著者
三宅 紀子 野村 茉由
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.163, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 ビタミン、ミネラルなどをはじめとしてフィトケミカルを豊富に含む野菜や果物は、健康維持や生活習慣病の予防に重要であるが、十分に摂取できていないのが現状である。本研究では、作り置きにより野菜を手軽に摂取するための一つの方法としてピクルスに注目し、野菜に含まれる栄養素の中でも調理等により壊れやすいビタミンCに着目した。方法 ピクルスの野菜やピクルス液の配合のレシピ調査をもとに、パプリカ、キャベツのピクルスを調製した。野菜を下漬け後、ピクルス液に浸漬して、冷蔵庫で保存し、経時的に野菜とピクルス液に分けてビタミンCを抽出し、HPLC-UV法により還元型ビタミンC(AsA)量および酸化型ビタミンC(DAsA)量の両者を定量した。結果 パプリカのAsA量は、1日で浸漬前の約2/3に、7日で約1/3に減少したが、その後大きな変化はなかった。一方、ピクルス液のAsA量は経時的に増加したことから、パプリカのビタミンCのピクルス液への溶出が示された。キャベツの総ビタミンCはパプリカと比較して減少速度が大きく、パプリカよりもDAsAの割合が高かった。以上の結果から、ピクルスのビタミンCは浸漬後短時間で溶出しやすいが、1週間あるいは3週間後でもピクルスのビタミンCは残存していた。
著者
新本 啓人 野村 淳 内匠 透
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.81-85, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1

自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)は社会性の異常を呈する小児の精神疾患である。ASD は精神疾患の中ではもっとも遺伝的関与の高い疾患と考えられている。昨今のゲノム科学の進歩により,ASD を含む精神疾患の原因としてコピー数多型(copy number variation:CNV)が注目されている。ヒト染色体 15q11─ q13 重複モデルマウスは,CNV を有する ASD のマウスモデルとして開発された自閉症ヒト型モデルマウスである。今日さまざまな自閉症モデルマウスが存在しており,複数のモデルマウスを同じプラットフォームで解析することは重要なアプローチである。またCRISPR/Cas9 に代表されるゲノム編集技術の進歩により,さらなるモデル動物の開発が期待される。
著者
野村 将春 藤村 政樹 松田 保 北川 正信
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.72-76, 1997-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
16

症例は75歳男性, 以前より風邪症状があると市販の総合感冒薬 (パブロンS®) を常用していた. 入院6日前より風邪症状を認め, パブロンS®を内服していたが, なくなったので, 新しい総合感冒薬 (パブロンゴールド®)を内服した. その翌日より呼吸困難出現, 近医にて胸部レントゲン写真上, 両側にびまん性陰影を認めたため, 精査目的で当科に紹介された. 胸部CTでは両側に間質性陰影が認められた. 気管支肺胞洗浄液中には好中球, リンパ球などの炎症細胞が認められた. 経気管支肺生検では肥厚した肺胞壁や間質への単核球の浸潤が認められた. 末梢血のリンパ球を用いた薬剤リンパ球刺激試験ではパブロンゴールド®が陽性であった. 以上よりパブロンゴールド®による薬剤性肺炎と診断した. 入院後, ステロイドを投与したところ症状は速やかに改善したが陰影は遷延した.
著者
栃木 謙一 野村 朋宏 長谷川 達也 森下 充史
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.801-806, 2013-10-01
参考文献数
4

各務原大橋は,一級河川木曽川を渡る橋長594mのPC10径間連続フィンバック橋であり,移動架設桁を用いた張出し架設工法により橋梁上部工の施工が行われた。本工事においては,高粘性のコンクリート(設計基準強度50N/mm<sup>2</sup>早強ポルトランドセメントを使用)を長距離圧送する必要があり,圧送時に流動性の低下が生じた場合,充填性に大きな影響を与えることが懸念された。また,単位セメント量が多くなるため,温度応力による有害なひび割れの発生が懸念された。本稿では,これらの課題に対する検討と対策およびコンクリートの施工状況について報告する。
著者
梅崎 健夫 河村 隆 河野 剛志 河崎 彰 野村 忠明 大寺 正志 藤森 徳雄 細野 武久 西井 淳 境 大学 松永 斉 岡村 昭彦 近藤 誠二
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.119-126, 2008 (Released:2008-12-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

