著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 吉田 大輔 阿南 祐也 伊藤 忠 土井 剛彦 堤本 広大 上村 一貴 BRACH Jennifer S. 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-95, 2013-04-20

【目的】日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(mGES)の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。【方法】地域在住高齢者240名を対象とした。そのうちの31名については,自記式による日本語版mGESの評価を2回実施した(評価間隔14〜20日間)。日本語版mGESの妥当性を検証するために,運動機能(chair-stand test,片脚立位時間,通常歩行速度,6分間歩行距離),生活空間,転倒恐怖感との関連を調べた。【結果】日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し(級内相関係数[2,1]=0.945,95%信頼区間0.891〜0.973),すべての運動機能および生活空間と有意な相関関係を認めた。従属変数を転倒恐怖感の有無,独立変数を性別,各運動機能,生活空間,日本語版mGES得点としたロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感と有意な関連を認めた項目は,性別(女性),通常歩行速度,日本語版mGES得点であった。【結論】高齢者における歩行状態の自信の程度を把握する指標として,日本語版mGESは良好な信頼性および妥当性を有する評価であることが確認された。
著者
鈴木 隆泰
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学大学院論集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.A1-A18, 2006-03-22

In a grove of sal trees in Kusinagara, the Buddha Sakyamuni entered into his perfect peacefulness (parinirvana; final extinction) leaving the following short words: vayadhamma samkhara appamadena sampadetha (DN ii. 156.1-2) The meaning of these, the Buddha's last words, has been often offered in such arbitrary and tentative interpretations as "All phenomena are constantly changing. Therefore always remain assiduous," or "All things change and time flies like an arrow, so you must carry out your practice as hard as possible." As has already been shown, however, samkhara (samskdra in Sanskrit) primarily means subconscious force or function which builds up the self, and "the mutableness of samskdra (Sho-gyo-mu-jo)" is one of the most fundamental and essential ideas for understanding Buddhism. This paper attempts to present a more proper interpretation of the Buddha's last words paying special attention to Sho-gyo-mu-jo, and to make a contribution toward deepening our understanding of Buddhism.
著者
鈴木 隆泰
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:18840051)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.1185-1193, 2014-03-25

かつて論じたように,『法華経』は仏舎利塔(ストゥーパ)と仏舎利なしの塔(チャイトヤ)を明確に区別した上で,『法華経』実践の場にストゥーパではなくチャイトヤを起てよと繰り返し命じている.『法華経』の実践とチャイトヤ建立によって,その場に如来の全身が実現されるため,仏舎利を納めたストゥーパの建立は不要であり,むしろ,『法華経』実践の場に建立されたチャイトヤこそが真のストゥーパであると主張しており,ここにわれわれは,「『法華経』の実践+チャイトヤ建立=真のストゥーパ建立=如来の実現」という<『法華経』のブッダ観>を確認することができる.実現される如来は,「如来寿量品」を受け継ぐ「分別功徳品」においては一人称視点で「私」(=話者である釈尊)と記され,『法華経』の実践とチャイトヤ建立を通して実現し感得される如来が,他ならぬ釈尊その人であることが表明されている.『法華経』においては,「『法華経』の実践」と「チャイトヤ建立」は不可分に結びつきながら,永遠の釈尊を感得するための手段,方法ともなっていたのである.ところが「薬王品」は,仏滅後にチャイトヤの前で焼身することと,『法華経』を受持することを勧奨している.もしこれが「ストゥーパ」であったとしたら,"仏滅後にストゥーパを供養したいなら焼身しなさい.でも,『法華経』を受持すればその必要はない"という,「ストゥーパ崇拝から経典受持へ」という,初期大乗経典に共通する文脈の上に置くことができるが,チャイトヤを使用する「薬王品」はその文脈からも,また,『法華経』の中心テーマの一つである永遠の釈尊を巡る文脈からも逸脱していることになる.以上の点に鑑み,『法華経』同時成立説という想定は困難だと思われる.また,現在までに『法華経』の教説に基づいて起てられたチャイトヤは,インドでは一つも確認されていない.過去には存在していたが残らなかったのだ,と想定することも不可能ではないが,「薬王品」の制作者たちですら,『法華経』の教説に基づいて起てられたチャイトヤを見ていなかった可能性が非常に高い以上,「『法華経』実践の場に起てられたチャイトヤなど,インドにはそもそも存在しなかった」と考えた方が自然である.「薬王品」における「チャイトヤ」の記述は,「『法華経』同時成立説」に対する反証の一つとなるのみならず,インドにおいては,『法華経』の教説に基づいた修行実践は実質的には「書写行」のみに限られ,『法華経』はテクストとしてのみ存在していたことの傍証とも考えられる.
著者
池添 泰弘 茂木 邦雄 鈴木 隆史 廣田 憲之 植竹 宏往 渋谷 正徳 中川 準 北沢 宏一
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.1557-1560, 1999-04-15

