著者
大門 巧 大西 建輔 青山 浩
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.216-223, 2021-08-21

我々は,DNCL のブラウザ上での実行環境として Tetra を開発したが,高等学校での授業で使用するためには,機能の充実を図ることが必要であった.そこで,Tetra を改良した DNCL のブラウザ上での実行環境である XTetra を開発した.XTetra には,従来の Tetra の機能に加え,コンソールからの標準入力,描画関数,エディタのシンタックスハイライト機能が実装されている.高等学校において,Scratch の使用経験のあるクラスと,使用経験のほとんどないクラスで XTetra を用いた授業を実施し,アンケートを用いて処理系の評価をおこなった.その結果,Scratch の使用経験のあるクラスの理解度が使用経験のないクラスと比較して高くなった.また,XTetra はビジュアルプログラミング言語の要素とテキストベースのプログラミング言語の要素の両方を備えているため,ビジュアルプログラミング言語でのプログラミング経験のある生徒の理解を高める効果が期待できるという仮説が立った.
著者
青山 博之
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.5-16, 1992-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
35
被引用文献数
2

アメリカ, 日本, ニュージーランドでの鉄筋コンクリート柱はり接合部の耐震設計方法の不統一に端を発した論争を終結させるための三国協力研究が, 1991年に終了した。この総説は, 柱はり接合部論争を生むに至った三国の研究および設計法開発の経緯を明らかにし, 協力研究の内容を概観し, その結論を各国がそれぞれの国の設計規準にどのように生かそうとしているかについて述べたものである。とくにニュージーランドにおける最近の動きのなかに, 実験式 (経験式) から理念に基づく式 (マクロモデルによる理論化) へという研究動向の転換を感じ取ったものである。
著者
永井 宏達 山田 実 上村 一貴 森 周平 青山 朋樹 市橋 則明 坪山 直生
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.84-89, 2011-04-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
19

【目的】姿勢制御エクササイズの反復が足関節周囲筋の同時活動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常若年者22名とし,介入群(11名)と対照群(11名)に無作為に分類した。不安定板上で10秒間姿勢を保持する課題を行い,その際の筋活動を前脛骨筋,ヒラメ筋より導出した。介入群には不安定板上での反復エクササイズを行い,その後不安定板上での評価を再度実施した。得られた筋電図波形より,同時活動の指標であるco-contraction index(CI)を求めた。【結果】介入群のCIは,エクササイズ後に有意に減少し,介入前50.7 ± 23.9%,介入後38.5 ± 22.0%であった。一方,対照群のCIには変化が認められず,介入前58.7 ± 23.9%,介入後60.9 ± 23.1%であった(p < 0.05)。【結論】不安定場面での同時活動は,姿勢制御エクササイズを行うことで減少する。このことは,姿勢制御エクササイズにより筋の過剰な同時活動が減少することを示唆している。
著者
福田 洋一 服部 晃久 奥野 淳一 青山 雄一 土井 浩一郎
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.1-13, 2022 (Released:2022-05-18)
参考文献数
29

National Institute of Polar Research (NIPR) has been conducting absolute gravity measurements not only at Japanese Antarctic research station, Syowa since early 1990s, but also other foreign research stations in Antarctica recently. To validate the absolute gravimeter employed, test measurements were conducted at the gravity point located at the machine shop in NIPR usually before and after the measurements in Antarctica. The observed gravity values at the point, however, often varied exceed the expected instrumental errors. To explain the causes of the large gravity variations, we compared the observed gravity values with the precipitations at three AMeDAS(Automated Meteorological Data Acquisition System)stations, groundwater levels at a Tokyo Metropolitan Government observatory, and the height data at four GEONET (GNSS Earth Observation Network System)stations. The result of the comparisons showed that 1) the seasonal or shorter gravity variations were mainly caused by the precipitations and the resultant soil moisture and/or shallow groundwater changes, and 2) the secular or longer period gravity variations were explained by the uplift after the 2011 Tohoku-oki earthquake and the long-term variations of the groundwater level at deeper depths. After removing these effects, the standard deviation of the gravity residuals was less than 3 µGal (1 µGal=10−8 m/s2).
著者
松下 敏夫 青山 公治
出版者
鹿児島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

