著者
西川 一二 雨宮 俊彦 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.436-446, 2022 (Released:2022-12-25)
参考文献数
34

This study aimed to develop an Interpersonal Curiosity Scale. In Study 1, a questionnaire with a preliminary pool of 56 items was administered to undergraduates, and from these, 11items were selected. The main survey was administered to college students (n = 839) and as a web-based survey (n = 1,500). Factor analysis revealed three factors: curiosity about personal emotions, curiosity about privacy, and curiosity about personal attributes. Cronbachʼs alpha showed that these subscales had sufficient reliability. In Study 2, the validity of the Interpersonal Curiosity Scale was examined using the Five-Dimensional Curiosity Scale, the Sensation Seeking Scale, the Multidimensional Empathy Scale, and the Psychological Well-being Scale. The results of correlation analysis confirmed the validity of the three subscales. Implications about using the Interpersonal Curiosity Scale are further discussed.
著者
米満 良平 西川 英彦
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.101-110, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
参考文献数
11

近年,顧客との共創を製品開発に活用する企業が増えている。しかし,製品化やプロジェクト運営の手間などから,一過性の取り組みに終わってしまうケースも多い。こうした中で,共創をブランドの提供価値の中心に掲げ,事業としても成長を続けているのがサッポロビール初のクラフトビールブランド「HOPPIN’ GARAGE」である。本ケースは,事業として共創に取り組んでいるだけでなく,顧客との共創に挑戦しながらも一度は自社コミュニティを終了し,再度新たに立ち上げるなど,試行錯誤の上に共創を続けてきた先進的なケースでもある。本稿では,どのような課題があり,ビジネスモデルを変更させてきたか,そのHOPPIN’ GARAGEの変遷を,1)自社顧客との共創,2)外部コミュニティとの共創,3)外部イノベーターとの共創,4)外部企業との共創,といった共創形態の変化に合わせて確認する。そこには,事業の状況や課題に合わせて,顧客との共創だけにとらわれず柔軟に共創相手を変えてく,HOPPIN’ GARAGEの巧みなマネジメントが見られる。その成長要因として,1)内部マネジメントの重要性,2)共創手法の最適化,3)共創体制の最適化という3点を提示する。
著者
氏家 悠太 西川 琴美 横幕 加奈 髙橋 康介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PR-021, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

近年,健康寿命の延伸やQOL向上の為の効果的な活動としてスポーツが注目されている。日常生活において継続可能なスポーツ習慣を獲得するためには,個人の身体的,心理的特性を踏まえ最適化された動機付けの手法が必須となる。本研究はスポーツ習慣の動機付け手法確立の基礎研究として,幅広い年齢層を対象としたオンライン調査により,スポーツ習慣と心理特性との関連を検討した。調査協力者は20代から50代以上までの男女1600名とした。調査項目として,スポーツや他の活動の習慣化に関する調査項目,心理特性を測定する質問紙(TIPI-10,BIS/BAS,DTDD,LOC,公正世界信念,BREQ-2改変)を用いた。主な結果として,スポーツ習慣のない集団(N=800)においても,潜在的にスポーツ習慣化を希望する割合は全年代を通して50~60%と多く,そのうち大多数(80%以上)が内的動機付けによるものであると示された。また,心理特性との関連では,行動抑制傾向(BIS/BAS)やサイコパス傾向(DTDD)が強いほど,スポーツに限って習慣化を妨げる要因となることが示された。これらの結果は,継続すること自体に困難はなく,スポーツだけが続けられないという個人の心理特性を示唆している。
著者
西川 祐子
出版者
Japan Association for Urban Sociology
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.21-36, 2009 (Released:2011-10-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In Kozoji New Town, Kasugai City, there is a community medium that is continuing the conveyance of information and the formation of a residential network while transforming the medium in three stages, from a hard copy-based community publication to an information exchange through the electronic medium of a website and then on to the establishment of a town-development NPO corporation and administration of a space for residents' communal exchange. The collective memory of the new town is built by this community medium and has the characteristics of being open to the external world and formed by the spontaneous contribution of the vague and faded memories of individuals. This essay discusses the relationship between the collective memory of a new town and the town development movement.
著者
中川 俊輔 岡本 康裕 児玉 祐一 西川 拓朗 田邊 貴幸 河野 嘉文
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.33-36, 2018 (Released:2018-06-19)
参考文献数
10

再発髄芽腫に対するtemozolomide(TMZ)の報告は本邦ではまだない.症例は6歳の男児で,小脳原発の高リスク髄芽腫(desmoplastic type,術後の脊髄MRIで播種病変あり)と診断された.脳腫瘍摘出術と放射線照射後に寛解を確認した.術後化学療法(ifosfamide, cisplatin, etoposide)と自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法(busulfan, melphalan)を行った.術後24か月後のMRIで右側脳室,右側頭葉,左小脳半球に腫瘤性病変を認め再発と診断した.欧米からの有効性があるという既報を参考に,TMZ(150 mg/m2/日×5,4週間毎)の内服で治療を開始した.腫瘍は残存しているが縮小傾向で,再発後28か月が経過し,TMZを30サイクル行った.副作用もほとんど認めず,良好なQOLを維持できている.TMZは髄芽腫の再発に対する化学療法として有用な可能性がある.
著者
比留川 ありさ 西川 英彦 米満 良平
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.83-91, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
15

