著者
勝亦 陽一
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究全体の概要は、発育期の子どもを対象に「モノマネダンス」による運動技術学習プログラムの開発を行うことであった。2年の研究期間には、投能力を向上させるための視聴覚教材を開発した。股関節および肩甲骨の動きを改善するために作成された教材は、数多くの少年野球選手によって実践された。選手へのアンケート調査を行った結果、肩や股関節周りが柔らかく速く動くようになった等、の意見があった。
著者
松尾 充啓
出版者
京都府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

貝殻を持たない貝の仲間であるウミウシにおいては、餌である藻類から葉緑体を盗みとり、自身の細胞に埋め込んで光合成を行う変わりものがいる。本研究では、この光合成ウミウシの盗葉緑体現象を詳細に解析するため、ウミウシの餌である多核緑藻類ハネモのオルガネラ(核、葉緑体、ミトコンドリア)を蛍光標識して、それらが光合成ウミウシに摂取された後、ウミウシ体内でどのような挙動を示すのかをライブイメージングにより観察・解析できる実験系を、世界に先駆け開発・構築した。
著者
酒井 貴広
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、高知県西部の幡多地方を中心に、県下に今なお存在する民俗事象「犬神」について考察した。高知県下の「犬神」は、歴史的に様々な「強制力」からの働きかけを受け、今日では特異な変容を遂げている。さらに、戦後の高知県における「犬神」は、学術研究・生活世界・フィクション作品の三者の間で結び付き、時に相互作用を発生させながら今日の変容に至ったと結論付けられる。
著者
佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では利用者に新たな発見を促す排架法の構築を目的に、1)実験用書架閲覧時の視線軌跡と注視行動分析、2)実際の公共図書館における利用者の注視行動分析を行ってきた。結果から、1)実験用書架閲覧時、十分な時間があれば、人は最上段から順に全ての図書を確認しようとする。段によって視線の移動方向は左右反転する。2)タイトルがゴシック体の図書は有意に注視時間が長い。カバーが黒・暗紫色の図書は有意に注視時間が短い。書架上の中央に置かれている図書は注視時間が長い傾向がある。3)公共図書館において、書架上の垂直位置が注視時間と有意に関係し、1-4段目で全注視時間の80%を占める、ことがわかった。
著者
原田 智也
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

伊豆-小笠原海溝沿いの沈み込み帯は,プレート間巨大地震がほとんど発生しないと考えられてきた.しかしながら,石橋・原田(2013),原田・他(2013)は,史料の再検討と津波シミュレーションから,1605年慶長地震が伊豆-小笠原海溝の巨大地震だった可能性を示した.本研究では,この仮説を検討するために,伊豆小笠原諸島での津波痕跡調査を行った.その結果,父島の境浦において3つ以上の津波堆積物が確認された.さらに,父島の八瀬川河口付近においても,複数の津波堆積物が確認できた.年代測定から,これらは17~18世紀に堆積したことが分かった.しかし,1605年慶長地震よる津波堆積物は同定できなかった.
著者
辻 雅善
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

先の研究において、毛髪中のFatty Acid Ethyl Esters(FAEE)が飲酒量に関連があることを示し、正確な飲酒量の把握を可能にした。一連の研究において、飲酒歴のない者の毛髪中にFAEEが検出され、受動喫煙ならぬ「受動飲酒」の存在を疑った。近年、受動喫煙の有害性は知られているが、「受動飲酒」はその存在自体明らかでない。そこで、「受動飲酒」が実際に起こりうるのかを確かめ、「受動飲酒」の有害性を検討するコホート研究の足掛かりとすることを目指している。平成28年度において、新生児の毛髪中FAEEはほぼ全て同居する親の飲酒により室内空気中に揮発されたものと仮定できることを示唆した。平成29年度では、一般集団における参加者(新生児含む)から得た毛髪中のFAEE濃度をGas Chromatography Mass Spectrometry(GC/MS)にて測定することを目的とした。しかしながら、新生児の毛髪は非常に軽く且つ多量に採取することが困難であるため、現行のGC/MSによる測定法では、FAEE濃度を測定することが難しかった。そこで、平成29年度の前半において、より微量なFAEE濃度を測定するため、GC/MS/MSによる測定法の確立を目指した。GC/MS/MS(SHIMADZU, Kyoto)にZBSV(20 m×0.18 mm×0.36 μm)-BPX5(25 m×0.15 mm×0.25 μm)カラム(SGE Analytical Science, Australia)及び固相マイクロ抽出法(SPME; SUPELCO, USA)を採用することで、より微量な濃度の測定を可能にした。後半は、確立した測定法により、参加者から得た毛髪中のFAEE濃度の測定を進めた。報告時現在、40組程度の参加者に協力頂いており、現在11組の測定を終えた。今後、残りを随時測定していく。
