著者
榎原 博之 中山 弘基 飯田 修平 長辻 亮太
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.331-342, 2016-01-15

近年,メタヒューリスティクスは組合せ最適化問題を解く手法として多くの研究が行われている.最近の研究では,コンサルタント誘導型探索(CGS)と呼ばれる新しいメタヒューリスティクスが提案されている.本研究では,CGSを用いた巡回セールスマン問題(TSP)に対する並列アルゴリズムを提案する.アルゴリズムの並列化では,CGSにおける仮想人間をそれぞれの計算機の各プロ セッサコアに割り当てることで効率良く解の探索を行う.また,仮想人間の集団を複数のサブ集団に分割し,各サブ集団どうしで仮想人間の移住を行う島モデルをCGSに取り入れる.10台の計算機を用いた性能評価実験を行い,都市数が5,000のTSPLIBのベンチマーク問題例に対して5%未満の誤差率を達成することを示す.
著者
古里 百合子 辻丸 秀策 大岡 由佳 鋤田 みすず 福山 裕夫
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学文学部紀要. 社会福祉学科編 (ISSN:13455842)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-33, 2004-03

現在,不妊治療を受けている人は,1年に推計28万5000人といわれている.不妊治療は,この20年間の間にめざましい進歩を遂げている.しかし様々な新技術の影で,多くの葛藤も生まれている.葛藤の背景には,「結婚したら子供を生むのは当然」という潜在的な意識や,治療を辞めたら後悔するという不安,また最近は妊娠を望む女性の年齢が高くなり,年齢的限界によるものなどがある.一方,不妊に悩む人,不妊の問題を抱えた人のためのソーシャルサポートの一環として,産婦人科医や看護師などでつくる「日本不妊カウンセリング学会」が2002年秋に設立された.国も2004年までに各都道府県に「不妊専門相談センター」を1ケ所設置する予定で,2003年4月現在で28ケ所設置された(九州では佐賀県の中部保健所と大分県の大分県立病院内に設置されている).また国は「我が国における今後の不妊カウンセリングのあり方」の中でカウンセラーの他に「生殖医療コーディネーター」「不妊看護認定看護師」「遺伝カウンセラー」の役割を掲げ,生まれてくる子どもを養育するための社会的安定度などを調査する上でソーシャルワーク的かかわりが必須だとし,社会福祉士や精神保健福祉士にも期待を寄せている.本稿では,不妊治療に伴う心理的葛藤とその背景,さらにはソーシャルワークの立場から,不妊をどう支えていけるか等について,症例を通して検討を行い若干の考察を加えた.
著者
Al-Adawi Samir 鄭 志誠 辻内 琢也 葉山 玲子 吉内 一浩 熊野 宏昭 久保木 富房
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.933-941, 2005-12-01

国際的にみて, 精神的外傷を引き起こすような死別に対し, 十分に対処がとられている社会は少ない.これにもかかわらず, 死別に対する反応を社会的特性という観点でとらえる人類学的研究はごくわずかであり, 死への悲嘆反応は, 心身医学的問題としてとらえられている傾向がある.本稿では, オマーンの伝統的な社会に存続する不慮の死における死者の生き返り(zombification), そして呪術や魔法に関する信仰(信念)を紹介する.これらの反応は社会的に容認されており, 死者の死の否定を基礎としている.さらに考察では, これらを説明モデルという概念を用いて分析し, 世界各地で観察される類似する悲嘆反応を欧米のタナトロジー(死亡学)研究におけるそれと比較し, 新たな視点で論じる.
著者
角田 寿喜 後藤 和彦 宮町 宏樹 平野 舟一郎 清水 力 岩切 一宏 中辻 剛 立山 清二
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.476-485, 1997-08-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
26
被引用文献数
1

