著者
藤田 祐二 KOO Kong-Khen ANGOLA Juan Carlos 井上 隆 酒井 哲也
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.119-131, 1986
被引用文献数
1 20

延性高分子とぜい (脆) 性高分子とからなる耐衝撃性プラスチックの設計は, 近年, ポリカーボネートとスチレン-アクリロニトリル共重合体などの混合系において見いだされた新しい概念である. この多相系プラスチックにおいては, 分散相としてのぜい性高分子の存在により延性高分子の剛性とじん (靱) 性を同時に向上させることが可能であり, 実用面からの興味も大である. 本報では同様な強化機構を持つ他の新しい多相系を見いだすため, 種々の延性高分子とぜい性高分子の組合せについて, それらの力学物性評価を行った. また, 多相構造の電子頭微鏡観察や変形時の応力解析を行い, 強化機構について考察した. その結果, ポリカーボネート/ポリメタクリル酸メチル系など新たに6種類の強化系を見いだし, この現象がかなり一般性のあることを明らかにした. また, これらの強化系においては, ぜい性高分子の分散相が変形時に冷延伸され, これによって強化が発現することを確認した. さらに, 修正Eshelby理論をもとにした応力解析より, ぜい性高分子の冷延伸の成否はMisesの降伏条件式によって記述しうることが判明した. 以上より, 成分高分子のヤング率, ポアソン比などの材料定数より強化の成否を半定量的に予測する可能性が示唆された.
著者
久保 隆太郎 斉藤 郁雄 酒井 孝司 石原 修
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.72, no.619, pp.33-38, 2007
参考文献数
22
被引用文献数
4 5

Many of studies aiming at grasp of the actual condition of heat-island phenomenon in recent years are the moving observations which need time correction and the fixed point observation with few measuring points. In consideration of these situations, the long-term fixed point observation which can acquire data which is high resolvable in time and spatially is performed in this study. In previous study, the measuring method of the long-term fixed point observation of the temperature and humidity observed at about 160 points in Kumamoto city was explained in full detail. While the temperature and the humidity distribution obtained from the measurement result were shown, the characteristic of temperature change of each measuring point was clarified by using the principal component analysis about temperature change etc. In this study, the feature of the climate of Kumamoto city is solved based on the observation result of summer heat day and chill day. And, in Kumamoto-city where temperature and humidity is high, the influence the strength of a wind has on temperature distribution is considered. Furthermore, the feature of moving observation of the temperature distribution and the long-term fixed point observation adopted by this study is shown. Based on each measurement result, the actual condition of the heat-island phenomenon in Kumamoto city is solved.
著者
河邉 毅 良永 雅弘 北村 陽介 村尾 寛之 多喜 研太郎 加来 豊馬 山下 晋作 鶴田 悟 吉河 康二 酒井 浩徳
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.238-244, 2011 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15

症例は67歳女性.胃癌で幽門側胃切除術(低分化腺癌+印環細胞癌,stage IIIA)施行後,20年目に左頸部リンパ節腫脹を認めて来院し,生検で低分化腺癌+印環細胞癌を認め,胃癌の再発と診断し,化学療法施行.2年後に骨髄抑制,DICを合併し死亡.剖検で,脳以外の全身臓器を検索したが原発巣は認めなかった.本症例は,進行胃癌術後,晩期再発したと考えられた.
著者
坂田 哲宣 安藤 正幸 吉田 和子 荘田 恭聖 荒木 淑郎 篠田 孝子 池田 玲子 小嶋 伸夫 酒井 博
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.123-128, 1988