ユーザーからアイデアを集め,製品開発に活用するクラウドソーシングが注目されている。しかし,クラウドソーシングを活用する企業の多くが,アイデア募集に苦労している。たとえユーザーからアイデアを集められたとしても,そのアイデアを上手く活用できず失敗する企業や,継続できていない企業も多い。その困難克服の好例が格安スマホのmineoである。mineoはこれまでに約9,100件のアイデアをユーザーから集め,約1,100件ものアイデアを実現している。本稿では,まずmineoのコミュニティサイト「マイネ王」にて,ユーザーからアイデアを集める場として中心的に機能している「アイデアファーム」について紹介する。次に,ユーザーのアイデアをもとにサービスの創造やアップデートが行われていることを確認する。最後に,ユーザーのアイデアを数多く実現し,魅力的なサービスへと進化しているmineoの優れている点,すなわち1.アイデアの量の確保2.アイデアの質の向上3.役職者による全アイデアの検討と実現化の促進について述べる。
著者
西川 直人 稲川 祥史 吉田 昌弘 山本 敬三
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.93-101, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
18

本研究の目的は,着地時の足部接地の違いが衝撃吸収作用に及ぼす影響を検討することである.対象は10名(後足部接地1名,前足部接地9名)とし,30 cm台からのドロップジャンプ動作を実施した.三次元動作解析装置を用いて足,膝及び股関節のパワー,床反力鉛直成分を計測し後足部接地と前足部接地で比較した.その結果,前足部接地と比べ後足部接地では,膝における負の仕事量(衝撃吸収量)が大きく,関節パワーのピークが早期に発現した.
著者
木村 優輝 木宮 隆 吉田 周平 伊藤 瑞姫 保科 由智恵 西川 正純
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-23-00005, (Released:2023-06-14)

食用ウニ類は外観から生殖巣重量や生殖巣指数を予測することが困難である.本研究では,青果物の内部品質の非破壊評価に広く用いられている透過方式の近赤外分光装置を用いて,キタムラサキウニ(Strongylocentrotus nudus)の生殖巣重量および生殖巣指数の評価手法の開発を試みた.試料は,2021年および2022年に宮城県石巻市または女川町で水揚げされたキタムラサキウニ216個体を用いた.得られた近赤外吸収スペクトルを主成分分析で解析したところ,2次微分処理を行ったスペクトルの第1主成分の寄与率は90 %であり,そのローディングベクトルでは,主に脂質の吸収帯である930 nm付近に負のピークが観察された.また,Partial Least Squares回帰分析を行った結果,2次微分スペクトルを用いた生殖巣重量の検量モデルの評価結果は,因子数4,相関係数0.78,標準誤差4.4 gであった.同様に生殖巣指数では,因子数4,相関係数0.76,標準誤差4.6 g/100 gであった.これらの結果から,生殖巣重量および生殖巣指数を非破壊・非接触的に評価できることが示唆され,これは生殖巣の脂質が検知されることによるものと考えられた.本手法を用いた非破壊評価システムの構築により,天然については身入りの良好な個体を出荷し,身入りの悪い個体は海に放流あるいは養殖に向ける等,新たな判断基準として活用することができる.
著者
相原 豊 西川 純
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-65, 2000-06-30 (Released:2018-05-08)
被引用文献数
3

本研究は,理科の実験時のグループ活動において,グループ内で自発的に発生した役割を分析した。その中で「傍観者がいるグループ」に注目することにより,グループ内の生徒たちによる協同的学習の実態を明らかにした。調査Iでは,理科の実験時において自主的なグループ編成を行った。その結果,4人グループが多くなり,「傍観者がいるグループ」が少ないことを明らかにした。調査IIでは,通常の授業における,2〜4人グループの協同的学習の実態を明らかにした。すなわち,4人グループでは授業の時間進行に伴い「傍観者がいるグループ」が増加することを明らかにした。調査IIIでは,通常の授業に全員参加の話し合い活動を取り入れた授業を行った。その結果,4人グループでは授業の時間進行に伴い「傍観者がいるグループ」が減少することを明らかにした。
著者
西川 功 合原 一幸
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第58回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.117, 2009 (Released:2009-10-22)

結合位相振動子系である蔵本モデルにおいて、素子数が有限の場合にはカオスが起こる[O. V. Popovych et al., 2005]。同様に、他の位相振動子、リミットサイクル振動子、カオス振動子のそれぞれの結合系においてもカオスが起こる。このように、結合振動子系におけるカオスは普遍的な現象である。 我々は、蔵本モデルにおけるカオスを調べる。同期現象の時刻tにおけるオーダーパラメータR(t)の時刻0からtまでの時間積分LR(t)は、区間[0, t]における同期の強さを表わす。LR(t)は拡散を示し、その拡散係数はクラスターの形成に伴いピークを持つことが分かった。
著者
島野 智之 蛭田 眞平 富川 光 布村 昇 寺山 守 平野 幸彦 馬場 友希 西川 勝 鶴崎 展巨 佐藤 英文
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.41, pp.137-144, 2018-07-31

