著者
白石 小百合
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、幸福度の高い社会の構築との問題意識から、人々の幸福に対するとらえ方を定量的に把握するとともに、人々の幸福度とワーク・ライフ・バランスとの関係を解明すべく、マイクロデータを用いた実証分析を行うことにより、近年注目されるワーク・ライフ・バランスのあり方とその効果的な施策について検討を行うことを目的とする。
著者
畑山 敏夫
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス社会モデルをめぐる右翼陣営内での対立を分析することを通じてフランス政治の抱えている多くの困難や課題を明らかにできた。すなわち、戦後の保守本流であるドゴ-ル主義保守が築いてきた経済社会が息詰まった中でサルコジの代表する新自由主義を中心に、国家の役割や主権を重視する「主権主義」保守や極右などの潮流が台頭してくる。本研究では、サルコジと極右の対立も含めて保守の変容について考察してみる。
著者
平野 満
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

西尾市岩瀬文庫に調査に赴き、小野蘭山門人の山本亡羊の『百品考』を調査した。また、蘭山以後の本草学の一例として、渋江長伯の物産研究を「渋江長伯の本草学研究―物産学の視点から―」として論文化した。さらに、これまでに入手した本草学関係の資料の書誌をデータ化し、本草学通史のなかでの小野蘭山本草学の意義を考察する手段として活用可能にする準備を開始した。この作業は継続中である。
著者
長坂 一郎 本江 正茂 近藤 伸亮 近藤 伸亮
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

生活環境内に存在する様々な不適合・矛盾 (コンフリクト) を解消するデザイン・フレームワーク、行為シーケンスのパタン・ランゲージの構築にむけて、実験室の統制下の環境と、実際に使用されている現実的な環境との両方、複数のカメラを長時間稼働させて、ユーザの行動を撮影し、それらをシンクロさせて統合した動画を作成し、またその動画からスライス画像を作成して、画像内から行動パタンを抽出するシステムを開発した。さらに、行為シーケンスの特徴を視覚的に分析するための表現として、人の行動傾向をベクトル場として表現する方法、およびランドスケープ・ダイアグラムとして表現する方法を提案した。これらの成果に基づいて、生活環境のコンフリクト解消のためのパタン、特に、コンフリクト解消のための設計アイデアを表現する手法について、因果ループ図を用いて最適行為シーケンスと実際のシーケンスの差異を表現することを検討し、ライフサイクル設計問題を例として、因果ループ図を用いたパタンのデータベース化と、これを用いた設計支援手法の開発を行った。
著者
渡邊 登
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、95年・96年の2カ年に亘って新潟県に焦点を絞って行った「地方」における女性の政治参加現状に関する実態把握調査に基づいて、当該女性議員のライフコースに焦点を当てて、女性が政治参画するための諸条件などを探るとともに、さらに、女性が置かれている状況を明確にするために、男性議員との比較調査を行った。その際に地方議会における女性議員比率の高低に基づく差異(地域的差異或いは女性議員効果)を明確にするために、高比率地域(20%以上の東京都の7議会)と低比率地域(5%以下の新潟5議会、山形4議会)を選択した。全体として見るならば、両者の違いは排出ルートの違いによるところが大きい。男性議員の場合は町内会・自治会等の地域既存集団、地域の経済団体・企業、労働組合が圧倒的であるが、女性議員の場合は政党や、既存集団以外の地域活動(教育・福祉)、消費・環境保護・女性地位向上等の市民活動によるものが多い。属性に関して言うと、まず年齢では女性議員は50代、40代が多く、男性議員は50代、60代が多い。前者の場合は生活上の何らかの課題認識から立候補に至る場合が多いが、後者の場合は一定程度の人生目標を達成した後の「名誉職」として選択される場合が多い。学歴は女性議員の方が相対的に高く、居住歴は男性議員の方が相対的に長かった(地付き層、出戻り層)。ただし、属性に関しては地域差も大きい。政治的杜会化に関しては女性議員の場合に効果が見られるようだ。この場合、女性議員において地域差が大きい。地方では第1次的社会化、大都市では第2次的社会化の側面が強い傾向がある。排出ルートも、大都市圏の場合は問題解決型市民活動が多い。以上の検討から、「地方」において女性の政治参画を促進するためには、地方における各種市民活動の活性化、2次的社会化装置の構築が最も求められる。
著者
鈴木 康江 南前 恵子 前田 隆子 前田 隆子
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2012年から参加同意者を募り、2014年までに931名の同意を得て、妊娠中期から順次調査を開始した。現在なお進行中ではあるが、現在までに生後1年までのデータを収集分析中である。妊娠女性の喫煙は一般女性の喫煙率よりも高い傾向にあった。禁煙は夫の喫煙状況と関連があった。喫煙男性は妊娠発覚を喜ぶ割合が有意に低かった(P<0.05)。家族機能(家族APGAR)は喫煙女性が有意に低かった(P<0.05)。出生児は現在452名であり、平均出生体重は3010.5±429.7 g、低出生体重児(2500g未満)は8.6%、極低出生体重児(1500g未満)は1.1%であった。
著者
宮島 利宏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

