著者
西村 秀樹 米谷 正造 清原 泰治 大隈 節子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グリーン・ツーリズムでは、地域の自然・文化・生業を地元の人たちから直接学ぶ「体験学習」が目玉になっており、その体験できないことを自分の身体で体験するということは、これまでの学校教育の枠にはとどまらない新しいかたちの「知」を自主的に獲得していくことにつながり、自立していく能力を養っていくことになる。これは、まさに「総合学習」の趣旨にかなっているが、その身体で体験する「総合学習」はどのような知の形態を特徴とするのだろうか。本研究では、高知県四万十川中流域(四万十市一帯)を調査フィールドとしてとりあげ、自然と生活・生業および文化との多様なつながりを学習できる「体験学習」を分析する。それによって、身体的行為を媒介させた生活体験を基点にして意味の連関が果てしなくつなげられていくという体系化された「知」を掘り起こすこと、およびそうした身体を基点に広げられた意味連関から生まれる臨機応変な対処能力・問題解決能力こそが「生きる力」であることを明らかにしていった。そうした「知」は、具体的には中山間地域が現在置かれている状況や都市部にはない「豊かさ」を支えている自然環境に関するものであり、それを体験的に理解することによって自らのライフスタイルを見直し、また社会と自分との関わりを考えていけるような可能性を内包する知なのである。
著者
永田 量子 後藤 節子 鈴木 和代
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

日本における寝たきり老人は増え続け、平成11年には約120万にも達するといわれている。本研究は、寝たきり老人を起こすことの一つの妨げとなっている起座時(起立性)低血圧を防ぐために考案した「二度起こし法」の有効性を科学的に立証し、その適応を明らかにするを目的としている。起立性低血圧は多様な人に生じやすく、転倒や廃用性症候群、QOLの低下につながるので可及的な予防が必須である。二度起こし法とは、まず老人に声をかけて上半心をゆっくり起こし再度寝かせ、さらにもう一度ゆっくり起こしてベットに腰掛けさせて足底を床につける簡単な方法である。二度起こし法を寝たきり老人、健常老人、健常老人を対照に、一般的に行われている一度起こし法との差を以下のように測定・観察し次の様な結果を得た。1.一度起こし法と二度起こし法による臥床時と起座時の血圧の変動測定寝たきり老人では、一度起こし法の血圧低下が、二度起こし法により有意に軽減し、随伴症状も軽減した。特に糖尿病・高血圧を合併した人、人工透析をしている人では二度起こしよりさらに三度起こしの法がさらに有効であった。健常老人、健常成人では一度起こし法と二度起こし法の間には有意な差はなかった。2.一度起こし法と二度起こし法による臥床時と起座時の自律神経学的検査の変動測定健常老人に心電図RR間隔変動係数を用いて自律神経学的検査を行ったところ、安静時から起座時の心電図RR間隔変動係数の平均変化量は二度起こし法が有意に低値であり、より安定した自律神経状態をつくった。
著者
松木 武彦 今津 節生 桃崎 祐輔 岡林 孝作 鳥越 俊行
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

未盗掘の状態で発見され、そのままの状態で医療用ギプスに封入して取り上げていた岡山県勝負砂古墳の出土資料等を対象にして、3次元X線スキャナーによる内部構造の解析、付着有機質部材の構造と成分の分析、金属部分の構造分析や保存処理ならびに関連資料との型式学的比較検討を通じて、5世紀の古墳副葬品の当時の姿を復元した。また、石室や棺の形態と構造とを同様の方法を用いて復元した。この両者を合わせて、古墳副葬空間を再現した。合わせて、分析に用いた副葬品の系譜や年代についての知見を詳細化した。また、医療用ギプスによる遺物の取り上げと爾後の分析・保存・復元の作業の手順や方法を開発した。
著者
町 好雄 劉 超 藤平 光一 石崎 俊明 浜岡 勤 古田土 節夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.404-410, 2001-09-01

氣合氣道の氣を調べるために、折れない腕という実験を行った。これは氣が力ではないということを見せるために行われる方法であるが、この時の生理的測定を行った。その結果、氣の状態における場合でも力を利用場合に比べ交感神経系の活動を半分程度で行っていることが分かった。この報告では気で阻止する場合に息を吐いていることがわかった。これが氣の力に結びついていると考える。力の場合は息を止めて力を出しているのとは全く異なる。
著者
増田 節雄
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.41, pp.38-42, 2000-11-15

