著者
根本 啓一 高橋 正道 林 直樹 水谷 美由起 堀田 竜士 井上 明人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.1600-1613, 2014-06-15

近年,自発的・持続的な行動変革を誘発するためのアプローチとして,ゲーミフィケーションが着目されている.ゲーミフィケーションはゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を,ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するものとして定義される.このゲーミフィケーションを活用して,多数のユーザの行動変容を促すことで,社会的な課題を解決する活動が生まれている.本稿は,このような社会的課題の解決にゲーミフィケーションを活用することに関して述べている.従来の社会課題解決型のゲーミフィケーションは,ウェブ作成者など特定の作者が作成した仕組みを使って,ユーザの行動を喚起するために利用されることが多かった.しかし,個々のユーザやコミュニティが抱えている課題は多種多様であるため,課題解決の観点では,本質的課題をとらえることが難しい.課題を抱えるユーザ自身が行動をデザインすること,必要に応じて改良可能な参加型の仕組みが必要である.そこで,課題を持つユーザ自身による課題解決のための自発的・持続的な行動の設計と実行をゲーミフィケーションを利用して支援する仕組みを提案する.我々は,参加者が自らの課題に取り組むためのゲームを設計するワークショップを設計・実践し,さらに,そのアイデアをゲームにして実行に移すことができる,ゲーミフィケーション・プラットフォームと呼ぶウェブサービスを試作した.ゲーム作りのワークショップを計3回実施し,48名が参加した.プラットフォーム上には9つのゲームが作成され,ゲームプレイを通じて827個の行動がなされた.本稿では,これらの結果をふまえ,動機づけ,能力,誘因という3つの観点から自発的・持続的な行動を生み出すための課題について考察する.Gamification, the use of game thinking and game mechanics in a non-game context, is getting more attention as a means of self-motivated and sustained behavioral change. There are social problem solving activities by using this mechanics in order to encourage many people to change their behavior. Most of the applications and activities of Gamification are designed by skilled professionals in order to solve a particular problem. However, problems that a group or community has are slightly different in many ways. Therefore, a given application of Gamification is not enough to fundamentally solve a complex social issue. We believe that designing applications and activities of Gamification need to be more inclusive of stakeholders of the problem. In this paper, we propose a methodology to solve a problem with self-motivated and sustained actions through Gamification. We designed workshops which allow participants to create games to solve their own issues. In addition to the workshop, we developed web-based platform, Gamification Platform, where game ideas created at the workshop can be deployed so that users can play the game idea in actually. We conducted 3 workshops with 48 participants in total. 9 games are prototyped and 827 activities have been done. Finally, we discussed mechanisms to encourage people to take actions from the view point of motivation, ability, and trigger.
著者
伊豆田 修祐 高橋 正樹
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.731-738, 2014

航空機のエンジン故障により,飛行に必要な推力が得られない場合に,近隣の空港へ速やかに緊急着陸する技術が求められている.緊急着陸時には,着陸点へ到達可能かつ安全な飛行経路を計画する手法が必要となる.そこで,本研究では着陸点での到達高度を考慮した最終進入距離の可変化,および最終進入でのスポイラーの使用による滑空性能の変化を考慮した経路計画手法を提案する.
著者
高橋 正憲
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2005年度春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2005 (Released:2005-09-09)

