著者
川田 耕司
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、ガラクトース誘導亜急性老化モデルマウスおよびSAMP1老化モデルマウスにおいて、正常老化マウスで認められる各CD4+T細胞サブセットの割合、特に濾胞ヘルパーT細胞(Tfh)様の表現型を有する細胞の増加が認められた。このTfh様細胞増加は、抗生物質投与による腸内細菌叢の変化によって抑制され、抗生物質投与マウスにおいて腸内優占種となっていたLactobacillus murinusの経口投与によっても同様の抑制効果が認められた。これらの結果からL. murinusが老化に伴い増加するTfh様細胞の分化および数的調節に関与している可能性が示唆された。
著者
河野 龍也
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2020年度は、当初の計画通り、台南の台湾文学館における展示企画「百年の旅びと:佐藤春夫1920台湾旅行文学展」(百年之遇:佐藤春夫1920臺灣旅行文學展)に本研究課題の成果を活用した。展示に関する具体的な業務では、全体構成と展示品説明、翻訳等を担当した。展示期間は当初、2020年4月3日から11月29日までの予定であったが、好評のため2021年2月28日まで延長した。しかし、延長後も防疫上の渡航規制が解除されず、会期中一度も参観することはできなかった。また、国際交流行事がすべて中止され、研究者の連携や関係者への新規取材を進めることができなかった。ただし、この展示によって佐藤春夫の台湾での知名度が飛躍的に向上し、今後の研究連携や情報集約の基礎固めができた意義は大きい。また、資料写真と説明文を使って、台湾文学館がデジタルミュージアムを構築し、会期終了後もホームページで公開を継続している。これには日本語版・中国語版があり、日本からもアクセスできる。展示に合わせて図録を兼ねた論文集を台湾で出版し、その編集と執筆も担当した。そのほか、佐藤春夫の台湾旅行関連作品を9編集めた『佐藤春夫台湾小説集 女誡扇綺譚』(中公文庫)を編集し、解説を執筆した。春夫の「台湾もの」が文庫版になるのは、1936年の単行本『霧社』(昭森社)出版以来これが初めてである。また解説には、特定された作品の舞台に関する情報や、旅行日程に関する従来説の再検討など、本研究および本研究にいたる過程で明らかすることができた最新の成果を反映させ、一般的な作家紹介・作品紹介にとどまらない内容を盛り込めた。論文は春夫の「台湾もの」の一つ「鷹爪花」のモデルと虚構化の手法に関するもの1点、春夫の台湾観に「故郷の喪失」のテーマを指摘したもの1点(前記論文集所収)、『南方紀行』に関する論考を再構成して中国語訳したもの1点を発表した。
著者
大西 磨希子
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

中国史上唯一の女性皇帝となった則天武后は、革命に仏教を利用した。敦煌写本の『大雲経疏』はその仏教利用の実態を示す貴重な史料である。一方、則天武后が仏教美術に与えた影響については、いまだ明らかになっていない部分が多い。なかでも釈迦の涅槃をあらわした涅槃変相図は、当該期において、横臥する釈迦と会衆のみを描いた単純な構図から、荼毘や分舎利に至る複数の場面を含んだものへと大きく変化するが、その理由についてはいまだ判然としない。そこで本研究では、敦煌写本『大雲経疏』を調査し、則天文字の使用状況にもとづく底本の書写年代の解明と内容の読解を試み、そのうえで当該期に涅槃変相図が大きく変容する理由を検討する。
著者
稲葉 愛美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

