著者
星 文彦 山中 雅智 高橋 光彦 高橋 正明 福田 修 和田 龍彦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.43-48, 1992-01-10 (Released:2018-10-25)
被引用文献数
17

椅子からの立ち上がり動作の運動学的解析を行い,各筋群の機能的役割を考察した。計測方法 : ビデオ,床反力計,表面筋電図,及び殿部の離床を記録するためのマットスイッチ(自作)を用いて椅子からの立ち上がり動作を記録した。またビデオ,床反力計,表面筋電図は自作のトリガー発信器を用い同期記録した。分析結果 : 床反力は,動作開始直後下降,その後急上昇し,姿勢及び重心位置の変化を忠実に反映していると思われた。またその時の筋活動から立ち上がり動作開始時に体幹を前傾させることと重心位置を前下方へ移動させる原動力となっている筋群として縫工筋,大腿直筋さらに前脛骨筋が重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
重永 英年 長倉 淳子 高橋 正通 赤間 亮夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース 第114回 日本林学会大会
巻号頁・発行日
pp.444, 2003 (Released:2003-03-31)

高CO2濃度は植物の成長を促進するが、その程度は栄養状態に左右され、特に窒素が十分でない場合には高CO2の効果が低減することが知られている。CO2濃度上昇が植物の生育におよぼす影響を評価する際には、窒素と高CO2濃度との相互作用を実験的に明らかにするとともに、自然環境下では、植物がどのような窒素の栄養状態にあるのかを把握する必要がある。また、温暖化にともなう気温の上昇は、土壌の養分環境を変化させ、植物の栄養状態に影響をおよぼす可能性が予想される。 葉の窒素含有率は、植物の生育にとって窒素の過不足を表す指標として利用され、光合成速度と密接な関係があることから、モデルのパラメータとして用いられることも多い。本研究では、全国から採取されたスギ針葉の窒素含有率を調べ、平均値とその度数分布を明らかにし、窒素栄養の状態を評価すること、温度環境と針葉窒素含有率との関係を検討することを目的とした。 窒素含有率の測定には、1990年から1994年にかけて林野庁によって行われた「酸性雨等森林被害モニタリング事業」で採取されたサンプルを用いた。上記事業では、全国を20km×20kmのメッシュに区分し、陸地が全体の4分の1未満の場合等を除いた1,033の地理区画ごとに調査地が設定され、林分調査、雨水、土壌の成分分析等が実施された。各地点では、原則として、調査地内の優勢木を対象とし、8月から10月の期間に樹冠上部の当年葉が採取されている。スギ針葉は、香川県と沖縄県を除く45都道府県の500以上の地点から採取された。調査林分の林齢は20から40年生が約8割を占める。針葉の窒素含有率は、CNコーダを用いて定量した。 各調査地の表層土壌の窒素含有率、同C-N比については上記事業のデータを、年平均気温についてはメッシュ統計値(気象庁監修 (財)気象業務支援センター,1996)を利用した。531地点の針葉窒素含有率の度数分布は、正規分布型を示し、平均値は14.0mg gDW-1、標準偏差は2.4mg gDW-1であった。スギ壮齢林の場合には、針葉の窒素含有率が12mg gDW-1未満で成長不良、15mg gDW-1以上で成長良との報告がなされている。本結果では、針葉の窒素含有率が15mg gDW-1以上の地点は全体の3割以上を占め、12mg gDW-1未満の地点は2割に満たない。調査地の設定にあたり、生育不良な林分は選定されていない可能性があるが、針葉の窒素含有率から判断すれば、窒素が大きく不足しているスギ林は多くはないと考えられる。また、スギ苗木では、針葉の窒素含有率が約15mg gDW-1までは光合成速度は増加するが、それ以上では飽和することが知られている。針葉窒素含有率のモードは14から15mg gDW-1にみられ、この値は光合成にとって過不足の無い最適な窒素含有率に近かった。 表層土壌のC-N比を4水準に区分し、各区の針葉窒素含有率を比較すると、C-N比が高い区では針葉の窒素含有率が低い値をとった。年平均気温によって区分した場合は、針葉の窒素含有率は、9.5℃未満の地点では13.6mg gDW-1、14.5℃以上の地点では14.2mg gDW-1と、年平均気温が低い区で値が低い傾向がみられた。低温環境では、表層土壌の窒素含有率、同C-N比が高い値を示しており、土壌有機物の分解が抑制され、窒素の可給性が低いことが、上記の結果と関係していると考えられる。このように、温度環境に対して針葉の窒素含有率は変化する傾向があるものの、その変化量自体は非常に少なかった。温暖化による気温の上昇により土壌の養分環境が変化したとしても、スギ針葉の窒素含有率は大きくは変化しないことが予想される。
著者
武井 秀仁 齋竹 隆貴 高橋 正人
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.215-223, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
10