情報システムが企業活動において有効に機能するためには,システムが前提としているビジネスプロセスが経営目標,経営戦略の実現に適合していることが必要である.昨今の変化の激しい経営環境の下では,ビジネスプロセスは定常的な機能モデルからダイナミックなプロセスモデルに転換せざるを得ない.こうした中でプロジェクトマネジメント協会(PMI: Project Management Institute)が2003年12月に発表した「組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル(OPM3: Organizational Project Management Maturity Model)」は,プロセス最適化に向けて成熟度評価のリファレンスモデルと継続的改善のフレームワークを提供するものとして興味深い.本論では,OPM3の構成要素について概説するとともに,その将来的な意義について考察する.
著者
石倉 照之 奥野 龍禎 荒木 克哉 高橋 正紀 渡部 健二 望月 秀樹
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.909-913, 2015 (Released:2015-12-23)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は23歳男性である.先行感染後に強直間代性痙攣を発症し,抗てんかん薬による治療にもかかわらず,痙攣発作を繰り返した.ウイルス学的検査や抗神経抗体は検索した範囲では陰性で,原因不明であったことから,new-onset refractory status epilepticus(NORSE)と呼ばれる症候群に合致する臨床像であった.ステロイドパルス療法,免疫吸着療法及び経静脈的免疫グロブリン療法を行い痙攣の頻度が減少したが,意識障害は遷延した.本患者血清を用いてラット脳の免疫染色を行ったところ,海馬神経細胞の核及び細胞質が染色され,自己免疫介在性であることが示唆された.
著者
高橋 正義 十代田 朗 羽生 冬佳
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.571-576, 2003-10-25
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究は、戦後まもなく制定された観光関係特別都市建設法(以下、「国観法」)及び国観法制定都市に着目し、まず、(1)国会での議論から戦後復興期の観光政策の中で国観法並びに国観法制定都市がどのように位置付けられていたのか。を把握した上で、制定都市では、(2)法制定前後の時期に観光都市建設を目指してどのような計画が描かれたのか。さらに、(3)その構想実現のためにどのような具体的整備計画が立てられ、その後どのように変遷していったのか。の3点を明らかにすることを目的としている。資料としては、国会議事録、計画案、関連新聞記事、市史、関連文献・研究等を用いている。<BR> その結果、以下のことを明らかにしている。まず(1)国会での議論から観光政策が縦割り行政を越えられず都市計画行政の枠組みにはめられていったこと、また発言内容を総合すると、各都市の個別法を支える基本法あるいは一般法を制定すべきだという議論が議員からなされたが、政府はそれに対して都市計画法の改正での対応を示唆するなど否定的な見方をしており、結果的に国庫からの助成措置もほとんどなされることはなかったことを確認している。次に(2)各都市の計画内容から、現状認識を6項目、コンセプト4タイプ、主要目標14項目に大凡まとめている。この内、都市内部の条件や計画コンセプトに共通性がある都市間では、主要目標にも共通性がみられる傾向がある。一方で、国が推進する広域的な都市の位置付けよりも、都市内部に目を向けた計画となっていることが読み取れる。さらに(3)具体的な方策を見ていくと、法案提出以前から観光都市建設のビジョンのある都市では方策の中に観光要素が盛り込まれ、ビジョンを持っていなかった都市では既存の制度に則った計画づくりが行われているという史実を確認している。例えば、別府では、構想実現のため計画を既存制度に当てはめることが行われ、その後、国策の重点が工業開発へと変わると方向転換を余儀なくされ、結局、多くの事業が実施されることなく現在に至っている。<BR> 以上総括すると、国側における制度的裏付けの欠落、都市側での計画技術(構想力、実現力)の不足から国観法は機能しなかったと考えられる。<BR>
著者
高橋 正也
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-30, 2014

労働者の安全と健康を確保するためには,労働の量的および質的側面の改善が必要である.現在でも,長時間労働の削減や職場の心理社会的環境の改善に向けて,多くの努力がなされている.このような職場の労働条件の向上に加えて,職場以外における過ごし方,特に余暇,を適正にすることは,労働安全衛生の水準をさらに高めるのに有益であると期待されている.最も基本的な余暇は終業後から次の勤務までの時間である.欧州連合の労働時間指令に示されているように,この時間間隔の確保はなにより重要であり,そこで行われる休養や睡眠の充実に不可欠である.同時に,労働に費やす時間の減少にもつながる.一日ごとの余暇活動の中でも,量的および質的に充分な睡眠は労働者の安全,疲労回復,健康維持に必須であることが実証されている.一方,週休二日制であれば,週末に二日間にわたる休日が得られる.こうした一週ごとの余暇を適切に過ごせると(例えば,長い朝寝を避ける),疲労回復には一定の効果がある.ただし,週内で蓄積した睡眠不足による心身への負担を完全に解消するのは難しいことに留意する必要がある.さらに,良好な睡眠を長年にわたってとれない状況が続くと,高血圧,心疾患,糖尿病,肥満などの健康障害が起こりやすくなるばかりか,筋骨格系障害や精神障害などの理由で早期に退職せざるをえない確率が2~3倍高まることが示されている.多くの労働者では,一生の中で労働者として過ごす時間はほぼ半分を占める.一生涯の生活の質を高めるためにも,労働時間の中,そして外の要因(余暇と睡眠)が最適化されなければならない.この課題を達成するには,行政,事業所,労働者個人それぞれの層で,余暇の見直しと根拠に基づいた実践が求められる.
著者
高橋 正樹 野口 高明 田切 美智雄
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.44, pp.65-74, 1995-11-30
被引用文献数
2

18〜12 Maの東北日本に出現するアイスランダイトは, 高K_2O量・Ce/Yb比タイプと低K_2O量・Ce/Ybの2種類に区分できる。前者は関東地方北部(茂木・大子地域)や北部阿武隈地域(毛無山)に産し, 後者は東北地方中部脊梁地域(古川〜新庄間)に分布する。周辺の苦鉄質火山岩類の化学組成との関係から, 前者はある種の下部地殻物質の部分融解によって, また後者はソレアイト質苦鉄質マグマの結晶分化作用によって生成されたものと推定される。K_2O/TiO_2比は前者で高く後者で低い。これは, 両者における初源マグマの化学組成上の違いを反映しているものと考えられる。前期中新世に生じた, マントル・プリュームの上昇による日本海の急速な拡大と日本列島の移動は, 高温でH_2Oに乏しく還元的な地殻環境と伸長応力場の発達を促し, アイスランダイト質マグマの生成に寄与したものと思われる。

2 0 0 0 OA 言語とω言語

著者
高橋 正子
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.302-316, 1986-10-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23

2 0 0 0 OA 信心とおかげ

著者
高橋正雄 著
出版者
教友会
巻号頁・発行日
1913
著者
高橋 正樹
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.207-218, 1994-09-20
被引用文献数
4