水中の腸管系ウイルスの感染リスクの評価を確立させるために、感染性ウイルスの存在を評価する必要がある。そのためには、水環境中に存在するウイルスの不活化に影響する要因を正確に解明する必要がある。これまでは、UVや消毒など、物理的、化学的要因に着目し、ウイルスの不活化を評価したものに限られていた。しかし、水環境中のウイルス不活化要因に細胞外タンパク質分解酵素が関与している可能性が予測されるが、不活化に影響する酵素の種類や放出する微生物に関する知見はない。ウイルスの不活化に影響する酵素活性の種類、その様な活性をもつ酵素を放出する細菌、水環境、季節性などの差異によるウイルス不活化の違いなどを明らかにする必要がある。そこで本研究では、市販、細菌株由来、環境水中に存在するタンパク質分解酵素に着目し、対象とした腸管系ウイルスの不活化影響を評価する。そこで、実際の酵素反応による不活化実験を行う前に、in silicoによる解析を行った。データベース上に既に報告されている対象ウイルスのアミノ酸配列情報に対し、既存のエンドペプチダーゼの切断活性による切断部位が存在するかの解析を行った。ExPASyのPeptideCutter(https://web.expasy.org/peptide_cutter/)による解析の結果、多いものでは数百の切断部位が検出された。このことから、既存のタンパク質分解酵素の活性により、カプシドタンパク質が分解される可能性が高いことが示唆された。また、切断部位数の差から、ウイルス種ごとに酵素により不活化影響が異なる可能性が示唆された。
著者
西平 守孝
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

塊状ハマサンゴのマイクロアトールをサンゴ礁のモデルと見なし,そこに成立する群集の発達にともなう共存種数の増加を大小のマイクロアトールで比較して「住み込み連鎖」仮説を検証するための野外調査を行なった。久高島の礁池で,マイクロアトール上および周辺の多様な微生息場所における底生生物の棲息状況しらべ,マイクロアトールの成長に伴って多様な生物が棲み込み,それらが生息場所を形成することによってまた新たな生物が棲み込むという棲み込み連鎖が成立していることを確かめた。魚類についても,習性の違いによってマイクロアトールの提供する多様な生息場所を利用していることが確認され,複雑化してさまざまな生息場所を提供する大型のマイクロアトールほど季節を問わず種多様性が高く,群集構造が安定していることを確認した。フタモチヘビガイがハマサンゴに埋在することにより,サンゴ群体の表面が平坦化してサンゴに対するブダイ類による捕食圧が軽減されることが,季節を問わず安定して常に見られ,場所や海域の違いを越えて普遍的に見られることを実証した。他に行なった海藻類や無脊椎動物の調査からも,多種共存の維持・促進機構としての住み込連鎖の妥当性を支持する結果が得られた。さらに,1998年の夏の異常高水温により,塊状ハマサンゴでも全体または部分的白化が認められたため,緊急課題として白化の状況とその後の追跡調査を行なった結果,白化したほとんどのハマサンゴ群体がおよそ半年で白化前の褐色の状態に戻り,マイクロアトール上の生物群集には,白化にともなう大きな変化は認められなかった。
著者
亀井 康富 菅波 孝祥
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「寝たきり」や「ギプス固定」等により骨格筋を使わない状態が続くと、骨格筋量が減少し、その機能が低下する(廃用性筋萎縮/アトロフィー)。しかし、この廃用性筋萎縮の生じるメカニズムは不明である。本研究は骨格筋量の調節分子として、廃用性筋萎縮時に著しく変動する転写因子であるFOX01および関連分子に着目し、骨格筋の萎縮・増量の分子機構の解明を目指し研究を行うものである。FOX01マウスの遺伝子発現および培養細胞を用いたin vitroの検討から、FOX01による筋萎縮はA)蛋白質分解の促進、B)細胞増殖抑制、C)蛋白質合成の抑制、という経路の遺伝子発現を増強するためであることが示唆された。