著者
太田 奈奈美 児玉谷 仁 山崎 重雄 藤永 薫 小松 優 齊藤 惠逸
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.539-544, 2009-06-05

トリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム(III)錯体の化学発光反応を利用したリン酸イオンの高感度測定法を開発した.酸性条件下,リン酸イオンとモリブデン酸イオンが反応して生じるモリブドリン酸イオンをトリ-<i>n</i>-プロピルアンモニウムイオンによりイオン対を形成させることで有機溶媒中に抽出した.この対イオンとして抽出されたトリ-<i>n</i>-プロピルアンモニウムイオンをトリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム(III)錯体の化学発光反応を用いて検出することで,間接的にリン酸イオンの検出を行った.抽出と検出のための最適条件を検討し,検量線を作成したところ,0.01~10 μMまで良好な直線性(<i>r</i>=0.9998)が得られた.検出限界(<i>S</i>/<i>N</i>=3)は7.3 nM(0.22 ngP/mL),再現性は2.0%(1 μM,<i>n</i>=6)であった.環境水中のリン酸イオンの測定に応用した結果,既存のモリブデン青法と本法の検出値は両者で近い値が得られ,またモリブデン青法では感度不足で測定不可能な試料においてもリン酸イオンの測定が可能であった.
著者
佐野 徹 加東 勝 齊藤 貴樹 天野 英晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.12, pp.2579-2586, 2010-12-01

動的リコンフィギャラブルプロセッサにおいて,構成情報転送と実行のオーバラップができない際に,データ転送用の結合網を構成情報の転送に転用することで,構成情報転送時間を削減する手法,データバスコンフィギュレーションを提案する.動的リコンフィギャラブルプロセッサMuCCRA-3.32bを対象として,実際に設計及びシミュレーションを行った結果,データバスコンフィギュレーションの適用によってわずか1.3%のハードウェアオーバヘッドで,構成情報の転送時間を半分近くにすることができることが示された.f転送中の消費電力は増加するが,効率的な転送により消費エネルギーは2D-DCTの場合36%の削減が達成された.
著者
根塚 秀昭 芳炭 哲也 齊藤 光和 藤井 久丈
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.467-470, 2007-08-10
被引用文献数
3 3

症例は90歳女性. 3日前から持続する腹痛と発熱を主訴に当院へ搬送された. 腹部CTにて回盲部から右腸腰筋部におよぶ径5cm大のlow density massを認め, 周囲に少量の腹水を認めたため, 急性虫垂炎および右腸腰筋膿瘍の疑いにて緊急手術を施行した. 回盲部は一塊となり臓器の判別は困難で, 近接する右腸腰筋部を剥離すると内部から透明粘調なゼリー状物質が流出した. 虫垂癌の右腸腰筋浸潤, 穿孔性腹膜炎と術中診断し, 回盲部切除術と腹腔内ドレナージを施行した. 術後の病理組織学的検査では, 細胞内に粘液を豊富に貯留した腫瘍細胞の増殖が認められ, mucinous cystadenocarcinomaと診断された.<br>虫垂癌は術前診断が困難である. 画像所見にて右腸腰筋膿瘍などの後腹膜膿瘍が疑われる場合には, 原発性虫垂癌も念頭におく精査加療の必要があると考えられた.
著者
三井 斌友 齊藤 善弘
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, 数学定数であり超越数でもある円周率πの数値表現を, 擬似乱数生成に用いる提起を行い, その実現のため数値的な検証を行った. πの超多数桁10進表現を適宜な桁数ごと区切ったのち規格化し, [0,1]区間に分布する一様乱数とみなしたとき, 他の生成法と比較して統計的優劣があるかどうかを検定した. この結果, πを用いる方法は他の方法と比較して決して劣ることはなく, むしろいくつかの優位さが見られることを示した.
著者
齊藤 伸
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「マイクロメートル領域内の局所的な磁化ベクトルの方向を可視化表現できる磁区観察顕微鏡」を実現した。磁化方向の特定のためには、対物レンズ入射瞳の直交方向の辺縁部に微小径の直線偏光を入射させて、磁化ベクトルの各軸方向成分像を得、それらを合成することが有効であった。各軸からの照明タイミングをずらす方法(時分割法)に加え、高周波掃引磁界と同期を取って撮像する方法(ストロボ法)を組み合わせた。これらにより局所領域の磁化ベクトルのダイナミクスの可視化も可能となった。本装置は永久磁石やトランス鉄芯材料、スピントロニクスデバイスの研究開発に大いに役立っている。
著者
川添 愛 戸次 大介 片岡 喜代子 齊藤 学 崔 栄殊
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自然言語のテキストには事実のみではなく、書き手にとって真偽が不明な情報や、反事実的な仮定など偽であることが明らかな情報も含まれる。この研究では、機械による情報の確実性判断の基盤とするため、様相・条件・否定表現などの言語学的な分析に基づき、人間が普段情報の確実性を認識するのに利用しているテキストの意味特性をアノテーション(タグ付け)するスキーマを設計し、それに基づいてアノテーション済みコーパスを構築した。
著者
齊藤 真紀
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

