著者
齋藤 祐介 田久 浩志 齊藤 英一 田中 秀治 植田 広樹 曽根 悦子
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.625-632, 2018-10-31 (Released:2018-10-31)
参考文献数
18

背景:プレホスピタルでは,ショックの早期認知のため出血痕から出血量を推定することがある。しかし,測定方法(OF法)は床や衣類の2種類のみを対象としており,アスファルト舗装(A舗装)と出血痕の関係性についてはわかっていない。目的:A舗装における出血痕と推定出血量について検討する。方法:3種類のA舗装を実験群,OF法を対照群として,模擬血液を用いて出血痕の面積を測定し比較検討した。結果:200mLの出血痕では,OF法を1,800cm2としたとき,密粒度舗装(排水性能なし)は778.5m2で約0.4倍,排水性舗装(排水性能あり)は84.9cm2で約0.04倍の違いがみられた。考察:OF法は簡易的な出血痕測定であるが,A舗装では過小評価のおそれがある。舗装表面の形状と道路種別を評価して測定することで過小評価を防ぐことができる。結論:A舗装の出血痕は,排水性能の有無を評価して出血量を推定する必要がある。
著者
坪見 博之 齊藤 智 苧阪 満里子 苧阪 直行
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18402, (Released:2019-06-20)
参考文献数
139
被引用文献数
4

Working memory (WM) is a capacity-limited cognitive system that strongly relates to higher-order cognitive abilities including fluid intelligence. It has been suggested that WM training can increase memory capacity, which in turn, improves general intellectual abilities. To evaluate these claims, the present review critically re-assessed nine meta-analysis studies, and revealed that the effect of WM training on fluid intelligence (Gf), executive function, and academic performance is relatively small (averaged Hedges’ adjusted g < .20). Moreover, there were several methodological issues regarding the study design (placebo effect, small sample size), analytical approach (inadequate group comparison, lack of correction for multiple comparisons), and theoretical framework (lack of theoretical account of the training mechanisms) in previous WM training studies. We propose a set of recommendations for future training studies that go beyond training the WM ability per se. This includes theoretically possible methods to enhance intellectual abilities by, for example, learning strategies to effectively encode and recall information into long-term memory.
著者
鳥居 淳 石川 仁 木村 耕行 齊藤 元章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.11, pp.537-544, 2017-11-01

ExaScaler社では,省電力スーパーコンピュータZettaScalerシリーズを開発,展開している.最初の世代であるZettaScaler-1.xでは,PEZY Computing社が開発したMIMDメニーコアプロセッサPEZY-SCを採用し,高密度実装を図ったBrickと呼ばれるサーバ集合体を,フッ化炭素系不活性液体をもちいて液浸冷却を行い,高性能,低消費電力,小型化を実現した.本論文では,このZettaScaler-1.xで開発した独自のハードウェア技術とプログラミングに関して解説する.また,現在構築中のZettaScaler-2.0について,磁界結合TCI (ThruChip Interface)によるDRAMとの3次元実装技術や,新たなBrick構造,冷却システムについて言及する.更に,エクサスケールコンピューティングに向けた今後の方向性について展望する.
著者
卯野木 健 林田 敬 河合 佑亮 對東 俊介 安藤 守秀 飯田 有輝 笠井 史人 川崎 達也 神津 玲 近藤 豊 齊藤 正和 櫻本 秀明 佐々木 信幸 佐浦 隆一 中村 謙介 大内 玲 岡本 菜子 岡村 正嗣 栗原 知己 栗山 明 松石 雄二朗 山本 憲督 吉廣 尚大 矢坂 泰介 安部 諒 飯塚 崇仁 井上 拓保 内山 侑紀 遠藤 聡 大倉 和貴 太田 浩平 大塚 貴久 岡田 大輔 小幡 賢吾 片山 雪子 金田 直樹 北山 未央 喜納 俊介 草葉 隆一 桑原 政成 笹沼 直樹 高橋 正浩 髙山 千尋 田代 尚範 立野 淳子 田村 貴彦 田本 光拡 土谷 飛鳥 堤 悠介 長門 直 成田 知大 名和 智裕 野々山 忠芳 花田 匡利 平川 功太郎 牧野 晃子 正木 宏享 松木 良介 松嶋 真哉 松田 航 宮城島 沙織 諸見里 勝 柳 尚弥 山内 康太 山下 遊平 山本 夏啓 劉 啓文 若林 侑起 渡辺 伸一 米倉 寛 中西 信人 高橋 哲也 西田 修 日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement2, pp.S905-S972, 2023 (Released:2023-12-10)

