著者
吉田 詩織 佐藤 冨美子 田上 恵太 霜山 真 高橋 信
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.99-108, 2021 (Released:2021-03-24)
参考文献数
26
被引用文献数
1

研究目的は,遠隔看護によるがん疼痛モニタリングシステムのパイロットユーザビリティ評価である.方法は,外来進行がん患者と医療者各10名にシステム使用後にWeb Usability Scale(WUS)と自由記述を用い評価した.WUSの7項目中「構成のわかりやすさ」および「内容の信頼性」がよい評価を得られ,「操作のわかりやすさ」,「見やすさ」,「反応性」,「役立ち感」,「好感度」はよい評価を得られなかった.自由記述では,システムはがん疼痛セルフマネジメントを高める評価,運用拡大への要望と社会面への課題が示された.患者のユーザビリティ改善が課題であり,効果検証では十分なオリエンテーションが必要である.
著者
岩元 凜々子 佐久川 裕行 宮城 拓也 山口 さやか 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.22-25, 2021

<p>特に既往症のない 79 歳,男性。四肢に環状の紅斑が出現し,その後,胸痛,多発関節炎,有痛性皮下結節,発熱,リンパ節腫脹,上強膜炎が次々に生じ,最終的に,初発の皮膚症状の 4 カ月後に生じた耳介腫脹により,再発性多発軟骨炎の診断に至った。気道や心病変は合併しておらず全身状態は良好であるが,ステロイド内服と免疫抑制剤の併用では,いまだ病勢はコントロールできていない。<br>再発性多発軟骨炎は,軟骨組織を主体に多彩な全身性の自己免疫性の臨床症状を呈し,寛解再燃を繰り返す。半数以下の症例に皮疹を伴うが,皮疹自体も多様で特異的なものはない。自験例の様に,軟骨炎や鼻軟骨炎などの典型的な症状がない病期での診断は非常に困難である。</p>
著者
Chowdappa Rekha 長谷川 信美 後藤 正和 小薗 正治 藤代 剛 高橋 俊浩 高木 正博 野上 寛五郎 園田 立信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-156, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
2

幼齢ヒノキ造林地(YF区, 2003年6-9月)および野草地(NG区, 2003年10・11月)に放牧された黒毛和種雌牛の行動とルーメン内性状の特性を明らかにするために、24時間行動観察とGPSによる移動距離測定を各月1回, ルーメン液採取を各区2回行った。採食行動時間は平均537.7±109.8分/日で、Miscanthus sinensis採食割合と正(r=0.436, p<0.05)、Pleioblastus simonii採食割合と負(r=-0.676, p<0.001)の有意な相関を示した.M. sinensis採食割合は、P. simoniiおよびその他の植物採食割合と負(p<0.001)、横臥姿勢割合と正(p<0.05)の相関を示した。放牧期間中の移動距離は5001-6879mであった。ルーメン液中総VFA濃度に大きな変動はみられなかったが、個々の脂肪酸割合には牧区と時期によって変動に違いがみられた。NH_<3^->N濃度はYF区がNG区よりも高かった.総プロトゾア数/mlはYFで放牧初期2.0×10^6から放牧後期3.0×10^5に減少し、NGでは変化は示さず1.0×10^6で、両区ともEntodinium割合が最も高くかった。総バクテリア数/mlは1.4×10^7-8.2×10^8で、cocci (+)とcocco (-)の割合が高かった。この研究において、牛は幼齢造林地と野草地放牧に、行動を変化させ多様な植物を選択することで適応する能力があることが示された。
著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.
著者
古賀 愼 和田 猛郎 北山 淑江 下坂 康哉 竹内 義弥 小川 孝雄 高橋 昭三
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.31, 2004

平成10年に鉱物本館、平成13年に粘土新館が建設され、村立の小さな博物館として牛歩的に活動が続行されている。経済社会が停滞し、国民の間には閉塞感が漂い、未来に希望を失っている状況下、人に重点を置いた温もりのある社会派の博物館運営が渇望されている。これまでの活動内容、現況(特に粘土鉱物試料の収集整理保管・データーベース化、生活と密着した粘土製品の展示)、マネージメントミュージアム、将来ビジョンなどに関してご報告したい。
著者
青山 庄 樋上 義伸 高橋 洋一 吉光 裕 草島 義徳 広野 禎介 高柳 尹立 赤尾 信明 近藤 力王至
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.312-321, 1996-05-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
2

1994年春,ホタルイカを内臓ごと生食後に旋尾線虫幼虫type Xによると思われる急性腹症を呈した10例を経験した.症状では,全例に腹痛,9例に嘔気・嘔吐,4例に下痢,6例に腹水を伴った腸閉塞と1例に皮膚爬行疹を認めた.検査所見では,経過中において,全例に末梢血の好酸球増多,9例に血清IgE値増加が認められた.ホタルイカ内臓の約3%に旋尾線虫幼虫type Xが寄生しているとの報告から,その抗体価を測定したところ,9例中7例で陽性を示した.1例では,腹膜炎の診断で回腸部分切除術が行われ,組織学的に,局所的なびらんと粘膜下層内に著明な好酸球とリンパ球浸潤を伴う炎症所見が認められたが,9例は保存的治療で軽快した.
著者
小出 瑞康 関崎 敬広 山田 修一 高橋 勉 白樫 正高
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.77, no.775, pp.702-714, 2011 (Released:2011-03-25)
参考文献数
11
被引用文献数
5 4