生物地球化学的物質循環上重要な各種の有機・無機化合物の炭素・窒素・酸素安定同位体比を手掛かりとして、河口域における物質の起源と変換プロセスを明らかにする研究手法を開発検証した。またこうした手法により得られるデータを効果的に利用して陸域から海域への物質輸送の在り方を評価するためのモデルによる解析手法を開発・提案した。
著者
飯吉 弘子 渡邊 席子 西垣 順子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

学生の「思考力(自分で考える力)」とその育成に焦点を当て、(A)「育成対象(思考力自体と学生の発達意識)」と(B)「育成主体(大学教員とその教育実践)」両面の文献調査・言説分析・質問紙調査の量的質的分析・ナラティヴ調査・実践事例研究等の各種調査分析を通して、「大学教育が担うべき思考力育成とその教育実践と教育の評価のあり方」の総合的研究を行い、批判的に思考する「態度」育成の重要性やその教育実践事例分類、学生の発達意識や教員の意識における思考力育成の可能性や重要性の認識分析、カリキュラムと教育の評価のあり方分析等を行い、批判的に思考する能力や態度の育成のあり方の方向性と可能性を考察した。
著者
仲間 裕子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ドイツのドレスデン美術館やロシアのエルミタージュ美術館を始めとした国外調査を経て、ドイツ・ロマン主義画家のフリードリヒの作品分析を行い、画家の世界観、および近代における視覚の変容がいかに作品に反映されたかを考察した。また、フリードリヒの作品の受容をめぐる諸問題を、フリードリヒが"再発見"された1906年の「ドイツ100年展」を主軸に調査し、国家権力に左右された経緯とともに考察した。さらにこうした受容の反省に立つ戦後のドイツ美術作品を"崇高性"、"アイロニー"、"社会関与"の観点から分析し、ドイツ・ロマン主義の20世紀における継承と変容を指摘した。研究結果は、まず、フリードリヒ研究成果をまとめた著書、『C.D.フリードリヒ、《画家のアトリエの眺め》-視覚と思考の近代』(三元社、2007年3月)である。第1章《画家のアトリエからの眺め》、第2章フリードリヒの「抽象」、第3章リューゲン島の風景-自然、主体をめぐる言説、第4章北方の風景-トポグラフィーとアイデンティティ、第5章観照の美学から新しい美学へ、第6章「ドイツ100年展」、第7章メランコリーとロマン的イロニー-フリードリヒから今日のドイツ美術へ、から構成されている。また、フリードリヒの手記を翻訳・解説した『ドイツ・ロマン派風景画論』(共訳、三元社、2006年)を出版した。次に、海外共同研究者のエアランゲン=ニュルンベルク大学のハンス・ディッケル教授を日本に招聘し、2007年9月21日に京都国立美術館でシンポジウム「ドイツ・ロマン主義の<現在>」、24日に国立新美術館で講演会「ドイツ・ロマン主義と現代美術」を開催し、ドイツ・ロマン主義の伝統と今日性について様々な角度からの報告とパネリストを交えた討論の機会を得た。
著者
佐久間 一郎 児玉 逸雄 本荘 晴朗
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,計測は1台の高速度カメラで行い,撮影フレームごとにVm用/Ca2+用2種の光学フィルタを高速で切り替えて2つの信号を同時に取得するシステムを開発した.標本からの計測光は複数枚のレンズを組み合わせた光学レンズ系によってフィルタ位置で絞られ,撮影素子に復元する.本システムによりウサギ摘出心を用いて同時計測を行い,ペーシング時の活動電位波形,Ca2+動態を観察に成功した.また当初の基礎的検討では1台カメラ・フィルタ回転同期システムの光学機構設計に難航したため,平行して2台カメラとダイクロイックミラーを組み合わせた従来手法を改良し,Mutual Informationを用いて膜電位変化とCa動態を精緻に画像位置補正する装置も開発した.
著者
橋本 俊顕 森 建治 原田 雅史
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

