著者
瀧本 さち 開 正宏 都築 通孝 西川 大樹 日野 佐智子 遠藤 信英
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.85-89, 2023 (Released:2023-03-28)
参考文献数
8

集中治療後症候群の予防には早期リハビリテーションが有用だが,大腿静脈への非カフ型(NC)カテーテルにより持続的血液濾過透析(CHDF)を行う患者では安全上の観点から制約が伴う.今回,CHDF患者に対する関節可動域運動(ROMex)が脱返血に及ぼす影響を検討した.2020年4月から12月の間で大腿静脈にNCカテーテルを挿入し,CHDFを施行した5名の患者を対象とした.段階的な角度で屈曲を行った後,下肢屈伸運動を10回行い,脱血圧・静脈圧と脱血不良警報作動の有無,カテーテル挿入部の出血有無を確認した.5症例に対し合計10回のROMexを実施した結果,脱血圧・静脈圧は有意な変動なく推移し,脱血不良警報の鳴動は1回であった.ROMex実施は,大腿静脈に非カフ型カテーテルを留置した患者に対してのCHDF治療に影響を及ぼさないことが示唆された.
著者
榮 慶丈 西川 直宏 塚本 修一朗 鈴木 孝禎 岡本 祐幸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.1, pp.113-120, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
27

Molecular simulations have been widely used in biomolecular systems such as proteins, DNA, etc. The search for stable conformations of proteins by molecular simulations is important to understand the function and stability of proteins. However, finding the stable state by conformational search is difficult, because the energy landscape of the system is characterized by many local minima separated by high energy barriers. In order to overcome this difficulty, various sampling and optimization methods for the conformation of proteins have been proposed. In this study, we propose a new conformational search method for proteins based on a genetic algorithm. We applied this method to an α-helical protein. We found that the conformations obtained from our simulations are in good agreement with the experimental results.
著者
西川 真太郎 関村 敦 楠 弘充 佐藤 圭樹 横山 敏之
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.101-107, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症は,その変異株により病原性に変化があるとされている。当院に入院した患者208例を対象とし,その重症度や治療方法,転帰などから,変異株の病原性の変化について検討した。入院中の最大重症度は,第4波,第5波において中等症Ⅰ,Ⅱが増加し,重症は減少する傾向にあった。傾向スコアマッチングでの比較においても,やはり中等症Ⅰ,Ⅱは有意に増加していた。
著者
武村 裕之 今岡 泰憲 守川 恵助 北山 可奈 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 小澤 香奈 鈴木 優太 西川 涼太 天白 陽介 岡田 誠
出版者
一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
雑誌
呼吸理学療法学 (ISSN:24367966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.2-10, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
27

目的:慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪患者への骨格筋評価は身体機能を判断する上で重要である。筋輝度(Echo Intensity:EI)は骨格筋の非収縮性組織を反映し注目されている。しかし,身体機能と骨格筋の非収縮組織との関係性は不明である。本研究ではCOPD急性増悪患者のEIと身体機能の相関関係を調査したので報告する。方法:2019年5月から12月に当院へ入院したCOPD急性増悪患者17名を対象とした。調査項目は初回理学療法介入時に測定した。超音波検査には日立製作所社製のF37を使用し,大腿直筋(Rectus femoris: RF)の遠位1/3のEIを測定した。画像解析にはImage Jを使用し,8−bit Gray Scaleによるヒストグラム解析を行った。身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離(Six minutes walk distance:6MWD)とした。統計学的解析はSpearmanの順位相関係数を用いて,EIと身体機能項目との関連を調査し,統計処理はEZR version 1.38を使用し有意水準を5%とした。結果:EIはSPPB(r=−0.59 p<0.01)と負の相関を認めたが,6MWDとは相関を認めなかった。結論:COPD急性増悪患者におけるRFのEIと身体機能の相関関係を調査し,RFのEIはSPPBと中等度の負の相関を認めた。
著者
武田 重昭 西川 文香 加我 宏之 下村 泰彦 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.787-792, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

本研究は屋外空間の利用実態を把握することで、ニュータン再生のための屋外空間のあり方を考察するものである。泉北ニュータウンの1小学校区内に存在する集合住宅の屋外空間と街区公園及び緑道の利用実態を把握した。それらの空間における利用形態別に利用内容と利用者属性の視点から考察し、それぞれの屋外空間の利用のされ方の特性を把握した。この結果から地域内でのオープンスペースが機能に応じて使い分けられていることが確認できた。それぞれのオープンスペースの利用特性をうまく活用し、それらのネットワークを図ることや利用の多様化が増すような改修を行っていくことが重要であることが明らかとなった。
著者
西川 敏雄 村松 友義 松三 彰 井上 文之
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.92-96, 2008-01-15 (Released:2008-12-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