Late Quaternary poly genetic volcanoes in Japanese islands can be classified into two types : P-type and O-type. The vent of the P-type (parallel types) aligns in parallel with the orientation of regional σ_<Hmax>, while the vent alignment of the O-type (oblique type) is normal or highly oblique to it. The P-type consists of three sub-types based on the kind of associated active faults : PN (with normal faults), PS (with strike-slip faults), and PR (with reverse faults). Most of the O-type are constructed on the mountain range which is bounded on both side with reverse faults ; its vent alignment is probably controlled by the local extensional stress field in the mountain mass caused by the gravity tectonics. Thin sheet-like magma chambers are estimated to be present beneath the O-type volcanoes ; the arrangement of maximum principal stress axis producing reverse faults (σ_v=σ_3) favors the formation of sheet-like magma chambers. The eruption rate of the O-type is generally small because of the complexity of its magma plumbing system.
著者
高橋 正也 比屋根 哲 林 雅秀
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.174-182, 2012-09-30
被引用文献数
3 1

農山村集落(以下,集落と表記)は高齢化,担い手不足による農業の荒廃や伝統行事の途絶,地理的要因における生活水準の低下や経営困難に陥った交通機関の撤退など様々な面で不利な状況が続いており,何らかの維持・活性化が望まれている。本研究では集落住民の社会ネットワークに注目し,ソーシャル・キャピタルがどのように活動の展開に作用したのか過程をみながら分析した。本研究の分析から,集落のソーシャル・キャピタルが作用し,活動へと展開するためには,1)普段からの付き合い関係が豊富な住民を活動の初期段階から関係させること,2)集落住民自らにイベントや事業が実現可能か判断させること,の2つが不可欠であることが要件として明らかになった。
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-7, 2014-03-22

本研究は様々な形式でデジタル化され散在する地域の歴史資料を LOD 化し,関連付けることにより統合利用を可能とすることを目的とする.本報告では,函館地域の例として,絵葉書の画像アーカイブ,地域史年表,歴史上の人物紹介をそれぞれ RDF データセット化した事例を取り上げる.また,それらを関連付けた統合利用例として,「エピソードでつながる函館歴史写真」 と 「函館ゆかりの人物スポット」 を示す.Regional of historical records are digitized and on public via the Internet. This study aims at enabling integrated application of them by making LOD of them and link with each other. This report focuses on an activity in Hakodate, making RDF datasets of the archives of picture postcards, the chronology of city history, and the biography of famous historical persons. As examples of integrated applications, "The Historical Photographs of Hakodate Linked by Episodes" and "The Spots Associated with Persons of Hakodate" are shown.
著者
高橋 正臣
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02869756)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.15-22, 1972-03-31

本研究は,人格形成を規定する要因分析のうち,特に芸術専攻者について,総合的にその人格を解明しようとする一連の研究の一部をなすものである。すなわち,芸術専攻者(女子)の性格特性上の特有性について,(1)その存在性,(2)専攻領域の相違による差異,(3)時代的時間経過にともなう環境要因の変化の影響,の仮説を設定し,これを検証した。結果としては,(1)については,その存在性が認められ,(2)については,専攻領域の相違によってその特有性にも差異が生じることが明らかとなり,(3)については,数個の性格特性について,時代的時間経過にともなう環境要因の変化の影響が認められた。今後は資料対象を男子にも拡げるとともに,知的領域との関連性の解明を試みてみたい。
著者
高橋 正臣
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02869756)
巻号頁・発行日
no.10, pp.27-33, 1973-03-31

本研究は芸術専攻者の性格特性に関する研究の第2報告である。すなわち,芸術専攻者(男子)の性格特性上の特有性について,(1)その存在性,(2)専攻領域の相違による差異,(3)芸術専攻者の男女間における差異,の仮説を設定し,これを検証した。結果としては,(1)については,情緒面において特に特有性が認められ,(2)については,社会的適応面において著しい相違が存在し,(3)についても(2)と同様に,社会的適応面における相違が顕著であり,しかも,その度合いは予想を大きく上回るものであり,今後の研究課題として残されている。
著者
高橋 正臣
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02869756)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-13, 1982-03-31

本研究は「人格形成を規定する要因分析」の一環であり,今回は家庭における文化的環境要因の変移が,性格形成にどのような影響を与えるかを明らかにしようとした。文化的環境要因の変移を,「活字文化」より「映像文化」への転換とし,Y-G検査の結果(特にR因子)と関連して調査したところ,次の点が明らかとなった。1.映像文化のもつその特性上から予想したとおり,「R因子」の得点上昇がみられ,しかも上昇の度合いは,造型映像刺激が美術専攻者より少ない音楽専攻者の方が大きかった。2.予想しなかった性格特性因子(I, G, R, S因子)の得点に時代的変化が大きくみられたが,これが直ちに文化的要因の変化によるかどうか,もしそうであるとすればどの程度の影響度であるかは,今回の資料だけでは即断できないが,このことは時代的変化の度合いの余りの大きさからみて,今後の重要な研究課題である。