さらに、絶食・再摂食のようなエネルギー状態の変動により骨格筋において核内受容体RXRγの遺伝子発現がFOX01と逆方向に変動することを見出した。さらに、骨格筋特異的にRXRγあるいはそのドミナントネガティブ変異体を過剰発現するトランスジェニックマウス(RXRγマウスおよびDN-RXRγマウス)を作製し、その骨格筋ではそれぞれSREBP1cの遺伝子発現が著しく増加あるいは減少していることを見出した。以前に作製していたFOX01を骨格筋で過剰発現するトランスジェニックマウス(FOX01マウス)ではSREBP1cおよびRXRγの遺伝子発現が減少していた。In vitroの解析によりFOX01はRXR/LXRを介するSREBP1cの遺伝子活性化を抑制する事を明らかにした。これらの結果は、骨格筋においてSREBP1cの遺伝子発現はRXR/LXRにより活性化され、FOX01により負に調節されることをin vivo,in vitroで示すものである。
著者
池上 敦子 野々部 宏司 梅谷 俊治 田中 勇真
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,勤務表作成者が潜在的に抱えている制約条件や評価尺度を勤務表に反映できる仕組みを構築することで,納得感を得る勤務表を短時間で作成できる環境実現を目指す.ナーススケジューリングにおいては,各ナースの実行可能スケジュールを含むネットワークを利用して最適解の列挙を行い,それらの関係性をグラフ表現することにより良解空間の把握を可能にした.教員のスケジュールにあたる学校の時間割作成についても,複数の最適化モデルを構築して求解速度を比較評価した.そして,潜在的に考慮されている制約条件や評価尺度を把握し,時間割に反映しやすいモデルを検討した.
著者
高橋 幸平 日高 佳紀 大浦 康介 久保 昭博 河田 学
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は以下の各項目の通り研究を進め、その進捗を隔月の研究会(偶数月、計6回開催)で報告した。1.西洋のフィクション論の整理・把握 フィクション論の基本文献として、ヘイドン・ホワイト『メタヒストリー 19世紀ヨーロッパにおける歴史的想像力』を取り上げ、その内容をフィクション論との関わりから検討した。また、竹内敏雄『アリストテレスの藝術理論』の分析を通じて竹内のアリストテレス解釈を現代のフィクション論の観点から再評価した。さらに西田谷洋『村上春樹のフィクション』について著者を交えてワークショップを行い、現代日本小説をフィクション論的に分析することの意義と困難さについて議論した。2.日本近現代における文学作品とそれをめぐる現象のフィクション論的分析 2017年度に行ったフィクション論の理論的研究と整理および1.での理論的な考察を経て、小島信夫・松浦理英子・小川洋子・筒井康隆・村上春樹について、各作家の作品や評論らをフィクション論的な視点から分析し再記述した。特に小川洋子「百科事典少女」は西田谷洋氏、松浦理英子『最愛の子ども』は飯田祐子氏による講演を研究会で行い、広く日本文学とフィクション論とに関する議論を行った。3.研究成果の海外での発表・意見交流 8月に開催されたタイ国日本研究国際シンポジウム2018(チュラーロンコーン大学)において、高橋・日高が「フィクション論と現代日本文学 -筒井康隆と村上春樹-」、久保・西川が「事実への欲望 -1920-30年代の『実話』ジャンルをめぐって-」と題してパネル発表を行った。5.研究成果の論集発刊 令和2年度の発刊に向けて、すでにフィクション論に関する編著がある大浦・久保・河田と高橋・日高とを中心に、論集の内容や構成、メンバーの執筆項目について検討し、論集の内容や執筆者をおよそ確定した。
著者
久万 健志
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