When performing sensory evaluation, it is necessary to consider not only using a lot of time and cost but also human factors such as stress of subjects. This study focused on solution viscoelasticity and peel force. In order to link above properties with sensory values, we performed sensory evaluation for subjects to various samples with different properties. The obtained sensory values were averaged to exclude influences of individual differences, and the correlation between the obtained sensory values and measured properties was investigated. As the results, high correlation was obtained between sensory properties about “moist”, “refresh”, “smooth”, and “sticky”. Also, high correlation was obtained between sensory properties about “sticky” and “skin familiarity” and the maximum value of peel force measured during 50 cycles of measurements. Therefore, when evaluating skin feeling of skin toner, it may be possible to substitute skin feelings to the evaluation of solution viscoelasticity and maximum peel force.
著者
高橋 正樹 岸野 洋久
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-60, 2001-03-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
13

人生の各段階で私たちはさまざまな出来事(ライフイベント)に遭遇する。困難な状況下における人の意識や行動(対処)の様式は、イベントの有無や置かれた環境のみならず、幼児期から現在にいたる個人の人生経験にも大きく影響される。そして、この対処が続く人生の行動様式を形作って行く。こうした人生の長期にわたる履歴をはかる手法として、詳細な口述記録に基づくライフヒストリー研究や人生のある側面を投射した記録を繋ぎ合わせて行くライフコース研究がある。本稿では、集団解析を通じて、記憶化された人生の出来事の持続時間と他の出来事による置き換わりの過程を定量化することを試みる。目黒区住民を対象とした質問紙調査から、結婚や親の死、子の誕生などが強い出来事として記憶化される、という全体の傾向を明らかにした。ライフコースに添った思い出の置き換わりが見られるが、女性に比べ男性の方が置き換わりの程度が大きいこと、置き換わりは職業上の出来事の記憶化によって促進されること、通常の人生軌道では予期されていないような出来事は長期にわたり記憶化される傾向があることなどが明らかになった。また、集団の探索的解析により「戦争体験」といった同時代経験の重みを量的に位置づけることができた。人生の実証分析というテーマの中に、質的アプローチと量的アプローチの統合への可能性を読み取ることが期待される。
著者
高橋 正紘
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.195-199, 2021-06-30 (Released:2021-08-04)
参考文献数
18

To clarify the dynamic changes in the membranous lesions of Meniere's disease, the effects of aerobic exercise on different symptoms were analyzed. Out of a total of 351 patients with Meniere's disease who performed aerobic exercises for 6 months or longer who were enrolled, 338 showed improvement of one or more symptoms: disappearance of vertigo in 97.6% of cases; complete resolution of ear fullness in 60.1% of cases; improvement of hearing impairment in 38.5% of cases; complete resolution or marked decrease of tinnitus in 29.6% of cases. On the other hand, complete recovery of hearing was noted in 29.5% of the 78 patients with low-tone loss, 12.5% of the 96 patients with high-tone loss, and only 4.1% of the 170 patients with hearing loss across all frequencies. More than half of the patients with high-tone hearing loss and hearing loss across all frequencies failed to show any change in the degree of hearing loss. Considering the findings of temporal bone pathology, it seems probable that the Reissner's membrane, being ballooned and highly distended by endolymphatic hydrops, disturbs conduction of low-frequency waves by the perilymph, and the membrane, once it loses tension, is not resonant with either high-frequency waves or indeed waves of any frequency. Although aerobic exercise is effective to cure hydrops and improve membranous tension by activating homeostasis, its effect worsens with decreasing membranous tension.
著者
高橋正雄著
出版者
読売新聞社
巻号頁・発行日
1970
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.862, 2002-09-10