重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供は,取り組むべき重要課題である。日本集中治療医学会では,2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ―根拠に基づくエキスパートコンセンサス―」を発行したが,系統的にエビデンスを評価したものではなく,あくまでも専門家のコンセンサスに基づくものであった。そこで,日本集中治療医学会では,質が高く,かつ,医療従事者が理解しやすく,その意思決定に資することを目的に,システマティックレビューおよびGRADE(grading of recommendations, assessment, development and evaluation)アプローチを用いた診療ガイドラインを作成した。 重症患者に対するリハビリテーションに特化し,かつ,GRADEアプローチを用いた診療ガイドラインとしては,世界初の試みである。本ガイドラインは日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会を核に,ワーキンググループ,システマティックレビュー班,アカデミックガイドライン推進班から構成された診療ガイドライン作成グループの合計73名からなるメンバーで作成した。リハビリテーションでは多職種連携が非常に重要であることはいうまでもない。本ガイドラインも多職種,かつ多様な専門分野を持つ医師や医療従事者,ICU患者経験者を含む多くのメンバーが作成に寄与した。 本ガイドラインでは,グループメンバーによる議論に基づいて,8領域を注目すべき臨床重要領域とした。その上で,各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question, CQ)を作成した。 パブリックコメントの募集を計2回行い,CQに対する回答としては,10のGRADEによる推奨,4つの背景疑問の解説が示された。また,CQごとに情報を視覚的診療フローとして作成し,各CQの位置付けがわかりやすいように配慮した。多職種が関与する重症患者に対するリハビリテーションにおいて,本ガイドラインが活用されることを期待する。
著者
坪見 博之 齊藤 智 苧阪 満里子 苧阪 直行
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.308-326, 2019 (Released:2019-08-25)
参考文献数
139
被引用文献数
1 4

Working memory (WM) is a capacity-limited cognitive system that strongly relates to higher-order cognitive abilities including fluid intelligence. It has been suggested that WM training can increase memory capacity, which in turn, improves general intellectual abilities. To evaluate these claims, the present review critically re-assessed nine meta-analysis studies, and revealed that the effect of WM training on fluid intelligence (Gf), executive function, and academic performance is relatively small (averaged Hedges’ adjusted g < .20). Moreover, there were several methodological issues regarding the study design (placebo effect, small sample size), analytical approach (inadequate group comparison, lack of correction for multiple comparisons), and theoretical framework (lack of theoretical account of the training mechanisms) in previous WM training studies. We propose a set of recommendations for future training studies that go beyond training the WM ability per se. This includes theoretically possible methods to enhance intellectual abilities by, for example, learning strategies to effectively encode and recall information into long-term memory.
著者
塩崎 一郎 河合 隆行 野口 竜也 齊藤 忠臣
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2014年大会
巻号頁・発行日
2014-04-07

