著者
高橋 正人 原沢 延幸 吉田 博久
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.455-458, 1990-05-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

ポリエチレンオキシド (PEO) /ポリメタクリル酸メチル (PMMA) ブレンド中でのPEOの等温結晶化過程に及ぼすPMMAのタクチシチーならびに分子量の影響を検討した. 結晶化速度はPMMAの組成と分子量の増加に伴い遅くなる. ブレンド試料の融解熱はPMMA分子量には依存せず, PMMA組成が増加すると小さくなる. また, 融解熱はPMMAタクチシチーに依存しアイソタクチック, シンジオタクチック, アタクチックの順に小さくなる. 結晶化の活性化エネルギーはPMMA組成と分子量には依存せず, PMMAタクチシチーに依存し, アイソタクチック, シンジオタクチック, アタクチックの順に小さくなる.
著者
中村 譲 山形 洋一 高岡 宏行 高橋 正和 OCHOA A. J. Onofre MOLINA Pedro A. 高橋 弘
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.51-58, 1981
被引用文献数
3

国際協力事業団のグアテマラ共和国におけるオンコセルカ症の研究と防除プロジェクトは1976年から5年計画として開始された。その昆虫学部門は, エスクイントラ県サンビセンテパカヤ郡のパイロット地区の北部を流れるラバデロス川流域において最初のブユ駆除をおこなった。対象種はSimulium ochraceumとし, テメフォス10%固型剤を水量0.5l/secあたり2g投入することを2週ごとに繰り返した。作業は1979年3月下旬より開始され, 同年5月末までの結果につき報告した。同川には支流が21本あり, 支流上流部で水量0.1l/sec以上の流れのすべての水源と, 途中で2倍以上に水量が増加する点とを殺虫剤投入点としたところ, 5月末現在で投入点は57カ所となった。投入薬量は合計242gであった。作業量は2人1組で乾季で1日半であった。殺虫剤投入前に19支流調査して11支流にS. ochraceum幼虫が存在したが, 2回目の殺虫剤投入後には21支流中4支流のみで同種幼虫が見いだされた。幼虫定期観察のための2カ所の定点においては, 10分間採集法でも人工基物(シリコンチューブ)法でも1∿5週後に幼虫はゼロになった。成虫は, 殺虫剤投入2∿4週間前に人囮3時間採集法で286∿403個体採集されたが, 徐々に減少し, 5月かには6個体になった。テメフォス固型剤は, ブユ幼虫に対する高い有効性とともに作製, 保存, 運搬, 投入などの点から野外での実際の散布計画でも有望と思われる。
著者
高橋 正輝 奥野 拓 川嶋 稔夫
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-6, 2013-01-11

函館のデジタルアーカイブに含まれる大量の写真資料はメタデータが少なく,写真間が歴史的関連で関連付けられていない.そこで,函館の歴史に関する文献を利用することで写真資料のメタデータを補い写真間が関連付く可能性がある.写真資料と函館市史年表編,はこだて人物誌を Linked Open Data (LOD) として作成し公開する. LOD とは外部とのデータ連携を実現する技術である.函館の歴史資料を LOD 化することで,地域写真アーカイブの編纂を目指す.Photos in Hakodate photo archives have historical relations to each other, but there is no links between them. There is a possibility that the photos are linked by using historical records of Hakodate. This study aims to link the photos in the archives by generating Linked Open Data of photo archives, historical calendar, and historical figure of Hakodate.
著者
小林 郁夫 土居 寿 高橋 正史 中野 毅 米山 隆之 浜中 人士
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.406-413, 1995-07-25
被引用文献数
20

外科用インプラント材として知られているTi-6Al-7Nb合金の歯科領域での臨床応用をはかるため, この合金の試験片を歯科鋳造法によって作製し, その鋳造性ならびに鋳造体の力学的性質を評価した.その結果, マグネシア系埋没材と遠心鋳造機を使用したときにもっとも良好な鋳造体が得られた.また引張試験の結果, Ti-6Al-7Nb合金は0.2%耐力, 最大引張強さではTi-6Al-4V合金にやや劣るものの, 破断伸びでは勝っており, およそ1.4倍の伸びを示すことがみいだされた.このときのTi-6Al-7Nb合金の組織は, 旧β相粒内に針状α相が微細に析出した組織を呈しており, この微細な二相組織がこの合金の強さを支えているものと考察された.以上の結果から, Ti-6Al-7Nbを従来どおりの歯科鋳造法によって利用することができると結論した.
著者
福井 里江 原谷 隆史 外島 裕 島 悟 高橋 正也 中田 光紀 深澤 健二 大庭 さよ 佐藤 恵美 廣田 靖子
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.213-222, 2004-11-20
被引用文献数
1 11