昭和7年に発表された宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』は,主人公のグスコーブドリが,凶作を未然に防ぐために自らを犠牲にして火山を爆発させるという物語であるが,そこには,農民のために自己犠牲的な人生を生きた賢治自身の人生が投影されている.この作品は,火山局に勤める27歳の青年ブドリがさまざまな技術で農民の収穫を増やし,最後には自らの命を投げ出して冷害を防ぐという設定になっており,特に,両親を早く亡くして3歳年下の妹と二人だけが生き残る形にしていることには,農民を救う自らの晴れ姿を妹に見せたいという賢治の思いをうかがうことができる.賢治は,24歳で亡くなった2歳年下の妹トシのことを誰よりも愛していたのであり,グスコー・ブドリとネリという兄妹は,ミヤザワ・ケンジとトシという兄妹の相似形になっているのである.(ブドリとネリが10数年の別離の後に再会するという設定も,当時既に死の床にあった賢治の,10年前に亡くなったトシと来世で再会したいという願望の現れと見ることができる.)
著者
高橋 正雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1200, 2006-12-10

1921年(大正10年),島崎藤村が49歳の時に発表した『ある女の生涯』は,その前年に東京の精神病院で死亡した長姉そのをモデルにした小説である.藤村の長姉は,統合失調症を思わせる病のために根岸病院に入院し,65歳で亡くなるのだが,『ある女の生涯』にはこの長姉が示したであろうさまざまな精神症状が描かれている.なかでも印象的なのは対話性幻聴を思わせる表現で,この作品には,主人公おげんの内面に関する次のような描写がみられる.「おげんの内部にいる二人の人がいつの間にか頭を持ち上げた.その二人の人が問答を始めた.一人が何か独語を言えば,今一人がそれに相槌を打った」. 藤村は対話性幻聴を思わせる会話を,おげんの内面に定位させる形で描いているのである.しかも,おげんの内部にいるという二人の間では,「熊吉はどうした.熊吉はいないか」「いる」「いや,いない」「いや,いる」とか,「しッー黙れ」「黙らん」「なぜ,黙らんか」「なぜでも,黙らん」といった,対立的・論争的な会話が交わされている.こうした対立性・論争性は対話性幻聴の特徴であって,そうした特徴を藤村は「同じ人が裂けて,闘おうとした」と表現しているが,『ある女の生涯』には,このほかにも対話性幻聴を思わせる次のような会話が描かれている.「俺はこんなところへ来るような病人とは違うぞい.どうして俺をこんなところへ入れたか」「さあ,俺にも分からん」(中略)「お玉はどうした」「あれは俺を欺して連れて来ておいて」「みんなで寄ってたかって俺を狂人にして,こんなところへ入れてしまった」.
著者
高橋 正行 長見 真
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.258_1, 2018

<p> 短縄跳び運動は、学習指導要領の体つくり領域に例示されていることから、小学校の体育授業で盛んに取り組まれている運動である。体育を専門としない教員が多い小学校では、短縄跳び運動を指導する際、児童の意欲を高めるために「縄跳びカード」がよく用いられる。使用されているカードには多様な技が掲載されているものの、縄跳びの技を系統的に身に付けるようになっていないと推察される。したがって子供たちは体育の授業で前回し跳びの学習の後、前回し交差跳び、次は二重跳び…など、技の系統に無頓着に取り組みがちで、効果的に技を身に付ける学習になっていないことが考えられる。本研究では、短縄跳びの技の体系を先行研究の成果から整理した上で、小学4年生を対象に、多様な技の中から背面交差跳びを取り上げ、運動類縁性に基づいて指導した実践について報告する。指導後、21名中11名が1回以上背面交差跳びを成功させ、そのうち5名は2~3回連続で跳ぶことができた。運動類縁性に基づいた指導をすることで、背面交差跳びという児童にとってなじみのなかった技でも習得可能であることが示唆された。</p>

1 0 0 0 OA 馬道新書

著者
高橋正照 著
出版者
敬業社
巻号頁・発行日
1889
著者
高橋 正行 吉満 樹 廣木 武士 松田 保 豊田 一成
出版者
びわこ成蹊スポーツ大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13489399)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-72, 2007-03-15

