著者
嶋 啓節 中島 敏
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

脳の最高位中枢である前頭前野は機能的に異なる複数の領域より成り立っている。実生活において、進行中の複数課題の状況が逐次把握され制御・調節、すなわち最適処理されている。申請者らは、脳機能を複数の機能を持つ複数のマルチシステムと捉えて、このような複数の同時並列処理に関わる新しい脳の動作原理を解明することを目標として研究を進めている。この研究では、現在認知行動課題訓練中のサルを用いて、並列複数課題遂行時VS.単一課題遂行時の前頭前野の細胞活動を比較検討することによって上述した目的を達成しようとしている。具体的には、その役割が殆ど明らかにされてない前頭前野前方部、さらに前頭前野中央部から後方部および内側前頭前野などの複数領域、さらにその領域内の異なる機能にかかわる細胞活動を同時に記録し解析する。現在、細胞活動の記録を前頭前野と運動前野から行っている。その結果、単一課題遂行時と並列複数課題遂行時に前頭前野と運動前野から、極めて興味深い領野特徴的な細胞活動を記録している。すなわち、運動前野では同時並列遂行時に単一課題遂行時では認められない複雑な神経活動が多く認められ、それまで遂行していた動作を反映する変調を強く受けていた。一方、前頭前野の細胞活動は、課題中断時に行っていた動作ではなく、より認知的なアクション(連続動作のカテゴリーあるいはパターン)を反映すると思われる活動が多く認められた。この結果は、前頭葉における運動遂行の階層性を個々の細胞活動で明示するものである。さらなる今後の研究の継続により、アクションに関する前頭前野の神経機構を解明できる。
著者
宮川 成雄 須網 隆夫 浦川 道太郎 近江 幸治 高林 龍 高野 隆 椛嶋 裕之 宮下 次廣 宮澤 節生
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

法科大学院の臨床教育科目について全国調査を行い、リーガル・クリニックおよび模擬裁判科目について、その調査結果を公表した。欧米の臨床法学教育に関する研究大会に研究員を派遣し、また、日本に、アメリカ、イギリス、中国、および韓国の研究者を招聘してシンポジウムを開催し、各国の臨床教育の状況を把握するとともに、その概要を公表した。臨床方法論を用いる医学教育との比較研究をするために、医学教育者と法学教育者によるシンポジウムを開催し、医学と法学に共通する教育方法論の課題を検討した。継続的法曹教育への臨床教育の活用のあり方として、司法修習生に対する選択型実務修習プログラムを開発し、その実施の方法を検討した。
著者
伊藤 節子
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

食物アレルギーの治療の原則は、正しい抗原診断に基づく必要最小限の食品除去である。京都市内保育園児における調査では、乳児の10.4%が食品除去をしていたが、加齢とともに減少し、除去食品は卵、牛乳、小麦が全体の75%以上を占めていた。そこで加熱調理による卵、牛乳、小麦の抗原性の変化を定量的に検討したところ、加熱や副材料により卵の抗原性は低下させることができ、負荷試験後の食事指導に使用可能な卵アレルゲン食品交換表が作成できた。主な食品の調理による抗原性の変化を加味した食事指導指針を作成した。
著者
大村 益夫 波多野 節子 白川 豊 芹川 哲世 藤石 貴代 熊木 勉 布袋 敏博
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