組織風土尺度30項目版(外島・松田, 1992, 1995)の短縮版を作成し, 信頼性と妥当性を検証するため, 民間企業2社の正社員819名を対象として自記式質問紙調査を実施した. 調査内容は, 原版の組織風土尺度30項目版, NIOSH職業性ストレス調査票(the Generic Job Stress Questionnaire, GJSQ), および一般健康調査12項目版(the 12-item General Health Questionnaire, GHQ-12)であった. 組織風土尺度には伝統性尺度, 組織環境性尺度という2つの下位尺度があり, それらの得点の高低によって, 各従業員が認知する組織風土を伝統自由・組織活発型(イキイキ型), 伝統強制・組織活発型(シブシブ型), 伝統自由・組織不活発型(バラバラ型), 伝統強制・組織不活発型(イヤイヤ型)に分類することができる. 原版の組織風土尺度の主成分分析を行った結果(バリマックス回転, 因子数2), それぞれの因子における因子負荷量が0.50以上であった各6項目を短縮版に採用し, 組織風土尺度12項目版(the 12-item Organizational Climate Scale, OCS-12)とした. 内的一貫性は伝統性因子がα=0.63, 組織環境性因子が0.71と許容範囲であった. OCS12の各下位尺度はGJSQの多くの下位尺度およびGHQ-12と有意に相関し, 構成概念妥当性が比較的高いことが示された. OCS-12を用いて分類した組織風土の4類型間では, イキイキ型における職業性ストレスが最も良好であった. OCS-12は職場の組織風土に関する従業員の認知を測定する上で, おおむね十分な信頼性と妥当性を有することが示唆された. (産衛誌2004;46:213-222)
著者
杉本佳奈子 岡崎博樹 高橋正視 上林憲行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.747-749, 2011-03-02

近年のWEBアプリケーションには,便利でユニークな機能を搭載したガジェットが多数存在する.<br />しかし,複数のソーシャルメディアを連携させたガジェットは存在しない.<br />本研究では,YouTubeとTwitterに焦点を当て,本学のトキ野生復帰ボランティア活動を軸に,トキについての情報発信,情報収集のポータルとなるiGoogleガジェットの開発を行った.<br />YouTubeページではトキに関連する動画を集約し,Twitterページでは共通のハッシュタグを用いたツイートのみを表示した.<br />iGoogleガジェットにすることで世界中での利用を可能にし,ダイレクトに複数の情報を閲覧,投稿することを実現した.
著者
高橋 正明 黒田 剛史 門脇 正尚 山下 陽介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

地球大気の大気大循環モデルをベースにして、火星ダストの巻き上げ、およびダスト輸送を陽に表現する火星大気モデルを作成し、ダストストーム発生に関しての問題を考察し、定性的に再現可能な大気モデルを作成した。また、火星大気に生起するいくつかの現象である、傾圧波動性擾乱、火星大気における北極振動、赤道域成層圏における半年周期振動の問題を研究した。地球大気との様々な違いを示し、いくつかの興味ある結果を得た。
著者
森山 敦文 高橋 正生 内田 真人 鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.59-62, 2007-03-01
被引用文献数
4

インターネットがあらゆる空間・時間に拡大していく中で現れてきた劣通信環境(従来のインターネットと性質・前提が異なり,極めて不安定な通信性能を持つ)と必要な技術を概説する.次に,2つの簡単な仮想応用事例を紹介し,また,技術事例として,中継ノードでのメッセージバッファ溢れを低減し,限られた通信資源の利用効率を向上させるためのノード間フロー制御を示す.
著者
高橋 正樹
出版者
日本分類学会
雑誌
データ分析の理論と応用 (ISSN:21864195)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-28, 2021-08-01 (Released:2021-11-09)
参考文献数
37