A shallow earthquake of MJMA 6.7 on October 18, 1995, at about 50km southeast off Kikai-jima in the Ryukyu Islands caused slope landslides, subsidence of concrete slabs at fishing ports and collapses of walls piled up with coral ragged stones. Several fishing boats moored to wharves were damaged by tsunami; four boats were turned over at ports in Amami-Oshima.From May 19 to 30, 1995, earthquakes of MJMA≤4.1 had occurred in the focal area after a long seismic quiescence since the 1911 Kikai-jima Earthquake of M=8.0. Some of them were felt in JMA intensity 1 or 2 at Kikai-jima. Numerous felt shocks also struck the island immediately after the main shock; 62 and 125 shocks on October 18 and 19, respectively. Numbers of aftershocks decreased rapidly, though they lasted through the end of 1996.The damage distribution of the 1911 event being compared with that of the 1995 event, their focal areas were considered to overlap with each other. It was, however, possibly an interplate earthquake of a thrust fault type in contrast with the 1995 event of a normal fault type in the subducting plate, because the first motions of P wave at Naze and of tsunami wave at Kikai-jima were reversed between the two events.
著者
渡邊 政博 田井 達也 辻 繁子 田中 裕章 元木 貴大 山口 佳津騎 住吉 健太 野崎 孝徒 加地 雅人 朝倉 正登 小坂 信二 芳地 一
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.69-76, 2015 (Released:2015-10-01)
参考文献数
22

Objective: Many patients in Kagawa University Hospital are administered medicines prepared by the simple suspension method.  Pharmacists in charge of these patients receive inquiries from doctors and nurses regarding the suitability of medicines for the simple suspension method.  Answering these inquiries is complicated and time-consuming as multiple data sources need to be searched.  In order to simplify these complicated procedures, we herein attempted to develop a novel database to provide valuable information that could contribute to the safe performance of the simple suspension method, and evaluated its usefulness.Method: The specifications of the database were determined by analyzing previously answered inquiries.  To evaluate the usefulness of the database, we used test prescriptions and compared the amount of time required to gather information using the database and the conventional method, i.e., using books alone.  We also analyzed previous prescriptions with the database in order to determine what kinds of problems could be detected.Results: The investigation of previous prescriptions indicated that some medicines needed to be examined not only for their suitability for the simple suspension method, but also their incompatibility.  Therefore, we added a feature regarding the incompatibility of medicines to the database.  The time required to gather the information needed to answer the test prescription was shorter with our database than with the conventional method.  Furthermore, the database improved the detection of medicines that require particular attention for their properties including incompatibility.  An analysis of previous prescriptions using our database indicated the possibility of incompatibility in half of the previous prescriptions examined.Conclusion: Our database could rapidly provide information related to the simple suspension method, including the incompatibility of medicines.
著者
岡崎 大資 甲田 宗嗣 川村 博文 辻下 守弘 鶴見 隆正
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.E0723-E0723, 2004