少数株主の地位に変動をもたらす行為は効率性の観点から望ましい場合がある。しかし,閉鎖的な会社においては,持株比率が,株主が会社に対する利害関係の主たる指標であるとはいえないので,経済的地位の保障のみによって,少数株主の法的地位を本人の意思に反して容易に変更することを認めるべきではないと思われる。株式所有が分散している会社においては,小株主にとって株式は代替性の高い投資商品であるため,株主の経済的な地位を保障しつつ,当該行為を実行する道を開くべきである。
著者
成行 泰裕 梅田 隆行 齊藤 慎司 鈴木 建 羽田 亨 成田 康人
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、太陽風中の非平衡な速度分布が磁気流体波によって生成される過程について、数値計算・理論解析を用いた議論を行った。その結果、(1)磁気流体波が存在する場合に現れる「見かけの」非平衡速度分布が磁気流体系の平衡状態に対応していること、(2)太陽コロナから伝搬する磁気流体波が伝搬過程で生じる急峻化の過程で非平衡な速度分布が生成されること、(3)非平衡な速度分布によって励起される短波長の波動によって低周波の磁気流体波の減衰が促進されること、などが明らかになった
著者
安井 眞奈美 飯島 吉晴 齊藤 純 柿本 雅美 高橋 大樹
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、近代における出産・育児の変容を明らかにするため、「奈良県風俗誌」と呼ばれる大正4年(1915)に編纂された史料の出産・育児に関する記述を翻刻し、分析を行なった。この史料は、奈良県教育会によって大正天皇即位大礼記念事業の一つとして実施された、民俗調査の膨大な報告書群である(未刊行)。本研究では、明治期から大正期にかけて、出産・育児習俗がいかに変容したのかを明らかにし、当時の出産観や子ども観についても考察した。
著者
本郷 健 近藤 邦雄 齊藤 実 須藤 崇夫 堀口 真史 佐野 和夫
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

分散処理的な見方・考え方はさまざまな事象を、情報を軸として捉えるときに大切となる新しい考え方である.分散処理的な考え方を育成することを意図したカリキュラムを開発した.高等学校の共通教科情報の必修科目また選択科目で活用できる複数のカリキュラムを開発し実践して、その効果を確認した.また、指導する教師の研修カリキュラムを開発し、教育センターで実施して、その有効性を確認した.開発した資料等は書籍やWeb上で公開して、普及を図っている.
著者
石崎 雅勝 熊木 武志 幸野 豊 田上 正治 小出 哲士 ユルゲン マタウシュ ハンス 黒田 泰人 行天 隆幸 野田 英行 堂阪 勝己 有本 和民 齊藤 和則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.425, pp.125-130, 2006-12-07

ハフマン符号化とはデータ圧縮技術の主流となっている方式の一つであり,高速かつ高圧縮であることが求められている.本報告では符号化にCAMによる一致検索結果を利用することで並列に符号化を実現する方法,及び符号化テーブルをリアルタイムにアップデートし,最適化することによって高い圧縮率を得ることができるアーキテクチャを提案する.提案アーキテクチャにおいて,テーブルを交換するタイミングを最適化することで,より高い圧縮率を得ることができると考え,シミュレーションによりJPEG画像におけるアップデートタイミングの最適化を行ったところ,データサイズはスタンダードテーブルを用いたハフマン符号化と比較し,最大22.6%の削減を実現した.
著者
齊藤 享治
出版者
埼玉大学教育学部地理学教室
雑誌
埼玉大学教育学部地理学研究報告 (ISSN:09132724)
巻号頁・発行日
vol.15, 1996

日本にくらべ、フィリピンでは、同規模の集水域において扇面面積が10〜20%大きく、台湾では20〜50%も大きいことについて、斉藤(1994)は、フィリピンや台湾では、降水量が多く、流量が多いために、粗粒物質が遠くまで運搬されるためと考えている。さらに、フィリピンでは、台湾よりも、扇状地が小さいことについては、熱帯湿潤地城のために、粗粒物質の生産が少ないためと解釈している。ところで、熱帯湿潤地域のフィリピンにおいても、雨季・乾季の明瞭な西側型気候区と乾季が不明瞭な東側型気候区がある(Fisher、1964)。そのような気候条件の違いが、扇状地規模に影響を与えるのかどうか、本論文では検討する。