著者
渡辺 崇子
出版者
北海道基督教学会
雑誌
基督教學 (ISSN:02871580)
巻号頁・発行日
no.45, pp.10-18, 2010

本研究では新渡戸稲造(一八六二-一九三三)が女子教育について初めて明言し、傾倒していったのが欧米留学時代(一八八四-一八九一)であることに着目し、この時期にどのように新渡戸の女子教育観が形成されていったのかを彼が当時寄稿していた『女学雑誌』(一八八五年七月二〇日創刊)、フレンズ派の刊行物、新渡戸の書簡を通して検討する。あわせて、同時期に女子教育の分野で活躍した津田梅子(一八六四-一九二九)の当時の言動もみながら二人の女子教育観の比較を試みる。
著者
渡辺 千晶 浅本 紀子 桑名 杏奈
雑誌
研究報告アクセシビリティ(AAC) (ISSN:24322431)
巻号頁・発行日
vol.2017-AAC-3, no.15, pp.1-5, 2017-03-03

現在,日本には 393 万 7 千人もの多くの身体障害者がいる.しかし求職中の身体障害者数と実際の被雇用者数には不釣り合いが生じている.身体障害者の就労をもっと増やすためには,彼らの享受する教育をより良いものにすることが必要である.身体障害者の学習には,障害の特性に応じた機能を使用できる教材があれば良いと考える.本研究ではオンライン学習は身体障害者の中でも視覚障害者に対して特に有効であると考え,視覚障害者の学習を保障するアプリケーションを作成したいと考えた.そこで視覚障害者のスクリーンリーダーを利用した数式のオンライン学習を支援するため,数式の TeX コードをコンテンツ形式 MathML に変換するアプリケーションを考案した.
著者
山下 英明 立石 慎治 近藤 伸彦 林 祐司 椿本 弥生 松河 秀哉 渡辺 雄貴 松田 岳士
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、学生の学業上の成功(AS; Academic Success)を達成するための修学支援を高度化するために、教学データを用いて大学や学位プログラムごとに重要となるAS指標群を自動生成すると同時に、重要指標を自動選択して、各大学や学位プログラムにおいて「望まれる学生像」とその達成度合いの予測値を示すASモデルを形成し提示するシステムを開発することをめざしている。本研究では、研究内容を以下3つのテーマに分け、順に取り組むことで計画的に研究を遂行するものとしている。《テーマ1》理想的な学生像の解明を通じたASモデルの確立、包括的なデータセットの定義、《テーマ2》重要指標の選定によるASモデルの生成、AS(Academic Success)モデルの表示方法、《テーマ3》開発されたシステムを効果的に用いる学生指導方法のアクションリサーチ。平成29年度は、このうちテーマ1について取り組み、考えうる「理想的な学生像」と、使用可能なデータセットの調査を行い、ASモデル構築のための基本情報を整理した。さらに、具体的な予備調査として、卒業時のAS度合いについて特定の学位プログラムの学生に対するアンケート調査を実施した。また、学習者モデルの分析手法についての研究、教学IRやFDに係る基礎研究、機械学習による修学状態の予測モデルに関する研究などをそれぞれ分担して遂行した。次年度は、これらの研究で得られた知見を活かし、テーマ2におけるASモデル生成に取りかかる予定である。
著者
渡辺 毅
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1152-1159, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
被引用文献数
4 2

新しい日本の専門医制度が単独の学会の枠を越えて始まろうとする今,そもそも内科の専門医制度とはどのような経緯を踏まえて今日の姿になり,これからどのような新しい内科専門医制度となっていくのか,その歴史をひもときながら,今一度,その意義を見つめ直していきたい.
著者
宮縁 育夫 増田 直朗 渡辺 一徳
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.353-358, 2004-10-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
23
被引用文献数
4 4

阿蘇カルデラ西部に分布する立野溶岩の直下に,軽石層が存在することが認められ,その軽石層は阿蘇中央火口丘第4軽石(ACP4)に対比された.また,ACP4直下から未炭化の樹木根を採取し,加速器質量分析法による14C年代測定を行った.得られた年代は>43,200 14C yrs BP(>約46cal kaに相当)であり,立野溶岩の上位に存在する高野尾羽根溶岩のK-Ar年代(51±5ka)とも矛盾しない.阿蘇火山中央火口丘群の西部地域では,50ka前後に数100年程度の時間をおいて,立野溶岩と高野尾羽根溶岩というデイサイト~流紋岩質溶岩の流出が2回あり,それらの直前にはプリニー式噴火が発生し,多量の降下軽石が放出されていることが明らかになった.
著者
渡辺 晃紀 早川 貴裕 佐藤 栄治 三宅 貴之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.96-106, 2019-02-15 (Released:2019-02-26)
参考文献数
21