鳥取砂丘の起伏の象徴である馬の背,その南側の凹地に季節によりその姿を変化させるオアシスがある.このオアシスはいつもみられるわけではなく,夏季には消滅する.また,オアシス凹地へは絶え間なく地表を流れて注がれる流入水が存在しているが,オアシスが存在していないときには,流入水は尻無川となっている.はたして,このオアシスが如何なるメカニズムで発生・消滅しているのだろうか.すなわち,この流入水はどこからきて,どこへ流出するのだろうか.このオアシス湧水に関する問いかけは,古くからの学術的関心であり,例えば、砂丘に降った雨水が地下水となり,一部が泉となって地表に再び表れるという考え方(赤木,1991),保水性の良くない砂丘砂に浸透した雨水が、水を通さない基盤岩の不透水層や透水性の悪い火山灰層の付近に地下水として貯留し、これが湧水となるという考え方(財団法人自然美化管理財団、1995)、近年では、オアシスの形成と砂丘南側に位置する多鯰ケ池の水位変化の関連性を調べた研究(星見,2009)などの知見が既に提出されている. 一方で,学術的に高い価値を有している鳥取砂丘の自然環境は,その自然状態を保全・維持しつつ後世に継承されることが強く望まれているため,砂丘内の自然環境に人為的な影響が生じないよう厳しく管理されており,井戸などの人工物の設置や大型測器による地下水位探査が事実上不可能である.このような理由から,現在に至るまで十分な調査が成されておらず,オアシスの発生・消滅メカニズムを定量的に解明する目的で行われた研究はなく,まだ結論は出ていない. 本研究はこの問いに答える目的のために,すなわち,砂丘内湧水(オアシス)の起源を探るために鳥取砂丘の地下構造と地下水大循環に関する研究を実施した.すなわち,様々な非破壊的な物理探査法を用いて砂丘の地下構造を推定し,地下水の存在形態や流動様式,砂丘の基盤構造などに関する基礎データを得ると共に,水文学的な手法も用いてオアシス湧水の起源ならびに定量的な消長メカニズムの解明を試みた.ここで用いた具体的な方法論は後節に譲るが,概略として,前者の地下構造推定のためには,電気比抵抗映像法,1m深地温探査法,自然電位法,微動探査法,重力探査法を適用し,後者のために,オアシス水に関する水位連続観測ならびに蒸発量解析,オアシス域およびその周辺域の地下水位調査,降水ならびにオアシス湧水と多鯰ヶ池の採水データの安定同位体比解析を導入した.なお,前者の用途においては観測地点の位置や砂丘域全体の地形を把握するためにデファレンシャル法を用いたGPS測量を行い,後者の用途ではオアシス水域およびその周辺の微地形把握のためのトータルステーションを用いた測量を実施した. その結果,鳥取砂丘の地下構造と砂丘内湧水(オアシス)の起源に関して,次に示すようなひとつの結論を得た.「雨水が砂丘砂に浸透し,地下水となる.その一部は火山灰層を主体とする帯水層に導かれ(宙水として)オアシス湧水へ注がれる.オアシス湧水は馬の背の地下を超えて海へ注がれる.オアシス湧水と多鯰ヶ池の水には同時刻的・直接的関連はみられない.また,鳥取砂丘(観光砂丘)全域の大局的な地下水分布は地下構造解析から推定された基盤形状の起伏と関連がみられる.」本研究によりこれらのことが砂丘の地下構造や水位変化,同位体変化などの定量的な観測値から検証されたことに意義があると考えられる.ここではこのような研究の基礎となる学術的背景と調査の概要,複数の調査結果とその解釈,そして,全体を統括したまとめを報告する. なお,本稿で報告されるデータは主に平成21年度?平成23年度に交付を受けた鳥取県環境学術研究振興事業「鳥取砂丘の地下構造と地下水大循環に関する研究-砂丘内湧水(オアシス)の起源を探る-」の一環として取り組まれた種々の研究により取得されたものであることを明記する.
著者
齊藤 信夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.647-653, 2020-09-20 (Released:2021-04-01)
参考文献数
19

インフルエンザワクチンを毎シーズン連続して接種するとワクチン効果が減弱するかもしれないという議論がある.我々は,過去の感染を考慮したうえでこの現象を検討する臨床疫学研究を行った.その結果,9~ 18 歳の若年者において,連続接種者のワクチン効果は当該シーズンのみ接種したものに比べ,優位に低いことが示された.また,ワクチン効果は過去のワクチン接種回数に用量依存的に低下していた.この現象は,ワクチン株間の抗原差が小さく,ワクチン株と流行株の抗原差が大きくなった場合(抗原変異)に若年者におこりやすい可能性があり,更なる検討が必要である.
著者
中山 真孝 齊藤 智
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.456-462, 2015

