雑誌
南極資料
巻号頁・発行日
vol.20, 1964-02
著者
金尾 政紀 神沼 克伊 渋谷 和雄 野木 義史 根岸 弘明 東野 陽子 東 敏博
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.16-44, 1999-03

1997年度(第38次日本南極地域観測隊;以下JARE-38と略す)を中心に, これまで定常観測で行われてきた地震観測システムが, ハード及びソフト両面共に大幅に更新された。特に, 建造以来25年以上が経過し, 施設の老朽化が指摘されていた旧地震感震器室を閉じ, 器材をすべて撤収した。そして1996年度(JARE-37)に建設した新地震計室へ, 短周期(HES)及び広帯域(STS-1)地震計を移設あるいは新しく設置すると共に, 地学棟にワークステーションによる波形データ収録装置を新たに導入して, パソコンにより収録する旧システムから切り替えた。この地震計室及び収録装置すべてを含めての新システム導入により, 昭和基地では越冬中の地震計室見回りの労力が半減し, 基地LANを利用してのデータ収集が合理化されたため, これまでの保守作業がかなりの部分で軽減された。今後はインマルサット回線をさらに利用して, 基地外へのデータ公開の迅速化をめざす。さらに常時IP接続が可能になれば, 国内での験震処理が可能となり, 現地での完全自動化が期待される。JARE-38越冬中の経過を中心にシステム更新の詳細を記載すると共に, インターネット利用を含めたデータ公開についても簡単に述べる。
著者
細谷 昌之 喜納 淳 ホソヤ マサユキ キノウ アツシ Masayuki HOSOYA Atsushi KINOU
雑誌
南極資料
巻号頁・発行日
vol.37, pp.65-75, 1970-03

From September 1968 to February 1969, the 9th JARE (Japanese Antarctic Research Expedition) traveled to the South Pole with the aid of snow vehicles and sledges. In order to ensure the mobility of the travel, the tractive effort of the snow vehicles on the crust surface of snow in Antarctica and the running resistance of the composed sledges were tested. The results of the tests revealed that the maximum tractive force of one vehicle on crusted surface in Antarctica is 15.4 tons, the static frictional resistance coefficient μ_s is 0.68, and the dynamic frictional resistance coefficient μ_d is 0.51 at 3 km/h vehicle speed. When the snow vehicle towed five composed sledges, or was loaded with 15.4 tons, behavior of the vehicle was considerably hampered, especially in the motions of turning or crossing a drift of snow. Therefore, 15.4 tons may be a critical value of load. Paying attention to this point, the movement of the traverse party became considerably easy.
著者
和田 誠 古賀 聖治 野村 大樹 小達 恒夫 福地 光男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.271-278, 2011-11-30

2009年に就航した新「しらせ」には,改造した20 ftコンテナを船上実験室として搭載するスペースが確保された.第51次日本南極地域観測隊では,このコンテナ実験室の内部に大気中の硫化ジメチル濃度を測定するためのプロトン移動反応質量分析計を収納し,観測を実施した.本稿では,コンテナ実験室の概要と今後改良すべき点等について報告する.
著者
石沢 賢二
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.147-160, 1981-09

南極大陸氷床上部のP波とS波の速度が, みずほ基地(70°42'S, , 44°20'E, , 海抜2230m)において測定された。測定方法は, 12・13次日本南極地域観測隊で掘削されたボーリング孔を使用した検層と, 屈折法である。検層には孔中固着式受震器が使用され, 深さ80mまでのP波S波の速度構造が求められた。また屈折法ではP波の構造が36mまで測定された。得られた結果は, コアーを使用した超音波パルス法による測定結果とほぼ同じであった。南極やグリーンランドのさまざまな場所で得られたP波の速度構造を対比してみた結果, その場所での年平均気温と強い相関があることがわかった。深さ50mのP波速度に注目してみると, 年平均気温, T_m (℃), が高いほどP波の速度, V_P (km/s), は大きく, それらの間には次のような関係がある。V_P=0.034T_m+4.529
著者
土井 浩一郎 今栄 直也 岩田 尚能 瀬尾 徳常
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.7-18, 2004-03
被引用文献数
1

