著者
齊藤 充弘 佐藤 凌真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.197-203, 2022-09-09 (Released:2022-09-09)
参考文献数
8

本研究は,若者の流出がより深刻である福島県いわき市を対象として,中高生のまちに対する意識と日常生活行動の実態を明らかにすることを目的とするものである。アンケート調査の実施と分析の結果,中高生は日常の買い物をする場や休憩をしたりボール遊びをしたりすることができる公園や運動施設などが身近に不足していると評価している。買い物については主要な拠点の中高生は自地区内で,周辺拠点の中高生は近隣の主要拠点で行動していること,遊びの主な行動先は都心拠点と広域拠点が中心となっており,高校生は公共交通機関が繋がる拠点のほうを利用していることがわかった。また,「ずっと住み続けたい」という評価は就業者と比較すると回答割合が低く,条件次第で住み続けたいという回答割合が高いため,不足していると評価する施設等の整備が居住地区内や公共交通機関でアクセスできる地区に必要である。さらに,「ずっと住み続けたい」という居住意向が高いほど「住みやすい」と評価しており,「住みやすい」というまちの評価が高いほど市内の施設を利用する傾向にあるため,地区単位での身近な生活環境整備を積み重ねていく必要がある。
著者
齊藤 真弘 及川 圭介 内山 志保 猪股 芳文 安倍 修 笹野 公伸
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.7, pp.1272-1280, 2013 (Released:2013-07-05)
参考文献数
23
被引用文献数
2

われわれは極めてまれな胃原発未分化多形肉腫を経験した.症例は74歳女性で,腹部不快感を主訴に受診した.CT上,13cm大の胃粘膜下腫瘍および肝・骨転移を認めたが,これらは8カ月前には認めていなかった.間葉系腫瘍を疑いEUS-FNABを行ったが,免疫染色はすべて陰性であり,c-kitやPDGFRαの遺伝子変異も認めなかった.その後も腫瘍は急速に増大し2カ月後に死亡した.剖検病理所見も同様で未分化多形肉腫と診断された.
著者
松村 剛 齊藤 利雄 藤村 晴俊 佐古田 三郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.211-217, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
18
被引用文献数
20 22

呼吸管理や心筋保護治療により,Duchenne型筋ジストロフィーの生命予後はいちじるしく改善したが,心機能障害の遷延により循環動態の脆弱性が課題となる.われわれは,最近心機能指標が比較的保たれたまま腎不全で死亡した症例を6例経験し,本症における腎機能障害に関心を抱いた.筋萎縮症例ではcreatinineが低下するため,筋量に影響されないcystatin CをもちいてDMD 103例を評価したところ,30歳以上の患者では3割以上が異常値を示し,貧血と腎機能障害の関連も示唆された.本症の医療管理では心腎貧血連関に留意すべきで,適切な水分バランスや貧血に対する積極的治療などが必要と思われる.
著者
田内 亮吏 川上 紀明 小原 徹哉 齊藤 敏樹 馬場 聡史 森下 和明 山内 一平
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.1285-1290, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
9

側弯症矯正手術後におけるインプラント抜去に関する報告は散見されるが,主にフックを使用した症例の報告であり,近年のペディクルスクリューを主体とした矯正術後のインプラント抜去に関するまとまった報告はない.今回,特発性側弯症に対するインプラント抜去の手術成績およびアライメント変化の評価を行った.2005年から2018年までに抜釘術を施行した126例について手術成績を評価,術後2年以上経過しえた53例について冠状面および矢状面アライメントを評価した.合併症発生率は約11.9%で,1例に術中骨折,3例に術後骨折が発生した.抜釘術後の主カーブCobb角の矯正損失平均2.8度で,胸椎後弯角の増加は平均6.6度であった.頚椎前弯,T1 slope角,SVAも有意に変化していた.10度以上の主カーブCobb角の増加症例が3.8%に対し,胸椎後弯の増加は18.9%と,抜釘術は矢状面アライメントにより影響していたことが示唆された.こうした結果を踏まえ,本人および家族に抜釘術の問題点などを十分に説明した後に抜釘術を考慮する必要がある.
著者
織原 幸一 齊藤 嘉久 中村 英夫 押立 貴志
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.191-199, 2017 (Released:2019-10-01)