Processing fluency influences judgment as metacognitive cue. Laham, Koval, & Al-<br>ter (2012) demonstrated name-pronunciation effect whereby easy-to-pronounce (i.e.,<br>easy-to-process) names were judged more positively. In their study, however, the "pro-<br>nouncability" was not defined by objective criteria, which may cast doubt on the inter-<br>nal validity of the effect. To overcome this limitation, the present study replicated the<br>name-pronunciation effect by manipulating two objectively defined and well-established<br>pronouncability factors: within-item phonological similarity and phonotactic frequency<br>of the name. Phonological similarity is manipulated by making the constituent morae<br>share the same vowel or not. Phonotactic frequency is defined by a composite score of<br>mora, bi-mora and position-mora frequency. We asked participants to rate impression<br>of names, presenting nonwords as names of foreign person who would come to their of-<br>fice. The result indicated independent effects of phonological similarity and phonotactic<br>frequency with phonologically similar and low phonotactic frequency names being rated<br>negatively. The present study confirmed the internal validity of the name-pronunciation<br>effect in the previous study.
著者
坂口 泰人 千葉 直久 齊藤 正男 石川 真也 中川 達雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.464-468, 2018-05-15 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

肺結節陰影を呈した肺スエヒロタケ(Schizophyllum commune)症の1切除例を経験したので報告する.症例は58歳,女性.職場健診にて右肺の異常陰影を指摘され,前医に紹介となり,CT検査で右肺上葉に空洞を伴う結節影を認め,精査加療目的で当科に紹介となった.PET検査では同結節に軽度の集積を認め,診断および治療を兼ねて胸腔鏡下手術を行った.術中迅速診断では悪性所見を認めず,肺部分切除を施行した.術後の気漏が遷延したこと,および,その後の検査で肺アスペルギルス症が疑われため,再手術にて右肺上葉S1+S2区域切除を行った.術後の培養検査からアスペルギルスとは同定されず,遺伝子検査の結果,肺スエヒロタケ症の診断に至った.術後経過は良好で術後5年の現在,肺スエヒロタケ症の再燃はみられない.
著者
植村 優衣 齊藤 奈緒 多留 ちえみ 宮脇 郁子
出版者
日本慢性看護学会
雑誌
日本慢性看護学会誌 (ISSN:18822061)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_41-1_50, 2021-05-25 (Released:2021-05-25)
参考文献数
21

訪問看護師が訪問開始から看取り後に実践するグリーフケアを明らかにした.訪問看護師17名に半構造化面接を行い質的に分析した.訪問看護師は,訪問開始から【利用者らしく家での穏やかな時間を過ごせるように可能な限り心身の苦痛を緩和する】【家で24時間介護している家族の心身を支える】実践を行っていた.さらに,【利用者らしい生活が送れるように利用者と家族の価値観や思いを大切にして関わる】ようにしていた.その上で,【利用者と家族が納得してお別れできるように思い出を残す】【利用者と家族の心情に寄り添いながらお別れの準備ができるように関わる】を行い,【利用者と家族が望んだお別れができるように環境を整える】【遺族が新たな生活を送れるように共に故人を偲びつつ悲しみを分かち合う】に繋げていた.そして,これらの実践のために常に【利用者と家族がかけがえのない時間を過ごせるように責任と覚悟をもって全力で支える】を行っていた.本研究は,訪問看護師が実践するグリーフケアの実践を可視化できたと考える.
著者
松浦 正憲 齊藤 菜穂子 中村 純二
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP11, 2015 (Released:2018-10-01)