The objective of this study is to establish clear targets in physical training with the BiwakoSeikei Sport College Football Club(BSSCFC)Soccer Team by measuring various physicalparameters. Subjects of this study are 139 soccer players in BSSCFC as of April 2006 whocompleted the cardiopulmonary exercise test and measurement of body composition.. Theexercise test was by Treadmill with graded load until target heart rate or leg fatigueoccurred with expired gas analysis. We statistically analyzed all data by academic year, team,and position. Football players of BSSCFC had lower maximum oxygen consumption(VO2max)and higher percentile body fat compared with most world competitive football players. WithinBSSCFC, I team players had higher body fat than top team players. Centerback players weretaller and sidehalf players were shorter in height compared with the total average.Goalkeepers and centerback players were heavier. The top team players had higher VO2max, VO2max/kg, and ATge/kg values than the total average. Regarding the energyefficiency parameter, VO2/time was better in the top team and worse in the U-23+Lago team.In conclusion, the major comparative gap between world competitive football players andBSSCFC soccer players were the latter had(1)lower VO2max and(2)higher body fat,while the top team had the best value within BSSCFC.
著者
高橋 正彦
出版者
横浜国立大学経営学会
雑誌
横浜経営研究 (ISSN:03891712)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3・4, pp.31-49, 2006-03-15
著者
神沼 克伊 高橋 正義
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.75-83, 1975-12

1973年9月,第14次越冬隊により,上下動1成分の地震計を用いた地震観測がみずほ観測拠点で行われた.観測条件の悪い南極の内陸基地での地震観測の試みは南極点基地以外には例が無いと思われる.基地内の人工的雑音などのため十分な観測ができなかったが合計210時間の間の記録をとることに成功し多くの氷震を観測した.その結果,この地域では気温が-35℃以下で,その変化の割合が1時間に-2.5℃以下,または-1℃/hourが数時間続く時には例外なく氷震が発生している.
著者
高橋 正樹
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社会科学研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.59-74, 2003
被引用文献数
2

人の意識や行動様式を規定するのは,属性や置かれた環境だけではなく,個々人の出来事の経験とその積み重ねとしての人生経験である.しかし,量的な調査において,ライフヒストリーに代表される質的調査が主導してきたこうした視点を欠きがちであった.本論文では,量的な手法を活かしつつ,この人生経験をとらえる手法としてライフイベント研究をとりあげた.個々の出来事経験はモノのように記憶の中で出し入れされたりするような固定されたものではなく,記憶化される中で変容していく動的な特徴をもつ.自伝的記憶のこうした特徴を,その形成過程にまで視野を広げて実際の調査データを基に考察した.分析において,より影響力の強い出来事経験と出来事経験への感度という視点を提起し,自伝的記憶形成モデルとして,職業・仕事を軸としたモデルと(男性に多い),家族の出来事への配慮を軸としたモデル(女性に多い)をとらえた.
著者
高橋 正泰 大野 博之
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.329-340, 2005-01-31 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
2 2

発達の早期から他者に対する自発的なかかわり行動が乏しく、目線が合わないなどの特徴を有し、自閉症が疑われた男児に対して早期介入を行った。本事例においては、フリー・オペラント技法を適用し、自発的に他者へ働きかける行動の形成を目指した。従来の技法に、構造化および強化遅延手続きを加えることによって、自発的なかかわり行動の頻度は増加し、セッション中に他者と相互交渉をもって過ごす時間が長くなった。また、自発的な働きかけ行動の質に関しても分析を行った結果、セッション開始時には物や物に関連する行為の要求がほとんどであったが、セッションの進行にしたがって、他者との身体接触や身体接触を通した遊びの要求へと変化していった。また、このような自発的なかかわり行動の増加に伴い、自閉的な特徴に関しても変化がみられた。これらの結果から、フリー・オペラント技法を用いた早期介入の効果、自閉症的特徴の変化に影響を及ぼす要因について検討を加えた。
著者
伊藤 翔子 高橋 正倫 石川 大
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1077-1081, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

近年の腸内細菌分析法の発展により,腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)と様々な疾患との関連が明らかになってきた.潰瘍性大腸炎(UC)もdysbiosisの関与が疑われる疾患の一つであり,dysbiosisを是正する手段として便移植(FMT)に注目が集まっている.しかし,UCに対するFMTの有効性は未だ確立されていない.本稿ではUCに対するFMT,特に抗菌薬療法(AFM療法)をFMTの前治療として併用する抗菌薬併用便移植療法(A-FMT)について概説する.