我が国の鉄道は,1872(明治 5)年 10 月 14 日に開業した.鉄道の創始国であるイギリスよりも 47 年 遅れての出発であったが,2022 年には開業 150 年を迎える.その間,「安全と信頼」に対する先達の英 知と努力が脈々と受け継がれ,今日の我が国の安全・安心な鉄道を支えている.鉄道創成期における先 見性に満ちた技術的な選択や辛苦,新しい技術を積極的に導入してきた経緯を含め,我が国の鉄道信号 における安全性・信頼性技術の変遷について述べる
著者
益川 弘如 白水 始 齊藤 萌木 飯窪 真也 天野 拓也
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-44, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
29

一つの文章を複数の要素に解体・再構成して全体を捉える「積極的読み」は大学生活で必須の認知活動だが,その難しさゆえに大学入試で問われても入学志望生はテストワイズネスを利用した浅い処理で対処しがちである.本研究は,解決過程の制御と記録というCBT の利点を生かし,積極的読みを求める典型としての東大入試国語問題を対象に,問題文全体の読解・要素抽出・関連付けを促すCBT を開発,統合的課題解決に及ぼす効果を検証した.この「改変版」と入試問題をCBT に移し替えた「従来版」を用意し,積極的読みの経験が異なる二層の参加者計79 名で実験を行ったところ,読解経験の少ない中堅大学生では従来版の統合課題成績が改変版を上回り,進学校生ではそれが逆転する有意な交互作用が得られた.設問解答とログ分析から,同程度の成績でも中堅大学生の従来版では傍線部付近の書き写し,進学校生の改変版では自らの言葉による再構成が把握でき,CBT の読解支援・評価両面の可能性がうかがえた.
著者
二階 哲朗 齊藤 洋司
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.557-562, 2007 (Released:2007-10-06)
参考文献数
39

レミフェンタニルは, その薬理作用から鎮痛を主体にした手術麻酔管理が可能となる画期的なオピオイドである. しかしレミフェンタニルの超短時間作用性を考慮した場合, 麻酔からの覚醒や呼吸状態の回復は速やかであるが, その一方, 術後疼痛管理には注意を要する. 局所麻酔薬とフェンタニルやモルヒネを併用した持続硬膜外鎮痛やintravenous patient controlled analgesia (ivPCA) 法は, レミフェンタニル麻酔後の安全かつ効果的な術後鎮痛方法である. 麻酔中の疼痛管理から術後疼痛管理への適切な切り替え方法が重要となる.
著者
本多 拓実 齊藤 寛人 脇坂 崇平 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.393-402, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
20

In sports, it is essential to accurately predict the results of others’ actions based on the movements’ characteristics and respond appropriately to them. Previous studies have proposed systems that predict motions using machine learning and present these results to users. However, it remains unclear whether the judgment basis constructed by machine learning is useful for humans to predict movements accurately. This study developed a Neural Network that predicted the kicking direction of soccer penalty kicks and extracted the basis. Also, we tested whether the extracted basis was useful for participants in their predictions. The results showed that participants perceived the extracted basis as valid, even though they had not used it as a strategy at first.
著者
齊藤 豪大 Takehiro Saito
出版者
久留米大学経済社会研究会
雑誌
経済社会研究 = The journal of the Society for Studies on Economies and Societies (ISSN:24332682)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1-18, 2019-09-25

本稿の目的は17世紀中葉から18世紀前半にかけて展開されたスウェーデン漁業政策の一端を明らかにすることにある。とりわけ,同時期に発布された漁業法令や港湾法令の分析を通じて,水産業に対する奨励施策の問題やスウェーデン周辺海域での漁業行為をめぐる問題について上記の法令でどのように取り扱われていたのかを考察した。1658年のロスキレ条約以降に全国的な漁業法制の整備を進めていったスウェーデンは,水産業の発展を目的として漁業事業者・従事者に対して様々な優遇策を行っていった。一方,漁村における治安維持や水産加工品の品質管理に関する法規制の制度設計を行い,王国内における漁業行為の統御を本格的に進めていくこととなった。これらの施策は「スウェーデン人による漁業」の発展を目的とするものであり,18世紀中葉に発生した水産資源変動後の漁業政策にも大きな影響を与えることとなった。
著者
新関 久一 齊藤 直 知久 幸之介
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.161, 2008 (Released:2009-04-14)
被引用文献数
1