1家族4人のうち3人が夏型過敏性肺臓炎を発症し, 1人が非発症であった. 住居は, 建築後13年目の木造家屋で, 発症1年前南側に倉庫が建ち,日当りと風通しが悪くなっていた. 発見の発端となった患者は, 43歳男性で, 昭和60年6月末より発熱, 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難があり, 外泊, 退院により症状が反復するため来院した. そこで患家の環境調査, 免疫学的検討および抗原吸入誘発試験を行った結果, 環境より T. cutaneum の serotype I (血清型) を分離した. 分離株に対する発症者3例の血清特異抗体は, 共に陽性であった. 発症者3例の抗原吸入誘発試験では, serotype Iに陽性2例,疑陽性1例であったが, T. cutaneum の serotype II (TIMM1318株) に対しては3例共に陰性であった. 以上より, 発症者3名をT. cutaneum に起因する夏型過敏性肺臓炎と診断し得たが, 原因抗原の決定にあたっては本菌の serotype についても考慮すべきであることが明らかになった.
著者
酒井 一臣 宗村 敦子
出版者
大阪大学西洋史学会
雑誌
パブリック・ヒストリー (ISSN:1348852X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.134-141, 2012-02

藤川隆男著 『人種差別の世界史 : 白人性とは何か』 刀水書房、2011 年7 月刊、四六判、x + 274 頁、2300 円+税、ISBN978-4-88708-398-1竹内幸雄著 『自由主義とイギリス帝国 : スミスの時代からイラク戦争まで』 MINERVA 西洋史ライブラリー91、ミネルヴァ書房、2011 年2 月刊、A5 判、x + 345 + 5 頁、5000 +税、ISBN978-4-623-05971-3
著者
上田 隆美 藤本 幹夫 酒井 克治 川畑 徳幸 澤田 晃 土居 進 佐々木 武也 政田 明徳 川島 正好 北野 福男
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.343-350, 1980

Cefroxadine (CGP-9000, CXD) 250mgを健康成人4人に早朝空腹時経口投与させたのちの血清中濃度および尿中排泄量を測定したところ, CXDは, 2時間後平均10.7μg/mlのピーク値を示し, 比較的長く血清中濃度が維持されるようである。一方, 4時間目までの尿中排泄量は, 171.0mg (68.5%) であり, 4時間以内には, 投与量のほぼ3分の2が排泄されるようである。<BR>外科領域51例に対するCXDの臨床効果は, 著効28例, 有効19例, 無効4例となり, 有効率は92.2%であった。<BR>なお本剤と関係すると思われる副作用は1例も認められなかった。
著者
安川 正貴 薬師神 芳洋 酒井 郁也
出版者
愛媛大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

白血病の新たな免疫遺伝子治療の開発を目的に研究を行い、下記の研究成果を得た。1)急性白血病ならびに慢性骨髄性白血病急性転化で高率に発現されるWT1のアミノ酸配列から、日本人の約60%が陽性であるHLA-A^*2402結合モチーフを同定した。2)このモチーフを有する9merペプチドを作製し、健常者末梢血単核球から誘導した樹状細胞(DC)にパルスし、自己CD8陽性T細胞をくり返し刺激した。この方法によって、WT1ペプチド特異的HLA-A24拘束性細胞傷害性T細胞クローンTAK-1を樹立した。3)TAK-1は、WT1を発現したHLA-A24陽性白血病細胞に対して特異的に細胞傷害性を示し、正常細胞には全く傷害性を示さなかった。4)健常者骨髄細胞の増殖にも全く影響は認められなかった。5)TAK-1を新世界猿のウイルスであるHerpesvirus saimiri(HVS)により不死化させた。HVS不死化TAK-1は、抗原刺激なくして長期間培養でき、本来のTAK-1同様の抗原特異性を示した。5)この不死化TAK-1に自殺遺伝子を導入する目的で、Herpes simplex virus-1由来thymidine kinase(tk)遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを作製した。現在、このベクターを用いて不死化TAK-1にtk遺伝子を導入している。以上の結果から、新たなヒト白血病特異的標的抗原が明らかとなり、自殺遺伝子を導入したHVS不死化細胞傷害性T細胞は、白血病に対する免疫遺伝子治療に有用であると考えられる。
著者
酒井潔 著
出版者
竹酔書房
巻号頁・発行日
1931
著者
後藤 雄佐 中村 聡 酒井 究 星川 清親
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.473-479, 1994-09-05
被引用文献数
2