日本分類学会初代会長の林知己夫先生を囲んで,「木曜会」と称する研究会が,1990 年代より2002 年に氏がお亡くなりになる前年頃まで月1 回程度のペースで開催されていた.村上征勝氏(当時,統計数理研究所)を事務局に,当初は渋谷駅に近い桜ヶ丘の林事務所で,後には参加者が増えたこともあり統計数理研究所の会議室で,数名から10 数名が集まっていた.初期には林先生の各方面での研究の講義,後には参加メンバーの各々が自分の研究を発表し,気楽な茶飲み話のような雰囲気で互いに講評をするというものであった.その中で高橋正樹氏の発案で林先生への公開インタビューが,2001 年に全3 回開催された.本稿はその第2 回分を収録したものである.第1 回及び第3 回(の一部)はそれぞれ『行動計量学』(高橋, 2004),『社会と調査』(高橋, 2012)に掲載された.今回で全3 回分が公開されることになり,すべてがJ-stage 等を通じてWeb 上で一般にダウンロードが可能となる.本インタビューを含め,戦後統計学の大きな柱の1 つであった林先生の科学者としての哲学と,また今日でも通ずる「科学者のあり方」,データ取得のプロセスからデータ解析,政策立案への提言までの全体を俯瞰した真正の「データの科学」,そして社会的課題解決のための本当の学際的「共同研究」のあり方について,読者の方々が深い思いを寄せる機会となれば幸いである.(編集委員長吉野諒三)本稿は公開インタビューとして行われた第2 回分をまとめたものである.事前に告知したタイトルは「共同研究の意義と方法:統計学者の立場から」であった.テープ録音を高橋が文章に起こし,林先生自身が一度目を通され,テープの余白部分の追加・加筆,録音時に不明だった点や表現,人名の確認などといった修正・補足をしていただいている.なお,一連のインタビューは,実は当初から3 回分を予定していたわけではなく,この2 回目の「共同研究」というテーマは林先生自身から発案があったものである.「日本人の読み書き能力調査」をはじめ数多くの共同研究に関わり,その中で数量化理論等が創り上げられていったことを考えれば納得できるテーマ設定である.様々な調査や研究の経験については,それまでにも書かれたり話されたりする機会は少なくないのに対し,共同研究という切り口からのものはほとんどない1.内容は大きく3 つのパートに分けられる.冒頭ではまず共同研究とはどのようなものかについて語り,続いてその背景となった個人の研究史や共同研究の経験について触れている.そのうえで,共同研究はどうあるべきかについて言及している.その内容は研究そのもののあり方にも及び,3 回の中で最もメッセージ色が強いものともなっている.あらためて整理していると,統計学さらには「データの科学」の発展には共同研究が欠かせないのだという強い思いが,この発案にあったことを感じる.(なお,以下,全体を通じて,林文編集顧問と吉野編集長が論文誌の体裁に整備してある.脚注の中で,(T)及び(Y)はそれぞれ高橋と吉野による注釈を示す.)(高橋正樹)
著者
本庄 需 野口 佳裕 川島 慶之 高橋 正時 喜多村 健
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-118, 2015 (Released:2017-03-01)
参考文献数
20

鼓室型グロムス腫瘍は、本邦では1956年に初めて報告された比較的まれな疾患である。今回、2006年5月から2013年12月までに鼓室型グロムス腫瘍と診断され、当科にて外科的治療を行った4例について検討を行った。患者は全例女性であり、年齢は46~74歳であった。自覚症状として、全例で拍動性耳鳴がみられ、3例では難聴が認められた。全例で術前の塞栓術を施行せずに手術を行い、出血量をコントロールして腫瘍を摘出しえた。良好な視野とワーキングスペースを確保しながら少ない出血量で腫瘍を完全摘出するためには、(1) 術前の画像所見から推測される進展範囲に基づいた適切な術式選択、(2) バイポーラ型電気メスによる腫瘍の縮小、(3) 栄養血管の電気的焼灼が有用である。
著者
茂木 伸之 吉川 徹 佐々木 毅 山内 貴史 髙田 琢弘 高橋 正也
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2022-0018-CHO, (Released:2023-09-05)
参考文献数
28