The target of this research is to develop a micro electric power generator for a low cost small river monitoring device. First, the power generation by VIVs, its efficiency coefficient and the optimum condition of the generator were estimated from energy balance analysis based on the assumption that VIVs can be regarded as a resonance oscillation of a linear system. Second, water tunnel experiments were carried out and it was confirmed that the trailing vortex induced vibration (TVIV) occurs on a cruciform circular-cylinder/strip-plate system over a velocity range about 15 times wider than that of Karman vortex induced vibration (KVIV). Finally, power generation experiments were carried out by utilizing TVIV. The generator circuit consists of coils mounted on the circular cylinder vibrated by TVIV and magnets fixed on rigid supports. The generator is shown to extract energy from the water flow in the same way as a viscous damper over the expected velocity range. Although the efficiency coefficient of TVIV is lower than that of KVIV, it is more appropriate for natural rivers of which flow velocity changes greatly.
著者
高橋 公海 草野 孔希 川崎 仁史 秦 崇洋 倉沢 央
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.2G4OS21b4i, 2014

<p>センサデータから行動や状況を理解する研究は行われているが,認識率や有用性向上には大規模に実データを収集する必要がある.我々は今回,データ収集のための仕掛けとしてリアル脱出ゲームをモチーフとしたイベントを実施した.参加意欲向上と,持ち歩く複数センサを気にさせないためにゲーム性を盛り込んだ.イベント後のヒアリングから,参加者のほぼ全員が楽しんでおり,センサ類も気にさせずにデータを収集することができた.</p>
著者
中山 裕司 高橋 浩二 宇山 理紗 平野 薫 深澤 美樹 南雲 正男
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.163-174, 2006-06-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
23
被引用文献数
2

音響特性による嚥下障害診断の重要な手掛かりとなる嚥下音について, その産生部位や部位に対応した音響特性は明らかとされていない.そこで嚥下音の産生部位と音響特性を明らかにする目的で, 画像・音響分析プログラムを新たに構築し, 健常者を対象として嚥下音産生時の造影画像と嚥下音音響信号データの同期解析を行った.対象は健常成人12名で, 各被験者8嚥下ずっ計96嚥下にっいて食塊通過時間の測定, 食塊通過音の識別と出現頻度の解析, および最大ピーク周波数の評価を行った.食塊通過時間は喉頭蓋通過時間 (121.7±92.4msec), 舌根部通過時間 (184.8±70.6msec), 食道入口部通過時間 (342.9±61.1msec) の順で長くなり, 舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音および食道入口部通過終了音が識別された.このうち喉頭蓋通過音が最も出現頻度が高く (96嚥下中94嚥下), 嚥下ごとの通過音の出現状況では舌根部通過音, 喉頭蓋通過音, 食道入口部通過開始音, 食道入口部通過途中音の4音が出現するパターンが96嚥下中22嚥下 (22.9%) と最も多くみられた.また最大ピーク周波数の平均値の比較では食道入口部通過開始音 (370.7±222.2Hz) が最も高く, 続いて食道入口部通過途中音 (349.1±205.4Hz), 舌根部通過音 (341.2±191.3Hz), 喉頭蓋通過音 (258.6±208.2Hz), 食道入口部通過終了音 (231.2±149.8Hz) の順であった.本研究により嚥下音の産生部位と産生喜附に対応した音響特性が明らかとなった.
著者
内藤 千尋 田部 絢子 石川 衣紀 石井 智也 池田 敦子 柴田 真緒 能田 昂 田中 裕己 高橋 智
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and Studies in Education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.109-116, 2020-11-30

本稿では、筆者ら「北欧福祉国家における子ども・若者の特別ケア」研究チーム(代表:髙橋智日本 大学教授・東京学芸大学名誉教授)が調査したフィンランドのユースセンター「ハルユユースセンター (Harjun Nuorisotalo)」「ヌメラユースセンター(Nummelan nuorisokeskus)」(2019年9月)および「ヴァ モス・エスポー(Vamos Espoo)」の取り組みの紹介を通して、多様な発達困難を有する若者支援のあ り方を検討した。若者向けの発達支援の一つであるユースセンターの特徴は、若者の支援ニーズに丁 寧に寄り添う専門家やピアの存在により、ユースセンターが若者の居場所や安心できる環境となって いることである。日本の若者支援においても事後対応的支援ではなく、地域での早期・予防的支援と しての居場所づくりや支援内容の検討が課題である。
著者
柴柳 敏哉 水嶋 賢造 高橋 誠 池内 建二
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.109, 2009

摩擦攪拌スポット接合法ならびに摩擦攪拌接合法により2024/7075アルミニウム合金異材接合材を作り,接合部の組織を光学顕微鏡ならびに走査電子顕微鏡法により解析した.回転数が400回転の場合にはオニオンリングの形成を伴わない接合界面組織が現れることを塑性流動との関連において議論する.
著者
高橋 利禎 小林 敏彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.839-844, 1988
被引用文献数
1

いろいろの条件の下に調製されたポリビニルステアラート (PVS) の構造を透過電子顕微鏡法で研究した. 次のような結果が得られた. (1) 0.3%の高分子を含むクロロホルム溶液より水面または炭素膜上に室温でキャストして薄膜を作成した. 水面上では直径約nmの微粒子よりなる不定形な構造が形成されたが炭素膜上ではフィブリル状の構造が形成された. 電子線回折法 (ED) による研究により, PVSの側鎖は親水性の基盤 (水) 上には垂直に, また疎水性の基盤 (炭素) 上には平行に配列していると推定された. (2) PVSを疎水性基とともに極性基を持つ溶剤 (オクタノール, ニトロベンゼン, シクロヘキサノール, ベンジルアルコールなど) に60℃で溶解させ. その溶液を冷却して形成されるPVSの構造を検討した. PVSは球殻, しわのある円盤, 花弁のような結晶を形成したが. それらは側鎖がその表面に対し垂直に六方充てんした球殻状構造に由来するものと考えた.