スイートソルガムの生長の解析法を確立するために, 疎植区(100 cm×50 cm)と密植区(50 cm×20 cm)とを設け, 節間の伸長と肥大とを調べた. 供試品種は早生のSucrosorgo 301 (S 301)と晩生のSucrosorgo 405 (S405). 収穫物の中心となる茎は, 伸長した節間の集合体であり, 収穫物からその個体の生長を解析するためには, どの節間がいつ頃伸長・肥大したものかを推定できなくてはならない. すなわち, 外観から測定できる個体の齢と内部での節間の生長との関連性を把握する必要がある. そこで, 葉身が抽出完了した時点ごとに, その葉位で個体の齢を表し(葉位齢と呼んだ), 節間の伸長・肥大との関係を調べた. 葉位齢を用い第9節間〜第12節間の伸長過程を基に概念的な節間伸長の生長曲線を描いた. すなわち, 第n節間(IN n)は葉位齢n+1頃から急激な伸長を始め, 葉位齢n+2頃に最も急速に伸長し, 葉位齢n+3〜n+4頃に伸長が終わった. 節間伸長への栽植密度の影響は, 伸長の速度として認められた. 節間の太さについては, 同じ節間位で比較すると, 両品種とも疎植区のほうが密植区より常に太かった. 節間の肥大は, 一つの生長曲線にはまとめられなかった. 最も単純化した場合, 栽植密度によって異なる2つの生長曲線にまとめられた. INnは, 葉位齢nくらいまでは栽植密度の影響を受けずに肥大したが, 密植区は葉位齢n+1くらいから肥大速度が鈍り, 葉位齢n+2くらいで最大径となった. ところが疎植区は, 葉位齢n+5くらいまで肥大が続き, 最大径は密植区を上回った.
著者
才川 勇 高井 明 中島 良文 吉田 長作 保田 隆 清水 悦郎 酒井 広志 滝 秀雄 田井 賢 高下 寛
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.1071-1081, 1977-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
5 3

Metabolism of 6-[D (-)-α-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido) phenylacetamido] penicillanic acid (T-1220), a new β-lactam antibiotic, was studied in vivo and in vitro. Only unchanged T-1220 was detected by bioautography in urine of human, monkeys, dogs, rats, and mice receiving T-1220 intramuscularly. When 14C-labeled T-1220 was administered to rats, most of the radioactive product was excreted unchanged in the urine, but two metabolites were detected in a minute amount by autoradiography. These metabolites were identified as 14C-labeled α-{3-[2-(N-ethyl-N-oxaloamino) ethyl] ureido}-benzylpenicillin (14C-T-1220A) and 14C-labeled α-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido) benzylpenicilloic acid (14C-T-1220B) by thin-layer chromatography, electrophoresis, and high-pressure liquid chromatography. Metabolism of 14C-T-1220 and its mechanism were studied by using high-pressure liquid chromatography for the separation and radioactive measurement for the determination. In the case of the intramuscular administration of 14C-T-1220 to rats, about 92% of the radioactivity was excreted unchanged in urine and bile, but about 94% of the radioactivity in the feces was 14C-T-1220B. The same results were found in rats pretreated with SKF-525A and phenobarbital. In situ studies showed that 14C-T-1220 changed to 14C-T-1220B in the intestinal tracts, and in vitro studies showed that 14C-T-1220 changed to 14C-T-1220B in fecal homogenate. From these results, it seemed that 14C-T-1220 was changed to 14C-T-1220B by β-lactamase produced from intestinal flora.

