著者
後藤 浩之 澤田 純男 吉田 望 羽田 浩二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1061-I_1070, 2014 (Released:2014-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

2011年東北地方太平洋沖地震の本震において福島県浪江町で記録された地震動の特徴と,地震動により被災した浪江町市街地の建築被害悉皆調査の結果を整理した.浪江町に位置する防災科学技術研究所KiK-net浪江(FKSH20)の観測記録は,他の浜通り地方の記録と比較してピーク周期の異なる強い地震動であったことを示唆している.この成因は,最表層が軟弱地盤であることのみならず,深い基盤構造の影響も考えられる.公益立ち入りが可能となった直後に実施した市街地の建築被害悉皆調査から,同地域の木造建物全壊率は11%と算出される.観測点周辺の木造全壊率とPGVとの対応は過去の地震におけるデータと比較して矛盾しない.また,市街地を代表的な3地区とその他の地区に分割して地区毎の全壊率を算出したところ,自然堤防上と考えられる地区の全壊率が有意に低いことが統計的に示された.
著者
王寺 秀介 神原 隆則 澤田 純男 岩田 知孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.104-110, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

経験的評価手法である距離減衰式に地震断層の震源特性である破壊開始点及び破壊進行方向の影響の導入を試みた.具体的には,既存の等価震源距離に基づく距離減衰式を用い,等価震源距離の計算にディレクティビティ効果を導入する方法を提案した.この手法では,モーメントマグニチュードと震源距離の他に,震源特性であるすべり量分布や破壊開始点,破壊進行方向を設定できる.提案した手法を1995年兵庫県南部地震に適用し,観測された震度分布と比較することによって,その妥当性を示した.さらに,実在する地震断層を対象とした地震動解析を行い,提案手法とハイブリッド法による震度分布を比較することで本手法の有用性を示した.
著者
若木 伸也 高橋 良和 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.399-405, 2009 (Released:2011-04-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,コンクリート円柱供試体のX線CT画像から,内部構成情報として骨材および空隙の位置·寸法に関する情報を画像処理により抽出する方法について検討する.まずはコンクリート円柱供試体のX線CT画像を撮影し,閾値処理を用いて骨材および空隙を画像から抽出した.骨材の抽出に関しては,供試体内部でのX線吸収により供試体中心付近の骨材がうまく抽出されないため,供試体表面からの距離に応じてCT値を補正し,ノイズを除去するために,改良メジアンフィルタによる処理を施した.内部構成情報抽出の妥当性を評価するため,画像から抽出された骨材の粒度曲線を推定し,実際のふるい分け試験結果との比較を行うとともに空気量の推定を行い圧力法により得られた結果との比較を行った.粒度曲線は断面によりばらつきがあるが,平均線の形状は実際のふるい分け試験結果と合致した.ただし,ふるい分け試験結果よりも全体的に粒度を小さく見積もっており,ノイズ除去の改善や画像の3次元データの利用を進める必要がある.
著者
松島 憲一 坂本 奈々 澤田 純平 藤原 亜沙美 牧内 和隆 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 = Journal of the Faculty of Agriculture, Shinshu University (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.25-37, 2015-03

信州大学は環境教育の一環として環境教育海外研修を毎年実施しており,2014年には3月1日より3月11日までの11日間に4名の学生をネパールに派遣し,首都カトマンズおよびダウラギリ県ムスタン郡マルファ村において調査ならびに研修を実施した。本報では本研修において訪問した,環境に優しい電気自動車による乗り合いタクシー(サファ・テンプー)の運営会社Nepal Electric Vehicle Industry社およびバイオブリケットの普及を通じ環境問題と貧困問題の改善を進める団体Centre for Energy and Environment Nepalに対して実施した聞き取り調査の結果を報告する。また,トリブバン大学理工学部環境科学科において実施した学生交流においてディスカッションされた内容,さらには滞在中に実施した環境意識調査(アンケート調査)の結果もあわせて報告する。
著者
澤田 純 東 昌樹
出版者
日経BP
雑誌
日経ビジネス = Nikkei business (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.2063, pp.56-59, 2020-10-26