歩行運動などのリズミック運動時に運動リズムと心拍リズム間の位相シンクロが発生し,この現象が運動筋への血流確保と関連していることが示唆されている。本研究ではトレッドミル歩行運動時に呼吸と運動リズムの随意的な同期により,心拍リズムと運動リズム間の位相シンクロを自発的に誘発させ,酸素摂取量や換気効率,筋組織酸素動態等から身体システムにおけるシンクロ現象の生理的意義を検討した。
著者
齊藤 豪大
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.254-257, 2020 (Released:2021-10-01)
参考文献数
9
著者
児玉 成未 西河 正行 古田 雅明 齊藤 圭 中村 純子
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.26, pp.98-102, 2016-01-01 (Released:2020-03-18)
参考文献数
7

近年,人の心に関わる臨床心理士は医療・福祉・教育・司法・産業など様々な現場において幅広く活躍している.本研究では臨床心理士訓練途中である大学院生と大学院を修了して数年の臨床経験を経たカウンセラーを対象とし,カウンセリング場面における初心者カウンセラーの特徴を抽出し,それらがどのように作用しているのかを検討した.そして大学院を修了したカウンセラーの特徴を抽出し,初心者カウンセラーとの違いを探索的に検討し,それらの違いを明らかにすることで,臨床心理士養成教育へ提言することを目的とした.その結果,大学院生はクライエントの問題を十分に理解していない,うまく対応できていないと感じていた.また,「自分がカウンセラーとして技量を試されているようなプレッシャー」「中断の恐怖」を感じていた.そして,「今後カウンセラーとして働いていく上で適性が脅かされる不安」が明らかとなり,クライエント,指導教員の期待に応えていない葛藤の背景に,より根本的な適性不安があることが示唆された.しかし,大学院を修了したカウンセラーには大学院生に見られたような特徴は見られなかった.これらのことから,大学院生には「誰に何を期待され,自分自身は何を期待しているのかを考えさせる機会を持たせる」などの「型」への固執を引き起こす要因への配慮なり対策が講じられなければ根本的な解決にはならないことが示唆された.
著者
齊藤 金作
出版者
國士舘大學政經學會
雑誌
國士舘大學政經論叢 (ISSN:05869749)
巻号頁・発行日
vol.1, 1964-06
著者
五十嵐 素子 平本 毅 森 一平 團 康晃 齊藤 和貴
出版者
北海学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は「アクティブ・ラーニング」の導入の影響を考えるために、学習活動の実際やそれが可能になる社会環境的条件、教師に求められる実践力の検討を行うことを目的としている。昨年度は、コロナウイルス感染対策のための学内業務(遠隔講義作成・各種事務対応)の増大や、学校現場における調査ができない状況が続いたため、今年度は現場の教員経験を持つ者を分担者に加えることによって体制の見直しを図った。その結果、新規分担者のアドバイスを得ながら、既存データの事例の検討、分析を進めることができた。その成果はすでに出版社に原稿として提出しており、次年度に出版される予定である。また、新規分担者の参加によって、現場の実践についてより理解が深まり、コロナ禍下での実践上の工夫について知見を得ることができた。具体的には、2021年6月12日(土)日本子ども社会学会(オンライン)においてラウンドテーブルⅡ「子どもの遊びと学びをコロナ禍の下で考える-相互行為とメディアの観点から-」を複数の分担者で企画した。そこでは、学校全体での感染防止対策によって導入された、行動に関わる制限的な規範の変化(黙食、児童同士が直接的な身体接触を避ける)などを、むしろ、新しい実践を導入していくきっかけとして捉えていく子どもたちの様子や、そうした試みを支援していく教師の実践があることが報告された。また、コロナ禍下の学校では、対面でありながら、直接的な身体接触を避けるという規範があるため、身体やコミュニケーションを媒介する、様々なメディア(音楽、相手に渡せる道具や物など)を活用し、そのメディアの性質を積極的に取り入れることで、新しい遊びや流行を創り出す様子がうかがえた。こうした研究は授業実践自体を対象としたものではないが、同様の児童と教師のあり方が授業実践でもみられた可能性があることが示唆された。
著者
磯貝佳輝 齊藤義仰 村山優子
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.347-348, 2011-03-02

動画投稿サイトには膨大な動画が投稿されているが,膨大な動画の中から短時間で自分が興味のある動画を探すのは難しい.各投稿動画の概要がわかるダイジェスト動画を提供することで,ユーザの動画検索を支援することができると考えられる.そこで本研究では,ニコニコ動画に投稿されるような時系列のコメントを分析することで, 各シーンの性質を推定し,ダイジェスト動画に必要なシーンを自動的に選定するアルゴリズムを検討する.必要なシーンに含まれるコメントの特徴と,不要なシーンのコメントの特徴を分析し,コメント数の多いシーンのうち必要なシーンのみを抽出するための手法を提案する.