We succeeded in making water levitate in air, using not an extreme by strong magnet such as a Bitter-type hybrid matnet, but a compact superconducting magnet. The levitated water ball had a spherical shape and levitated stably for over a day. We named this phenomenon "magneto-Archimedes levitation," because, to achieve it, we used gravitational and magnetic buoyancy forces in the presence of pressurized oxygen gas. In additon, our method enables paramagnetic substances to levitate in air, which has been considered to be impossible owing to the Maxwell relation, divB=0. We also succeeded in making paramagnetic aqueous copper sulfate levitate in air. To the best of our knowledge, this is the first demonstration of stable levitation of paramagnetic substances in the atmosphere.
著者
倉根 一郎 高崎 智彦 松谷 隆治 鈴木 隆二
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

デングウイルス感染症は世界で最も重要な蚊媒介性ウイルス感染症である。デングウイルス感染におけるデング出血熱の発症機序の解明のため、マーモセットを用いてデングウイルス感染モデルの確立を行った。マーモセットは感染後高いウイルス血症を示し、また抗体反応、臨床的所見、血液学および生化学的検査所見もヒデング熱患者と同様の変化が見られた。また、マーモセットにおけるT細胞免疫応答の詳細な解析のため、サイトカインや細胞マーカー解析のツールを確立した。
著者
鈴木 隆子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

今回の事例において、エスクエラヌエバのアメリカ事務所は閉鎖し、ニューヨークを基点とする国際的な出版会社の投資によるソーシャルビジネス化の動きは8か月の協議の末とん挫した。つまり、4年の間にアメリカとの関係の中で様々な動きはあったものの、ビジネス化はなかなかうまくいかなかった。そのため当初目的としていたこれをモデルとした教育開発モデルにはつながらなかった。しかし今後も教育支援するための投資を募り、質の高い農村教育を広めていくことは重要である。今回の経験から、賛同投資家の増加に貢献するため、新たな研究課題「途上国農村における初等教育の教育成果に関する調査―コロンビアでの追跡調査」が生まれた。
著者
相良 かおる 小野 正子 鈴木 隆弘 小木曽 智信 高崎 光浩 浅原 正幸 外山 健二
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