著者
藤野 裕子
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、1920~1930年代を対象に、土建請負業者と政党との癒着の実態とそれを必然化させた背景を明らかにするものである。大正赤心団・大日本国粋会・大和民労会といった土建請負業者からなる政党の院外団体に関する分析を行った政治的なアプローチと、土木建築業の労資関係や日雇い労働者の労働・生活文化に関する分析を行った社会的アプローチとにより、資本主義と民主主義の進展過程と不可分に癒着が形成されたことを明示した。
著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
前野 浩太郎
出版者
国立研究開発法人国際農林水産業研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

サバクトビバッタの母親は群生相化すると産卵数を減らす代わりに、大型の卵を産むことが知られており、本申請者はこの相変異が関係した繁殖能力の生理・生態学的研究に従事してきた。その中で、大型の卵から孵化した幼虫の方が小型のものよりも飢餓条件に強いことなどを明らかにしてきた。本種の生息地であるアフリカのサハラ砂漠で行ったフィールドワーク中に雌成虫が産卵する現場に遭遇した。一連の観察の中で、どのように群生相が行動し、交尾・繁殖しているのかを調査した。
著者
渡邉 英幸
出版者
愛知教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果概要は以下の通り。まず里耶秦簡の「更名扁書」(公的用語の改定リスト)を読解することで、戦国秦から統一秦にかけての国制変革を検討し、秦の官職名における「邦」概念の廃止の背後にあった国制上の変革を明らかにし、また始皇帝期の避諱に関する条文が、始皇帝の父母の名である「楚」「生」を避けるものであったと考えられることを発見した。次に、戦国末の秦における国境を越える人の移動と帰属の諸相を解明した。さらに、戦国秦から統一秦にかけての畿内領域の呼称の展開と「邦」概念との関係を論じた。
著者
田浦 太志
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は昨年度に引き続き、アグロバクテリウム法による大麻への遺伝子導入システムの確立を検討した。まず大麻成分生合成酵素であるTHCA synthase及びOLA synthaseのセンス及びアンチセンス遺伝子を有するアグロバクテリウムを大麻幼植物および培養細胞に感染させ、各種ホルモン添加によりカルスあるいは不定胚の形成を検討した。この結果、不定胚は得られなかったものの組み換えカルスを安定的に得る方法を確立した。しかしながら得られた組み換えカルスの成長速度が極めて遅く、多くがサブカルチャー中に枯死したため組み換え体を植物体として得るには至らなかった。そこで新たな方法として、細胞培養を必要としない形質転換法として近年注目を集めているFloral Dip法について検討を行った。材料として本学薬用植物園で栽培した開花時期の大麻雌株を用い、その地上部を上記アグロバクテリウムの培養液に数秒間浸すことにより感染させ、次いで、グロースチャンバー中で短日処理を行うことにより種子の成熟を検討した。しかしながら、アグロバクテリウム処理した植物体はダメージが大きく、種子を成熟させるに至らないことが判明した。Floral Dip法を行う際に、植物体をSilwet L-77などの薬剤で処理することで損傷を免れた例が報告されていることから、現在それらを含め、Floral Dip法の各種条件検討を行っており、今後、遺伝子導入を確認した種子について植物の栽培を行い、植物形態やカンナビノイド含量の変化について検討する計画である。本研究は遺伝子工学による組み換え大麻の作出とカンナビノイド含量のコントロールを目的としたが、本年度までにこれを達成するには至らなかった。しかしながら、本研究では細胞レベルで大麻を形質転換する方法の確立に成功しており、これは組み換え大麻作出に向けた重要な成果であると考えられる。
著者
加藤 政洋