稀な真菌症である肺ヒストプラズマ症と診断された1例を経験したので報告する.症例は47歳,男性.検診にて胸部異常影を指摘され当院初診となった.右S9に10mm大の腫瘤を認めた.気管支鏡検査にてclass IIであり,また経過観察にて腫瘤の大きさ,性状とも変化を認めなかったが,肺癌の可能性も否定できなかったため手術を施行した.部分切除を行い,術中迅速病理検査にて悪性所見なしとのことであった.術後病理検査では当初クリプトコッカス症が疑われたが,抗体による免疫染色の結果では否定的であり,形態および遺伝子解析の結果よりヒストプラズマ症との診断であった.ヒストプラズマ症は国内での感染例は稀で報告例のほとんどは輸入感染症としてのものである.本症例は海外渡航歴はなく,国内での感染例である可能性もあるが,今後輸入感染症として増加することも考えられ,本疾患も念頭においた鑑別および治療が重要であると考えられた.
著者
西川 敦子 西野 一三
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.622-626, 2017 (Released:2017-04-30)
参考文献数
41
被引用文献数
2

Immune–mediated necrotizing myopathy (IMNM) is a subgroup of idiopathic inflammatory myopathies, characterized by usually subacutely progressive course, symmetrical and proximal muscle weakness and atrophy, highly elevated serum creatine kinase levels, and muscle fiber necrosis and regeneration with little or no lymphocytic inflammatory infiltration on muscle pathology. Two major autoantibodies, anti–signal recognition particle (SRP) and anti–3–hydroxy–3–methylglutaryl–coenzyme A reductase (HMGCR) antibodies, are known to be associated with IMNM. IMNM with those antibodies were initially reported in adults but are now known to be seen also in children. Anti–SRP antibodies seem to be more frequently seen in IMNM pateints than anti–HMGCR antibodies. Although anti–HMGCR necrotizing myopathy was first found in patients who were taking statins, majority of patients do not have history of statin use. Myositis associated with anti–aminoacyl tRNA synthetases (ARS) is pathologically characterized by perifascicular necrotizing myopathy with perimysial alkaline phosphatase activity. Clinically, patients typically develop triad of interstitial lung disease, mechanic's hands, and myositis, which is sometimes called anti–synthetase syndrome or anti–ARS syndrome. Of note, necrotizing muscle pathology can also be observed in a variety of other conditions, including myositis associated with anti–mitochondria M2 autoantibodies, malignancy, viral infections (HIV and hepatitis C), and connective tissue diseases. In addition, muscular dystrophy, such as dysferlinopathy or facioscapulohumeral muscular dystrophy, may also display similar muscle pathology. Not surprisingly, it can be clinically difficult to distinguish IMNM from muscular dystrophy especially in children. As IMNM is treatable by immunosuppressive therapy, it should not be misdiagnosed. Immunohistochemical analysis including MHC class I and C5b–9 may be useful as cytoplsmic upregulation of MHC class I in non–necrotic fibers and sarcolemmal deposition of membrane attack complex (C5b–9) are often observed in IMNM but not in muscular dystrophy. This review focuses on muscle pathological features of IMNM.
著者
二神 岳 草森 浩輔 西川 元也
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.55-61, 2021 (Released:2021-02-04)
参考文献数
45

エクソソームは,脂質二重膜で覆われたナノサイズの細胞外小胞(EVs)であり,その中には核酸やタンパク質,脂質など,エクソソームを産生する細胞固有の物質が含まれる。エクソソームを含むEVsの様々な生理的状態や疾患との関連性の深さから,幅広い疾患において診断あるいは治療用のツールとしてのEVsの応用が期待されている。しかしながら,EVsは産生される細胞の起源やそのサブタイプによって体内動態が異なることが報告されていることから,個々のEVsの体内動態特性を理解することは極めて重要である。そこで,EVsの体内動態の解明や治療効果向上に向けた体内動態制御,さらには低分子化合物やタンパク質,核酸などの様々な薬物のデリバリーキャリアとしての適用拡大を目的とした研究が盛んに行われている。本稿では,エクソソームを含む直径100nm程度のsmall EVsに焦点を当て,標識方法を含むEVsの体内動態と,その制御方法および制御技術に関するこれまでの研究報告を紹介する。
著者
今橋 久美子 深津 玲子 武澤 信夫 辻野 精一 島田 司巳 上田 敬太 小泉 英貴 小西川 梨紗 川上 寿一 森本 茂 河地 睦美 納谷 敦夫 中島 八十一
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.459-465, 2022-12-31 (Released:2023-01-17)
参考文献数
21