農作物栽培起因性の皮膚障害をオクラ栽培作物を例に、1.その発症の様態を現地疫学的に解明する。2.原因物質の究明を農薬の関与を含めて実験的に検討する。3.予防対策の樹立を目的として本研究を行なった。その結果:1.鹿児島県南薩地方のオクラ栽培者について、2年度にわたり行った現地調査によると、オクラ栽培に伴う皮膚障害の発生はかなり高率であり、適切な予防措置を講じない場合にはほぼ全員に発症する。症状は掻痒・発赤を主とし発症部位は、袋詰作業ではほぼ指先に限局されるのに対し、収穫作業や管理作業では手指のほか手腕、顔面など皮膚の露出部位に生じやすい。この皮膚障害の発生は気象条件とも密接な関係があり、雨天、朝露がある時、あるいは発汗の多い時におこりやすい。同時に実施したアレルギー学的検査では、約1割り程度の者にオクラ成分に対する皮膚過敏症の存することが明らかになった。またオクラによる即時型アレルギー発症の可能性も否定できないことがわかった。2.オクラ成分および使用農薬の向皮膚作用を、モルモットを用いて実験的に検討した結果、オクラ成分には一次刺激性が認められたものの、感作性、光毒性を認めるには至らなかった。また、DDVP、Chlorothalonilに、中程度の光感作性が認められた。これらの結果は、疫学調査結果や文献との不一致の部分もあり、実験方法も含めさらに検討が必要である。3.以上より、オクラによる皮膚障害は発症機序からみると主として(1)オクラとの大量接触による機械的刺激作用、(2)オクラ成分などによる一次刺激作用、(3)オクラ成分によるアレルギー性に大別できる。その予防対策として、オクラとの接触を防ぎかつ作業性を考慮した保護具の検討、および作業中の樹葉との接触を最少限に保つ適正な畔幅の検討などについて考慮した。
著者
後藤 優仁 星野 貴行 青山 敦
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual58, no.Abstract, pp.449, 2020 (Released:2020-08-05)

近年,上側頭溝での cross-frequency coupling (CFC) が視聴覚の統合錯覚に関連する現象として注目されている. 理論的には,視覚と聴覚に確度の差があるため,より信頼度の高い感覚によって他方が捕獲される事で説明がされている.しかし,実験的に確認されている上側頭での CFC がこうした感覚統合処理を直接的に担っているのかは不明である. そこで本研究では, 音声の定位方向が視覚情報に引き寄せられる錯覚である腹話術効果に着目し, 上側頭溝近傍への経頭蓋ランダムノイズ刺激 (tRNS) によって当該部位での位相活動に外乱を与え,CFCを乱す事で腹話術効果を阻害する事が可能であるかを検討した. 実験参加者の正面を0度としてモニターを設置し, -30~30度に21個のスピーカーを等間隔で配置した. モニターには口唇動作が映され, 参加者はいずれかのスピーカーから流れる音声に対して音源定位を行った. この際の実際の音源方向と知覚された音源方向との誤差を腹話術効果の指標として tRNS による電気刺激時とシャム刺激時での比較を行った.実験の結果,シャム刺激時では角度の誤差も大きく,腹話術効果が観測されたが, 電気刺激時においては誤差やその分散が小さく錯覚の効果が弱まった.tRNS は位相活動に外乱を与えるため,上側頭溝近傍への tRNSが腹話術効果を阻害したと考えられる.この事から,上側頭溝での CFC が視聴覚の統合処理を直接反映している可能性が高まった.
著者
Bezawork A. BOGALE 青山 真人 杉田 昭栄
出版者
Japanese Soceity for Animal Behaviour and Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.75-83, 2018-06-25 (Released:2018-07-26)
参考文献数
22