自閉症には脳の器質的障害があり、「心の理論」、実行機能、中枢統合機能などの機能不全が生じ社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害の3徴候を示すと推測されている。このことから、社会のルール、特に明文化されない暗黙の了解、道徳的、倫理的事柄の把握が困難である。さらに、学校生活での問題行動や日常生活においての様々なトラブル、触法行為を起こしてしまうことも報告されている。本研究では自閉症児に見られるこのような問題行動と脳機能の関係を明らかにするために、倫理・道徳的場面を画像として課題負荷し、良い、悪いの判断を求め、その情報処理の過程の脳活動をfMRIを用いて測定した。対照は無意味図形とした。刺激は課題負荷45秒-コントロール課題45秒を2回、1シリーズ3分の構成のbox-carデザインで行い、判断できた合図は右手でスイッチを押させた。対象は高機能自閉症男児7名(11〜17歳)と健常男児3名(13歳)、健常成人7名、非自閉症のてんかん、Sotos症候群各1例の計19名である。検査に際しては保護者及び被験者に十分に説明し納得と同意を得た。健常者では側頭・後頭境界部〜側頭葉中部(左>右)、左右前頭葉背外側および前内側に活動性の亢進が見られた。高機能自閉症では前頭葉背〜腹(左<右)、前頭葉全部内側、頭頂葉〜側頭・後頭境界部〜側頭葉前部(左<右)に活性が見られた。その他、左中心前回、右前頭葉腹側および正中部に活性が見られた。自閉症と健常児の間では課題の正答率に差はなかった。課題の正答率に差がなかったがこれは課題内容が簡単であったことが想定されるが、実際の場面とこのような課題負荷では情動の影響が異なっていること、自閉症ではいかに行動すべきか解っているが実際に採るべき行動が採れない解離現象があることから、差が出なかったとも考えられる。fMRIの結果から自閉症では課題処理の系が健常者と異なることが想定されるが、さらに例数を増やし、課題の工夫をして検討することが必要である。
著者
星野 周弘 原田 豊 野田 陽子 矢島 正見 米里 誠司 加門 博子 田村 雅幸 麦島 文夫
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、今日のわが国において非行の発現・深化の過程がどのような要因の影響によって生じているかを明らかにすることを目的とし、非行少年・一般少年に対する質問紙を用いたケースコントロール型の調査と、公的記録による追跡型の調査とを組み合わせたデザインによって実施した。平成12年度に行った先行研究のレビューに基づいて、平成13年度に、公立中学校の第2学年に在学中の少年(コントロール)と、非行をして警察に補導された同学年の少年(ケース)とに対し、同一の調査票による調査を実施した。平成14年度〜15年度には、非行少年に対する質問紙調査を継続するとともに、非行少年の非行反復状況を警察記録によって調査した。調査対象地は大阪府であり、最終的な分析対象者は、非行少年289人、および一般の中学2年生2,046人である。非行少年と一般中学生とを対比した分析の結果、家族との情緒的関係や父母の養育態度の悪さ、逸脱的な友人との相互作用、中学校入学以前の問題行動や中学校での学業不振、学校の規則や行事への関与の低さ、衝動性・攻撃性・興奮追求傾向・反抗性の高さ、および自己効力感の低さが非行のリスクファクターとなること、問題行動を許容しない保護者の厳格な姿勢、友人による遵法的活動への勧誘、地域における人々相互の親しいつきあいや少年の健全育成活動などが非行のプロテクティブファクターになることが明らかになった。非行反復状況に関する分析の結果からは、分析対象者の約4割が本件以外にも非行で警察に補導されていること、調査対象者の約25%は本件以前にも非行で補導された経験をもっていること、本件以後に再度非行で補導された者の割合もほぼ25%であるが、女子(17%)に比べて男子(27%)の再非行者率が高いこと、学業成績や教育アスピレーション、友人関係に関する項目が、再非行と相対的に強く関連することなどが明らかになった。
著者
牧野 泰彦
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1,安倍川は源流域に大谷崩と呼ばれる崩壊地をもち、世界的にみても砕屑物の豊富な河川の代表とみなすことができる。安倍川は全流域にわたって網状流路によって特徴づけられている。2,安倍川河口域における海岸地形について、明治28年発行の5万分の1地形図「静岡」から最新の地形図までを比較・検討した。18世紀初頭に発生した大谷崩以来、安倍川は大量の砕屑物で埋積されており、昭和30年頃まで河口には三角州が存在し、ほぼ平衡状態にあったと考えられる。このように沖側に凸状の地形が形成されている理由は、安倍川からの供給量が多いためである。その後、河口は海岸線がほぼ直線的で海側に凸状を呈していない。これは、大型の建築物や新幹線や高速道路などの土木工事がわが国で活発に施行された時期に対応しており、建設骨材として、安倍川の河床堆積物が大量に採取された結果、河口への供給量が大きく減少したためである。現在は、河口突出部がやや回復しつつあるようだ。3,河口域に到達した砕屑物は、沿岸流によって北西の三保海岸方向へ運搬されている。これは安倍川流域に産出する特徴的な礫(蛇紋岩)を追跡することによって判明している。現在の三保海岸は沿岸域に供給される砕屑物量が減少して、侵食状況にある。三保海岸侵食は、砕屑物の不足した部分が順次その運搬経路の下流方向へ移動し、現在、三保の松原付近まで到達している。つまり、この問題は自然環境に人為的な手を大きく加えたことによって生じたもので、そのシステムを理解して対応していれば起らなかったはずである。自然環境の基盤をなす地形や地質は、数万年におよぶ長い年月にわたる現象である。自然現象を眺める時間スケールは、当然それに対応していなければならない。海岸侵食のような自然環境に関わる問題では、このように長期間におよぶ現象に対する自然観を持つことで回避すべきである。
著者
中里 亜夫
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