【はじめに】<BR> 本研究は高齢者に対する継続的転倒予防教室(以下教室)において、行動分析学的介入による自主運動の継続的実施の可能性と参加者間のソーシャルネットワークの確立の可能性について検討したので報告する。<BR>【対象と方法】<BR> 対象は地域在住の高齢者25名(男性7名、女性18名)、平均年齢72.9±5.9歳であった。<BR> 方法は全6回の教室において指導した7種類の自主運動(柔軟性に関する運動3種類・筋力に関する運動3種類・ウォーキング)を教室開催時以外の自宅での実施頻度を向上させるための介入を行った。教室終了後の半自主的に継続されている教室の8回をフォローアップ期とした。介入は行動分析学的介入方法を用い、ベースライン期とフォローアップ期は用意したカレンダーに自宅での運動実施毎にシールを貼りその頻度を研究者が確認するのみとし、介入期Bは自主運動実施頻度が多い者に対する注目・賞賛(社会的強化子)、介入期Cは自主運動実施の報酬として実施頻度に応じて簡単なパズル(付加的強化子)を渡すこととした(A・B・C・Aデザイン)。また、フォローアップ期の後半で7名の対象者に、各期を通じての自主運動に対する意識の変化や参加者同士の関係についてインタビューした。<BR>【結果】<BR> 全員の自主運動実施頻度の平均はベースライン期:171.7±82.5回、介入期B:256.9±38.9回、介入期C:588.9±104.9回、フォローアップ期:413.2±33.2回であった。また、インタビューではベースライン期には「健康に良いと言われたので運動した」、「カレンダーへシールが貼れように運動を頑張った」との内容が含まれていた。介入期Bでは「他人が読み上げられて誉められることが羨ましい」、「自分が読み上げられて誉められたことが嬉しかった」やその反面「読み上げられるのは恥かしい」などの内容も含まれていた。介入期Cでは「パズルは痴呆防止にいい」、「パズルが面白かった」や、パズルをもらえることを理由に運動したのではなく「友人同士で一緒に運動するから楽しい」、「自主運動が自分の生活の一部に定着した」、「運動すると体が楽になる、気持ち良い」などの内容が含まれていた。<BR>【考察】<BR> 自主運動実施頻度が向上した理由として、介入期B・Cにおいて注目・賞賛やパズルをもらえるという強化子が影響したと考えられる。しかし、参加者はフォローアップ期に強化子を提示しなかったにもかかわらず介入期Bより高い頻度で自主運動を実施していた。これは賞賛やパズルを強化子とするのではなく、自主運動の実施に内在した強化子(楽になる、気持ち良い)や参加者同士で自主運動を実施するといったソーシャルネットワークを確立し維持することで保たれていると考えられる。このように教室の役割は転倒予防のための機能的かかわりを持つのみならず、参加者間のソーシャルネットワークの確立と共に生きがいやQOLの維持にも繋がることと考えられる。
著者
中辻 小百合
出版者
国立音楽大学
雑誌
音楽研究 : 大学院研究年報 (ISSN:02894807)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.107-122, 2010

本稿は、湯浅譲二 (Joji Yuasa, 1929-) によるバリトンとトランペットのための《天気予報所見 Observations on Weather Forecasts》(1983) において、言語コミュニケーションに関する問題がどのように反映させられているのかについて、作品の分析を通して明らかにすることを目的とする。この作品においては、身体的動作や身振り、感情表出といった非言語的な側面が重要な位置を占めていると考えられる。湯浅は言語コミュニケーションに含まれる非言語的な側面を実際にどのように考えているのだろうか。この問題を考察するにあたって、本稿では非言語的な側面に焦点を当て、作品の分析を試みた。その手順として、曲中における非言語的な側面を、テキストがない箇所における動作と、テキストの提示と同時に指示される身振り・感情表出および楽語とに分けたうえで詳細な分析を試みた。その結果、第一に、テキストがない箇所における動作が構成されるにあたっては、旋律やリズムといった音楽的要素を作品として構成していく方法を応用した音価および時間の段階的縮小と、freezeの動作に代表されるような期待されるものへの裏切りとの2つの特徴的な手法が、第二に、テキストと同時に指示される身振りや感情表出、楽語が配置される際には、前述した身体的動作と同様に、音楽的要素を作曲する際に用いられるシンメトリックな配列や三部形式が利用されていることが確認でき、西洋音楽の作曲における伝統的な方法のもとで構成されていることが明らかになった。一方、テキスト=語られる内容と非言語的な側面との関係の在り方には湯浅の独自性が表れており、分析の結果、情報伝達を目的とする天気予報と身振りや感情表現とは、一部の例外を除き、互いに対比させられたものとして位置づけられていることが明らかになった。この作品では、クロード・シャノン(Claude Elwood Shannon, 1916-2001)らが提唱したような、送り手から受け手へ事実が伝達されるという言語通信システムにおいてはノイズと考えられる側面-すなわち、語られる声の個性や身振りといった音響的側面、言語活動にともなう感情表現としての身振りや動作といった身体的側面に焦点が当てられている。この点から筆者は、この作品をシャノンらの情報理論への音響的および身体的な側面からのアンチテーゼとして考えた。湯浅は、言語コミュニケーションに含まれるこのような非言語的側面に芸術的価値を見出し、詩や演劇といった形態としてではなく、音楽家としての立場から、それらをひとつの音楽作品として組織化したと言える。この《天気予報所見》は、言語コミュニケーションに含まれる非言語的側面を自らの手によって再構成し、音楽化したいという湯浅の創作意欲のあらわれであると結論付けた。
著者
松村 香織 笹栗 正明 光安 岳志 新井 伸作 辻口 友美 中村 誠司
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.217-223, 2014