湖沼などの閉鎖性水域では富栄養化に伴う水質汚濁や悪臭などが問題となっており,その対策として,排水中の窒素・リンの規制や下水道の整備が推進されているが,あわせて水域内の浄化対策がさらに必要である.本文では,ジオテキスタイルと天然ゼオライトを用いた人工なぎさを提案する.人工なぎさは,天然ゼオライトとそこで生成される生物膜の浄化効果を期待して,天然ゼオライトもしくは玉砂利を充填したジオテキスタイル製大型土嚢と透水シートにより湖岸に囲繞堤を築造し,堤内に天然ゼオライトを敷設するものである.諏訪湖湖岸において実施した実証実験について論じ,現地調査および水質調査の結果に基づいて,提案法の有効性を示した.
著者
野村 俊之 岩垂 正宏 田中 直也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.424, pp.19-26, 1998-11-20
参考文献数
17
被引用文献数
8

本稿では、1999年2月に規格化予定のMPEG-4/CELPに関して、その概略と特徴、符号化アルゴリズムについて解説する。MPEG-4/CELPはMPEG-4オーディオ規格を構成する符号化方式の一部であり、音声信号向けの汎用符号化方式として採用されている。MPEG-4/CELPは、他の規格に比べ、ビットレート制御機能と階層符号化機能を有することを最大の特徴とする。ビットレート制御機能によりMPEG-4/CELPは、4〜24kbit/sのビットレートで高品質な符号化品質を達成する。階層符号化機能は、多地点テレビ会議、無線通信、インターネット通信・放送などにおいて高品質な通話を可能とする。
著者
野村 武男 松内 一雄 榊原 潤 椿本 昇三 本間 三和子 高木 英樹 中島 求
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

工学分野で発展してきたPIV計測法(Particle Image Velocimetry)は、時々刻々変化する非定常な流れ場を可視化・解析することができる。これまでのこの手法を用いた研究は、細部の気流解析や魚などの小型遊泳動物、昆虫の飛翔メカニズムに関する研究のように測定領域が非常に小さいものしか行われていない。本研究では、PIV計測法を用いて、ヒト水泳時の身体周りの流れ場の可視化から流れの非定常性を明らかにし、競泳動作のダイナミクス解析、および泳シミュレーションモデルを作成する事で、ヒトの推進メカニズムを明らかにしようとした。ヒトを扱った測定領域の大きなPIV解析は世界的にも初である。PIV計測法を用いた研究結果から、ヒトは泳動作時に渦(運動量)をうまく利用し、効率よく推進力へと結び付けている事が明らかになった。泳者の手部および足部の複雑な動きは、それら推力発揮部位周りの循環の発生・放出と関係しており、特に手部の場合は、放出された渦と手部周りの束縛渦が渦対を作り、その渦対間にジェット流を生成し、運動量を作り出していることが分かった。この運動量の変化(増減)が推進力と結びついている。また、泳動作モデルの作成では、水泳時に身体各部位に働く流体力を算出するために用いられている3つの流体力係数(付加質量力係数、接線方向抵抗係数、法線方向抵抗係数)を分析の対象となる泳者の体型と泳動作に合うように調節することによって、水泳中のダイナミクスをシミュレーション上で再現することができ、水中ドルフィンキック泳動作中に発生する全身の推進力や各関節トルクなどを算出することができた。身体部位別の推進力を求めることによって、水中ドルフィンキックの推進力は主に足部によって発揮されていることがわかった。さらに、足部の柔軟性と泳パフォーマンスの関連性を示す事ができた。
著者
三輪 飛寛 鎌田 依里 松内 一雄 榊原 潤 野村 武男
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.33, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
25