日本では教員の長時間労働や精神疾患による病気休職者数が減少していない状況である.本研究は,過労死等の重点業職種である教職員に該当する義務教育教員の多くを占める公立小中学校教員の公務災害の過労死等防止対策に資する課題抽出を目的として,公務災害として認定された過労死等の負荷業務の特徴について検討した.対象は2010年1 月から2019年3月までに公務災害に認定された全392件(脳・心臓疾患事案146件,精神疾患等事案246件)の内,教員88件(脳・心臓疾患事案52件,精神疾患等事案36件)とした.その結果,脳・心臓疾患の100万人当たりの発症件数は男性が80%を占め,男女の疾患名では脳内出血が最も多かった.精神疾患等は,100万人当たりの発症件数は男性が多く,疾患名はうつ病エピソードが最も多かった.学校別の件数は,脳・心臓疾患は中学校で多く,精神疾患等は小中学校それぞれ半数であった.脳・心臓疾患事案では,負荷業務として「部活動顧問」が最も多く,長時間労働を認定要件とする事案に影響を及ぼした.精神疾患等では,業務による負荷の「住民等の公務上での関係」における保護者によるものが最も多かった.負荷業務である「部活動顧問」,「住民等の公務上での関係」の課題を解決することが,公立小中学校教員の過労死等防止対策のひとつになると考えられる.
著者
佐藤 光雄 高橋 正嗣
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-6, 1968-11-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9

1. ひげを先端から約1/2のところで切断すると, 18時間後には傷口は表皮によって完全におおわれ, 中心血管の切り口も血塊栓によってふさがれてしまう。2. 切断後5日目になると, 切断端付近の表皮下間隙の大半を領していた血塊と, 上記の血塊栓は次第に吸収され, これらの部分は結合組織由来の細胞によって占められる.この細胞群が再生芽とみなされる。3. 平滑筋層の再生は主として再生芽細胞の平滑筋細胞への分化によって起り, これに既存の平滑筋細胞の分裂が一部あずかっている.4. 中心血管の再生は, 既存の内皮細胞の分裂増加によらず, 再生芽細胞の内皮細胞への分化にもとづくものと考えられるが, 今後なお検討の要がある.5. 再生部の表皮に終末球が出現する時期は切断の10日目以後であり, 25日目には再生部の組織構造が正常部のそれとほぼ等しくなる.再生部の伸長速度は1日あたり平均0.06mmであった.6. 本種では, 再生部付近の表皮はもちろん, 結合組織にも分裂像が明らかに認められる.
著者
岩崎 ちひろ 渋谷 正人 石橋 聡 高橋 正義
出版者
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション
雑誌
北海道大学演習林研究報告 (ISSN:13470981)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.21-30, 2015-03

カラマツ人工林の長伐期施業に必要な条件を検討するため、北海道十勝地方の54~80 年生のカラマ ツ人工林20 林分で林相の特徴を把握した。また、長伐期化する林分に重要な風害抵抗性に着目し、耐風 性の指標としてよく用いられる形状比と樹冠長率を検討した。その結果、密度や蓄積、収量比数が小さく、疎仕立て状の林分が多かった。平均形状比は68~90、平均樹冠長率は.42~ 0.62 であった。既存研究で風害抵抗性が高いカラマツ人工林は、平均形状比が70 未満、平均樹冠長率が0.45 以上とされているが、本研究の結果では、樹冠長率は既往の値と一致した が、形状比は一致しなかった。このことから、樹冠長率は風害抵抗性を指標する樹形要素として汎用性が高い可能性があると考えられ、その場合平均樹冠長率が0.45 以上であることが カラマツの長伐期林に必要な条件と仮定された。そこで、この仮定に基づいて平均樹冠長率0.45 以上を維持する密度管理方法を検討した。その結果、Ⅰ等地では、収量比数を25 年生 時に0.8 以下、30 年生以上では0.6 未満で管理する必要があり、また林齢にともなって、さらに収量比数を小さく疎な状態に維持しなければならないことが明らかとなった。