著者
稲葉 陽二 菅野 剛 石田 祐 小藪 明生 石田 光規 露口 健司 西川 雅史 市田 行信
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

経済格差とSC:経済格差が大きいとSCは壊れる。認知的SCよりも構造的SCが関連しており、所得格差よりも資産格差が大きく負の相関がある。また、市町村レベルの所得格差の拡大と認知的SCと構造的SCの低下は、生活満足度の低下と関連している。教育とSC:SCの醸成を規定するのは量的側面ではなく質的側面であり、質的側面が高いと孤立化しにくい。また、学習の社会的成果は、地域の特性を強化する上で普遍的な影響を与える。地域の歴史的・文化的背景とSC:地域の歴史的経緯がSCに影響を与え、既存地区のほうが近隣と距離を置き、地域参加や地域への愛着も低いため、行政を通じた地道な啓蒙活動が重要である。
著者
上田 実 入江 一浩 渡邉 秀典 品田 哲郎 小林 資正 叶 直樹 岡本 隆一 松永 茂樹 井本 正哉 半田 宏 渡辺 肇 佐々木 誠 木越 英夫 西川 俊夫 石橋 正己
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

共同研究による本学術領域の推進により、多くの天然物の標的決定が行われた。これは、天然物化学者と生物学者の共同研究によって、ビーズテクノロジーの天然物への応用が拡大したこと、ならびに数多くの標的同定法が試行されたためである。これらの成果によって、多くの天然物が種標的と同時に複数のオフターゲットと結合することが明らかになった。天然物リガンドは、従前の理解のように、生体内において「鍵と鍵穴」の様に極めて特異性の高い作用機構を持つのではなく、生体内で「鍵束」のように機能し、複数の錠前と相互作用することを示している。本領域の研究成果によって、天然物リガンドの作用に関する理解は大きく変化したと言える。
著者
植田 健 三浦 尚人 鈴木 和浩 鈴木 文夫 伊野宮 秀志 小竹 忠 西川 泰世 山口 邦雄 伊藤 晴夫
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.569-572, 1992-05

A 66-year-old man with the chief complaint of oliguria had been referred to our hospital under the diagnosis of bilateral hydronephrosis and abdominal aortic aneurysm by his family doctor. CT scan and digital subtraction angiography demonstrated an abdominal aortic aneurysm continuing to bilateral internal iliac arteries. The degree of right hydronephrosis was less advanced compared to the left side. Right percutaneous nephrostomy was performed because the retrograde stenting was unsuccessful. After the renal function improved, an operation for the aneurysm was undertaken in the surgical department. Although bilateral ureterolysis was possible, the resection of the aneurysm could not be done. After clamping the nephrostomy catheter, drainage of urine into the ureter was not seen one month after the operation. A double-J ureteral stent was inserted by the antegrade approach and the nephrostomy tube was removed. By exchanging the stent every 3 months, the renal function has been stable and the size of the aneurysm unchanged during the 25 months after the surgery.
著者
伊藤 徹 秋富 克哉 荻野 雄 笠原 一人 昆野 伸幸 西川 貴子 西村 将洋 松隈 洋 長妻 三佐雄 若林 雅哉
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

1890年代から1950年代の日本において、知識人や芸術家たちを支えた≪語り≫を主題とする本研究は、哲学、政治学、経済学、文学、建築、美術工芸、演劇などの諸局面で、それが、どのような形で生産され、また消費されていったのか、その具体相を明らかにした。≪語り≫とは、近代化によって従来の生の地盤を掘り崩された後に生じた空隙を埋めるべく創出された、共同的な基礎的虚構群を意味する。本研究は、自己産出的な幻想によって自己を支える構造を、当該の時代の精神史の内に見出した。
著者
長谷川 隆明 西川 仁 今村 賢治 菊井 玄一郎 奥村 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.133-143, 2010 (Released:2010-01-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Recently, web pages for mobile devices are widely spread on the Internet and a lot of people can access web pages through search engines by mobile devices as well as personal computers. A summary of a retrieved web page is important because the people judge whether or not the page would be relevant to their information need according to the summary. In particular, the summary must be not only compact but also grammatical and meaningful when the users retrieve information using a mobile phone with a small screen. Most search engines seem to produce a snippet based on the keyword-in-context (KWIC) method. However, this simple method could not generate a refined summary suitable for mobile phones because of low grammaticality and content overlap with the page title. We propose a more suitable method to generate a snippet for mobile devices using sentence extraction and sentence compression methods. First, sentences are biased based on whether they include the query terms from the users or words that are relevant to the queries, as well as whether they do not overlap with the page title based on maximal marginal relevance (MMR). Second, the selected sentences are compressed based on their phrase coverage, which is measured by the scores of words, and their phrase connection probability measured based on the language model, according to the dependency structure converted from the sentence. The experimental results reveal the proposed method outperformed the KWIC method in terms of relevance judgment, grammaticality, non-redundancy and content coverage.
著者
伊井 義人 中村 伸次 岩崎 遥 西川 絵梨 足立 瞳 深澤 麻依 外川 茜
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.77-90, 2013-03-31