第41次南極地域観測隊における越冬期間中に,南極大陸氷床上の3点,すなわち,とっつき岬付近の裸氷帯N7,みずほ基地,やまと航空拠点YM175においてGPS観測を行い,各点の流動速度を求めた.N7の移動速度はN60°Wの方向に約1.5cm/dayであった.みずほ基地の移動速度はN60°Wの方向に約6cm/dayという値であり,H. Motoyama et al.(Nankyoku Shiryo, 39, 94, 1995)が得た結果とよく一致している.YM175ではN71°Wの方向へ0.8mm/dayという水平方向の速度とともに,1.1mm/dayの上昇速度という結果を得た.この上昇運動はやまと山脈地域において提案されている隕石集積機構を支持するものである.
著者
村越 望 矢田 明 ムラコシ ノゾミ ヤタ アキラ Nozomi MURAKOSHI Akira YATA
雑誌
南極資料
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1229-1239, 1962-04

1961年1月に,第3次越冬隊の気象部門の作業は,第4次越冬隊に引き継がれた.初めてレーウィンゾンデの器械が基地に運ばれ,その設置,調整に約1か月半を要し,3月1日より高層観測が始まり,12月末までに153回観測が行なわれた.過去3回の越冬における地上の月平均気温の最低は,いずれも9月に現われており,春から夏にかけて気温の急上昇を示している.これは成層圏の上層になるに従っても著しい.月平均値による年の振幅は,成層圏の50mbで45℃,地上で25℃に達した.一方対流圏では,各層とも振幅は小であって,10℃位であった.この成層圏の昇温は,上層から次第に下層に及んでいるのがみうけられた.月平均値から計算された昇温率は一般に上層程大きく,100mbで10~11月間に0.5℃/Day,50mbで9~10月間に0.6℃/Dayに達した.気球の破裂高度は冬期に著しく低くなる.この原因として,a)オゾン,酸素の酸化によるゴムの劣化,b)-30℃以下でゴムの張力の喪失,が考えられている.昭和基地においては,気球が-75℃の高度より昇ることは少なかった.これらのことから,ゴムが直接大気に触れないような考慮が払われたら,破裂高度はもっと高くなると思われる.第3次隊の経験では,ゴムを軽油につけて油の膜を作り,飛ばしたが,結果は良かったことが判明した.
著者
吉田 順五
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.732-736, 1961-01

南極大陸につもった雪は,長年月とけることなく,氷となって氷河にかわる.北海道の雪も冬はほとんどとけない.そして,冬のあいだに大きな変化をうけ,春とけさるころには,しまった固い雪になっている.それで,北海道の雪が冬のあいだにうける変化は,南極の雪が氷に変ってゆく過程のはじめの部分と多くの点で似ているにちがいない.この意味で,低温科学研究所で行なわれた北海道の雪についての研究結果は,南極の雪氷を研究するにあたって参考になると思う.これらの研究結果のうちから,次のものをえらび,簡単な説明を加える.(1)積雪の微細組織の変化.(2)焼結現象.(3)積雪全層の一般的変化.(4)日射による積雪の内部融解.
著者
白石 和行 成瀬 廉二 楠 宏
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.49-60, 1976-03

1969年12月,9箇の石質隕石がやまと山脈の南東端付近で発見された(Yamato (a)からYamato (I)と命名).引き続き12箇の石質隕石が1973年12月,第14次南極観測隊の旅行隊によってほぼ同地域で発見された.12箇中,大型のもの4箇(重量500〜900 g)はYamato (j), (k), (l), (m)と命名され,Yamato (l)はachondrite,他はchondriteである;残りの8箇(4〜40 g)はYamato (n)からYamato (u)と命名された.採集現場での産状写真を示すとともに,地形や氷状についても述べた.将来,さらに発見される可能性があり,やまと山脈南端の限られた裸氷域に隕石が集中している原因や機構の解明のため,将来室内研究と現場での研究の必要なことを述べた.
著者
岩田 修二 白石 和行 海老名 頼利 松岡 憲知 豊島 剛志 大和田 正明 長谷川 裕彦 Decleir Hugo Pattyn Frank
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.355-401, 1991-11