3年間にわたる調査と研究を以下のような形でまとめた。1.成果報告論文集各分担者がこれまで行なってきた研究・調査活動をまとめて論文を執筆し、成果報告論文集を作成した。報告炉論文集の目次は、以下の通りである。(1)洪命憙が東京で通った二つの学校-東洋商業学校と大成中学-:波田野節子(2)1920年代廉想渉小説と日本-再渡日前の4篇を中心に:白川豊(3)田栄澤論-解放後作品と基督教-:芹川哲世(4)京城帝国大学と朝鮮人文学者-資料の整理を中心に-:布袋敏博(5)李箱の小説における「わたし」-日本語遺稿と関連して-:藤石貴代(6)兪鎮午の「金講師とT教授」について:白川春子(7)尹東柱の文学に対する評価をめぐって-1940年代における抒情詩からの視角-:熊木勉(8)金昌傑研究試論:大村益夫2.『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』『毎日新報』は、姉妹紙の日本語新聞『京城日報』とともに、植民地末期文学の研究において不可欠の一次資料である。同紙のマイクロフイルムをもとにして『毎日新報文学関係記事索引(1939.1〜1945.12)』を作成した。これにより、植民地末期の朝鮮文壇の動き、朝鮮人文学者たちの行動が相当に明らかになった。朝鮮人作家および作品の個別研究を集積することによって朝鮮近代文学の日本との関連様相を明らかにしていくという当初の目的は、ある程度まで達成しえたといえる。しかしながら、扱うべき作家はこの他にも数多く残っている。本研究では、朝鮮人文学者たちの日本における足跡調査と資料収集を行なってきたが、当時の資料は日ごと失われつつあり、また当時を知る生証人たちも年を追っていなくなっていっている。研究の継続が必要かっ急務である。
著者
西尾 由里 宮本 節子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1) 日本人の場合、大学生と小学生の発達段階に関わらず、英語の知覚・産出・読みはモーラを単位としている。(2) モーラに基づく母語の影響は、アクセント表示の工夫や音声・文字の同時提示などの訓練により、音節分節に変換・改善しうる。小学生の場合、英語学習経験が有効に作用する。本研究の知見は、早期英語教育の教材作成に大いに貢献できると考える。
著者
加藤 節 西崎 文子 亀嶋 庸一 富田 武 藤原 帰一
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

近年、「内戦」が冷戦終結後の世界における戦争の新たな形態として頻発し、人々の関心をよんでいる。しかし、ふりかえってみると、20世紀全体が「戦争と革命の世紀」であるとともに、あるいはむしろそれゆえに、すぐれて「内戦の世紀」であった。今世紀は、ロシア革命に続く内戦から、ユーゴあるいはアフガニスタンの内戦に至るまで「内戦」を構造的に反復し続けてきたからである。本研究は20世紀がなぜそのように「内戦」を反復し続けてきたかを、多様的領域を専門とする政治学者の共同研究によって解明することを目的として発足した。その場合、本研究では次の三点に留意して分析を進めた。「内戦」を国民国家の擬制的性格に関連づけること、国民国家形成期における「内戦」の諸相に歴史的な光を当てること、国民国家体系としての現代世界における内戦の要因に理論的な考察を加えることがそれである。こうした作業を通して、本研究は歴史と理論との両面から「内戦」に政治学的考察を加えることができたと考えている。
著者
大橋 謙策 山崎 美貴子 上野谷 加代子 福山 和女 対馬 節子 本田 芳香
出版者
日本社会事業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

地域ケアシステムにおけるソーシャル・ケア実践の効果、ケアマネジメント及びコーディネイト機能を評価する枠組みとして、ソーシャル・ケア・スタンダードの構築を試みた。1.ソーシャル・ケア・スタンダードの概念及び分析枠組みの構築のために、モデルとして英国の「ソーシャルケアワーカーのための行動規範(2002)」についてカテゴリー分類を行い、1)実践のプロセス2)実践における責任の所在3)サービスの提供方法4)サービス提供の結果5)実践の根幹にあるものという5項目が明確になった。2.日本、米国、英国の特定地域での保健福祉職対象の聞き取り調査結果について、サービス提供管理者及び従事者の専門的行動の意識化の側面から分析し、その結果をもとに日本版ソーシャル・ケア・スタンダード試案を作成した。[管理者のスタンダードの枠組み]1)組織・事業所の業務を遂行する責務2)ソーシャル・ケア従事者による専門性に基づいた業務遂行の保証3)専門職の業務遂行を評価する責務4)ソーシャル・ケア従事者の技能向上促進の責務5)ソーシャル・ケア従事者間のチームアプローチの促進[従事者のスタンダードの枠組み]1]組織・事業所の一員としての業務責任を遂行する責務2)専門性に基づいた業務遂行の責務3)専門職として業務を評価する責務4)自己の技能向上促進の責務5)チームメンバーとしての業務遂行の責務地域ケアシステムの質を担保するには、サービスが適切に提供されているかという評価と、サポート体制が必要である。サービス評価にあたって実践者それぞれの専門性のもとでの実践行動を明確にする意味においては、この試案の実用性を見出せる。地域ケアシステムのサポート体制としては、社会一般の人々の信頼と信任を促進するために、全国レベルでの第三者評価機構設置の必要性が明確になった。
著者
林 行雄 上林 卓彦 柴田 政彦 真下 節 駒村 和雄 畔 政和
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