本論では、今年度で二年目を終えた藤女子大学の学生による石狩市立厚田中学校での学習支援(スクール・アシスタント・ティチャー:SAT)事業の現状と課題、そして将来的な展望を報告する。厚田中学校は、藤女子大学花川校舎から車で50分ほどの海岸部に位置する全校生徒22名の小規模校である。そこで主に教職課程を履修している大学生が、中学校教員や保護者と協力しつつ、数学や家庭科などの授業、学校行事の面で、生徒と触れ合い、多様な学習支援を行なっている。本論は、大学・中学校側のSAT担当教員だけではなく、実際に学習支援に参加した学生の視点から、今年度を振り返り、来年への展望を述べている。現状分析としては、1. 学校行事(学校祭・餅つき大会・卒業式)への参加、2. 地域との関わり(ピザ教室)、3. 学生主体の連絡調整が促進されたことが、今年度の成果といえる。その一方で、依然として、遠隔地域での学習支援という特色上、1. 厚田への交通手段、それに伴う2. 学生の時間の確保が課題として残った。しかし、来年度(2013年)は、厚田中学校での学習支援を経験し三年目の学生も4年生として在籍するため、SAT事業の継続性・発展性を視野に入れた、彼女たちの集大成に期待したい。なお、今年度のSAT事業は、石狩市教育委員会の予算と共に、藤女子大学QOL研究所からの補助金を通して、運営された。
著者
中島 一彰 西川 由明 川本 亜紀子
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.40, pp.1-6, 2013-03-07

本稿では,インターネットや無線ネットワークなどネットワーク状態が大きく変動するネットワーク上で,ネットワーク変動予測の結果に基づいてデータ送信を行うことで,安定した Web アクセスを可能にする制御方式のフレームワークについて述べる.従来,Web アクセスを安定的に行う手法として,直近に計測したデータ通信のアクセス速度に基づいて,サーバから端末へ配信するコンテンツのデータサイズを変更するなどのフィードバック型の制御が行われていたが,ネットワークの利用可能帯域や通信遅延変動が大きく変動する場合には,制御が間に合わずに対応できなかった.そこで,ネットワーク状態予測に基づいて Web アクセス制御を実施する方式を提案する.Web アクセスするときのネットワークの利用可能帯域と通信遅延の変動を予測し,帯域の変動幅と遅延の変動幅の予測値の変化に応じて,Web ページの先行配信や複数セッションを用いた送信などの制御を切り替えることで,Web アクセスに対するネットワークの変動の影響を低減する.LTE で実測した通信データに基づきシミュレーションによる検証を実施し,ネットワーク状態予測を用いることで,フィードバック型の従来方式と比較して誤選択の確率が半減し,適切なWeb アクセス制御が選択できることを示す.This paper describes a framework of the control system which enables stable web access based on the network status prediction on the internet and the radio network which fluctuates. In the past research, it is used the data size optimization of the web contents which are delivered to a terminal from a server based on access rate of the data communication which was measured nearest web access. But when an available bandwidth of the network and a communication delay fluctuation fluctuated big, it couldn't correspond. So We propose the system which puts web controlled accessibility into effect based on a network status prediction to reduce a fluctuation of a network for web access. The framework controls the preceding delivery of a Web page and a transmission using multi session access according to the change in predicted value of fluctuation range in a bandwidth and delayed fluctuation range. It was simulated based on observed communication data, and it was inspected to be able to cut occurrence of miss control by half compared with the feedback system.
著者
西川 喜朗
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.123-136, 1983
被引用文献数
1