ヒトの顔写真を用いた弁別試験を行なうことによって、ハシブトガラスがヒトの表情を識別することが可能であるか否かを検討した。まず、予備試験として、供試したカラスには、一方は「笑顔」、もう一方は「真顔」(無表情)である異なる人物の写真を見せて、「笑顔」を選択させる弁別学習を課した。予備試験をクリアした6羽のカラスについて、予備試験とは異なる人物の「笑顔」と「真顔」の弁別試験を行なった。その結果、6羽中で4羽のカラスについては、「笑顔」である新規な人物を統計学的に有意に高い頻度で選択した。次に、予備試験で見せた人物の写真を用い、同じ表情をした異なる人物の組み合わせを識別する弁別試験を課した。その結果、カラスは、表情にかかわらず、予備試験において報酬を得られた人物を有意に高い頻度で選択した。一方、予備試験で使用した人物について、同一人物の「笑顔」と「真顔」を識別させる試験を行なったところ、いずれのカラスも「笑顔」を有意に高く識別することはできなかった。これらの結果から、ハシブトガラスは異なる人物については「笑顔」を「真顔」と区別でき、新規な人物については「笑顔」を一般化することが可能であることが示唆された。一方、人物の識別能力はその表情によって左右されることはないが、同じ人物において、その表情を識別する能力には乏しいと考えられた。
著者
淺沼 由美子 北原 里恵 林田 優季 青山 裕美
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.10, pp.2165-2172, 2019-09-20 (Released:2019-09-20)
参考文献数
15

本邦では,医療費削減政策と,ヒトでの有効性評価が必須でないため,ジェネリック外用剤の市場占有率が増大している.我々はヘパリン類似物質含有保湿クリーム(水中油型)が基礎発汗を誘導し角層水分量を増加させることを見いだした.そこでヘパリン類似物質含有保湿クリーム後発品の保湿効果をimpression mold法で基礎発汗能を含めて先発品と比較した.後発品は角層水分量が増加せず,基礎発汗が同等に増加しなかった.保湿外用剤後発品の薬効評価は,角層水分量,基礎発汗誘導能などヒトでの複数の生物学的同等性試験で評価する必要があると考える.
著者
青山 宏夫
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.24-39, 2018-03-31 (Released:2019-06-17)
参考文献数
31
被引用文献数
1

Ph. F. von Siebold came to Japan to serve as physician at the Dutch Trading Post on Deshima in Nagasaki and, upon his return to Europe in 1828, he attempted to take with him a map of Japan, a prohibited item, that he had received from Kageyasu Takahashi, who was in government service as Tenmonkata. When the map was discovered by the government, the persons involved were apprehended and the map was confiscated. This was the so-called “Siebold Incident.” Siebold, however, had covertly made a copy of the map, which he took with him out of the country. Siebold produced a map based on the map he had brought back and published the map, which depicted the shape of the Japanese archipelago more accurately than those existing in Europe at the time, in Leiden, Holland in 1840.The paper identified this map of Japan which Siebold obtained from Kageyasu Takahashi and used as the original source of the Siebold’s map of Japan. In research to date, the map has been conjectured to be the Kana-gaki Inō Tokubetsu Shōzu( Special Small Inō Map with Kana Notations), which is in the collection of the National Diet Library, though there has been no direct evidence that would actually prove this. For verification, a survey was conducted of map materials in the possession of the von Brandenstein-Zeppelin family, descendants of Siebold who currently reside in Germany.This group of map materials has not been well known in map research thus far. After first providing an introduction, it is pointed out that, as a characteristic, it is comprised primarily of handtraced maps, drafts and such. Due to this characteristic, it was possible to determine from this group of map materials the manner in which Siebold actually carried out tasks involving maps. As a result of the survey, five maps of Japan were found that would appear to have a relationship to the Kanagaki Inō Tokubetsu Shōzu. In particular, through a detailed examination of scale and notation content on two of the maps, items 22 and 26, unique characteristics were identified that are apparent in the Kana-gaki Inō Tokubetsu Shōzu, providing definite proof that they were copied. At the same time, by clarifying, based on new materials relating to the Siebold Incident, the content of testimony given by Kageyasu Takahashi, who was subjected to interrogation for the crime of providing Siebold with the map of Japan, a prohibition item, it was confirmed that the map of Japan at issue is indeed the Kana-gaki Inō Tokubetsu Shōzu.Furthermore, examining the place names and longitude/latitude notations on map item 22, it was verified that the major source is Shoshū Keii (Siebold-collection of Leiden University Library), which is an abridged version of Chisei Teiyō(Outline of the Geography of Japan) edited by Kageyasu Takahashi, in addition to the source provided by A. J. von Krusenstern. Based on the facts mentioned above that the Kana-gaki Inō Tokubetsu Shōzu is a map edited by Kageyasu Takahashi and that the major source of information concerning the place names and longitude/latitude notations is Kageyasu Takahashi, it was clarified that he was not merely a provider of a map of Japan but contributed considerably to Siebold’s map of Japan as the provider of his own unique geographical product.
著者
青山 賢治
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.679-694, 2013