(1)ラット脳死モデルの確立Pratschkeらの方法(Transplantation 67:343-8,1999)に基づいて、脳死導入時の循環動態の安定と脳死導入後に長期(ほぼ3-4時間)に循環動態が維持できるモデルを確立した。(2)脳死における揮発性麻酔薬の心筋感作作用現在臨床で広く用いられているイソフルレンおよびセボフルレンはハロセンに比べると心筋感作作用は弱かったが、麻酔薬を投与しない脳死ラットに比べて心筋感作作用を増強した。この事は脳死患者でのこれらの使用は不整脈の危険性が潜在的にある。(3)脳死後の心機能保護に関する研究脳死後、心臓を致死的な不整脈から守るため循環抑制が少なく、抗不整脈作用を有する薬剤のスクリーニングをハロセン-エピネフリン不整脈モデルを用いて行い、ミトコンドリアATP感受性Kチャンネル開口薬であるニコランジルがこの目的に一番かなう薬剤と考えられた。(4)周術期中枢神経による循環制御周術期不整脈のモデルであるハロセン-エピネフリン不整脈を用いて不整脈発生における中枢神経の役割を検討した。イミダゾリン受容体1が不整脈の発生を抑制することを見いだした。(5)心臓移植周術期における内因性体液調整因子の変化心臓移植手術および重症心不全に対する左心補助人工心臓植え込み術を対象にしてアドレノメデュリンに着目し、その周術期変化を調べ、人工心肺離脱後に著明な上昇を認め、心臓移植術の方がその上昇はより著明であった。人工心肺時間はほぼ同じであるが、心停止時間が心臓移植術でより長い点に着目し、本結果はアドレノメデュリンが心筋障害と関連が深い事を示唆するものであると考えている。(6)心臓移植術の麻酔管理のモニタリングの研究心臓移植術の麻酔管理では右心機能のモニターを有するスワンガンツCCO/CEDVサーモダイリューションカテーテル^<【○!R】>の有用性を示した。
著者
佐藤 節郎 舘野 宏司 小林 良次 坂本 邦昭
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.317-327, 1998-12-28
被引用文献数
4

1995年4月3日, 1996年4月28日および同年5月24日にハリビユ種子をそれぞれ, 17.8, 26.7および26.7g/aの量で播種した後, トウモロコシ(品種:Pioneer 3352)を666本/aの密度で播種した。リビングマルチとしてイタリアンライグラス(品種:タチワセ) をトウモロコシと同時に0.3および0.6kg/aの量で播種, または, アトラジン+アラクロールを10.0+10.8 a.i.g/aの量で土壌散布した。播種後5.5-11週に, トウモロコシとハリビユを定期的に刈り取り, リビングマルチ区および除草剤区の両草種の生長およびトウモロコシの窒素吸収の推移を無処理区と比較した。また, トウモロコシ収量と収穫時のハリビユの生長を同様に比較した。4月3日播種トウモロコシでは, リビングマルチは競合によりハリビユを十分に抑制したが(Fig. 1), 同時にトウモロコシとも激しく競合し, トウモロコシの生長は有意に減少し, トウモロコシの葉の窒素含有量も低下した(Fig. 2, Table 2, 3)。4月28日播種トウモロコシでは, リビングマルチは一定のハリビユ抑制効果を示し (Fig. 1), トウモロコシの生長と葉の窒素含有量にもほとんど影響を与えなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。5月24日播種トウモロコシでは, イタリアンライグラスが出芽後の高温により十分に生長しなかったため, リビングマルチはハリビユを抑制できず(Fig. 1), また, トウモロコシの生長や窒素吸収に影響を与えることはなかった(Fig. 2, Table 2, 3)。いずれの播種日のトウモロコシも, 生育期の純同化量(NAR)は, いずれの調査日においても有意な雑草防除処理間差が認められず, イタリアンライグラスと激しく競合した4月3日播種におけるリビングマルチ区のトウモロコシにおいても, NARの明確な低下は認められなかった(Table 3)。リビングマルチ区トウモロコシの収穫時には, 4月3日播種ではハリビユが全く認められず, 4月28日播種ではハリビユが認められたものの, その密度と重量は無処理区に比べ有意に小さく, 5月24日播種ではハリビユの密度と重量は無処理区とほぼ同等であった(Fig. 4)。トウモロコシ収穫時の無処理区のハリビユの密度と重量は, 4月28日および5月24日播種において4月3日播種よりも小となった(Fig. 4)。リビングマルチ区のトウモロコシ収量は, 無処理区に比べ, 4月3日播種で34-40%, 4月28日播種で11%減少したが, 5月24日播種ではリビングマルチ区と無処理区の間に有意な差は認められなかった(Fig. 5)。アトラジン+アラクロールの土壌処理は, トウモロコシの生長, 生長期の窒素吸収および収量を低下させることなくハリビユを十分抑制できた(Fig. 1-5, Table 2, 3)。イタリアンライグラスリビングマルチは, 若干の減収を前提とすれば, 4月下旬に播種するトウモロコシにおいてハリビユの防除のために利用が可能であり, また, 有機物の連続的な投与により土壌処理剤の効果が不十分な圃場では有効な技術となりうると考えられた。
著者
橋本 節子 本城 美智恵 木藤 香代子 村田 光範
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1411-1411, 1987-11-25

