著者
齊藤 愼一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、持久性運動後に低下した筋グリコーゲンの回復について、炭水化物摂取タイミングの栄養効果をヒトで明らかにすることに加えて、もっと簡便にその効果を知ることのできる方法の開発にある。平成9年度には、夕方の練習で低下した筋グリコーゲンを翌朝の早朝練習の前までに充分回復させるために、夕食のタイミング(練習終了後から夕食まで)のあり方に目標を絞って、以下の様に検討した。すなわち、健康な成人男子を用いて、1週間の間隔をとって2回、2日間づつの実験日を設けた。いずれの実験でも第一日の夕方に10キロメートルを負荷し、その直後にウエイトトレーニングを負荷した後に、調製した夕食を運動負荷終了後1時間以内と、3時間後の場合の2つに分けて実験を行った。いずれの実験でも一夜安静に休養させた後の翌朝の朝食前に大腿筋より筋サンプルを採取した。また、前日の運動直後にも大腿筋より筋サンプルを採取した。これらのサンプルの筋グリコーゲンを分析した。その結果、運動直後に夕食をとると翌朝の筋グリコーゲン量は高くなり有意に回復したが、運動3時間後に夕食をとると回復が不完全なものが認められた。したがって、夕方の練習で低下した筋グリコーゲンを、翌朝の朝練習前までに回復させるには確実性が高いことがわかった.平成10年度は、平成9年度とほぼ同じ実験をおこなった.第一日の夕方のトレーニング後に、調製した夕食を運動負荷終了2時間後にとる条件で、1つは運動直後に高糖質食のコーンフロステをとる場合ととらない場合の2つに分けて実験を行った。いずれの実験でも一夜安静に休養させた後の翌朝の朝食前に血液を採取し、その後に調整食をとらせ、その後15,30,60,90分に採血した。その結果、運動直後に高糖質の補食をとっても翌朝の朝食後の血糖反応に差はなかった。
著者
星名 由紀子 林 孝文 新垣 晋 齊藤 力
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-36, 2010
被引用文献数
7

目的:舌扁平上皮癌症例における口底部の介在リンパ節への後発転移の画像所見について検討を行う。<br>対象と方法:1997年から2007年までの間に,口底部の介在リンパ節への後発転移と考えられる腫瘤性病変が出現した舌扁平上皮癌5症例を検討対象とした。いずれも1か月に1回の綿密な超音波診断による経過観察で検出されたものであり,CTとMRI検査が引き続き施行された。われわれは,転移巣が舌下隙後方で顎下腺内側に出現した場合に,外側舌リンパ節と同様の介在リンパ節への転移と考え,傍顎下腺リンパ節転移と呼称することとした。<br>結果:術前画像と頸部郭清で得られた病理標本との照合の結果,2例は外側舌リンパ節転移,2例は傍顎下腺リンパ節転移,1例はそれらの両方と推測された。同期間に口底部の介在リンパ節に転移を来たした症例は潜在的転移が認められた2例を含めて7例であり,頸部リンパ節転移が証明された舌扁平上皮癌43例の16.3%に及んだ。<br>結論:傍顎下腺リンパ節は,外側舌リンパ節とともに舌から上内頸静脈リンパ節にいたる経路の介在リンパ節の役割を有すると考えられた。N0舌扁平上皮癌の経過観察において,外側舌リンパ節と傍顎下腺リンパ節への後発転移を画像で検出するには,正確な解剖学的知識と注意深い観察が必要と考えられる。
著者
林 合祐 高橋 応明 齊藤 一幸 伊藤 公一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.29, pp.81-84, 2011-05-05

近年,RFID (Radio Frequency Identification)システムの急速な普及には目覚しいものがあり,物流管理,生産履歴管理ソリューションなど様々な分野にて有用であると認められている.また,病院での薬品管理や医療分野などにおいても,このシステムが利用可能である.さらに,重要施設における入退室管理への応用も注目されている。本稿では,入退室システム用アンテナの開発を目的として,ISMバンドの一つである2.4 GHz帯で動作し,ICチップと整合する,体内埋め込み型アンテナの設計を行った.また,体内に埋め込んだ際のアンテナのインピーダンスや放射特性などを,数値解析手法の一つである有限要素法によって検討した.
著者
齊藤 文則 高橋 啓介 鳥尾 哲矢 桑沢 安行 野本 智永
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-90, 2006