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、主として東京・岐阜・大阪・神戸・那覇をフィールドに、昭和戦後期都市政策のなかで生み出された、さまざまな場所とその景観の社会的・地理的性格を検討することを通じ、都市の復興(再建)ならびにそれにつづく新たな都市建設に固有の理念と空間的論理を明らかにした。対象となった具体的な場所ないし景観は、戦災都市の食料品市場(自由市場、闇市など)、露店街、スクウォッター地区(引揚者の集住地区)、そして特殊飲食店街であり、いずれも敗戦後の都市空間に空隙を縫うようにして形成されたところばかりである。当初、それらは体系的な都市政策が実施されないなかで空地を占拠するかたちで確固たる地盤を築いていたものの、復興の進捗に合わせて取り払われるべき「不快」な景観として認識され、最終的には再開発すべき対象として都市政治の焦点となり、実際に移転ないし取り払われるまでの経緯を明らかにしている。
著者
黒田 玲子 大久保 靖司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

個人の体内時計と社会的スケジュールの不一致によって生じる睡眠時間帯のずれによる社会的時差ボケ(Social jetlag)は、朝型夜型(Chronotype)の違いを調整しても様々な健康影響と関連があるかどうか検討した。まず、質問紙法でのSocial jetlagは高い再現性・妥当性を確認できた。また、Social jetlagの大小と、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満有病率の関連は、U次型の曲線を示すことがわかった。抑うつ症状(K6>=5点)は、Social jetlagが大きい群で有症率が高かった。産業保健分野で社会的時差ボケの認知の重要性と予防対策の必要性を示唆することができた。
著者
高橋 沙奈美
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、これまで調査してきたサンクト・ペテルブルグの聖クセーニヤについて、査読誌に論文を投稿し、掲載された。また、最後の皇帝ニコライ二世一家殺害事件に対するソ連国内での歴史認識を明らかにし、一家に対する崇敬について調査した。この結果について、国際学会で報告することができた。12月にはアメリカのシカゴ主教区とニューヨーク州の在外ロシア正教会聖シノド・アルヒーフ、およびジョルダンビリーの聖三位一体修道院の図書館で調査を行うことができた。シカゴでは、在外教会におけるニコライ二世一家列聖に関わった司祭の妻に話を聞くことができた。また、彼女自身が1970年代にツーリストとしてレニングラードの聖クセーニヤの墓を訪れた経験についても明らかになった。聖シノドおよび聖三位一体修道院での資料集では、クロンシュタットの聖イオアン神父、聖クセーニヤ、皇帝一家の崇敬と列聖に関する大量の一次資料および、新聞・雑誌記事を手に入れることができた。在外教会が列聖に踏み切るに至った経緯として、在外教会を本国のロシア教会に従属するものではなく、真のロシア教会と考えた府主教フィラレート(ボズネセンスキー)が指導者となったことが、重要な意味をもっていたことを明らかにした。また、イオアン神父やクセーニヤの列聖に向けては、一般信徒からなる兄弟会/姉妹会がイニシアティブを取って、奇跡譚を収集し、イオアンやクセーニヤの文化的表象の造形に大きく貢献していたことがわかってきた。一方の皇帝一家の列聖に関しては、歴史認識が大きな問題となった。皇帝一家の運命をどのように表象し、普及するかという問題が極めて重要であり、これに高位聖職者や知識人などのロシア人ディアスポラのエリートが大きく関わっていたことが、さまざまな資料から明らかになってきた。
著者
杉本 晃久
出版者
統計数理研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々は,edge-to-edgeタイル張り内でn個のタイルが1点に会する点をn価の集結点と呼ぶことにする.凸五角形タイル張り問題に関して,私はタイル張り内の集結点の性質に注目して研究を進めている.ここで,五角形で構成されたedge-to-edgeでかつnormalであるタイル張りをTとする.このとき,五角形タイル張りT内のそれぞれの五角形が同数の2種類の集結点(m個の3価集結点と5-m個のk価集結点)で構成されていると仮定すると,その五角形タイル張りTは4価と3価集結点((m,k)=(3,4))のみで出来ている場合か6価と3価集結点((m,k)=(4,6))のみで出来ている場合しか存在しないと証明した.球面上の円である球帽を用いた最密充填問題(Tammesの問題)の球帽個数N=10〜12に関して,私独自の系統的な方法で得た結果をまとめ,論文として発表した(その結果,N=1〜12に関して,私の方法で求めた結果とTammesの問題の解が完全に対応しているという興味深い事実を見いだした).とくにN=10に関して,いままでDanzerによって球帽の角直径が[1.154479,1.154480]と範囲のみで示されていたが,私は閉じた解(数式)を示した(私は約3年前に初めてN=10の場合の閉じた解を得たが,その数式はかなり長いものであった.本年度,私は3年前に得られた結果を再考し,以前と比べ格段に短い数式を導き出すことに成功しそれを発表した).