英領期インドにおいて植民都市の成長と共に発展した都市搾乳業は、印パ分離独立後新たに地方政府により設置された Dairy Colony (搾乳ウシ飼育団地)を舞台に発展した。パキスタンではカラーチとラホールの二大都市圏で、搾乳用水牛及び改良乳牛の飼育頭数の増加が著しく搾乳業の発展が持続している。インドのデリーとムンバイ大都市圏の搾乳業は、 1980 年代以降の農村酪農の発展によりその役割を低下させ、Colony の零細工場化、スラム化などの問題も生じている。四大都市圏では牛肉輸出を意図した屠場の近代化や再編整備が進展している。
著者
和中 幹雄 渡邊 隆弘 田窪 直規 松井 純子 研谷 紀夫 横谷 弘美
出版者
大阪学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

情報のデジタル化・ネットワーク化が進展するにつれ、図書館目録は、他のコミュニティのメタデータとのつながりが求められるようになった。本研究では、新たな環境における図書館および文化機関(文書館、博物館など)の書誌コントロールの在り方の現状を分析するとともに、歴史的変遷を辿った。Linked Open Dataを用いたウェブ上での書誌コントロールにおいては、FRBRにおける各種実体(著作、体現形、個人、団体等)の識別子が重要となる。このような観点から、今後のわが国における書誌コントロールの課題(文書館・博物館における標準化意識、出版界との連携、複数のMARCの調整、典拠コントロールなど)を抽出した。
著者
永田 奈々恵 藤森 功 柏木 香保里 宮本 悦子
出版者
公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