アメリカのユタ州に本部を置くユタ系図協会(Genealogical Society of Utah、略称GSU)の106年にわたる歴史及びその活動について言及しつつ、その家系図調査において収集した膨大な史料の有功活用の道を探る。さらに、ユタ系図協会でのインターネットによる新しい家系情報の共有化の事例を、ビジネスの世界で用いられているのKM(Knowledge Management)の概念枠組を援用しながら紹介する。インターネットを媒体として個人や団体が永年蓄積してきた家族歴史情報を互いに共有することの可能性について考察する。
著者
北山 大輔 宮本 節子 角谷 和俊
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.65-81, 2010-12-21

近年,オンライン地図をはじめとする地図サービスが多く提供されるようになってきている.ユーザはこれらの地図サービスを用いて,旅行先や飲食店を探すなど,興味がある地理オブジェクトを探索する.しかしながら,これらの地図サービスにおいて地理オブジェクトの表示様式は,地図の提供者により決定されている.一方,地図を利用する目的はユーザにより異なり,すべてのユーザが同じ情報を求めているわけではない.そのため,状況に適合し,かつ,ユーザの意図に沿った表示オブジェクトを呈示する手法が必要とされる.そこで,本研究では,地図上の表示オブジェクトをカスタマイズする手法を提案する.本手法では,オンライン地図のユーザ操作と表示オブジェクトの出現パターンによりユーザの意図を抽出し,ユーザの意図に沿った表示オブジェクトを決定する.すなわち,ユーザの地図上での目的オブジェクトの発見支援を行うために表示オブジェクトをカスタマイズした地図を呈示する.本稿では提案手法に基づきプロトタイプを作成し,評価実験を行った.
著者
佐藤 節子
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

私は1994年度、液全体が半透明の糊状に固化するという状況が示される硫酸水素テトラメチルアンモニウムと水の二成分系で、共融点以下の温度で存在しているガラス状態あるいは凍っていない液体状態について、さらに詳しくこの系の特徴付けを行なうために、示差熱解析により上記の塩と重水の二成分系の相図を調べた。これにより、重水との二成分系では、軽水との二成分系と異なり、ガラス転移とそれに引き続き起こる低温結晶化を示す熱異常は現われず、明らかな重水素効果が存在することを突き止めた。これについては、さらに軽水素と重水素の割合を変えた場合についての結果とともに、分子構造総合討論会(1994年9月、東京)で報告している。以上のように、軽水との二成分系において状態の変化が起こる場合の、ミクロな内部の動的構造に関わっている水分子とH^+イオンの運動と、中に溶けているテトラメチルアンモニウムイオンの再配向運動の励起過程について、また、重水との二成分系の場合のそれらの運動の在り方を調べるために、^1HNMRのスピン-格子緩和時間、スピン-スピン緩和時間の測定を行なった。その結果、軽水との二成分系では、共晶点以下でも、中に溶けている陽イオンと共にプロトンはかなり動いており、"液体的"とも言える状態であるのに反し、重水との二成分系では、その様な挙動とはなっていないことが明らかになった。これらの結果については、近々、投稿する予定である。本研究により、生体内部に存在する水の動的構造への重水素の影響に関して、手掛かりが得られた。
著者
宮崎 英昭 和田 節子 一本 潔
出版者
国立天文台
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

太陽内部の三次元構造とダイナミクスを探るために、太陽表面に見られる大規模な振動、速度場、磁場等を高い精度で測定し、太陽内部構造を研究しようとする目的で、我々は、新しい光学フィルター(磁気光学フィルター・MOF・Magneto Optical Filter)の開発を1986年に着手した。磁気光学フィルターは、極めて狭い透過巾、大きな透過率、波長の絶対精度が保障されているという、天体の速度場、磁場測定用として極めて優れた性能を持つフィルターであるが、その構造からくる不安定さのため、他国の研究開発に於ても、未だ完全なものは作られていなかった。このフィルターは、強い磁場中に化学的活性度の高い高温のナトリウム蒸気を長時間安定に保持し、磁気光学効果(逆ゼーマン効果とファラデー効果)を利用して、極めて狭帯域の透過帯を実現するもので、その製作は困難なものであった。MOFは、イタリアのCaccianiによって試作されたコールドセル型が存在するが、この方式は、フィルターセルの入出射窓の温度が、ほぼ室温に冷えているため、ナトリウム溜めを加熱して発生したナトリウム蒸気の一部が、露点現象でセルの内面に付着、反応して入出射窓が曇ってしまうため、長時間の使用に耐えない。我々は、半恒久的に使用できる高温ガス還流型のフィルターの開発を数年に亘り手懸けてきたが開発課程で見出だされた問題点を一つ一つ解決した結果、観測に応用できる安定なフィルターの製作に成功した。我々の開発したフィルターは、セル全体を一定の高温(200℃前後)に温度制御したホットセル型で、内面が曇ること無く、また、ナトリウムとの反応性の低い材料の開発等により、長時間に亙り使用可能なフィルターを実現した。ここに、その開発過程および成果について報告する。太陽表面の速度場データの取得が始まったばかりなので、データ解析の結果に関しては、今後、別の形で報告する事とする。
著者
磯部 彰 金 文京 三浦 秀一 若尾 政希 大塚 秀高 新宮 学 磯部 祐子 鈴木 信昭 高山 節也 中嶋 隆藏 勝村 哲也 尾崎 康 藤本 幸夫 関場 武 栗林 均
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