1982年8月23日から9月3日にかけて, 東北地方の主として秋田県, 山形県そして新潟県北部のヤチグモ類(Coelotes 属)について調査した。ヤチグモ類は地表性または地中性のクモで, ほとんどの種の成熟期は秋から春であるが, 今回の調査の時期は, 成体の出現期としては少し早すぎたように思われた。したがって, 亜成体の個体が多く採集されたが, 採集後に飼育を続けることにより, そのうち約半数の個体がガラス管中で脱皮して成体となった。 今回の調査の結果, これらの東北地方の山地に分布するヤチグモ類は6種が確認され, ファウナの空白地帯をかなりうめることができた。うち3種は新種で, 本文に記載した。6種の種名と産地は次のとおりである。 1) クロヤチグモ C. exitialis L. KOCH, 1878-鳥海山(秋田県矢島町), 三方倉山, 摩耶山, 温海岳(以上山形県温海町)。既知産地は本州, 四国, 九州 2) フタバヤチグモ C.hamamurai YAGINUMA, 1967-太平山(秋田市), 柴倉峠(秋田県田沢湖町)。既知産地は本州(東北, 関東, 中部地方) 3) アズマヤチグモ C. kitazawai YAGINUMA, 1972-大平山(岩手県雫石町), 小友峠(秋田県本庄市)。既知産地は本州(東北, 関東, 中部地方) 4) アキタヤチグモ C. erraticus NISHIKAWA, 1983(新種)-岩木山(青森県岩木町), 本山, 真山(以上秋田県男鹿市), 河北林道の大滝(同河辺町), 兵治沢(同阿仁町), 柴倉峠(同田沢湖町), 駒ケ岳(同田沢湖町), 鳥海山(同矢島町), 三方倉山, 摩耶山(以上山形県温海町) 5) マサカリヤチグモ C. kintaroi NISHIKAWA, 1983(新種)-真山(秋田県男鹿市), 三方倉山, 温海岳(以上山形県温海町), 鳴海山(新潟県朝日村), 蔵王山(山形市)。既知産地は新潟県北部(黒川村, 大石山)(八木沼, 1981) 6) オバコヤチグモ C. obako NISHIKAWA, 1983(新種)-本山, 真山(以上秋田県男鹿市), 太平山(秋田市), 兵治沢(同阿仁町), 駒ケ岳(同田沢湖町), 鳥海山(秋田県矢島町および山形県八幡町) なお, 山地での調査に主眼をおいたので, 北海道から九州まで広く分布し, 都市近郊や神社や人家の周辺などからよく採集され, 当然分布しているだろうと考えられるヤマヤチグモ C. corasides, シモフリヤチグモ C. insidiosus, ヒメシモフリヤチグモ C. interunus, メガネヤチグモ C. luctuosus などは, 残念ながら採集できなかった。 調査地域の気候帯は, 水平的にはかなりよく似ていて単純であるが, 垂直的には温帯から高山帯にわたり, かついくつかの山塊が含まれているので, それらの山塊ごとに特産種が見られるかも知れないと考えられた。しかし, 調査の結果は当初の予想がはずれ, 3種の新種においても, その分布域は多少異ってはいるものの, 東北地方のうちである広がりをもって分布しており, 中部地方などで見られるような, 特定の山塊の固有種は認められなかった。また, 既知の3種も全国または東日本に広く分布する種であった。 以上のことから, ヤチグモ類に関するかぎり, 東北地方における山塊や平野などが, 種分化に大きな影響をおよぼすほど地理的隔離の要因にはなっていないものと考えられる。
著者
森 強士 西川 泰 高田 曜子 樫内 賀子 石原 伸浩
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.197-203, 2001-08-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