プロスタグランジンなどの脂質(脂肪酸)は睡眠調節に関与することが知られている。一方で、睡眠は疲労回復や記憶の定着などに重要とされるが、これら睡眠の生理的意義の分子機構は解明されていない。本研究では、マウス大脳皮質でのmRNA発現レベルが明期と暗期で変動する脂肪酸輸送タンパク質brain fatty acid binding protein (FABP7の相互作用タンパク質としてGlycoprotein M6a (GPM6a)を同定した。更に、両タンパク質がマウス脳でも相互作用していることを確認し、FABP7とGPM6aがマウス脳で相互作用し機能している可能性を示した。
著者
堀井 洋 中野 節子 林 正治 宮下 和幸 沢田 史子
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、近世加賀藩家臣団の網羅的な記録である「先祖由緒并一類附帳」(金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵、以下「由緒帳」)を対象として、藩制組織の統計的かつ客観的な全容解明を目的とする。これまでに、以下の2点についてデータベース化と公開にむけた実装を行った。第一に、「由緒帳」作成者に着目した構成家臣の分析であり,その主たる目的は、加賀藩士については、身分・階層を明らかにすることである。第二には、「由緒帳」中の上級家臣(人持組)部分について、画像テータの撮影と記述内容の解読を実施した。
著者
川島 正行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

前線に伴う雲による降水を表現する微細格子雲解像モデルにより温帯低気圧に伴う降雨帯の構造、成因について調べた。まず、理想化した数値実験により、地上の寒冷前線に伴う降雨帯のコアーギャップ構造について調べ、その成因である水平シア不安定波の発達は環境風の鉛直シア、局所的な鉛直シアに強く依存することなどを示した。また、観測された前線に伴うその他の各種降雨帯の構造、成因について現実的な設定の数値実験により明らかにした。
著者
関沢 明彦 市塚 清健 松岡 隆
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

正常妊娠の末梢血を採取し、胎児由来の遺伝子としてY染色体特異的なマーカーであるDYS14遺伝子を標的にして、その妊娠経過に伴う変化を標準化した。この結果を元に、胎児DNA濃度をMultiples of Median (MoM)値に変換し、妊娠週数による違いを補正した上で各種病態における胎児DNA濃度の変化について比較できるようなシステムが整った。RhD血液型診断に関し、研究期間中にRhD陰性の症例は合計で25例に過ぎなかった。RhD遺伝子exon7を標的とする遺伝子診断を行い、25例全例で正確な胎児診断が可能であった。このことから、この方法は、既に確立された方法であり、精度向上を図る必要性がない思われた。超音波診断で極端な下肢の短縮を認めた症例が9例あり、その症例の妊婦血漿を採取した。また、同時に分娩時の膀帯血も採取した。その症例にFGF-R3の遺伝子についてAchondroplasia、Thanatophoric Dysplasiaなどの原因遺伝子を直接シークエンス法で検討した。しかし、9例全例で遺伝子異常は検出されず、新しい診断には結びつかなかった。次に、妊娠高血圧症候群での胎児DNA濃度の変化及びそれを用いた妊娠高血圧症候群の予知についてであるが、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)では、胎児DNA濃度が上昇することが分った。また、蛋白尿と高血圧の臨床症状の程度と胎児DNA濃度を比較検討した結果、胎児DNA濃度は、蛋白尿及び高血圧とは独立した因子であり、蛋白尿に比較し、高血圧により強く相関していることが分った。また、それらの症状の重症化に伴ってその濃度も上昇することが示され、妊娠合併症の病態把握にも優れたマーカーになると考えられた。
著者
市村 直幸
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,近年急速に発達している多数の計算コアを有する GPU (Graphics Processing Unit)を利用し,並列処理に基づく物体認識アルゴリズムを構成することを目的とした.まず,物体認識の基盤要素である局所不変特徴の抽出に対し,並列処理を適用した.方向マップと呼ばれるデータ構造を導入することにより,並列処理で効率的に実行可能な均一な局所演算により特徴抽出を構成できることを示した.その結果,従来の方法よりも,高速かつ特徴数の変化に対しスケーラビリティの高い特徴抽出を実現することができた.