第32次南極地域観測隊(JARE-32)夏隊のセールロンダーネ山地地学調査隊は, 1990年12月24日あすか観測拠点を出発し, 1991年2月7日に再び「あすか」に帰り着くまでセールロンダーネ山地中央部で, 地形・地質・雪氷調査を行い測地作業も実施した。雪上車とスノーモービルを利用してキャンプを移動しながら調査するという従来と同じ行動様式をとったため, 設営面でもおおかたはこれまでの方式と同じである。地学調査は, 地形では, 野外実験地の撤収, 岩石の風化の調査, モレーン・ティルのマッピング, 地質では, 構成岩石の形成順序の解明, 構造地質学的・構造岩石学的そして地球化学的研究のためのサンプリング, 測地では, 重力測量, 地磁気測量, GPSによる基準点測量が行われた。ベルギーからの交換科学者は氷河流動・氷厚などを測定した。
著者
森脇 喜一 船木 實 平川 一臣 時枝 克安 阿部 博 東 正剛 宮脇 博巳
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.293-319, 1989-07

第30次南極地域観測隊(JARE-30)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物学調査は, 1988年12月29日から1989年2月1日にかけて山地西部で, 2月2日から9日にかけてあすか観測拠点をベースに付近の小山塊で実施された。2月になってからの調査活動は, ブリザード等の強風と地吹雪で効率的でなかった。JARE-26-29の地学調査に生物班が初めて加わったが, 調査計画の立案や行動形態に特に従来と変わったところはない。ここでは, 設営面を含む行動の概要と調査の概略, 調査期間の山地近辺の気象と雪氷状況を報告する。調査の成果については別途, 各分野で詳しく報告される。
著者
神沼 克伊 羽田 敏夫 Katsutada KAMINUMA Toshio HANEDA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.135-148, 1979-03

1976年2月から1977年1月まで,南極・昭和基地の地震観測網で観測した氷震について調べた.見かけ上氷震は,1)立ち上がりの明りょうな記象,2)立ち上がりの不明りょうな記象,3)群発氷震,の3種類に分けられる.このうち1),2)をそれぞれI型,II型とする.I型は1年間に80000回以上も発生しており,冬季に多い.また,これまで観測された氷震が気温の下降時に発生しているのに対し,I型は気温とは無関係に発生している.また,潮汐との顕著な関係も認められない.II型は約80回発生しているが夏に多く,昭和基地の大陸側から到来することから,大陸氷床の崩壊または,氷山生成に伴う破壊と考えられる.3)の群発氷震は,冬季にのみ発生し,その発生時間も,1日のうち気温変化の大きな夜間に集中していることから,熱歪による体積変化が原因であろう.
著者
牧野 行雄 塩原 匡貴 村松 久史 川口 貞男 山内 恭 田中 正之 小川 利紘 増谷 浩二 森井 正夫 Yukio Makino Masataka Shiobara Hisafumi Muramatsu Sadao Kawaguchi Takashi Yamanouchi Masayuki Tanaka Toshihiro Ogawa Koji Masutani Masao Morii
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.1-22, 1985-12