ブラジルで民間療法として用いられているインスリーナは, 糖尿病や高血圧症に効果があるといわれている。そこでインスリーナの抗糖尿病作用を評価するための試験を行った。in vitro の試験として, マルターゼ, α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の阻害能を調べ, in vivo の試験として, 自然発症糖尿病マウスに対する連続摂取での作用と正常ラットおよびストレプトゾトシン (STZ) 誘発糖尿病ラットに対する血糖値上昇への影響を調べた。その結果, インスリーナはマルターゼおよびα-グルコシダーゼに阻害活性を示した。また, 4週間連続摂取後の自然発症糖尿病マウスの随時血糖値を有意 (p<0.001) に低下させた。正常ラットおよびSTZラットの糖負荷後の血糖値への影響は, 正常ラットショ糖負荷後30分値で有意 (p<0.01) に血糖上昇を抑制し, STZラットショ糖負荷後60分値で有意 (p<0.05) に抑制した。これらの結果から, インスリーナ葉は糖尿病の予防に有効であることが予想された。
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
メディア教育開発センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.19-31, 2011-03-03

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。It has become common for library users to access to electronic resources which libraries provide via the Internet, such as electronic journals, databases and institutional repositories. Usage of e-book on diverse mobile devices may increase more than ever. As Google and Amazon provide advanced search technologies and interfaces to give users a better findability and accessibility, there has been a gap between library solutions and expectations from users, who are familiar with such Web environment. However, the implementation of advanced Web technologies into library services has been promoted these days. This article, at first, introduces such user support technologies as discovery interface, Web-scale discovery and cooperation with Learning Management Service. Secondly, we discuss a common issue shared with libraries in Japan, lying in the system procurement and human resource development, from the point of view of sustainable evolution. At last, we propose a new role of libraries beyond implementation of the Web technologies.
著者
岩岡 洋 長名 保範 吉見 真聡 小嶋 利紀 西川 由理 舟橋 啓 広井 賀子 柴田 裕一郎 岩永 直樹 北野 宏明 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.287, pp.61-66, 2005-09-08
被引用文献数
6

計算機を利用した生化学反応のシミュレーションが行なわれるようになってきた。大規模なシミュレーションモデルを扱う場合、膨大な計算時間を要するため、FPGAを用いてシミュレーションを高速化する研究が行われている。しかし、これまでの研究は主としてアルゴリズムの高速化であり、ユーザの利便性は考えられていなかった。そこでシステム生物学ではデファクトスタンダードとして用いられているモデル記述言語SBMLを利用可能とするためのインタフェイスソフトウェアを実装し、その際のオーバーヘッドなどの評価を取った。
著者
今村 賢治 齋藤 邦子 貞光 九月 西川 仁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.381-400, 2012-12-14
参考文献数
20
被引用文献数
1

本稿では,置換,挿入,削除操作を行う識別的系列変換で日本語学習者作文の助詞誤りを自動訂正する.誤り訂正タスクの場合,難しいのは大規模な学習者作文コーパスを集めることである.この問題を,識別学習の枠組み上で 2 つの方法を用いて解決を図る.一つは日本語としての正しさを測るため,少量の学習者作文から獲得した n-gram 二値素性と,大規模コーパスから獲得した言語モデル確率を併用する.もう一つは学習者作文コーパスへの直接的補強として,自動生成した疑似誤り文を訓練コーパスに追加する.さらに疑似誤り文をソースドメイン,実際の学習者作文をターゲットドメインとしたドメイン適応を行う.実験では,n-gram 二値素性と言語モデル確率を併用することで再現率の向上ができ,疑似誤り文をドメイン適応することにより安定した精度向上ができた.
著者
今村 賢治 齋藤 邦子 貞光 九月 西川 仁
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 = Journal of natural language processing (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.381-400, 2012-12-14
被引用文献数
1

本稿では,置換,挿入,削除操作を行う識別的系列変換で日本語学習者作文の助詞誤りを自動訂正する.誤り訂正タスクの場合,難しいのは大規模な学習者作文コーパスを集めることである.この問題を,識別学習の枠組み上で 2 つの方法を用いて解決を図る.一つは日本語としての正しさを測るため,少量の学習者作文から獲得した n-gram 二値素性と,大規模コーパスから獲得した言語モデル確率を併用する.もう一つは学習者作文コーパスへの直接的補強として,自動生成した疑似誤り文を訓練コーパスに追加する.さらに疑似誤り文をソースドメイン,実際の学習者作文をターゲットドメインとしたドメイン適応を行う.実験では,n-gram 二値素性と言語モデル確率を併用することで再現率の向上ができ,疑似誤り文をドメイン適応することにより安定した精度向上ができた.
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
放送大学ICT活用・遠隔教育センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.S19-S31, 2011

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。