1998年1月から2007年12月までの10年間に九州大学病院顎口腔外科を受診した口唇裂口蓋裂患者一次症例を対象に臨床統計的観察を行い,以下の結果を得た。<br>1.10年間に当科を受診した口唇裂口蓋裂一次症例は228名であった。受診患者数に増減はあるが増加傾向にあった。<br>2.裂型別では,228名中口唇(顎)裂が70例,口唇口蓋裂 70例,口蓋裂 69例,粘膜下口蓋裂 18例,正中唇裂 1例であった。<br>3.裂型別性差については,いずれの裂型も男女間に有意差は認めなかったものの,口唇口蓋裂は男性,口蓋裂は女性に多かった。<br>4.初診時年齢は,生後1ヶ月以内の患者が90%を占めており,2001年以降は出生当日の初診症例が増加していた。<br>5.患者の居住地域は福岡市およびその近郊が大部分を占めていた。<br>6.紹介元施設は,九州大学病院外の産科が最も多く(42.6%),次いで院外の小児科(14.1%),院内の周産母子センター(10.1%)であった。<br>7.出生前カウンセリング件数は計18件,出生直後の産科への往診件数は63件であった。年間の出生前カウンセリング件数および往診件数は徐々に増加していた。
著者
石井 澄 辻 敬一郎 (1985) 木田 光郎 辻 敬一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

本研究は、食虫目トガリネズミ科ジネズミ亜科の1種、ジャコウネズミ(Suncus murinus)を対象に、野生個体を起源とするドメスティケーションを試み、その過程において行動の諸特徴を経代的に観測するものである。野生個体は沖縄県下多良間島で捕獲後、ただちに人為的制御下に移して維持・繁殖を続けてきた。昭和61年度末現在、第2世代を得ている。観測対象とした行動項目は、基本的適応価をもつと考えられるもので、初期行動,生殖(性)行動,および日周活動リズムである。ジネズミ亜科の多くの種に具わる特異な初期行動としてキャラヴァン行動(caravaning)がある。従来詳細な記述がみられなかったこの行動について、ドメスティケーションの進んだ段階の個体(実験動物としてのスンクス)を対象とした組織的観測を行ない、その発現齢,成立パターンおよびその解発刺激,事態特性を明らかにした。それらの成果に基づいて、ドメスティケーション初期段階の個体と進んだ段階の個体とを比較した結果、いくつかの所見を得た。すなわち、前者の場合、出現時期がより限定的でピーク齢が明確であるのに対して、後者においてはキャラヴァンの消失齢が遅延して発現の日齢特性が曖昧化の傾向にあった。また、5種の成立パターンの発達的順序性が前者に比して後者で稀薄化し、母仔関係の障害を示唆するパターン(第【IV】型)が後者のみに認められた。このように、ドメスティケーションに伴って母仔関係の行動的発現が非特殊化する傾向が指摘できる。この種には雌に発情周期がなく、排卵は交尾刺激によって生起する。従って、生殖行動における雌雄の行動的相互作用がもつ意味は大きい。交尾の成立は、雌の攻撃に対する雄の宥和に依存するが、この宥和に一種の行動的退行と考えられる発声が有効に働くことが確かめられた。ただし、ドメスティケーションの効果は検討中である。
著者
辻 昌宏
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.505, pp.17-34, 2015-03
著者
神田 玲子 辻 さつき 米原 英典
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.68-78, 2014
被引用文献数
3