著者
小泉 元宏
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、近年急増するアートプロジェクト(AP)を事例に、その地域社会における社会的・文化的影響を、アーティストやAPに関わる市民の社会関係に関する調査から研究してきた。結果、APが、人々の暮らしに密接に関わった場合、市民が潜在的に持つ多様な技能や知識を引き出し、それが市民も交えた新たな文化・社会活動を生むきっかけとなりうることが示された。しかし創造性を持った人々に対する地域活性化に向けた過度な期待は、時にAPにおける市民の役割に目を向けることを阻む場合もあり、既存の創造階級論の見直しの必要性が示唆された。以上の成果は国際学会報告・国際誌への論文投稿等を通じて積極的に国内外に発表している。
著者
前原 由喜夫
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,他者に対する思いやりや親切心に根差した動機づけ,すなわち利他的動機づけが,認知能力や学力,あるいは学習に対する動機づけに及ぼす影響について実証的に検討することである。そのために,視空間性ワーキングメモリ課題において,正解すると自分が利益をもらえる「利己的試行」と,正解すると他者に利益がもたらされる「利他的試行」を設けてパフォーマンスを比較した。さらに,その利益の大きさを「0円」(無利益),「10円」(低利益),または「100円」(高利益)と変化させることによって,利他的動機づけにもとづいた認知的コントロール能力の特徴を観察した。また,ADHD傾向が高いほど利他的動機づけの影響を大きく受けるという仮説のもと,大学生のADHD傾向の個人差を質問紙によって測定し,ワーキングメモリ課題成績との関連を検証した。その結果,不注意傾向の個人差は課題成績とほとんど関連が見られなかったが,多動性傾向が高い大学生ほど高利益の利他的試行において課題成績が高くなった。これは,ADHD的特性が動機づけの方向性次第で認知能力にポジティブな影響を与えることを示唆している。さらに,小学生や中学生でもADHD傾向の高い子が,利他的動機づけによって認知能力や学力が向上するかどうかを調べるための予備調査として,ADHD傾向,向社会的行動,学習に対する動機づけ,そして学業成績などの関連を自答式の質問紙によって調べたところ,全体的に不注意傾向や多動性傾向が高いほど向社会的行動が少ないという傾向が見られたが,共感性あるいは感情制御能力を統制すると,不注意傾向や多動性傾向と向社会的行動との負の関連は消失した。この結果は,子どものADHD傾向が単純に向社会的行動の少なさ,つまり利他的動機づけの低さと関連するのではなく,それらを媒介する他の性格特性あるいは認知特性が存在することを示唆している。
著者
松林 哲也 上田 路子 澤田 康幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では(1)自殺報道が一般の人々の自殺に与える影響、(2)これまでの自殺対策の効果の検証、(3)人々を取り巻く制度環境が自殺に与える影響、の3課題についての研究を推進してきた。統計分析の結果、著名人の自殺報道に対しツイート上で大きな反応があった場合にのみ自殺者数が増えること、経済状況の好転が自殺率の低下につながっている可能性があること、鉄道駅のホームドアには強い自殺防止効果があること、早生まれの若者の自殺率が高いこと、学年暦と若者の自殺数には強い相関があること、誕生日前後には自殺が増えることなどが明らかになった。
著者
清家 章
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

縄文時代から古墳時代を通じて、女性の地位がどのように変化するかを墳墓と遺存人骨から調査した。その結果、全時代を通じて女性家長が存在し双系的親族構造の中で女性はヘッドウーマンの地位を保持していることが明らかとなった。しかし、首長層における女性の地位と権能は複雑であることが明らかとなっている。弥生時代中期と古墳時代中期以降は女性首長の存在が認められず、その間に存在する弥生時代終末期〜古墳時代前期には女性首長の存在が一般的に認められる。つまり、首長層においては首長権を行使するこどに対し、女性の活動が活発的な時期とそうでない時期があるのである。その原因は性別分業と大きな関わりがあると考えられる。特に戦争との関わりが重視される。女性には戦争に関わる権能がない、あるいは積極的には認められていなかったため、戦争あるいは軍事的緊張が高まる時期、もしくは政権の軍事化が行われる時期には女性は首長になり得なかったのではないかと考えられた。また古墳時代中期以降に臨時的な場合を除いて、女帝・女性首長は存在しないので、これ以降女性首長が登場することはなかった。また、古墳時代中期以降は一般層においても父系的編成が行われたと考えられる墳墓群が認めあられた。政権が軍事化するに伴い、首長は男性に限定され、下位層に対しても軍事的な理由から父系的な編成が行われたと考えられるが、それは貫徹せず、双系的基盤は後世に受け継がれた。
著者
田中 真一
出版者
神戸女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、名古屋方言の韻律構造(リズム・アクセント・イントネーションの構造)を明らかにすることを目標とし、一般言語学的観点からの調査および分析を行った。その結果として、アクセントおよびピッチに、種々の音韻構造が関与することを明らかにした。また、フィールドワーク調査による名古屋方言の録音の作業を通して、方言音声の記録という性格を持たせることを目標とした。