小笠原諸島のうち、弟島3地点、父島8地点、母島6地点、合計17地点から、192個体あまりの土壌節足動物が得られた。同定の結果37種と判別され、このうち、学名が確定したりあるいは未記載種でも種レベルで同定が行われたりしたものは、26種であった。特筆すべきは、グンバイウデカニムシCheilidium aokii Sato, 1984の2例目の記録、アシジロヒラフシアリTechnomyrmex brunneus Forel, 1895の弟島からの初記録、また、アサヒヒメグモEuryopis perpusilla Ono, 2011も母島初記録であった。外来種であるホソワラジムシPorcellionides pruinosus(Brandt, 1833)は、父島と母島から見いだされた。
著者
篠原 英美 衞藤 薫 勝浦 美沙子 橋本 和典 佐藤 友哉 水落 清 西川 愛子 永田 智
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.62-66, 2023-04-25 (Released:2023-04-25)
参考文献数
14

We report a case of pediatric Fabry disease in a girl whose pain was relieved and quality of life (QOL) improved with enzyme replacement therapy (ERT). Her father was diagnosed with Fabry disease based on the examination findings for pre-renal transplantation due to renal failure. Therefore, examinations were performed for her. Urinary mulberry bodies were positive, and the genetic analysis for α-galactosidase A (GLA) revealed a nonsense variant, leading to the diagnosis of pediatric Fabry disease. At 8 years of age, she presented with pain in the distal portion of the extremities and abdomen, which persisted despite oral carbamazepine. Therefore, ERT was provided. After initiation of ERT, blood lyso-Gb3 levels decreased, and extremity and abdominal pain improved. We asked her and her parent questions about QOL before and 12 months after the start of ERT. The European Quality of Life Five Dimension Youth showed improved scores for usual activities and pain or discomfort, and self-scoring of physical and mental condition on the European Quality of Life Visual Analogue Scale improved from 22 before ERT to 70 after 12 months of ERT. Pediatric Quality of Life also showed improved scores for physical and emotional functioning. Similar results were obtained by questioning the parent. Although the questionnaire is subjective and depends on the patient's physical condition at the time, we speculate that ERT improved QOL. Since the severity of clinical symptoms in women with Fabry disease varies, regular follow-up and appropriate intervention soon after the appearance of organ involvement are important to improve QOL and prevent complications.
著者
西川 朋美 青木 由香
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.177, pp.47-61, 2020-12-25 (Released:2022-12-26)
参考文献数
26

本稿では,日本生まれ・育ちで日本語を第二言語とする (JSL) 小学4~6年生 (n=122),及び同学年の日本語モノリンガル (Mono)(n=427) を対象に,格助詞「が」「を」「に」「で」の産出をイラスト付の記述式テストを用いて調べた。テストは,各格助詞の複数の用法や語順交替アイテムなどが含まれ,計73アイテムである。分散分析の結果,合計点において,JSLとMonoの間に差が見られた。また,合計点が最下層に位置づけられる子どもの割合は,JSLはMonoの2~5倍であった。詳細に目を向けると,JSLとMonoの得点差が顕著に見られるのは,名詞がいずれも有情物の場合の主格「が」と対格「を」・与格「に」の語順交替のアイテム群であった。これらのアイテムは,JSL・Mono両方にとって難易度が上がるが,特にJSLのつまずきが大きいことが分かった。
著者
阿保 勝之 秋山 諭 原田 和弘 中地 良樹 林 浩志 村田 憲一 和西 昭仁 石川 陽子 益井 敏光 西川 智 山田 京平 野田 誠 徳光 俊二
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.101-111, 2018 (Released:2020-02-12)
参考文献数
27
被引用文献数
4

1972~2013年の約40年間にわたる浅海定線調査データをもとに,瀬戸内海における栄養塩濃度などの水質や海洋環境の長期変化傾向を明らかにした.水温は温暖化の影響で上昇しており,特に秋季の上昇率が高かった.透明度は,大阪湾を除く瀬戸内海では1990年代以降,大阪湾では2000年以降に上昇した.瀬戸内海の栄養塩濃度は減少傾向であった.DIN濃度は,大阪湾を除く瀬戸内海では1970年代に急激に低下した後,2000年代以降に再び低下が見られた.大阪湾では,1970年代の低下は見られなかったが,1990年以降に大幅な低下が見られた.DIP 濃度は,1970年代に高かったが1980年頃に低下し,大阪湾を除く瀬戸内海ではその後は横ばい,大阪湾の表層ではその後も低下を続けた.栄養塩濃度の低下については,陸域負荷削減が大きく影響しているが,底泥や外海からの供給量低下や近年の全天日射量の増加も栄養塩濃度の低下に影響を及ぼしていると考えられた.