1.背景 幾つかの種類のヤドカリは、神奈川県三浦市や三重県志摩市周辺等の一部の地域で刺身や味噌汁として食されている。不思議なことに、ヤドカリの中でもオニヤドカリ(Aniculus miyakei)摂食後、水を飲むと甘味が誘導される現象が知られている。このように水を甘く感じる作用から、オニヤドカリは「あまがに」とも呼ばれている。この現象を引き起こす甘味誘導物質については、水や有機溶媒に可溶な低分子化合物であることが報告されていたが、詳細は未解明であった1)。そこで、この特異な味覚修飾作用に着目し、甘味誘導成分の解明を目的として研究に着手した2)。2.甘味誘導成分の同定 実験材料として三重県伊勢市にて採取したオニヤドカリを用いた。まず、ヤドカリを身と内臓部分に分けて、水飲用時の甘味誘導を検討したところ、内臓部分(中腸腺)に甘味誘導作用があることが確認できた。摂取直後はほとんど味を感じないが、10秒ほどして徐々に弱い甘味を感じるようになり、水を飲用すると甘味が明確に誘導される。そこで、この水飲用時の甘味誘導作用を指標に、関与成分の探索を行った。凍結乾燥した内臓部分をクロロホルム/メタノールで抽出後、ヘキサンと90%メタノールで分配した。続いて、90%メタノール層をブタノールと水にて再分配し、ブタノール層を得た。得られたブタノール層を、逆相クロマトグラフィーによる精製を繰り返すことで、甘味誘導画分を得た。得られた甘味誘導画分は、クロマトグラム上では複数のピークを示すものの、NMRスペクトル上では、ほぼ単一成分であったため、各種NMRスペクトル解析により、この画分の主成分はオクテニル硫酸エステル(1)であると決定した(Figure 1)。そこで別途合成品を調製し(Scheme 1)、スペクトルを比較したところ、良い一致を示し(Figure 2)、さらに官能評価の結果、甘味誘導画分と同様の水飲用による甘味誘導作用が確認できたことから、オニヤドカリ由来の甘味誘導成分は1であると決定した。なお1は新規化合物であった。 続いて、オニヤドカリ中の1の含有量を調べた。オニヤドカリの内臓部分の抽出液をLC-MS/MS MRMモードにて定量分析したところ、乾燥内臓部分1 gあたり(約1個体分)、50mg以上の1を含有していることがわかった。1はおおよそ数mgの摂取で水飲用時に甘味が誘導されるため、オニヤドカリ中には甘味誘導に十分な1が含まれていることがわかった。また、比較対象として甘味誘導作用を示さない別種のヤドカリ(未同定)についても、その含有量を調べたところ、1が若干量含まれているものの、オニヤドカリと比較してその含有量は1/10程度であった(Figure 3)。この結果から、オニヤドカリ特有の甘味誘導現象は、1の含有量の差が原因であると考えられた。 (View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
臼井 俊央 齊藤 文一 田村 英樹 橋口 拓泰
出版者
一般社団法人 日本高圧力技術協会
雑誌
圧力技術 (ISSN:03870154)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.60-68, 2004 (Released:2004-08-31)
参考文献数
8

Ballistic impact tests were conducted on intermediate purity titanium plate and Ti-6pctAl-4pctV-ELI alloy plate and newly developed Ti-Fe-O-N alloy plate using ogive-shaped projectile with 7. 62mm diameter to study relation between the fracture mechanisms and adiabatic shear band formation The plugging process was dominated by adiabatic shear deformation in localized bands. Selected data and optical micrographs relating to the adiabatic shear band formation, the variation of depth of penetration and ballistic limit velocity were presented. The fracture mechanisms associated with the shear localization and fracture process changed from bulging failure to plugging failure by a shocked pressure increase. The results showed the differences of the fracture mechanisms between two high strength titanium alloys are responsible for significant differences in the elongation of their mechanical property and in the evolution of shear band patterns It also showed evidence of the long shear band connected from the shocked surface to the bulging region was found in all target plates, but evidence of the long cracks connected did not be found in all target plates at impact velocity just near below each ballistic limits