目的 第7次医療計画の策定に向け,栃木県(人口196.8万人)内の入院患者の受療動向を把握する。方法 栃木県内の病床を有する全221医療機関(病院107,診療所114)を対象とし,対象日(2016年9月1日)の全入院患者および対象月(2016年9月)の全退院患者について,調査票またはDPCデータにより,住所(郵便番号),性,年齢,入退院日,診療科,入院前の場所,救急搬送,傷病名(調査票は疾病分類コード,DPCはICD基本分類),手術(診療報酬のKコード),転帰,退院後の行き先を尋ねた。活動内容 回収率は施設単位で68%,病床単位で一般87%,療養74%,精神89%で,入院票13,052件,退院票17,468件の回答を得た。 一般・療養病床では,入院10,407件のうち,年齢別では65歳以上72%(75歳以上51%),診療科別では内科系49%,外科系19%,整形外科系15%,疾病分類別では循環器系21%,新生物17%,呼吸器系10%であり,2次医療圏ごとで,人口10万対入院受療率は385-647,居住する圏内に入院(圏内入院)した割合は58-90%,救急搬送ありは12-18%,救急搬送ありのうち圏内入院の割合は69-95%だった。 退院17,161件のうち,年齢別では65歳以上57%(75歳以上34%,以下同じ),Kコードが記載されていた割合は43%で,多いものは水晶体再建術833件,内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術398件等であり,転帰では退院後の在宅医療ありは65歳以上で4.3%(5.2%),介護・福祉施設へは65歳以上で5.2%(7.8%),死亡退院は4.9%(9.5%)だった。 精神病床では,入院2,640件のうち65歳以上48%,疾病分類別では統合失調症67%,躁うつ病を含む気分障害9%,退院302件の平均在院日数は359日だった。 調査後,住所,疾病,診療科,手術ごとの医療機関別入退院数等,必要な項目で集計し,結果を表で出力できるマクロを含むMicrosoft Excelファイルを作成し,活用できる環境とした。結論 医療計画策定にあたり,疾病,診療科,手術ごとの患者数や流出入,退院後の行き先や在宅医療導入の割合などの把握は有用であり,DPCデータの活用や調査による継続的な観察が必要と考えられた。
著者
渡辺 澄子 片瀬 眞由美 平林 由果
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.87, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 わが国では、足の症状で悩む人が非常に多くなってきた。それらの症状は急に現れるのではなく、幼少期からの靴の選び方や履き方に原因があるのではないかと考えられる。我々は既にわが国の幼児を対象に実態調査を行い多くの問題点を明らかにした。ここではさらに、靴文化の長い歴史をもつドイツにおける子供靴の実態を、ドイツの小学校の保護者へのアンケート調査をもとに分析し、いくつかの知見を得たので報告する。方法 調査対象者はドイツ3地域(ベルリン、フランクフルト、フライブルク各1校)計小学校3校の保護者338名である。調査時期は2004年5月_から_6月、配票留置法による自記式調査を行った。調査内容は、普段履く靴のタイプ、靴購入時の重視点、購入店、足のサイズ測定、価格、子供靴に対する不満、子供および保護者の足の健康状態、足の症状に対する対処法、子供が最初に履いた靴に対する記憶や保存等である。結果 普段履く靴のタイプは紐靴がほとんどである。留め具のない靴はほとんど履かれていない。靴購入時の重視点はフィット性と子供の足の健康であり、シューフィッターなどのいる靴専門店で足のサイズを測って購入している。普段の靴一足の平均購入価格は6570円(円換算)であり、わが国の平均価格よりかなり高い。靴購入時の不満では価格の高さを不満と答えているものが多いが、しかしながら中古靴に対して経済的だから履かせるというものはほとんどいない。子供の足の健康には非常に関心があると答えており、足のトラブル症状に対しては、専門家のいる靴店で靴を選ぶ、病院で受診していると答えていた。子供が最初に履いた靴を6割近くのものが大事に残しているのも靴文化の違いであろう。
著者
渡辺 美知子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

言い淀んだとき,日本語では「エート」などのフィラーが頻繁に用いられる。フィラーは文節境界によく現れるが,その出現率は境界直前の文節の係り先までの距離が長いほど高くなることが明らかになった。これにより,フィラーは後続発話生成の負荷と深く関連する現象であることが示唆された。すなわち,これから伝えようとするメッセージが長く複雑なほど,スムーズな言語化が困難になり,フィラーの出現率が上昇すると考えられる。一見ランダムに現れるように見える言い淀みの背後にある規則性が示された。
著者
渡辺 響子
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.384, pp.49-67, 2004-03

都市論は,おそらくベンヤミンを発端に,二十世紀の世界中の都市で脚光を浴びるようになった研究分野であろう。文学的な,あるいは社会学的なアプローチによって,あまたの都市の形成過程が浮き彫りにされていくのは,研究者のみならず,どんな読者にとっても刺激的な知的冒険である。ジャンヌ・ガイヤールや,ドナルド・J・オールセンなどは,もはや古典の域に入る基本書であると言えよう。ごく最近では,建築学の陣内秀信氏と「感性の歴史学」で知られるアラン・コルバン氏の対談が設けられ,江戸とパリの比較がなされた。二つの都市をめぐって,その地理的特徴,歴史,住人のメソタリティーや施政者の政策など,多面的な議論が展開された。たとえば,江戸は,城下町であり,城を基準に発展していった都市であるのに対し,パリは,シテ島を発祥の地に持ち,教会を中心に発展していった。