第14回東京女子医大漢方医学研究会 昭和62年3月11日 東京女子医大消化器病センター2Fカンファレンスルーム
著者
川節 望 新藤 健太郎 田北 勝彦 増山 不二光
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. A編 = Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers. A (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.74, no.741, pp.669-677, 2008-05-25

Glass Fiber Reinforced Plastics (GFRP) have been applied to products such as building components and various structural materials in industrial plants due to their excellent lightness and corrosion resistance, as well as weather resistance since the 1980's. Use of GFRP for large-scaled components and/or components with repetitive load has increasingly widespread in recent years, and both tensile and compressive properties have thus become important. Reinforcing laminate for GFRP has been mainly woven fabric such as glass woven roving due to its easy handling. However, its fiber winding and gap occurrence have been problems to be solved. In the recent years, new fiber fabrics for reinforcement have come on the market owing to rapid development of weaving machine, and one of the new fabrics is the stitched fabric. This glass fiber stitched fabric has been increasingly developed in Europe and all over the world for over ten years, and in Japan, has extended its application for ship for about ten years. This study investigates and examines GFRP reinforced with unidirectional glass fiber stitched fabric, in respects of the effect of fiber laminated constitution, fiber content and fiber diameter on tensile and compressive properties. Additionally, this study also examines relevance between weaving patter of fiber and strength property by comparing 0 degree/ 90 degree stitched fabric with GFRP with general woven roving.
著者
大野 秀樹 木崎 節子 櫻井 拓也 木崎 節子 櫻井 拓也 小笠原 準悦
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

運動トレーニングは、内臓脂肪の酸化ストレスと、マクロファージ関連の炎症性アディポカインの発現を減少させた。酸化ストレスの低下は、抗酸化酵素の上昇によっていた。さらに、運動トレーニングはマクロファージによる細胞性免疫反応を増強し、一酸化窒素産生能を亢進して、感染防御能を高めることが示唆された。脂肪組織に対する効果は、皮下脂肪よりも内臓脂肪に強く現れる事実は、運動トレーニングが生活習慣病の予防・治療に有用であることを示唆する。
著者
高濱 節子 海生 直人 廣光 清次郎
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