——ドコモの完全子会社化の発表でNTTの株価は下がりました。市場は料金値下げなど短期的な面に目が向いたのでしょうが、本当の狙いはもっと別なところにあるのではないですか。 短期的な目標は(KDDIとソフトバンクに売上高、営業利益で抜かれて)3番手になっ…
著者
佐伯 史子 萩原 康雄 奈良 貴史 安達 登 米田 穣 鈴木 敏彦 澤田 純明 角田 恒雄 増山 琴香 尾嵜 大真 大森 貴之
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.124, no.1, pp.1-17, 2016
被引用文献数
2

岩手県大船渡市野々前貝塚から出土した縄文時代晩期の熟年男性1体(1号),胎児ないし新生児1体(2号),壮年後半から熟年前半の女性1体(3号),熟年女性1体(4号),3歳程度の幼児1体(5号)の計5体について,形態人類学的および理化学的分析を実施した。人骨の年代は放射性炭素年代測定により3150~3000年前(cal BP)と推定された。形態学的検討およびDNA分析の双方から,野々前貝塚人骨が縄文時代人に一般的な形質を有することが明らかとなった。ミトコンドリアDNAのハプログループが判明した3体(1号N9b1,4号N9b*,5号M7a2)に母系の血縁関係は認められなかった。特筆すべき古病理学的所見として,出土成人3体全ての外耳道に明瞭な外耳道骨腫が確認された。これは,野々前貝塚の人々が水中(潜水)ないし水面域での漁撈活動に従事していた可能性を示唆するものである。炭素・窒素同位体比の分析では海産物を多く摂取していた食性が提示されており,外耳道骨腫の多発との関連がうかがわれた。また,出土成人3体全ての頸椎に重度の椎間関節炎が生じており,野々前貝塚の人々が頸椎に強い負荷のかかる生活環境にあったことが想起された。
著者
池澤 剛輔 宮内 博雄 薦田 昭宏 窪内 郁恵 澤田 純
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0453, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに】近年,腰痛患者における運動制御は健常者と異なることが明らかとなり,特に慢性症状を有する者では,多裂筋の筋活動の減弱や遅延が起こると報告されている。これに対し多裂筋を含めた腹腔周囲筋の促通として,McGillらのバードドッグや,体幹を頭尾側へ伸展させる課題(以下 軸伸展位)の有効性が報告されているが,先行研究では健常者を対象としたものが多く,姿勢別に軸伸展位における多裂筋の筋活動量を比較した報告は少ない。そこで今回,腰痛の有無および軸伸展位での運動課題が,各姿勢における多裂筋,脊柱起立筋の筋活動に与える影響について筋電図学的に検討した。【方法】対象は,3カ月以上腰痛が持続している腰痛群10名(男性10名,平均年齢28.1±6.7歳)と,腰痛を有さない健常群10名(男性10名,平均年齢27.6±5.9歳)の2群とした。筋活動の測定は表面筋電計(小沢医科器械製筋電計:EMGマスター)を用い,測定筋は右側の多裂筋(L5-S1棘突起外側),脊柱起立筋(L3棘突起外側)とした。測定姿勢は,端座位,四つ這い位,四つ這い位で左上肢と右下肢を挙上した姿勢(以下BD),BDにて左手関節部に体重の2.5%,右足関節部に5%重錘負荷した姿勢(以下BD+)の4条件とした。各姿勢で安静位,軸伸展位にて2回ずつ測定し,姿勢が安定した5秒間の筋活動量を記録した。データ処理は,波形が安定した3秒間の筋積分値を平均し,最大随意収縮(以下MVC)を100%として正規化して%MVCを求めた。また脊柱起立筋に対する多裂筋の筋活動を多裂筋/脊柱起立筋比(以下M/E比)として表した。検討項目は,各姿勢での安静位,軸伸展位における多裂筋と脊柱起立筋の各%MVCおよびM/E比の比較とした。統計処理はt検定,二元配置分散分析を用い,有意水準5%未満とした。【結果】姿勢別の比較では2群ともに,端座位,四つ這い位,BD,BD+の順に多裂筋,脊柱起立筋で有意に活動量が増加した。2群間における比較では,多裂筋は腰痛群で有意に低値を示し,脊柱起立筋は有意差を認めなかった。安静位・軸伸展位の比較では,多裂筋,脊柱起立筋,M/E比において,軸伸展位で筋活動量増加の傾向は認めたが有意差は認めなかった。【結論】先行研究では,腰痛患者において発症早期より多裂筋の機能不全が起こるとされており,本研究でも腰痛群で多裂筋が有意に低値を示したことから,腰痛群において選択的な多裂筋の機能不全が示唆された。姿勢別の比較では,運動負荷の増加に伴い多裂筋,脊柱起立筋の筋活動量が有意に高値を示した。このことから,特に腰痛患者に対しては,適切な運動負荷量の設定が重要と思われた。また軸伸展位での運動課題において筋活動量増加の傾向を示したことから,軸伸展位が体幹筋に対し量的効果をもたらす可能性が示唆された。今後は,軸伸展位が体幹筋に及ぼす質的効果の検討も必要と考える。
著者
百々 幸雄 川久保 善智 澤田 純明 石田 肇
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.120, no.2, pp.135-149, 2012-12-01
参考文献数
60
被引用文献数
1 2