本稿は, 消費社会化が起こるための必要条件にかんする分析である. 消費社会化は, 余剰生産力と需要の関係において問題とされるが, それは十分条件ではない. アメリカの場合, 生産力の余剰に先行して, 空間の余剰があったことが記号論的空間の成立をもたらしたと考えられる. 本稿は, アメリカの西部フロンティアにかかわる空間編成を系譜学的に分析し, そこから記号論化された消費社会の成立を問題にする.<br>19世紀初頭, 未踏で表象不可能な空間であった西部は, 博物誌, 地誌学の調査によって表象の空間へ移される. 1830年代, 表象 (不) 可能性の境界上で, 歪んだイメージを介したフロンティアが語られる. 19世紀半ば, 移住者向けガイドブックに, 博物誌, 新聞, 広告, 誇張話などが並置された記号論的領域が登場する.<br>大陸横断鉄道以後, フロンティアは空間的外縁ではなく, 双極的時間の運動として現れる. レール沿線における未開と近代技術の接触から, フロンティアの不確定な前進=消滅が起こる. この不確定性が消滅したところでは, 都市と農村の形成が同時代的に実現される. 他方, 古いイメージと新しいメディア技術という双極性から, オールド・ウェストという「西部的なもの」の舞台や映画が成立する. カタログという商品=広告は, 都市と農村という空間的隔たりを, 最新モードのうちに結びつけ, 欲望を記号論的空間のなかで分節することで, 消費社会化をもたらす.
著者
坪内 佑樹 青山 真也
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.63-70, 2021-11-18

クラウド上の大規模なアプリケーションの構成は,機能単位で独立して変更可能とするために,単一の巨大なアプリケーションを分解して分散協調させるマイクロサービスアーキテクチャへと変遷している.アプリケーション構成の分散化により,構成要素数が増大し,構成要素間の依存関係が複雑化することから,システム管理者の認知負荷が高まっている.認知負荷を低減するために,システム管理者の経験と直感が要求される異常検知と異常の原因分析を自動化するための研究が盛んである.これらの研究では,データ分析手法を実験により評価する際に,正常データと異常データを含む運用データが必要となる.既存の公開されているデータセットは,その静的な性質故に,データセットに含まれる異常パターンの数は限られる.本研究では,多様な異常のパターンに対して異常検知・原因分析手法を評価するために,データセットを動的に生成するためのシステムである Meltria の設計基準を提案する.我々が提案する設計基準は,(1) 運用データに異常を含めるために,多様な故障注入を実行し,データを採取するための一連の手続きを実行可能なスケジューリング,および,(2) 故障注入の影響と想定外の異常のそれぞれの有無をデータセットにラベル付けするための検証の自動化である.Meltria を用いて,故障注入の種類やパラメータを変更することにより,様々な異常のパターンを含んだデータセットを生成できる.実験の結果,生成されたデータセットに対する (2) の基準に基づいた検証手法の正解率は 85% となった.
著者
青山 肇 草柳 賀一 四辻 美奈子 北山 功 山口 友伸 児玉 勉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.12, pp.1765-1770, 1986-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24
被引用文献数
3