本研究では, 脳損傷後に高次脳機能障害と診断された人のうち, 社会的行動障害を主訴とする相談事例 86 名 (在宅生活者 70 名, 施設利用者 15 名, 不明 1 名) について, 臨床背景因子と神経心理学的評価 (Wechsler Adult Intelligence Scale-Third edition : WAIS-III および Neuropsychiatric Inventory : NPI) を分析した。その結果, 対象者の半数に認知機能の低下がみられたことから, 行動の背景にある認知機能を評価し, 適切にアプローチすることの重要性が示唆された。さらに, 問題となる症状とNPI を説明変数, 転帰 (在宅か施設か) を目的変数として判別分析を行った結果, 標準化判別係数は, 「夜間行動」「ギャンブル」「拒食」「多飲・多食」「脱抑制」の順で高いことが示され, 施設利用者のほうがそれらを呈する人の割合が高かった。正準相関係数は 0.694 (Wilksʼλ=0.52, P <0.001) であり, 判別に対して有意な有効性が確認された。交差確認後の判別的中率は 90.2 %であった。
著者
呉 景龍 水原 啓暁 西川 〓一
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.18-25, 2001-01-15 (Released:2011-10-13)
参考文献数
15
被引用文献数
1

In previous studies of human information processing, the visual separate system and the auditory separate system have been frequently studied. However, human related characteristic between visual and auditory systems has not been investigated substantially. If the mechanisms of human visual and auditory parallel information processing are elucidated, the finding will contribute to improving technical systems. In our previous studies, human related characteristic between visual search and speech perception is studied. The results showed the mutual effect between visual information processing and auditory information processing in the visual and the auditory parallel information processing. However, to clarify the cause of many car accidents lies in the use of car-phone on driving, it is necessary to use the same kind of visual and auditory stimuli in psychological experiments. In this paper, characteristic of reaction time in parallel information processing of human visual and auditory system is measured by using the same kind of stimuli. The experimental results show the factors that influence the visual and the auditory reaction time are the difficulty of the visual and the auditory stimuli and the timing of the visual and the auditory inputs. The experimental results also suggest that one of the causes of car accidents (to use car-phone while driving) is that the human visual information processing is affected by the auditory information.
著者
西川 真那 島田 典明 永山 泉 福島 和彦 天野 圭慧子 川北 智英子 澤田 真理子 木野村 賢 福島 正樹 浅野 健一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-205, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

57歳男性, 透析歴35年. C型肝硬変があり週初めの血液透析 (HD) 後にのみ肝性脳症Ⅲ度を繰り返した. 低カリウム血症などの誘因はなく, 分岐鎖アミノ酸製剤とラクツロース, レボカルニチンを追加し透析液の重炭酸濃度を低減した. しかし再び週初めのHD後に肝性脳症Ⅲ度となり血漿アンモニア濃度は219μg/dLであった. CTで太い門脈-大循環シャントを認め, ドップラー超音波で測定した門脈血流はHD後に低下していた. 血液濾過透析 (HDF) への変更で門脈血流の低下を減少でき, カナマイシンも追加し以後の肝性脳症はみられていない. 肝性脳症の原因にはアンモニアなどの代謝異常に加え, 門脈血の大循環への流入がある. HDにより大循環の圧が低下することで, 門脈-大循環シャントを介した門脈血の大循環への流入量が増えHD後の肝性脳症を惹起するとされる. HDFによる門脈血流の保持を含めた集学的治療で肝性脳症の再発を抑制できた.
著者
西川 輝
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1・2, pp.25-42, 2020-03-31
著者
大久保 直也 西川 英彦
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.24-39, 2017-03-31 (Released:2020-03-17)
参考文献数
45

本研究の目的は,ユーザー・イノベーションが生まれるイノベーション・コミュニティ,なかでも共創しつつその成果を活用して競争するミニ四駆のコミュニティを対象に,共創・競争志向と,ユーザー・イノベーションとの関係を実証的に明らかにするものである。本研究の発見としては,両志向は,ユーザー・イノベーションの質・量・活用という成果に対して異なる影響を与えていたことである。競争志向は,ユーザー・イノベーション活用の成果(競技成績)に正の影響を与え,一方の共創志向は,ユーザー・イノベーションの質(機能性)に正の影響を与えていたが,ユーザー・イノベーションの量(回数および発生の有無)に影響を与えてはいなかった。競争志向が低い場合にのみ,共創志向はユーザー・イノベーションの量に正の影響を与えていた。さらに,先行研究の整理によって,イノベーション・コミュニティを,非競争・開発型,非競争・活用型,競争・開発型,競争・活用型と4類型化したことも本研究の成果である。