北海道の南西部,中央部,および北東部のアイヌにサハリンアイヌを加えたアイヌ4地域集団を対象にして,日本本土と琉球諸島諸集団の地域差と比較しながら,アイヌの地域差とはいったいどの程度のものであったのかを,頭蓋形態小変異20項目を指標にして評価してみた。地域差の大小関係は,スミスの距離(MMD)を尺度として比較した。北海道アイヌ3集団の地域差の程度は,奄美・沖縄・先島の琉球諸島近世人3集団の地域差よりはやや大きく,東北・関東・九州の日本本土の現代人3集団の地域差とほぼ同程度であった。北海道アイヌのなかでは,道北東部アイヌが道南西部および道中央部のアイヌとやや距離を置く傾向が観察された。サハリンアイヌは北海道アイヌから相当程度遠く離れ,その距離(MMD)の平均値は,北海道アイヌ3地域集団相互の距離の平均値の約4倍にも達した。このような関係は,18項目の頭蓋計測値にもとづいたマハラノビスの距離(D<sup>2</sup>)でも確かめられた。<br>
著者
百々 幸雄 川久保 善智 澤田 純明 石田 肇
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.120, no.2, pp.135-149, 2012 (Released:2012-12-21)
参考文献数
60
被引用文献数
3 2

北海道の南西部,中央部,および北東部のアイヌにサハリンアイヌを加えたアイヌ4地域集団を対象にして,日本本土と琉球諸島諸集団の地域差と比較しながら,アイヌの地域差とはいったいどの程度のものであったのかを,頭蓋形態小変異20項目を指標にして評価してみた。地域差の大小関係は,スミスの距離(MMD)を尺度として比較した。北海道アイヌ3集団の地域差の程度は,奄美・沖縄・先島の琉球諸島近世人3集団の地域差よりはやや大きく,東北・関東・九州の日本本土の現代人3集団の地域差とほぼ同程度であった。北海道アイヌのなかでは,道北東部アイヌが道南西部および道中央部のアイヌとやや距離を置く傾向が観察された。サハリンアイヌは北海道アイヌから相当程度遠く離れ,その距離(MMD)の平均値は,北海道アイヌ3地域集団相互の距離の平均値の約4倍にも達した。このような関係は,18項目の頭蓋計測値にもとづいたマハラノビスの距離(D2)でも確かめられた。
著者
澤田 純平 吉野 正人 鈴木 康祐
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.861, pp.18-00023-18-00023, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
22

