊娠末期にある妻と夫からみた夫婦関係の実態と夫婦関係に関連する要因について分析することである.対象は,初妊婦とその夫で妻224名,夫177名であった.調査方法は,自記式質問紙法で,質問紙の内容は,夫婦関係(結婚満足度,情緒的関係,意見の一致度,意見の不一致時の対処,共同行動,会話時間,出産育児の会話,家事),結婚と妊娠の状態,身体的・心理的状態である.調査の結果,夫の結婚満足度は妻より有意に高かった(p=.000).妻と夫いずれも情緒的関係は高得点であった.妻と夫いずれも結婚満足度と情緒的関係が他の要因に比べ高い関連があり(妻rs=.603,夫rs=.500),夫婦間の情緒的関係は,妊娠期の夫婦関係において中核となる要因であり,情緒的関係に視点をおいた援助の重要性が示唆された.
著者
城倉 正祥 ナワビ 矢麻 伝田 郁夫 渡辺 玲 小林 和樹 石井 友菜 根本 佑
出版者
早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所
巻号頁・発行日
pp.1-23, 2016-07

早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所 調査研究報告 第1冊
著者
影山 拓也 吉田 周平 曽根 宏隆 田中 学 渡辺 隆行
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
熱工学コンファレンス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>The purpose of this study is to synthesize lithium transition-metal oxide nanoparticles by induction thermal plasmas. Six different systems of Li-Mn, Li-Cr, Li-Fe, Li-Co, Li-Ti, and Li-Ni were compared to understand the formation mechanism. The obtained results indicated that lithium metal oxide nanoparticles were successfully synthesized in Li-Mn, Li-Cr, Li-Fe, Li-Co, and Li-Ti systems, while those nanoparticles were rarely synthesized in Li-Ni system. This difference was discussed on the basis of thermodynamic consideration. The yield of prepared lithium metal oxides depends on the ratio of Gibbs free energy change of lithium transition-metal oxides to that of metal oxides.</p>
著者
内野 大介 渡辺 文治
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.117, 2012

<B>【はじめに】</B><BR> 日本における視覚障害者の職業状況は厳しい。渡辺ら(1995)は、中途視覚障害者の職業問題で、比較的可能性の高いのが復職であり、あはき以外の新しい職業・職種に就くことは困難な状況にあると報告している。<BR> 七沢更生ライトホーム(以下ライトホーム)は、視覚障害者に自立訓練(感覚・歩行・コミュニケーション・日常生活技術)を中心とした総合的なサービスを提供する施設である。退所後の進路では、あはきを希望する利用者が多い。本報告では、あはきの資格取得のために、盲学校や養成施設(国立障害者リハビリテーションセンター、以下国リハ)に進んだ利用者の状況を分析し、必要な支援の内容を明らかにしたい。<BR><BR><B>【方法】</B><BR> 対象は、1999年4月から2009年3月末までのライトホーム入所利用者172名(男性122名、女性50名)である。様々な資料が集約されている各利用者のケースファイルをもとに調査した。利用者のプロフィールは、年齢、利用期間、障害等級、原因疾患、学歴、職歴、家族構成、経済基盤等である。支援状況は、学力テスト(中卒程度の教科テスト)、学習手段の検討、各訓練(歩行、点字、PC)の結果についてである。<BR><BR><B>【結果と考察】</B><BR> 盲学校や国リハに進んだ利用者は31名(男性26名、女性5名)であった。平均年齢は39.9歳(最小20、最大61)、利用期間の平均は12.4ヶ月(最小2、最大23)である。<BR> 学歴は、大卒が少なく、中卒・高卒が多い。職歴のある利用者の多くは、入所時に無職である。前職が現業職の者が多いことは、受障後に前職のキャリアを生かしにくく、新たな職業技術を身に付ける必要性を示している。これらの利用者は、訓練により新たなコミュニケーション手段と移動技術を習得しても事務職に就くことは困難である。彼らは職歴や年齢等を考慮し、あはきを選択することが多い。<BR><BR><B>【おわりに】</B><BR> あはきに対してネガティブなイメージを持つ利用者もいる。安易に「視覚障害者の職業=三療」とするのではなく、様々な選択肢を提示し、自らの意思で選んだ進路があはきとなるように支援をする必要がある。杉山和一をはじめ先人の努力の結果として現存する職業システムを有効に活用すべきである。また盲学校や国リハとの連携も欠かせない。
著者
渡辺 恵子
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、国立大学事務職員のキャリア形成の在り方とモチベーションを明らかにすることにより、今後の人材育成につながる示唆を得ることを目的とする。具体的には、次の2つの研究を行う。1.特定の大学で採用された職員のキャリアツリーを作成し、昇進構造を明らかにする。2.生え抜き職員を対象にインタビューや質問紙調査を行うことなどにより、それらの職員のモチベーションの内容や、能力発揮状況や能力開発とモチベーションとの関連などを分析する。
著者
佐々木 正人 渡辺 章
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.182-190, 1984-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
24
被引用文献数
5 4