【目的】骨粗鬆性椎体偽関節に対する経皮的骨セメント椎体形成術の治療報告. 【対象】症例は15例16椎体, 罹患高位は胸腰椎 (T11~L2) 15椎体, 腰椎 (L3) 1椎体. 男性2例, 女性13例, 平均年齢73歳. 経過観察期間は平均29カ月. 遅発性脊髄麻痺を7例に認めた. 【結果】手術時間は平均42分. 術中, 術後の全身合併症はない. 術直後, 全例腰背部痛は改善. 遅発性麻痺例も全例軽快 (MMT 1~2→3~5). 経過中, 隣接椎の圧潰を63%に認めた. 1年以上の経過観察例で, 注入椎は隣接椎体間で架橋形成を認めた. 【考察】本法は手術時間も短く, 疼痛も劇的に改善し有用である. しかし, 多くの症例で隣接椎の圧潰を認め問題である. また, 骨セメントに骨親和性がなくとも注入椎は周囲の架橋形成で安定化した. 遅発性麻痺例では椎体形成術のみで麻痺の改善が得られることから, 麻痺の発生には偽関節部の動的圧迫の要素が強いと考えられた.
著者
小塩 允護 肥後 祥治 干川 隆 佐藤 克敏 徳永 豊 齊藤 宇開 竹林地 毅
出版者
独立行政法人国立特殊教育総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、国内外の知的障害のある人の生涯学習の展開について、法制度の変遷、文化的背景等の社会的要因、参加者及び保護者のプログラムに参加した経緯、これまで受けてきた支援や教育のヒストリー等、支援者の障害に関する認識とプログラムの内容等の個人的要因を検討し、わが国における知的障害のある人のために有用な生涯学習プログラムや支援方法等を開発することである。本研究の成果として,海外の生涯学習のプログラムの開発を行うための資料を整理し,生涯学習における支援プログラムの開発に寄与することができた。研究最終年次である平成18年度は、年度当初に研究協議会を開催し、3年間に得られた結果を整理し、報告書の項立てと執筆分担などを決めて、平成19年2月までに報告書を作成した。アメリカのシラキュウス地区では、シラキウス大学とシラキウス学区との提携で行われているオン・キャンパス・プログラムについて、プログラム参加者、支援者、企画責任者との面接調査を行った。また、障害のある人の自己権利擁護運動と生涯学習との関連についてシラキウス大学の研究者から情報収集した。イギリスのロンドン地区では、イギリスの自閉症協会が運営する自閉症学校2校(初等教育学校、中等教育学校)、ハートフォード州立の初等教育学校1校、特別学校2校(初等教育学校、中等教育学校)を実地調査するとともに、自閉症協会の教育部門責任者、自閉症協会運営の高機能自閉症に特化した就労支援機関(プロスペクツ)責任者、ハートフォード州教育委員会のスベシャリスト・アドバイザリー・サービス担当者との面接調査を行い、イギリスが推進する教育改革やインクルーシブ教育、自閉症協会が推進するSPELLに代表される支援理念が自閉症のある人の生涯学習を進める上でどのようなインパクトを持つかについて資料収集した。報告書では,知的障害のある人の成人教育の概略,北米における知的障害のある人の高等教育機関での生涯学習の展開,オーストラリアにおける知的障害のある人の生涯学習,フィンランドにおける特別ニーズ教育と障害のある人の生涯学習,ニュージーランドの知的障害のある人の生涯学習,イギリスにおける特別な教育的ニーズに応じる教育と生涯学習の項目で,分担執筆した。
著者
齊藤慎也 佐治 斉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.91, pp.33-39, 2004-09-10

人物全体をテンプレートとしたマッチングによる人物の動作追跡では,テンプレート内に含まれる背景領域や人物の姿勢変化などにより誤追跡となりやすい.そこで本研究では,人物全体を囲む領域をテンプレートとして抽出した後,人物の形状に合わせてテンプレート領域を分割・統合してマッチングを行う動作追跡システムを提案する.まず,背景差分を利用して人物領域を抽出し,その領域を囲むようなテンプレートを作成する.そして,テンプレート内に背景領域と人物領域が混在している場合は,テンプレートを4つのブロックに分割し,逆に背景領域または人物領域のみの場合は分割しない.この処理を繰り返す.次に,分割されたブロックのうち,背景のみの領域を含むものを削除し,人物の中心に近いものは統合する.実画像上で抽出されたテンプレートに対してマッチングを行った結果,正しい追跡結果が得られた.Human motion is often tracked by matching a template whose area surrounds the human region. However, this method causes mismatching because of the background region and the human form change. We propose a new tracking method using the template matching. In our method, a template is divided and integrated fitting to the human form. First, we extract a template around a human region by computing the difference between the background image and the current image frame. Next, if the template area includes both the background region and the human region, we divide the template into four blocks. If the template area includes only the background region or only the human region, we do not divide the template. We repeat this process. Finally, we delete the blocks including the background area only and integrate the blocks near the human center. We obtain the correct matching result by using the template extracted on the real image.
著者
馬庭 知弘 齊藤 朋人 金田 浩由紀 南 健一郎 齊藤 幸人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.221-226, 2008-06-20