Dynamic behavior of binary water droplets approaching each other in cloud is simulated by the improved two-phase lattice Boltzmann method with the Continuum Surface Force (CSF) model. This method does not need to solve the pressure Poisson equation and enables us to calculate two-phase flows with high density ratio accurately and efficiently. In this study, we investigate the effects of the Reynolds number Re, the Weber number We, the impact parameter B (the relative distance between the centers of two droplets), and the droplet size ratio on the behavior of the binary droplets for liquid-gas density ratio of 800. We first simulate a stationary liquid droplet in a gas to confirm the validity of the present method. We next simulate off-center approach of two equal-size droplets and investigate the effects of the Reynolds number and the Weber number. It is seen that at low Weber numbers of We ~ O(10-2), there are two types of behavior during approach of two equal-size droplets, namely coalescence and deviation. In this Weber number region, it is found that they can deviate from each other at low Reynolds numbers of Re ≲ O(1) in spite of B ≤ 1.0, whereas collision and subsequent coalescence occur at higher Reynolds numbers of Re ≳ O(10). We finally simulate approach of two unequalsize droplets with various size ratios. It is found that the behavior of the droplets is different from that in the case of the equal-size droplets owing to asymmetric velocity field and droplet deformation. In addition, the smaller droplet tends to deviate from its original path more significantly than the larger droplet.
著者
川久保 善智 澤田 純明 百々 幸雄
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological science. Japanese series : journal of the Anthropological Society of Nippon : 人類學雜誌 (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.65-87, 2009-12-01
参考文献数
70
被引用文献数
3 3

南東北(宮城・福島・山形)由来の古墳時代人・古代人と北東北(青森・岩手・秋田)由来の江戸時代人の頭蓋について,計測的分析と形態小変異の分析を行い,これら東北地方の古人骨に,縄文人やアイヌの形態的特徴が,どの程度遺残しているかを調べた。比較資料として,東日本縄文人,北海道アイヌ,関東の古墳時代人と江戸時代人,それに北部九州の古墳時代人と江戸時代人の頭蓋を用いた。計測的分析では,顔面平坦度計測を含めた18項目の頭蓋計測値を用い,マハラノビスの距離(D<sup>2</sup>)にもとづいた分析と線形判別分析を試みた。頭蓋形態小変異については,観察者間誤差が少なく,日本列島集団の類別に有効であることが知られている6項目に絞って,スミスの距離(MMD)にもとづく分析を行った。D<sup>2</sup>でもMMDでも,縄文人に最も近いのは北海道アイヌであったが,東北地方の古墳時代人(計測的分析では古代人も含む)がこれに次いでおり,古墳時代でも江戸時代でも,九州→関東→東北→北海道アイヌまたは東日本縄文人という,明瞭な地理的勾配が観察された。同様の地理的勾配は,判別分析においても確かめられた。このような地理的勾配から判断すると,今回研究の対象にすることができなかった北東北の古墳時代人は,南東北の古墳時代人よりも,さらに縄文・アイヌ群に近接するであろうと推測された。もし彼らが古代の文献に出てくる蝦夷(エミシ)に相当する人々であったとしても,東北地方の古代日本人(和人)と縄文・アイヌ集団の身体的特徴の違いは連続的であったと思われるので,古代蝦夷がアイヌであるか日本人であるかという"蝦夷の人種論争"は,あまり意味がある議論とは思われなかった。<br>
著者
佐井 君江 澤田 純一 南 博信
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.575-584, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
42
被引用文献数
10 19