南極中層大気の総合観測(Antarctic Middle Atmosphere Program)の一環として, 南極昭和基地において1983年3月24日から1984年12月29日まで(第24次および第25次南極地域観測隊)太陽光の赤外分光測定による大気微量成分(N_2O, CH_4,CFCl_3,CF_2Cl_2,HNO_3)の観測を行った。使用した分光計の分解能は最高0.1(cm)^<-1>まで設定可能であるが, 観測時間の長さやS/N比を考慮して0.8(cm)^<-1>で通年観測を行った。延べ111日間に計487個のスペクトルを得たが, これらは最終的に磁気テープに記録し大型電子計算機で処理する。測定されたスプクトルのS/N比から, CFCl_3(850(cm)^<-1>), N_2O(2576(cm)^<-1>), CH_4(6004(cm)^<-1>) のカラム密度は, それぞれ±40,±2,±6%の測定誤差を有することが見積もられる。特に1000(cm)^<-1>域のより精密な測定のために, 今後, 高感度検知器(MCTなど)の安定な使用による観測が望まれる。As part of the Japanese Antarctic Middle Atmosphere Program (Antarctic MAP), columnar amounts of atmospheric minor constituents such as N_2O, CH_4,CFCl_3,CF_2Cl_2 and HNO_3 were determined from measurements of infrared solar spectra for the period 24 March 1983-29 December 1984 at Syowa Station, Antarctica (69°00′S, 39°35′E). A Fourier-transform-infrared spectrometer was used to measure the solar spectra. The highest apodized resolution of the spectrometer is 0.1(cm)^<-1> (full width at half-maximum), but the resolution of 0.8(cm)^<-1> was adopted in routine operation because of an economy of data processing time and of better signal to noise (S/N) ratio. The accuracy of measurements is estimated from S/N ratios of the obtained spectra; typical errors of measured abundances were ±40,±2 and ±6% for CFCl_3 (at 850(cm)^<-1>), N_2O (at 2576(cm)^<-1>) and CH_4 (at 6004(cm)^<-1>), respectively. A MCT detector (cooled at 77 K) is desirable to attain higher resolutions (&acd;0.1(cm)^<-1>) and larger S/N ratios.
著者
白石 和行 Klokov Valery
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.778-790, 1997-11

日本南極地域観測隊に大型航空機を導入して大陸間航空路を設けることの可能性を研究した。昭和基地, やまと山脈近傍の雪面や青氷上に, 車輪で離発着できる固い滑走路を建設できる場所を検討した結果を, その建設方法の概略や発着できる航空機の性能などとともに示した。さらに, 東南極航空網計画を国際的に推進することの必要性を説いた。
著者
小沢 敬次郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.2287-2322, 1967-08

(1)海上において鳥種を判定する場合それぞれの分布区域をあらかじめ知っていることは重要な要素となる.このため,南大西洋および南インド洋を含む南極洋で,11月から3月の時期に出現する主要鳥種について,分布の北限および南限を求め図示し,簡単な説明をこころみた.(2)本文において取り扱った鳥種はアホウドリ科6種,ミズナギドリ科13種,ウミツバメ科2種,モクリウミツバメ類,トウソクカモメ科2種,およびペンギン科4種,計27種である.(3)分布の北限および南限は,東京水産大学「海鷹丸」による3次にわたる航海,日本水産株式会社「第27興南丸」,「第20興南丸」(観察者,船長山田巽)による航海,その他の航海中の観察資料によって求めた.(4)各種についてカラー写真を掲げ,また,分布図に繁殖地,産卵時期を付記し,今後の海上における観察および分布の考察に便ならしめた.(5)量的分布,産卵時期に対する分布密度の移動などについては今後考察する
著者
原田 美道 柿沼 清一 村田 一郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1465-1480, 1963-01

1956年の南極会議及び国際重力会議の両会議において採択された決議により,第2次南極観測の際に計画された目黒(当時千葉)とMowbray・昭和基地の重力振子による接続のうち,当時氷状不良のために実施できなかったMowbray・昭和基地間の接続が,今回計画実施された.これは,再度採択された1960年の南極会議及び国際地球物理学・測地学連合総会の決議にも基づくものである.また,宗谷の往復航海を利用して目黒・Mowbray間の接続が再度行なわれた.今回は南極観測用として設計製作された装置と,特に重力振子は安全を期して2組使用された.各観測点における測定のうち,1組の振子の観測は昭和基地において時計の不調のために失敗したが,目黒・Mowbrayでは良い結果が得られた.他方の振子の組については順調に観測を終了できた.各測点の位置は次の通りである.目黒 ψ=35°38'.6 N λ=139°41'.3 E h=28.04m Mowbray ψ=33°57'.1 S λ=18°28'.1 E h= 38.4 m 昭和基地 ψ= 69°00'.3 S λ=39°35'.4 E h=14.0m 測定結果は次の通りである.g_<Megro>=979.7770 galを基準にした場合 g_<Mowbray>=979.6471±0.0005gal(振子セットAによる) g_<Mowbray>=979.6463±0.0004gal(振子セットDによる) g_<Syowa Base>=982.5394±0.0005gal(振子セットDによる) g_<Mowbray>の値は第2次観測の際の結果とも良く一致している.特に昭和基地重力点については,南極地域には振子による重力観測の例が少ないので,同点は重力基準点として充分利用し得る点であると考えられる.同点には金属標識を設置して今後の使用の便をはかった.なお,Worden重力計を使用して,オングル島内及び宗谷のSingapore停泊中,Singapore・Kuala Lumpur間の接続が行なわれた.
著者
青木 茂 佐藤 壽彦
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.204-218, 2004-11-30