「集団に基づく最適化手法」に対して,探索効率と頑健性を向上させる(1)動的パラメータ調整法の提案と(2)比較推定法を用いた効率的制約付き最適化法の提案,を行い,有効性を示した.(1)では,目的関数形状に基づく調整(①直線に沿った関数値のサンプリングを用いる方法②近接構造と近接グラフを用いる方法),探索点の分布推定に基づく調整,探索点のランク情報に基づく調整を提案した.(2)では,複数の低精度近似モデルについて比較実験し,ポテンシャルモデルを用いた比較推定法とε制約法による制約付き最適化法が効率的であることを示した.
著者
島内 節 清水 洋子 福島 道子 佐々木 明子 中谷 久恵 河野 あゆみ 田中 平三 亀井 智子 林 正幸 丸茂 文昭
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度〜12年度にかけて「在宅ケアにおける基本的な日常生活行動の自立支援のためのケアプランと評価方法」について研究を行った。平成10年度に日常生活行動の自立を可能にする条件を分析した。結果は2ヵ月で改善可能な内容は着替え、服薬行動、痛み、介護者の心身の疲労であった。同年にケアプランの実施の有無とプラン修正によるニーズ解決を分析した。その結果、ニーズ解決率の高い順位は(1)ケアプランを必要に応じて修正し実施、(2)ケアプラン実施、(3)実施しない、の順であること、ケアプランの修正要因は利用者条件、サービス提供条件、ケアマネージャーの順であった。平成11年度には日常生活行動変化のアウトカム項目をアメリカ合衆国のメディケア機関で義務化されていたOASIS(The Outcome Assessment Information Set)を中心に我々が開発していた日本版在宅ケアアセスメント用紙を組み合せて、在宅ケアの評価を行い、それに基づきケアプランを5機関で行った。平成12年度にはアウトカム項目を確定し、自立度変化とケアプロセスの内容、満足度を評価し、プランを立てて実施後に再度アウトカムとプランを評価する方法の開発、サービス提供者の能力開発と組織力向上の評価方法を開発し、マニュアル化した。なお、利用者アウトカムに関しては、フィンランドとの共同研究を行った。
著者
登喜 和江 高田 早苗 蓬莱 節子 和田 恵美子 山居 輝美 前川 泰子 山下 裕紀 仁平 雅子 柴田 しおり
出版者
大阪府立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

脳卒中後遺症としてのしびれや痛みの実態および対処の様相を明らかにすることを目的に面接法と質問紙法による調査を行った。脳卒中後遺症としてのしびれや痛みは,(1)約7割に発症している。(2)約5割の人々が四六時中しびれや痛みを感じている。(3)約7割の人々が生活に支障を感じながらも何とか生活している。(4)最大の強さを100とした場合,約1割の人々が80以上と感じている。(5)個々の参加者によって多様に表現される一方,表現しがたいとする人も少なくない。(6)明確に区別されにくく,人によってはしびれが強くなると痛みに近い感覚として体験される。(7)気象の変化等による深部や内部のしびれ・痛みとして知覚される場合と雨風が直接当たることで誘発される皮膚表面のしびれ・痛みといった一見相反する感覚を併せ持つ。(8)眠ると感じない,他に意識が向いている時は忘れている,しびれ・痛みに意識が集中すると強く感じられる等の特徴が見出された。しびれや痛みの受けとめは,「強さ」「罹病期間」「医療者や身近な人々の対応」に影響を受けていた。治療効果については,様々な医学的治療や民間療法が用いられていたが,「温泉」「マッサージ」「温湿布」などの身体侵襲が少なく心地よさを感じる療法に効果があったとしていた。また,しびれや痛みは,それ自体として知覚されるだけでなく<感覚の不確かさ><温冷感覚の変化><感覚の違和感>といった特異な感覚を伴っている。さらに,この痛み・しびれは,脳卒中者の生活に多様な影響をもたらしており,参加者は<しびれ・痛みそのものへの対応><身体との折り合い><道具世界との協調><周囲との付き合い><自分自身と向き合う>といった対処で生活を維持しようと努めていた。
著者
本多 芳子 臼井 節夫 児玉 亨
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生後40日までLD12:12(通常の環境)およびLD1:1(1時間ごとに明暗を繰り返す環境)で飼育すると成熟後、新奇場面で多動性を示した。この多動性は脳内のドーパミンの増加に関連し、かつメチルフェニデート投与により改善される。また、ドーパミンD5受容体のmRNA発現が基底核で正常に比べ減少していた。さらにドーパミン輸送因子のmRNA発現を調べたところ正常環境下で生育したラットでは見られない3週齢の前頭葉において発現していることがわかった。