Recent progress in pharmacogenetic research has made “personalized medicine” a reality, where a suitable drug at the appropriate dosage is prescribed based on individual genetic factors. Irinotecan, an anticancer drug, is one of the models for personalized medicine, and a number of clinical studies have revealed significant associations between UGT1A1*28 and irinotecan toxicity. Based on the cumulative evidence, clinical tests for the UGT1A1*28 marker have started in the United States since 2005. However, the appropriate criteria for irinotecan dose adjustments have not yet been fully established. Since there are considerable differences in genetic polymorphisms among different ethnic groups and in approved irinotecan-containing regimens between countries, the criteria for the choice of suitable genetic markers and dose adjustments should be standardized in each country. This mini-review outlines our recent studies on irinotecan pharmacogenetics and discusses the clinical significance of UGT1A1*6 and *28 markers for personalized irinotecan therapy in Japanese cancer patients.
著者
手島 玲子 穐山 浩 奥貫 晴代 佐久嶋 順一郎 合田 幸広 小野寺 博志 澤田 純一 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.188-193, 2000-06-25 (Released:2008-01-11)
参考文献数
14
被引用文献数
33 50

世界的に遺伝子組換え技術を利用して開発された農作物の実用化が進んでいるが, 実際の商品は組換え作物の後代交配種由来であることが多く, そのような作物における動物の免疫系への影響, 特にアレルギーとの関連について調べられた報告はない. 著者らは, 今回, アレルギー高感受性のB10Aマウス及びBNラットを使った実験において, 除草剤耐性遺伝子 (CP4-EPSPS) が導入された遺伝子組換え (GM) 大豆摂取が, 動物の免疫系に影響を及ぼすか否かの検討を行った. 同等の栄養成分を有する近親の非組換え (non-GM) 大豆を対照として用いた. GM, non-GM混餌飼料を摂取させたマウス, ラットとも両群の体重及び餌の摂取量に有意差はみられず, 15週投与後の各種主要免疫臓器の病理組織像においても, 両群とも異常は認められず, また大豆抽出物に対するIgE, IgG抗体価とも両群において差はみられなかった.
著者
平田 和明 長岡 朋人 澤田 純明 星野 敬吾 水嶋 崇一郎 米田 穣
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

赤星直忠博士を中心とする横須賀考古学会は,1967~1968年に神奈川県三浦市所在の雨崎洞穴遺跡(弥生~古墳期)において発掘調査を行った。本研究で出土人骨の整理を行なった結果,非焼骨について,大腿骨がもっとも残存する部位であり,その最小個体数は19体であった。死亡年齢や性別の構成を見ると,本人骨群には少なくとも成人男性3体,成人女性1体,性別不明成人11体,未成人5体の20体が含まれた。焼成人骨について,各部位の出土点数に基づく個体数の算定と焼成状況の復元を試みた。人骨は少なくとも33体からなり,主体は成人であるものの,未成人骨が複数確認された。
著者
澤田 純男 古川 愛子 中村 晋 鍬田 泰子 後藤 浩之
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

固体である地盤を伝播する地震波は重力の作用を無視するが,流体に近い性質を持つと考えられる液状化地盤では重力の作用を無視することができるとは限らない.重力の作用を考慮した数値解析手法によって,液状化地盤を伝播する波をシミュレートしたところ,せん断剛性の低下に対応して表面波が流体中の重力波に似た性質をもつようになること,またスロッシング現象が顕著になることを明らかにした.
著者
澤田 純男 後藤 浩之 米山 望
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本課題は,固体か流体かに依存しない支配方程式を理論的に導出し,その支配方程式に基づいた数値解析コードを開発して,固体と流体との中間的状態にある媒質の動的な挙動を高精度に解析することを目指したものである.固体と流体の双方を取り扱うことのできる支配方程式をラグランジュ形式で導出し,線形弾性体からニュートン流体までシームレスに解析できることを静的解析,および動的解析によって検証した.本解析コードを飽和砂地盤の動的解析に適用し,液状化地盤の揺動現象を再現することができた.非液状化層や埋設構造物を想定した側壁付近で,励起された鉛直振動に伴う液状化が確認された.