南大洋季節海氷域における生物・化学物質循環過程の解明を中心課題として,第43次日本南極地域観測隊「専用観測船」観測が,2002年2月に観測船「タンガロア」号によって実施された.本報告では海洋物理観測の実施状況および測器の運用結果について報告する.CTD電気伝導度に対する航海前後でのキャリブレーションはドリフトの小さいことを示し,塩分換算での差も平均で0.0014に収まった.XCTDの精度を検証する試みも2キャスト実施され,XCTDとCTDとの比較結果についても議論する.本航海では,概ね,良好な精度の物理観測が実施されたものと結論される.
著者
気象庁観測部南極観測事務室
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.273-303, 1981-09

1957年2月に開始された昭和基地(69°00'S, 39°35'E)の地上気象観測結果のうち, 主要要素について1980年までの月および旬ごとの毎年の値とその平均値(準平年値)をまとめて示した。統計年数は要素によって異なるが, 1958年と1962&acd;65年の基地閉鎖期間を除く14&acd;19年間である。また, 高層気象観測については, 00Z(現地時間03時, 1968年3月開始)における指定気圧面の月別累年平均値のみを掲げた。
著者
和田 誠 中岡 慎一郎 笠松 伸江
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.82-91, 2011-03-28

2009年1月から2月の南半球の夏期間に,東京海洋大学の研究練習船「海鷹丸」にプロトン移動反応質量分析計を搭載して,南大洋の大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測を実施した.海鷹丸は昭和基地沖とケープダンレー沖の氷縁域を含む南大洋を航行し,研究観測を実施した.この海域での大気中の硫化ジメチル濃度の連続観測は初めてである.海水中の硫化ジメチル濃度の観測も行われ,そのデータとの対比が可能となった.大気中の連続観測から,昭和基地沖およびケープダンレー沖の氷縁域では,2ppbを越える高い濃度の硫化ジメチルが観測された.
著者
竹内 貞男
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.430-444, 1990-11

第30次南極地域観測隊は, 隊長江尻全機以下54名で編成された。このうち昭和基地の越冬隊は江尻全機越冬隊長以下29名, あすか観測拠点の越冬隊は召田成美越冬副隊長以下8名である。夏隊は, 副隊長竹内貞男以下17名で編成され, 運輸省船舶技術研究所, 日本鋼管(株)からの2名および南極条約に基づく交換科学者として中国から2名, ノルウエーから1名が同行した。1988年11月14日東京港を出港した「しらせ」はオーストラリアのフリマントル港に寄港した後, 12月17日ブライド湾に到着した。あすか観測拠点での越冬用物資およびセールロンダーネ山地での地学, 生物, 雪氷調査用器材約120tを揚陸した後, 越冬隊員8名と夏期調査隊員(交換科学者1名を含め9名)を残し12月26日昭和基地へ向かった。昭和基地には12月29日に到着, 輸送(約820t), 建設作業, 野外調査等を1989年2月23日まで行った。これまでの間に多目的衛星データ受信システムの建設を行い, 2月1日には越冬交代を行った。「しらせ」は第29次観測隊のセールロンダーネ山地における事故の救援に向かい, 救援活動を終えた後, 第30次夏の調査隊員をブライド湾で収容して昭和基地へ戻った。3月4日第29次越冬隊員と第30次夏隊員, 交換科学者を収容した「しらせ」は昭和基地沖を離れ, 海洋観測を実施しながら東航を開始し, オーストラリアのシドニー港に3月21日入港した。観測隊員はここで下船し, 28日空路成田空港に帰着した。