5-フルオロ-2'-デオキシ-β-ウリジン〔5〕の合成法について検討した。Brφnsted酸の存在下,5-フルオロ-2,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)ピリミジン〔1〕は立体運択的に3,5-ビス[O-(p-クロロベンゾイル)]-2-デオキシ-α-D-リボフラノシルクロリド〔2〕と反応し,3,5なビス[O-(p-クロロベンゾイル)]-5-フルオロ-2'デオキシ-β-ウリジン〔3〕を高収率で与えた。反応生成物の立体異性体の比率は添加されたBrφnsted酸の種類により変化し,p-ニトロフェノールの存在下では,〔3〕は92%の収率で得られた。β-立体選択性は,モル比〔1〕/〔2〕を上げることにより増加し,下げることにより減少した。一方,この反応に極微量の塩化鉄(III)を存在させると,β-立体選択性は低下し,その値は塩化鉄(III)の濃度に逆比例した。〔1〕と〔2〕との反応はSN1とSN2との両反応機構を経由して競争的に進行し,この反応速度比がβ一立体選択性を定めていると思われる。〔3〕にアンモニア/メタノール溶液を作用させることにより,反応および単離精製が容易になり,高収率で〔5〕が得られた。
著者
平井 昂宏 貝沼 関志 林 智子 長谷川 和子 青山 正 水野 祥子 鈴木 章悟 西脇 公俊
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.647-650, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
10
被引用文献数
2

プロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome, PRIS)は,プロポフォール使用中に横紋筋融解,急性腎傷害(acute kidney injury, AKI),乳酸アシドーシス,脂質異常症などを来す症候群である。早期にPRISを疑いプロポフォール中止によって救命できた一例を経験した。症例は44歳の男性,スタンフォードA型大動脈解離に対して弓部置換術を行った。術後にプロポフォールを用いて鎮静を行っていたところ,血液生化学検査でCKが15,247 IU/lまで上昇し,AKI,乳酸アシドーシスを認めたためにPRISを強く疑った。プロポフォールの投与中止によりCKは速やかに減少し,AKI,乳酸アシドーシスも改善した。後に撮影されたCTで大腿から臀部の筋内に高吸収域を認め,横紋筋融解後の変化があった。プロポフォールの長期投与中はCK,pH,乳酸値などを定期的にモニタリングし,PRISを疑った場合は早期に他の鎮静薬への変更が必要であると考えられた。
著者
古市 昌一 水野 政治 松本 聡 宮沢 稔 青山 和弘 高橋 勝己 宮田 裕行
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.437-438, 1997-03-12
被引用文献数
2

バーチャルプロトタイピングの積極的な導入による, 設計開発コストの低減が進んでおり, 設計開発支援用の各種シミュレータ製品の導入や, 独自に開発したシステムの効果的な利用が進んでいる. しかし, それぞれは独自の入出力仕様で作られているのが普通で, 連接して大規模なシミュレーションを行ったり, 組み合わせて再利用するのは大変難しい. これらを可能とするためには, 異機種シミュレータを接続するための共通接続アーキテクチャと, インタフェースの標準化が必要である. フライトシミュレータに代表される訓練用リアルタイムシミュレータの接続においては, プロトコル仕様 DIS (Distributed Interactive Simulation)が1993年に IEEE 標準となり, 遠隔地に設置された訓練用シミュレータを DIS で接続し, 大規模演習に広く利用されている. 米国防総省は, 更に広範な異機種シミュレータの連接を目的とし, 1995年に接続アーキテクチャ HLA (High Level Architecture) を提案し, HLA を中核とした DIS の将来仕様 DIS++ の標準化を1996年より開始した. 我々は, バーチャルプロトタイピング環境の接続基盤として DIS++ の適用可能性を研究するため, 中核ソフトウェア HLA-RTI(Run Time Infrastructure)の主要部と, 評価用に DIS++ 準拠シミュレータを試作した. 本稿では, まず DIS++ の核である HLA の概要と, 実現のための技術課題を述べ, 次に試作したシステムの概要を述べ, 最後に本システムの応用に関して述べる.