本研究の目的は,PIV計測法を用いて泳者手部周りの非定常流れ場を可視化し,水泳スカーリング動作の推進メカニズムの知見を得ることである. 元競泳選手1名が本研究に参加し,回流水槽中でスカーリング動作を行った.PIV計測により,泳者左手周りにおける200枚の時系列粒子画像が瞬時に取得され,連続する2枚の粒子画像から流れ場の粒子速度ベクトルと渦度が計算された. スカーリング動作アウトスカル局面において泳者小指近傍に前縁渦が観察され,手部の移動方向が変化するアウトスカルからインスカルへの遷移局面において,その渦が手部から放出されているようであった.また,遷移局面後には手部周り循環の回転方向の変化が観られた.本研究の結果から,スカーリング動作を行っている泳者は,手部周りの循環と放出された渦による運動量変化によって推進力を生み出していることが示唆された.
著者
木野村 泰子 下村 孝
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.827-832, 2008-03-31 (Released:2009-05-08)
参考文献数
23
被引用文献数
7 6

The questionnaire survey was done among employee in business buildings with or without a garden on its rooftop to clarify the actual conditions and the evaluation of the roofs as spaces for relaxation or for lunch break. The ratio of the respondents who took rest in the roof gardens at lunch time was significantly higher when that roof garden received a higher evaluation. In addition, 68% of respondents answered that they wanted to take rests in the green roof when they felt the sense of relief and also the 39% the sense of season. On the other hand, 65.0% of the respondents who did not intend to take rest in the green roof said that there was no place or facility to sit down on. And the 43% answered there was a little shade and also the 38% remarked that they couldn't be bothered to go up to the roof. Results showed that the green roofs are evaluated by the office workers as spaces for relaxation and lunch breaks when they were able to feel comfort, nature and the change of the season on them. And it was also shown that above-mentioned preferable conditions would be maintained by introducing some facilities such as benches, rain covers, pergolas and the vegetations consisting of various kinds of plants such as grass, flowers, and evergreen shrubs.
著者
野村 泰之 戸井 輝夫
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.167-173, 2014
被引用文献数
7

After the huge earthquake in Japan on March 11th 2011 (magnitude 9.0), many people in the eastern area of Japan close to the epicenter felt dizziness, as if they were rocking at a time when no aftershocks were actually occurring. There are a few reports about dizziness after major earthquakes in the world, but there has been no study so far with analysis of large numbers of cases of earthquake sickness. We conducted an epidemical clinical study and called those symptoms "post earthquake dizziness syndrome; PEDS."<br> Affected subjects became aware of the rocking feeling within a minute especially when indoors and seated. A significant difference was found with respect to gender, with a prevalence of females, and with the people who were prone to suffer from motion sickness. Otherwise, there was no relationship with case histories of vertigo-related diseases. On the other hand, anxiety and social stress from the disaster seemed to be contributory factors.<br> The underlying mechanism is associated with stimuli to the vestibular and equilibrium balance systems. Emotional disorders such as post-traumatic stress disorder (PTSD) were added to the etiology. For the prevention and treatment, maintaining fitness in daily life and avoiding anxiety caused by reports in the media seemed to be important. Physiotherapy and medication also proved important to prevent symptoms from getting worse.
著者
大迫 政浩 山田 正人 井上 雄三 金 容珍 朴 政九 李 東勲 吉田 悳男 野村 稔郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.256-265, 2001-11-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
30
被引用文献数
3 2

韓国では, 都市ごみ焼却主灰 (以後主灰と略す) からの鉛の溶出濃度が判定基準に適合しないために, 埋め立てできない状況に陥っており, 深刻な問題になっている。その原因を明らかにするとともに, 日本の主灰においても同様の問題が生じていないかを明らかにするために, 韓国の都市ごみ焼却施設に野積み保管されている主灰を採取し, 日本の施設からも主灰試料を採取して, 含有量試験, 環境庁告示13号法による溶出試験およびpH依存性試験を実施した。試験結果に基づいて, 日韓の主灰の重金属類含有量および溶出量を日本を中心にした文献データと比較検討した。その結果, 韓国の試料で鉛 (Pb) の溶出濃度が高い原因は, アルカリ・アルカリ土類金属の含有量が高く, それらの酸化物等の溶解によってpHが高くなったためであると考えられ, 文献データを基にした考察から, 日本の主灰でも同様の現象が起こっていることがわかった。韓国において埋立を法的に可能にするためには, 埋立前にエイジングを行う方法などが考えられる。日本では主灰に対する溶出基準はなく, 今後の埋立処分および有効利用の観点から適切な対策を講じる必要がある。