背景.外来抗がん剤治療中で軽度の呼吸器感染症状を認めることがあるが,重度の好中球減少を伴わない場合は抗菌剤投与で経過をみることが多い.今回,外来化学療法中の症例で突然の呼吸不全を生じた症例を経験したので報告する.症例.68歳男性.2007年7月中旬に右中葉肺扁平上皮癌(pT4N0M0)に対して右中葉切除術施行,術後補助療法として外来にてCBDCA+TXLを3コース施行中に,数日前より継続する咳,膿性痰の増悪,さらに早朝からの38℃の発熱のため外来受診.胸部CTでは末梢の気腫性病変周辺に淡い浸潤影を認め,白血球数3300/mm^3.CRP値6.43mg/dlであった.同日14時50分の時点では,著変なく経過していたが,15時15分より突然の呼吸苦,38.9℃の発熱,ピンク色の泡沫状痰が出現し,酸素を投与するも経皮的酸素飽和度は80〜90%であった.ICUへ移室し気管内挿管施行.人工呼吸管理を含む集中治療にて救命しえた.結語.外来抗がん剤治療中に軽度の好中球減少や呼吸器感染を示す症例の中でARDSへ移行する症例があり,慎重な外来観察を要する.
著者
齊藤 誠
巻号頁・発行日
2012

Thesis (Ph. D. in Medical Sciences)--University of Tsukuba, (A), no. 6226, 2012.3.23
著者
齊藤進
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.59, pp.5-8, 2002-06-26

ウイルス進化論を模した遺伝的アルゴリズムが開発され、組み合わせ問題に適用された。この研究におけるアルゴリズムはひとつの個体とたくさんのウイルスを用いる。個体はウイルスにより攻撃され、感染され、改良される。ウイルスは二つの遺伝子(トップ遺伝子とテイル遺伝子)からなる。もし個体が攻撃によって改善されれば、感染が起こる。局所解を抜け出すために、感染に余裕率を設けている。感染後、ウイルスのテイル遺伝子は突然変異される。もし同じウイルスが数回攻撃し、感染しなかったならば、トップ遺伝子が突然変異される。個体はこの突然変異により、効率的に改善される。最適解を得るために、部分攻撃がまた有効である。A genetic algorithm that simulates the virus evolutionary theory has been developed and applied to combinatorial optimization problems. The algorithm in this study uses only one individual and a population of viruses. The individual is attacked, infected and improved by the viruses. The viruses are composed of two genes (a top gene and a tail gene). If the individual is improved by the attack, infection occurs. To escape from local minima, an infection allowance is set. After the infection, the tail genes are mutated. If the same virus attacks several times and fails to infect, the top genes of the virus are mutated. The individual can be improved effectively using this mutation. To obtain the optimal solution, "sub-attack" is also useful.
著者
齊藤 義行 安原 昌克 船戸 是宏 パオレッティ ウンベルト 久門 尚史 和田 修己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.332-340, 2010-02-01
被引用文献数
3

LSIのCore回路用電源供給系の高周波電流をシミュレーションするためのEMCマクロモデルとしてLECCS-coreモデルと呼ぶ電源系デバイスモデルを開発している.これまで,電源端子を複数もつLSIに関しては,直流抵抗の大小に応じてブロック分けを行い,ブロックごとにモデル化してきたが,本論文では電源端子を複数もつマイクロコントローラを対象とし,Core用電源端子とI/O用電源端子が高周波において結合していることを実測により示し,この結合を含んだ3ポートのLECCS-coreモデルを提案する.また,このモデルを用いて,I/O用電源端子の条件の違い(バイパスコンデンサの有無)によるCore用電源端子間の伝達インピーダンス変化がシミュレーション可能となることを示す.更に,等価回路の構築に用いたSymbolic Analysis,及び,インピーダンスの絶対値・位相両方を考慮して等価回路の各回路素子の値を決定する方法についても示す.
著者
高野 大 齊藤 義仰 村山 優子
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-6, 2011-09-08

本稿では,先行研究の AdlivTV における課題であった,短時間に集中して到達するリクエストアイコンへの対応を実現するため,多くの視聴者から送られるリクエストアイコンを強調して放送者に伝える手法を提案する.本手法により,視聴者からのリクエストが,短時間に集中して到達した場合であっても,放送者は多くの視聴者が望むリクエストを適切に判断できるようになる.提案手法を実現するため,何人の視聴者から送られているリクエストか放送者が判断できるよう,放送者用クライアントに視聴者ID管理機能と,リクエスト強調機能を実装した.また,サーバにはリクエストへの視聴者 ID 付加機能と,同時視聴者数送信機能を追加し,リクエストを送っている視聴者の割合を算出できるようにした.リクエスト強調機能については 3 種類実装し,動作検証を実施した結果について報告する.AdlivTV which is our previous work has issues that it is difficult for its broadcaster to respond to a lot of request icons which come in a short time. In this paper, we propose request icon enhance ment functions which tell the broadcaster a request icon sent by many audience members. By this functions, the broascaster can choose a request which is desired by many audience members. We implemented a management function of audience IDs on the client so that the broadcaster can understand how many audience members send same requests. Server functions are also implemented to send an audience ID of each request and the total number of current audience. This paper reports an operation verification result of the prototype system which had three different request icon enhancement functions.