溶存有機物が多く含む河川水中の各鉄化学種濃度は高く、特にフミン物質蛍光強度と真の溶存鉄濃度との関係が見られ、河川水中のフルボ酸が3価鉄と溶存有機錯体鉄を形成していることが明らかになった。また、河川起源溶存フルボ酸鉄錯体は海水と混合しても比較的安定に存在していることを示し、河口域から沿岸域への溶存鉄を運ぶ重要な役割を果たしている。フルボ酸鉄錯体を多く含む河川由来溶存鉄を添加した沿岸性植物プランクトン-栄養塩培地では、細胞密度及びクロロフィルa濃度が急激に増加した。これは、河川水中のフルボ酸鉄錯体が海水と混合すると、フルボ酸鉄錯体から生物利用可能な溶存無機3価鉄イオンが徐々に解離し、それが植物プランクトンに摂取されたためと考えられ、河川の影響ある沿岸域の高い基礎生産を維持していると考えられる。
著者
西尾 俊幸 小田 宗宏 李 秋夢 篠崎 佑子 高橋 愛実
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

各種糖質加水分解酵素の糖転移作用を利用してN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を構成糖として含む特殊構造オリゴ糖を合成し、それらのプレバイオティクス機能について評価を行った。その結果、以前に量産法を確立したN-アセチルスクロサミンを原料として用い、新規な6種類のGlcNAc含有オリゴ糖を合成することができた。これらのオリゴ糖は、ヒト腸内細菌由来の善玉菌であるビフィズス菌の中で特定の種を選択的に増殖させることが分かった。従来のオリゴ糖プレバイオティクスはこのような選択的ビフィズス菌増殖能が無いことから、今回合成したものは新しいタイプのプレバイオティクスとして開発できる可能性がある。
著者
橘野 実子 大久保 真道 陶山 恵 松中 義大 大島 武 鈴木 万里
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

大学の英語教育においては、コミュニケーション能力を伸ばすためプレゼンテーション演習など多様な活動が取り入れられる傾向にある。しかしメディア芸術作品の英語によるプレゼンテーションについては、指導方法が確立されていない。本研究では、望ましいプレゼンテーションの要素に関するデータを収集分析し、メディア芸術分野のプレゼンテーション技術向上のための指導方法の開発を目指す。研究方法としては、メディア芸術各分野で求められる語彙・言語表現の調査、発表スタイル調査、海外での実態調査を実施し、指導プログラムを作成する。その案に基づきプレゼンテーション技能向上指導を実施し、その効果を測定し、さらに改善を図る。
著者
山田 健三
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

平安時代から三種の文字種を使用し続けている日本語において、「平仮名」概念には、その成立期から現在に到るまで、様々な変容があったことが、これまでの研究によって、ある程度語られてきている。一つの書記システムの三種の文字が使われる以上、それぞれに価値変容があることは当然考えられるが、本研究は、その中でも2つの社会変動時期にスポットを当てて、それぞれの時代にいて「平仮名」がどのように認識されていたかを確かな証拠を以て明らかにすることを目的としている。二つの時代とは「近世末~近代初期(幕末明治期)」と「近代終期(戦後期)」である。
著者
栗林 裕
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

カシュカイ語はトルコ語と同じチュルク語南西グループに属していながら、特異な統語法を持つ言語である.統語法のみ近隣言語であるペルシア語から借用し、語彙はチュルク語系のものを用いるような統語的言語変化はチュルク語全体の中でも少数派である.非トルコ語研究者にとっても興味深いカシュカイ語の言語資料を広くアクセス可能な形で提示し、知識の共有を進めていくことで理論的研究と記述的研究の連携を図ることを目的として3 年間の研究成果を著書としてまとめた.
著者
伊藤 博士 中野 佑樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

太陽内部におけるスピンフレーバー振動模型はローレンツ不変性を破り、電子ニュートリノが反電子ニュートリノへ振動すると予想されている。これによる太陽からの反電子ニュートリノ流量に対して、太陽標準モデルによる流量は無視できるが、従来検出器で検出するためには新たな技術が必要である。本研究はSK-Gd実験を用いて反電子ニュートリノの検出効率を従来から10倍以上改善する。4年間のSK-Gdの運用でローレンツ不変性を破る新物理を探索する。本研究を達成するために以下の項目について遂行する: SKデータを用いたBG推定, シミュレーション開発, 太陽磁場の解析, 系統的な不確定性誤差の評価。
著者
平地 健吾 大津 幸男 竹腰 見昭 小松 玄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ベルグマン核の不変式論を用いて領域の局所的不変量と大域的不変量を関係付けることを目標として研究を進め,次の二つの方向の成果を得た.1)グラウエルト柱状近傍領域でのベルグマン核とリーマン・ロッホの定理の関係.射影多様体上のアンプル線束Lのm冪の正則断面はmに応じて増加し,その次元はヒルベルト多項式と呼ばれるmの多項式P(m)で与えられる(これはLの大域的不変量である).この多項式をベルグマン核の漸近展開に含まれる局所不変量を用て表示した.ここでベルグマン核はLの双対束に含まれるグラウエルト柱状近傍領域の上で考える.この表示はラプラス変換を用いて具体的に与えられ,とくにベルグマン核の展開の係数とLの特性類の関係式を与える.この結果はベルグマン核と指数定理の関連を示唆している.2)ソボレフ・ベルグマン核の指数に関する解析接続.ベルグマン核の不変式論のソボレフ・ベルグマン核への一般化を行った.これにより,より多くの局所不変量を取り出すことが可能となる.まずソボレフ・ベルグマン核を大域的な双正則不変量となるように定義し,その漸近展開の局所不変量を用いた表示を与えた.さらにこの展開はソボレフ指数に関する解析接続が可能であることを示し,とくに展開の係数として現れる普遍定数がソボレフ指数に関する多項式になることを証明した.これは核関数の解析接続の具体的な計算を可能とする重要な事実である.
著者
滝沢 元和 中澤 知洋 北山 哲
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