ほぼすべての日本人成人に観察される空書行動 (単語等の想起時の手指による書字類似行動・動作) が漢字文化に起源を持つとする仮説を検討するために, 日本と同一の漢字圏, そして非漢字圏からの留学生を対象として 5つの実験が行われた。結果は以下のようであった。1) 日本と同様に母国語の文字体系に漢字を有する中国語話者では, すべての者 (21名) に漢字課題解決時の空書の自発が観察された。2) 中国語を母国語とする者においては, 日本人成人に見られたと同様な空書行動の漢字問題解決促進効果が確認された (FIG. 1)。3) 3種の英単語課題 (単語綴り順唱, 逆唱, 欠落英単語完成課題) 事態で日本人 (83名) と非漢字圏からの留学生 (23名) を対象に空書行動の出現の有無が観察された, 結果, 英単語事態での空書の自発は, ほぼ日本人に限定しうることが明らかとなった (FIG. 4)。4) 英単語完成課題を用い空書行動の機能を日本人と非漢字圏で比較した。結果は空書の英単語想起効果は同事態で空書の出現した日本人のみに見られることを示した。非漢字圏では空書行動を求める手続は, むしろ妨害的ですらあった (FIG. 2)。5) 中国語を母国語とする者を対象とし, 3) と同様な英単語課題事態で空書の出現が観察された。彼等にも日本人同様にすべての課題で空書の自発が見られたが, その出現率には日本人と微妙な差異が見られた (FIG. 4)。以上の結果が空書行動の「漢字文化起源説」及び比較文化認知心理学との関連で議論された。また, 日本人の漢字圏における特殊性が指摘された。
著者
安村 佐都紀 大橋 直樹 中川 肇 渡辺 行雄 水越 鉄理
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5Supplement6, pp.1249-1253, 1991-11-01 (Released:2013-05-10)
参考文献数
13

起立性調節不全症候群の脳血流のautoregulationについて, single photon emission computer tomography (SPECT) を用いて検討した.対象は, Schellong検査陽性症例13例で, 対照例として陰性症例4例を検討した. 心電図RR間隔測定を行い, 立位・臥位の2回, SPECTを撮影し, 脳血流の変化率を求めた.自律神経障害はSPECT計測による脳血流には影響を及ぼしていなかつた. 自律神経障害と起立性めまい発現とには相関があつた.自律神経失調による血圧低下に対しても脳血流のautoregulationは保たれていた. めまい発症については, SPECTでは指摘できない内耳のautoregulation障害の可能性も考えられた.
著者
渡辺 秀和
出版者
分子シミュレーション研究会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.134-138, 2011

二次高調波発生,電子和周波発生,分子動力学,分子軌道法を総合的に用いて,空気/水界面におけるクマリンC110 分子の挙動を,分子論的に詳しく調べた.実験的手法と理論的手法を組み合わせることで,水和構造や分子配向などの,界面分子の振る舞いが詳細に研究できるので,今後の界面研究における標準的な方法として定着することが考えられる.
著者
石渡 奈緒美 堤 一磨 福岡 美香 渡部 賢一 田口 靖希 工藤 和幸 渡辺 至 酒井 昇
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.275-284, 2012-08-05
参考文献数
25

IHクッキングヒーターとフライパンによりハンバーグを片面焼成し,一度反転させた際の伝熱と形状変化の解析ならびに,大腸菌O157:H7を対象とした殺菌価を算出した。初期中心点の温度が20, 30, 40および50℃到達時,反転させた伝熱解析値ならびに形状変化は実験値と一致した。なかでも形状変化は,反転直前は初期中心点が厚みの半分より上に,調理終了時は半分より下に位置する実験結果を再現した。殺菌価は,50℃反転試料以外は初期中心点が75℃ 1分を保持していても,調理終了時の試料上面の殺菌価は不十分であると判明した。そこで試料全体が十分な殺菌価を得るのに要する時間を算出した結果,40℃反転試料が最も焼成時間が短く,加熱負荷が最も少ないことが明らかとなった。また,厚みを変化させ,反転温度40℃を対象とした同様な解析を行ったところ,厚み2.0cm程度が本調理条件において最適な試料の厚みであると示唆された。