本領域研究では、共同研究及び個別研究の両形態をとって研究を進めてきた。研究組織を円滑に運営するため、総括班を設け、目的達成への道標として数値的目標を掲げ、構成員が多角的方法をとりながらも、本研究領域の目標を具体的に達成し得るようにした。本研究では、東アジア出版文化を基軸とする新学問領域を確立することを目標とし、その骨格をなす要素を数値的目標に設定した。それは、(1)東アジア出版文化事典の編纂準備、(2)東アジア研究善本・底本の選定と提要作成、(3)東アジア研究資料の保存と複製化、(4)日本国内未整理の和漢書調査と目録作成、であり、更に、(5)東アジア出版文化研究の若手研究者の育成、(6)国際的研究ネットワークの構築などを加えた。初年度には、総括班体制を確立し、ニューズレターの発刊、ホームページの開設、運営事務体制の設定を行い、計画研究参画予定者を対象に事前の研究集会を実施した。平成13年度からは、計画・公募研究全員参加の研究集会と外国研究者招待による国際シンポジウムを毎年開き、国内の研究者相互の交流と国外研究ネットワークの構築を推進した。前半2年は、総括班の統轄のもとで、主として東アジア出版文化をめぐる個別研究に重点を置き、共同研究の基盤強化を図った。新資料の複製化も同時に進め、東アジア善本叢刊4冊、東アジア出版文化資料集2冊を刊行する一方、展覧会・フォーラムなどを開き、成果の社会的還元を行なった。研究面では、後半は共同研究を重視し、調整班各研究項目での共同研究、並びに領域メンバーや研究項目を越えて横断的に組織した特別プロジェクトを4ジャンル設定し、総括班の指導のもとに小研究域として定着させた。年度末ごとに報告書を編集する一方、前後の終了時に研究成果集を作成している。研究領域の数値的目標は約四分之三達成し、窮極の目的である新学問領域設定も、概然的ながら構想化が具体的になった。
著者
本城 美智恵 村上 理子 橋本 景子 橋本 節子 村田 光範
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.171-171, 1992-02-25

第24回東京女子医大漢方医学研究会 平成2年11月29日 北校舎3階集会室
著者
西村 俊一 西野 節男 柿沼 秀雄 石川 啓二 三笠 乙彦 皆川 卓三
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

中国, 台湾, アメリカ西岸, オーストラリアについて, 華僑教育関係機関の資料収集を行い, 分析を進めた. また, 東アジア比較研究の観点から, 中国と台湾, 韓国と北朝鮮の僑民教育政策を比較するため, 北朝鮮の資料収集もあわせて行った.収集した文献・資料は, 既収集の関係資料及び学外機関の資料と共にカード化し, 約170ページに及ぶ『華僑教育関係文献・資料目録』(東京学芸大学海外子女教育センター刊)を刊行し, 研究機関等に配布すると共に, 研究者との交流に活用し始めている.また, 分析結果については, 次回日本比較教育学会において共同研究発表を行うべく, 準備・調整中である.第2年度は, 補充調査及び補充的な資料収集を行いつつ, 資料分析を本格化する計画である.
著者
土田 知恵子 斉藤 節子
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.11-16, 1980-03-25

北海道十勝地方の衣生活の実態を,帯広市及びその周辺に慟く婦人の協力により調査した結果,前回未報告に終った3項目について考察したのを要約すると,1 衣服を調製する時期は,各年令層を通し季節感に関係なく,経済的・社会的必要性に応じ衣服を調達し,着用する楽しみの中で,四季の変化を取り入れている。2 生活意識の違いから低年令層の方が被服費比率が高い傾向にあるが,著侈的傾向にならないためにも,正確な商品知識,科学的選択態度をやしなう事が,被服費支出の合理化につながる。3 未利用衣服は,友人・知人に利用してもらう,仕立て直して利用するというのが高年令層での傾向であったが,各年令層に於ける被服管理技術,生活経験と価値感の違いからと思われる。4 着用の実態では,職場での体感温度を54%が寒いとするにもかかわらず,特に下半身が薄着の傾向が低年令層に見られ,科学的な着用方法を身につける必要性を感じる。