標準化された用語がないまま、電子カルテシステムは普及し、電子医療記録文書が蓄積される中、我々は医療記録文書で使われる用語77, 775語を収録した辞書ComeJisyoを作成・公開し、また、語種と字種の分布を明らかにした。ComeJisyoは、電子医療記録文の単語分割の解析精度を90%以上に向上させ、複数の解析結果の比較(メタ分析)を可能とする。また、ComeJisyoに付加されるヨミガナは、音声への変換や仮名漢字変換等に活用できる
著者
鈴木 隆介 八戸 昭一 田中 幸哉 松岡 憲知 松倉 公憲 砂村 継夫
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は,2001年8月23〜28日に日本で開催されるIAG第5回国際地形学会議における「岩石制約論シンポジウム」の基調報告の内容および討論課題を設定し,報告者の選定ならびに同シンポジウムに直結する野外巡検候補地の選定のための企画調査である.その成果を以下に要約する.1) 文献調査「地形形成過程における岩石物性の役割」を定量的に研究した成果を,世界の主要な学術雑誌,国際会議報告書および既刊書などについて,計254編の文献を収集・整理した.その結果, 「岩石制約論シンポジウム」の討論課題としては,総論,各論および岩石物性測定法の三部に大別し,総論では岩石制約論の根本課題の総括,各論では河川侵食過程,海岸侵食過程,マスムーブメント,氷河・周氷河過程,斜面発達,岩盤風化のそれぞれに関連する岩石制約の実例の総括,そして岩石物性測定法では野外測定法と室内測定法の諸問題,をそれぞれ主題および副題とすることとした.各部門と副題のオーガナイザーとしては本研究組織の全員が分担し,外国人では1999年末までの予備登録者の中から選定し,個別折衝して,最終的には2001年1月までに決定することとした.2) 野外巡検の企画日本で岩石制約論的観点からの研究成果が累積している北海道豊富町付近,福島県東部海岸,秩父盆地,千葉県各地,三浦半島,宮崎県南東部について,各地区ごとに本研究組織の研究者が現況を確認した.その結果,野外巡検地としては房総地域(4日間)と北海道豊富地域(5日間)の2地域とし,第5回国際地形学会議のFirst Circularに掲載・発送した.3) Proceedings刊行の企画「岩石制約論シンポジウム」の成果をまとめて英文単行本として出版することとした.
著者
佐伯 英明 三浦 邦夫 五十嵐 信寛 小川 弘良 清水 世紀 和田 郁生 鈴木 隆志 原田 忠 森田 隆 加藤 哲郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1058-1062, 1982-08-20

症例は妊娠第15週の36歳の女子で,肉眼的血尿を主訴として当科を受診した。膀胱鏡を施行したところ,膀胱左側壁に巨大な腫瘤を認めたので生検を行ない,移行上皮癌と判明した。患者は既に3子を有しているので,人工流産を施行し,泌尿器科的精査および治療を進めていつた。膀胱造影では左側半分を占める巨大た陰影欠損を認め,骨盤部動脈造影で腫瘍血管に富む腫瘍を認めた。術前に,マイクロカプセル化されたマイトマイシンCを合計40mg使用して2度にわたつて腫瘍支配動脈の化学塞栓を行ない,化学塞栓後の膀胱造影で腫瘍が中等度縮小した時点で膀胱全摘除術および回腸導管造設術を施行した。肉眼的には大小2個の腫瘍が認められ,組織学的にはgrade I, stage Aの移行上皮癌であつた。術後5ヵ月という短い経過ではあるが,転移や再発の徴候はない。妊娠に悪性腫瘍が合併することは稀れであり,殊に尿路悪性腫瘍が合併することは極めて少ない。妊娠に合併した膀胱癌の症例は欧米の文献に7例を認めるが,本邦では最初の報告ではないかと思われた。血尿が認められれば妊娠の有無にかかわらず即時にしかも適切な検索が行なわれなけれぼならないことを強調し,かつ,妊娠中の膀胱癌の治療法および妊娠と悪性腫瘍との関係について若干の考察を加えた。
著者
菱田 雅晴 毛里 和子 天児 慧 加藤 弘之 高原 明生 大島 一二 趙 宏偉 南 裕子 WANK David 唐 亮 小嶋 華津子 朱 建榮 加茂 具樹 諏訪 一幸 鈴木 隆 阿古 智子 中岡 まり 中居 良文 林 載桓 福田 円 呉 茂松 弓野 正宏
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