X線と電波観測により銀河団電波レリックでの粒子加速過程とその物理状態を解明し、理論モデルの構築を行った。特にtoothbrush電波レリックでの粒子加速過程が単純な衝撃波統計加速では説明のつかないことを明らかにした。ALMAを用いて5秒角というこれまでにない空間分解能のSZ効果観測をおこない、RX J1347.5-1145銀河団の超高温成分がX線ピークと異なる場所にあることを明確に示した。低周波電波での宇宙磁場研究についてPASJ誌の招待レビュー論文に対して、銀河団のパートなどに分担執筆者として貢献をした。
著者
千葉 敏之
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究計画では、『悦楽の園』所収の挿絵を含む図版346点のうち、ダイアグラムを含む頁をリストアップし、関連する収録テクストとの対応関係を確認しつつ、ダイアグラムの構成や目的に応じた類型に分類し、基礎データとした。そのうえで、ホーエンブルク女子修道院とその文化圏における12世紀後半の蔵書状況を蔵書リストや書簡をもとに分析した。また、『花樹の書』などのダイアグラム入り詞華集だけでなく、キケロ著『スキピオの夢』を註解したマクロビウスの写本などの継続転写型の写本群の転写・蔵書状況を調べた。その結果、パリ大学を中継点とするダイアグラム写本の波及経路のうちアルザスに至るルートをほぼ確定することができた。
著者
坂本 真樹 服部 兼敏 大内 潤子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

人は,微妙な心身の状態を,「頭がズキズキ痛い」といったオノマトペ(擬音語や擬態語の総称)を使って表現することが多い.本研究では,医療従事者へのアンケートをもとに35尺度を評価尺度として選定し,オノマトペ表現を構成する各音が評価尺度に与える影響を定量化し,オノマトペによって表される心身の状態を形態と音韻の両面から定量的に推定するシステム開発した.また,評価尺度を多言語化することで,海外の病院で日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムを開発した.
著者
高須 曜 廣田 誠
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

顎骨切除後の下顎骨は骨の形態が非対称であり、特に正中部は応力がかかりやすく、咬合負荷をする場合には骨の強度を考慮する必要がある。チタンインプラントは顎骨機能の回復に有用であるが、顎骨切除後症例では残存骨やインプラント周囲への負荷を考慮する必要がある。本研究では、骨再建用スキャホールドによる再建を念頭におき、咬合応力をどのように分布させることが最適であるかインプラントシミュレーションを実施して検討した。インプラントを作用点とした下顎応力解析ではそれぞれを結合させることで3点分布においても4点分布と同等の応力軽減を図ることが可能であり、その分布は切除部から離れた片側1点、反対側2点が最適であった。
著者
太田 紘也 喜多 紗斗美
出版者
徳島文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

マクロファージは一般的には炎症を誘導性と見做されるが、近年では抗炎症作用を示すマクロファージの存在が明らかになり、M2マクロファージと総称される。M2マクロファージは、がんやメタボリック症候群などの様々な病気の発症に関わることが明らかになり、マクロファージの分極化(M1/M2)を制御機構に関する研究が注目されている。本研究では、ミトコンドリアNa+/Ca2+交換輸送体(NCLX)がM2マクロファージで高発現することを踏まえ、ミトコンドリアのCa2+輸送体によるミトコンドリアのCa2+動態制御と、マクロファージの分極化および機能発現の関連性の解明を目指す。