1 0 0 0 日本相撲史

著者
酒井忠正 著
出版者
大日本相撲協会
巻号頁・発行日
vol.上巻 (神代から江戸時代), 1956
著者
新田 博夫 酒井 達
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.106-117, 2006 (Released:2008-02-01)
参考文献数
7

There are no guidelines on the application of media-fill run to eye drops. General Information chapter in Japanese Pharmacopoeia serves as a reference. However, this chapter is used as guidance chapter for sterile drug products for general purposes. This study was conducted to investigate whether media-fill runs are performed in eye-drops manufacturers, and to analysis questionnaire results of the runs. The questionnaire results showed that media-fill runs for eye drops are periodically carried out, and sterile manufacturing of eye drops meets high sterility requirements. Spot contamination rarely found in eye drops might be due to the worst operation in the manufacturing process such as inappropriate actions of workers. The most important point for manufacturers of eye drops are that how to reduce the incidence of these actions.
著者
亀甲 武志 北門 利英 石崎 大介 氏家 宗二 澤田 宣雄 三枝 仁 酒井 明久 鈴木 隆夫 西森 克浩 二宮 浩司 甲斐 嘉晃
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.17-26, 2015 (Released:2015-02-02)
参考文献数
36
被引用文献数
3 10

2012 年と 2013 年の 3 月から 5 月にかけて琵琶湖の内湖の一つである伊庭内湖周辺においてホンモロコ釣りの遊漁による釣獲尾数の推定を試みた。調査日を 1 次抽出単位,遊漁者を 2 次抽出単位とする 2 段抽出法により釣獲尾数を推定した。ホンモロコ釣りの遊漁による釣獲尾数は 2012 年は,272,275(変動係数=14%)尾,2013 年においては 85,489(変動係数=13%)尾と推定された。琵琶湖のホンモロコ資源を評価し管理する上で,ホンモロコ釣りの遊漁による釣獲量の把握は重要であることが明らかになった。
著者
小島 孝一 雨宮 茂雄 末宗 洋 酒井 浄
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.2750-2761, 1985-07-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
7
被引用文献数
3 4

A general method for the stereospecific synthesis of 2, 3-trans-3, 4-cis-trisubstituted cyclopentanones (9) is described. This synthetic method has the advantage that three functional groups can be stereospecifically introduced on a five-membered ring by the catalytic hydrogenation of 2, 3, 4-trisubstituted cyclopentenones. Furthermore, 9 could be stereospecifically converted to 1, 2-trans-2, 3-trans-3, 4-cis-trisubstituted cyclopentanols (20) and 3, 4-cis-disubstituted cyclopentanones (11) by a simple procedure. These synthetic methods may be useful for the synthesis of natural products containing a five-membered ring.
著者
酒井 浄 石黒 靖尚 舟越 和久 上野 貢嗣 末宗 洋
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 26 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.299-306, 1983-09-15 (Released:2017-08-18)

Variously functionalized cyclopentanones are important as starting materials for the synthesis of natural products. We have succeeded in a simple, highly stereospecific synthesis of five membered ring ketone using Wilkinson complex. Thus, the precursors, 1-al-4-enes(4a-e,11,13) prepared in optically active form from D-limonene, (+)-limonen-10-ol and 1-carvone in three steps were submitted for RhCl(PPh_3)_3-catalyzed cyclization in CH_2Cl_2 to afford the cis-3,4-disubstituted cyclopentanones(14-22) in good yield (Table 2). The following results were obtained in this cyclization. 1) In all cases, the cis-3,4-disubstituted cyclopentanones were stereospecifically obtained as the sole products. 2) The cyclization reaction of the six membered lactols(12,13) was found to proceed very slowly even if at high temperature. 3) The cis-3,4-disubstituted cyclopentanones obtained in this method were also found to be applicable for the synthesis of bicyclic ketone(23). 4) The configurations of 3,4-disubstituents in each compounds were clarified by the way of chemical correlation and spectral analyses. Further application for the synthesis of ent-cis,cis-dihydro-nepetalactone(39) will be discussed.