In general, the press is considered to have amplified the level of public's anxiety and perception of risk. In the present study, we analyzed newspaper article headlines and Internet contents that were released from March 11, 2011 to January 31, 2012 using text mining techniques. The aim is to reveal the particular characteristics of the information propagated regarding the Fukushima NPP Accident. The article headlines of the newspapers which had a largest circulation were chosen for analysis, and contents of Internet media were chosen based on the number of times they were linked or retweeted. According to our text mining analysis, newspapers frequently reported the &ldquo;measurement, investigation and examination&rdquo; of radiation/radioactive materials caused by the Fukushima Accident, and this information might be spread selectively via the social media. On the other hand, the words related to health effects of radiation exposure (i. e., cancer, hereditary effects) were rare in newspaper headlines. Instead, words like &ldquo;anxiety&rdquo; and &ldquo;safe&rdquo; were often used to convey the degree of health effects. Particularly in March of 2011, the concept of &ldquo;danger&rdquo; was used frequently in newspaper headlines. These indirect characterizations of the situation may have contributed more or less to the misunderstanding of the health effects and to the enhanced perception of risk felt by the public. In conclusion, there were found no evidence to suggest that newspapers or Internet media users released sensational information that increased the health anxiety of readers throughout the period of analysis.
著者
松野 勝弘 李 七雨 辻 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1591-1600, 1994-08-25
被引用文献数
66

本論文では,物理モデルであるポテンシャルネットとKL展開を組み合わせた顔表情認識の手法について述べる.ポテンシャルネットは,ノードが2次元グリッド状に相互にばねで連結された構造をもつ.画像からの力によって各ノードが顔器官の特徴に移動するためネットは変形し,変形したネットの形状には顔の特徴が反映されている.ポテンシャルネットにより求めた高次元の特徴ベクトル空間から,認識に有効なより低次元の特徴ベクトル空間を構成するために,照合パターンの特徴ベクトルの集合をKL展開して正規直交基底を求める.次に,求めた正規直交基底で表現される低次元のカテゴリー空間を構成し,この空間で入力パターンと照合パターンの距離を求め,最小距離判別法により認識を行う.本手法を未知の人物に対する識別能力,照明条件変動に対する耐久性,位置ずれに対する安定性の観点から評価し,その有効性を示した.
著者
辻井 弘忠
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-99, 2003-03

鹿追町のエゾシカ牧場の概要について記述した。主な点は,野生鹿のエゾシカを飼育繁殖し,全国の鹿牧場のモデルとなるシカの健康管理および血液検査など実地している。雄シカの幼角(鹿茸)を毎年採取して健康酒の原料提供を行っている。また,鹿肉処理場を設置し冬場の農作業の余剰労力を使って,有害駆除で捕獲されるエゾシカの肉を解体し,部位別の肉の処理ならびにソーセージなどの肉加工を行い,全国向けに販売を行っているなどであった。
著者
堀 智彰 木下 奏 小林 映里奈 村尾 真由子 渡邉 朋子 兼松 泰文 辻 慶太 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.189-196, 2014-05-24 (Released:2014-12-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2

「知の探検法」は文献の調べ方を中心とした情報リテラシーの授業である。平成24年度から文献探索に対する理解・目的意識の向上を目的として「文献探索ゲーム」を実施している。文献探索ゲームはゲーム形式で文献探索を行うことで文献探索に目的意識を持たせ、基本手順について学ぶことを目的としている。本稿では平成25年度に実施した文献探索ゲームの評価実験について報告する。評価実験では学生の文献探索に関する知識構造の変化を計るため、コンセプトマップを用いた。分析の結果、文献探索ゲームの前後で学生の知識構造が変化しており、文献探索に対する理解が深まっていることが明らかになった。