著者
鈴木 智気 金間 大介
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.364-377, 2021-12-31 (Released:2022-03-15)
参考文献数
74

Despite the close relationship between the innovation research and the diversity research in innovation activities with diverse members, there seems to be no comprehensive examination of the two research fields. The purpose of this paper is to attempt a multifaceted review of the innovation and diversity researches, and to suggest future directions for advancing researches on diversity managements in innovation activities. Specifically, we clarify that the innovation and diversity researches are complementary to each other in understanding diversity managements in innovation activities. In addition, we propose the design of incentives oriented toward stimulating "diverse contributions by diverse individuals" as a research agenda for the study of effective diversity management in innovation activities.
著者
加藤 勇人 髙木 聡 滝田 美夏子 鈴木 智子 沈 卓 麻沼 卓弥 入村 泉 大屋 純子 花井 豪 長谷 美智代 岩﨑 直子 馬場園 哲也
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.26-34, 2020-01-30 (Released:2020-01-30)
参考文献数
65

44歳男性.健康診断で耐糖能異常は指摘されなかった.入院2週間前に近医で糖尿病と診断され,カナグリフロジン100 mg,メトホルミン塩酸塩500 mgが開始され,同時に自己流の低炭水化物食も開始した.内服4日後に強い倦怠感を訴え当院に紹介され初診,随時血糖183 mg/dL,HbA1c 12.1 %,HCO3- 11.7 mmol/L,尿ケトン体3+であり,正常血糖糖尿病ケトアシドーシス(euDKA)の診断で入院した.輸液とインスリンを投与し症状や検査所見は改善,第10病日に退院した.SGLT2阻害薬の内服に加え極度の低炭水化物食がeuDKAの誘因になったと考えられた.国内外から報告されている同様の症例のうち,約6割で炭水化物摂取量の減少との関連が考えられた.SGLT2阻害薬投与時は,極端な炭水化物制限を回避するなど,euDKAの予防を意識した指導をより積極的に行う必要がある.
著者
鈴木 智之 池尻 良平 池田 めぐみ 山内 祐平
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-31, 2021 (Released:2021-04-12)

本研究は,職場での若年労働者のパーソナリティを通した人物理解という社会課題に立脚し,広範なパーソナ リティに関するビッグファイブ研究の理論的蓄積を踏まえて,職場での活躍と伸び悩みというコンテキストにお ける若年労働者のパーソナリティ特性表現を探索するものである。具体的には,以下の二つのリサーチクエスチョ ンへの検討を目的にした。第一に,若年労働者において,5 因子の構造が得られるか,というものであり,これ を共通性の確認とした。第二に,若年労働者のパーソナリティ特性を記述する上で,5 因子に追加すべき項目は 何か,というもので,これを独自性の探索とした。方法として,日本国内大手民間企業 6 社に所属する 22 名への インタビューを行った。結果として,249 個のパーソナリティ特性表現を抽出した。代表的な尺度と比較を行っ た結果,TIPI– J に 104 個,主要 5 因子性格検査に 139 個,FFPQ– 50 に 119 個,BFS に 144 個,日本版 NEO–PI–Rに 151 個該当し,5 因子全てへの該当が見られ,共通性が確認された。それらの既存尺度には含まれないパーソナリティ特性表現が 69 個見られ,独自性が存在することが確認された。以上から,上述のコンテキストにおける 若年労働者のパーソナリティ理解について,ビッグファイブの既存尺度だけでなく,独自性を含めた概念が必要 であることを示唆した。
著者
鈴木 智之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.299-311, 2020-03-20 (Released:2020-03-30)
参考文献数
39

本研究の目的は,大学生が就職活動で企業に提出するエントリーシートに焦点を当て,エントリーシートに記載した就業希望文の基準関連妥当性を研究することにある.それによって,大学生の特性が企業に十分に理解され,適職に就けるようなエントリーシート選考法とはどうあるべきかを実証的に論じた.国内企業から実際の新卒採用選考試験で用いられたエントリーシートと採用面接データを取得し,予測的妥当性を分析した結果,エントリーシートに記載された19個の語について,採用面接成績別の語頻度平均値に有意差が見られた.パーソナリティ尺度との併存的妥当性を分析した結果,エントリーシートに含まれる一部の語の頻度とBig Five の各因子に有意な相関係数が見られた.さらに,有効性の評価を行った上でES の分析法を示した.
著者
矢野 和洞 鈴木 丈裕 鈴木 智也
出版者
Research Institute of Signal Processing, Japan
雑誌
Journal of Signal Processing (ISSN:13426230)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.113-122, 2020-05-15 (Released:2020-05-15)
参考文献数
10

Foreign-exchange (FX) brokers have some risk factors such as price fluctuation risk and latency of data transmission. To reduce these risks in FX brokerage services, we propose a short-term prediction of exchange rates quoted by counter-party banks. We consider that these exchange rates are generated by the knowledge of each counter-party bank, and therefore try to extract the knowledge by using a machine learning method. As a result, we could predict the direction of exchange rates with a prediction accuracy of about 80% if the prediction interval is 100[ms]. Furthermore, by integrating the knowledge of counterparty banks by the ensemble learning, we could improve not only prediction accuracy but also profitability of foreign-exchange brokers. These improvements can be considered as an effect of collective knowledge based on the diversity prediction theorem, but this effect might be limited by extremely short-term prediction of foreign-exchange rates after 100[ms]~200[ms].
著者
鈴木 智大 前川 文彦 浅川 倫宏 崔 宰熏
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