中国共産党を組織集団として捉えようとの目的から、中国側カウンターパートの協力の下、党および党員に関する認識をめぐる広範なインデプス・インタビューおよびアンケート調査を実施した。国家社会論フレームに基づくクロス解析結果から、「党政関係」、すなわち,党・国家体制の揺らぎおよび「党群関係」、すなわち,党に対する公信力の低下が観察された。だが、その一方で、政府、とりわけ中央政府に対する信任は依然として高位にあるところから、党信任の脆弱性は国家信任の強靱性によって補完されており、党のサバイバル戦略が依然として機能しているものと推測される。
著者
鈴木隆雄
出版者
医歯薬出版
雑誌
臨床リハ
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.955-960, 2001
被引用文献数
11
著者
鈴木 隆敏
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.74-92, 2009

FUKUZAWA Yukichi 2 : 図版削除1. 「福澤先生は美術を見る目がない」2. 古文化財の海外流出防止へ努力3. 文化財保護は国の仕事4. 「帝室論」で"皇室メセナ"すゝめ5. 「帝室は諸藝術を保護すべし」6. 中年から熱を入れた「漢詩」と「芝居」7. 団十郎に歌舞伎脚本執筆、菊五郎に英語指導8. 福澤家の家庭音楽会
著者
島田 裕之 古名 丈人 大渕 修一 杉浦 美穂 吉田 英世 金 憲経 吉田 祐子 西澤 哲 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.105-111, 2006-06-20
被引用文献数
27

本研究では,地域在住の高齢者を対象としてTimed Up & Go Testを実施し,性差と加齢変化を調べた。また,転倒,活動性,健康感との関係を調べ,高齢者の地域保健活動におけるTimed Up & Go Testの有用性を検討した。対象は地域在住高齢者959名であり,平均年齢74.8歳(65-95歳),男性396名,女性563名であった。検査および調査項目は,身体機能検査としてTimed Up & Go Test,歩行速度,握力,膝伸展筋力,Functional Reach Testを実施した。質問紙調査は過去1年間の転倒状況,外出頻度,運動習慣,趣味,社会活動,主観的な健康感を聴取した。Timed Up & Go Testを5歳の年齢階級別に男女差を調べた結果,すべての年代において男性が有意に速い値を示した。加齢変化をみると男女とも70歳末満と以上の各年代に有意差を認めた。男性においては他の年齢階級間に有意差は認められなかった。一方,女性では70-74歳と80-84歳,85歳以上,および75-79歳と80-84歳の間,80-84歳と85歳以上の年代問において有意差を認めた。転倒,活動性,健康感との関係では,転倒状況,外出頻度,運動習慣とTimed Up & Go Testの有意な関係が認められた。以上の結果から,高齢者におけるTimed up & Go Testは性差と加齢による低下が明らかとなった。また,転倒,外出頻度,運動習慣と密接な関係が示され,地域保健活動の評価指標としての有用性が確認された。
著者
平田 雅之 柳澤 琢史 松下 光次郎 Shayne Morris 神谷 之康 鈴木 隆文 吉田 毅 佐藤 文博 齋藤 洋一 貴島 晴彦 後藤 哲 影山 悠 川人 光男 吉峰 俊樹
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.541-549, 2012-07-20

ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は脳信号から運動意図・内容を読み取って外部機器を制御する技術である.われわれは脳表電極を用いたBMIにより,筋萎縮性側索硬化症等の重症身体障害者に対する機能再建を目指して研究開発を行っている.これまでにγ帯域活動を用いた連続的な解読制御手法により,ロボットアームのリアルタイム制御システムを開発し,脳表電極留置患者による物体の把握・把握解除に成功した.感染リスク回避のためにはワイヤレス体内埋込化が必須であり,ワイヤレス埋込装置のプロトタイプを開発した.今後は,重症の筋萎縮性側索硬化症を対象として,有線・ワイヤレス埋込の2段階での臨床試験を経て実用化を目指す.