スギヒラタケは食用とされていましたが、摂取者に原因不明の急性脳症が相次ぎ、現在もその毒性メカニズムは不明のままです。申請者らは複数の毒成分が、スギヒラタケによる急性脳症の発症機構に関与するという以下の仮説を立てています。本研究ではこの説を立証するだけでなく、この毒性物質の新規なタンパク質分解活性に着目することで、治療・予防への道筋を切り開くとともに新たな酵素としての応用展開を目指します。
著者
鈴木 智康 小野 孝也 髙橋 賢 野田 和彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.112-115, 2019-05-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
7
被引用文献数
5 4

物理現象としての結露時におけるACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサの出力挙動と腐食量の関係を明らかにするため種々の試験を行った.結露時のセンサ出力は降雨でのぬれや付着塩の吸水と比較して挙動が異なるため,切り分けて評価する必要があることがわかった.いずれの現象においても,その場測定(in situ)によって得られた出力と腐食量には相関が認められたので,ACMセンサ出力から短時間での腐食速度の推定が可能と考えられる.
著者
雉子波 晶 杉本 誠忠 酒本 隆太 鈴木 智也
出版者
一般社団法人 日本金融・証券計量・工学学会
雑誌
ジャフィー・ジャーナル (ISSN:24344702)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.22-40, 2022 (Released:2022-06-08)
参考文献数
35

本研究は,外国為替証拠金取引業務におけるロールオーバー戦略について検討した.一般に実務においては流動性の観点より,受渡し日が短いトゥモローネクストでロールオーバーするのが一般的である.しかし理論的には金利のタームプレミアムを考慮すると,1週間や3週間など長期のフォワード取引を活用することにより受取りスワップポイントの上乗せを期待できる.しかし稀に短期のスワップ金利が急騰する場合があり,その際に長期フォワード取引を選択していれば高いスワップポイントを逃してしまう.そこで我々は機械学習によって長期のフォワード取引を積極的に選ぶべきタイミングを検出し,短期のトゥモローネクストおよびより長期のフォワード取引を組み合わせた混合戦略を提案する.このタイミングは,対象通貨における為替相場のみならず,株式・債券・商品先物など様々な要因が非線形的に影響すると考えられる.またフォワードレートは一般的にカバー付き金利平価説によって定式化できるが,突発的な政治経済情勢などの変化によって,現実のフォワードレートは理論値から乖離する可能性がある(Du et al. (2018a)).その結果,タームプレミアムの逆転現象(短期と長期のフォワード取引から得られるスワップ金利の逆転現象)も実際に度々観測される.本研究ではこのような状況を踏まえ,理論値からの乖離に影響を与えうる要因を説明変数とし,機械学習によって適切なフォワード期間を選択するための判別モデルを構築した.教師データとして過去の最適解を学習し,その後の判別を行った結果,約70%の正答率を実現できた.さらに獲得したスワップポイントのリスクリターン比によれば,我々の混合戦略は長期のフォワード取引と同等の安定性を維持したまま,短期のトゥモローネクストと同等の収益性を実現できた.
著者
鈴木 智 田原 誠 中澤 大輔 野波 健蔵
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.626-634, 2008-09-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
11 16

In this paper, we propose the attitude estimation algorithm under the dynamic acceleration environment. Generally, an attitude sensor has biaxial or triaxial accelerometer in order to measure the direction of gravity. In this configration, the attitude sensor has serious error under the dynamic acceleration environment, because of the measurement error of gravity that is caused by the dynamic acceleration. When we put the attitude sensor on a movable body like an UAV (Unmanned Aerial Vehicle), this kind of error is fatal for the sensor. So, we apply the extended kalman filter algorithm to reduce the estimation error. Firstly, we derive the process model for the kalman filter which is based on quaternion kinematics. Secondly, we design the extended kalman filter by using the process model. Lastly, we show the simulation and experiment result of the estimation algorithm.
著者
浅井 直樹 鈴木 智高 菅原 憲一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.793-800, 2019 (Released:2019-12-21)
参考文献数
19

〔目的〕難度の異なる同種の運動課題を反復練習した前後におけるH反射の変化と運動学習の程度を検討した.〔対象と方法〕健常成人21例を運動課題に用いる不安定板の底部の形状によって高難度群と低難度群に分け,それぞれ不安定板上での平衡運動課題の練習を行った.練習前後に運動課題遂行時の目標との誤差とヒラメ筋H反射,表面筋電図を計測した.〔結果〕H反射と前脛骨筋の活動が高難度群で練習後に有意に低下した.運動課題の誤差は低難度群で練習後に有意に減少した.〔結語〕運動課題の難度が高い場合では運動学習に伴って脊髄運動神経の興奮性や筋活動が変動し,難度が低い場合これらは変動しないが運動学習の効果はより高い可能性が示唆された.
著者
菅野 陽平 坂田 こずえ 中村 公亮 野口 秋雄 福田 のぞみ 鈴木 智宏 近藤 一成
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.113-123, 2017-06-25 (Released:2017-07-07)
参考文献数
15
被引用文献数
8

ツキヨタケは,シイタケやヒラタケ,ムキタケと誤認されやすい毒キノコの一種で,日本でのキノコによる食中毒の主要な原因キノコである.本研究では,ツキヨタケを迅速に判別する分子生物学的手法としてPCR-RFLPを用いた判別法を構築した.Sau96I, Bpu10I, SfcI, DrdI/HincIIの4組の制限酵素を用いたPCR-RFLPにより,有毒のツキヨタケと食用キノコのシイタケ,ムキタケ,ヒラタケを明確に判別することに成功した.また,加熱調理や消化によりDNAの一部が断片化した試料でも判別可能な200 bp程度の領域を対象としたShort PCR-RFLPも構築し,リアルタイムPCRによる確認試験法についても検討した.これらは,ツキヨタケが疑われる食中毒事例の原因究明に有効な検査法として有用と考えられた.